乙女達のトイレタイムが終わるまで、窓際最後尾の自席でのんびりする事しばし。
桔梗少年が暖かな陽射しで若干眠くなってきた頃にどうにか再集結した1年A組の面々は、出席番号8番の
もし彼女が美少女であれば、しれっと居眠りするつもりだった桔梗少年。しかし、運命は彼を入学早々素行不良生徒にはしなかった。
「えーっと、8番、河原撫子です、宜しく。帰宅部です」
そう名乗った隣列最前方の彼女は、三白眼に薄い眉毛という若干ヤンキーめいた外見に反し、無難な黒髪ショートボブとかっちりと着こまれたブラウス*1で個性を埋没させている。
その姿は、『入学式だけは真面目にしたヤンキー』として見るのが一般的な視点だろう。だが、桔梗少年の
教室の前後という距離をものともしないドスケベ超視力*2を有する桔梗少年は、彼女の眉毛が剃っているわけではなく純粋に薄い事や、その黒髪が黒染めによるものではない事を容易に看破したのである。
何より、彼の
無言で彼女の名を欲しいものリストにぶち込んで、ネットリとベタつく視線を向ける桔梗少年。だがその直後、立ち上がった9番の美少女ギャルの視線がこちらを向いたせいで彼のヤる気は急激に萎え、行き場を失った視線は外の景色へと向けられるのであった。*4
* * * * * *
さて、そんなこんなで『ガクッ! 美少女だらけの自己紹介大会』を聞き流しつつ、地味子に似ている雲*5を探していた桔梗少年は、股間のアンテナ*6で地味子オーラを感知し、その視線を教室内へと引き戻した。
その視線の先にあるのは、ドスケベ山脈。教室内でも有数の巨峰を胸に宿したその少女は、『South Carolina*7』とプリントされた謎Tシャツをはちきれんばかりに引き延ばして着ており、その根源的スケベ存在*8の巨大さが強く主張されている。
……と、ここまでの情報なら巨乳美少女っぽいが、彼女は桔梗少年の高感度好感度レーダーによって見出された存在、そうは問屋がおろさない。
彼女の体型を擬音化するのなら『バルンッ、ボヨンッ、ブルンッ』。そう、彼女はいわゆるデブ巨乳ちゃんなのである。
赤ちゃんのようなまんまるお腹と、あまりにも発達した乳と尻の連なりはまさに『山脈』。そこに繋がる手足もまたむっちりとした肉肉しいものであり、雄大な自然の趣を醸し出している。
だが、彼女の最大の魅力*9はその顔立ちだろう。
なんというか。小さいのだ。パーツが。低い鼻、つぶらな瞳、もっちりしたほっぺで顔が大きく見えるせいもあるだろうが、なんというか『ちび◯子ちゃん』みたいな顔*10なのである。
まるで干したての布団のような安心感に溢れたその顔立ち。彼女のモチモチボディに埋もれて寝ればさぞ暑苦しかろうが、それでも寝てみたい*11魅力が彼女には詰まっていた。当然ながら桔梗少年の絶対ブチ犯すリストに彼女もINしたのはいうまでもない。
「出席番号25番、
などと自己紹介でもぽっちゃりポイントを高めていくのも肉らしい、もとい憎らしい所である。
————しかしこのクラス、モブが豊作で最高だぜ! *12
などとアホな事を考えつつほくそ笑む桔梗少年にとって嬉しいことに、畳み掛けるかの如く追加の地味子が現れる。自己紹介の為に立ち上がったその姿を見た桔梗少年の第一印象は『なッッッが!?』という驚愕そのもの。
「出席番号26番……えと、
自己紹介から運動苦手を主張していく彼女だが、それもまぁ致し方ない事なのだろう。何しろ、とにかく身長が高いのだ。先程の袴田さんもデカい*13が比較にならないほどの痩身長躯である。
思わず挙手して「身長何cmなんですか?」と聞いてしまった桔梗少年に対して「ゔぇぅ!? に、250cmッ、です」*14と一重の糸目を見開いて回答してくれた彼女の自称が正しければ、前世の洒落怖の大御所である『八尺様』よりデカいのである。*15
というか、あの身長でぱっつん黒髪セミロングなあたり、萩原さん自体がかなり怪異っぽい。華奢で手足の長い地味子と言えば桔梗少年のタイプ*16ではある。
だが、隣に立った時に顔が子宮の位置に来るレベルの身長差となると如何なものか?
そう己が分身に問いかける桔梗少年に対し、『男一匹仁王立ち』とばかりに力強く応えた
袴田さん・萩原さんという強大な双璧に加えて、真面目系眉なし三白眼の河原さん、鳥の巣天パ丸眼鏡雀斑ツリ目の粟草さんに、ボサボサ箒尻尾太眉タレ目の尾花さん。皆モッサリとしていながら違ったイモさを持つ彼女ら全員を喰ってやろうと意気込むその鋼の如き逞しさは、この世界では唯一無二のものだろう。
そしてその野望は自分の体力的にも、一夫多妻を基本とする法制度的にも何の問題もない行為。大手を振って趣味を楽しめるのだから、『本当にこの世界にやってきて良かった』という他ない。
だが、萩原さんという超弩級のインパクトを前に既に終わった気になってしみじみと自身の幸福を噛み締めていた桔梗少年は、突如として自らのレーダーが過去最強の反応を示した事で、急激に現実へと引き戻された。
その視線の先、ちょうど窓際最後尾の桔梗少年とは対角に位置する廊下側最前列。
————そこに、最強の存在が君臨していた。
それぞれが隊長格*17であるこの教室の地味子達に倍する圧倒的陰気。
それに威圧された桔梗少年が思わずちょっとだけ漏らしてしまった*18程の闇の気配を放つその少女は、ボッサボサに荒れ果てた伸ばし放題の黒い毛束を背負い、乱雑に切られた前髪の毛束の向こうから、ギョロリと落ち窪んだ眼窩に収まったギョロ目とガタガタの歯並びがはみ出たへの字の口元を覗かせている。
ブサイク、というにはパーツの造形はともかく位置が整っているが、かと言って絶対に美人ではないという随分強烈なその個性。地味子と呼ぶには負の方向で『目立っている』彼女は、本来であれば桔梗少年の守備範囲からは外れた存在だ。
だが、極限の陰キャオーラによって威圧された彼の肉体は、その究極的存在を前に性癖の危機を感じ、鍛冶場の馬鹿力の如く己が限界を超えてみせたのである。
薄幸系、いや発酵系陰キャエキゾチック顔面女子……アリだな?
そう、それは新たな性癖への覚醒。陽キャの極みたる美少女ギャルとも、単なる無個性陰キャ*19とも異なる属性に対し、彼の肉体は己の業を深める事で適応してみせたのである。
そして同時に彼の脳裏に焼き付いたのは、己が性癖を覚醒させた少女への執着。
「出席番号36、
そんな端的な自己紹介を終えて席に着く彼女に、粘着質な視線を注ぎながら、桔梗少年は静かな決意を胸に抱く。
『その根源的ドスケベ存在に敬意を表し、正妻と初めての恋人の座を諸葛さんに捧げよう』
そんな意味不明な内容を思いながらキメ顔で微笑む姿は、控えめに言っても痛々しいもの。だが、超絶美少年ボディを以てすれば、その痛さすら美しさへと変換され、彼の周囲の女子達は彼の本質を知らぬまま、その美貌に蕩けるばかり。
そうこうしている間に全てのクラスメイトが自己紹介を終えてしまえば、担任の山田先生の号令でLHRは解散され、今日のところは帰宅する運びと相なった。
斯くして、結局クラス全員がパンツガビガビになった1-Aを舞台に、桔梗少年の高校生活が幕を開ける。
その先に広がるピンク色の未来への期待を胸に帰路を歩む桔梗少年の足取りは、股がネチョネチョしているとは思えないほどに、軽やかなものだった。
好きなキャラクター
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皇塚桔梗
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粟草紀子
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尾花茅子
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河原撫子
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袴田藤子
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萩原久仁子
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諸葛芳子