「良いお湯だったねぇ芳子ちゃん。買い物は湯冷めしないように少し休んでからにしようか?」
そんな台詞と共に、過去最高にコンディションの良い芳子の髪*1を手櫛で梳くのは、つい1時間ほど前にゴリ押しで彼女の恋人となった頭のおかしい美少年、皇塚桔梗その人だ。
何故彼のみならず芳子もお風呂上がりなのかといえば、その原因もまた桔梗少年らしく気狂いじみたもの。
あの脅迫めいた告白の後、宣言通りに唇がふやける程にキスの雨を降らせた彼のせいで、芳子は冷や汗以外の水分をあらゆる穴から垂れ流すハメになり、服を大いに汚してしまったのである*2。
そして、不快指数限界突破なその状況に流石に耐えられなくなった彼女がシャワーを借りようとしたところ、有無を言わさず風呂場に連れ込まれ好き放題に全身を弄られてしまった、という流れで現在に至るのだが。
現在、芳子は桔梗少年に膝枕をされつつ、4人掛けのソファーで臥せっていた。
その頬は未だに熱を帯び、息は荒く、意識はポヤポヤとするばかり。幽体離脱の様なフワフワとした感覚が付き纏い、四肢に力が入らない。
何故ってまぁ、凄かったからとしか言いようがない。キスもそうだし、お風呂でのアレコレもそう。
ネガティブな彼女が思わず『もしかして私、願い*3が叶って美少女になっちゃったのかな?』とアホな事を考えてしまうほど『美少年に強く激しく求められる』という体験は彼女の脳を蕩かしたのだ。
まぁ、風呂場の姿見に映るガリガリの鶏ガラ骸骨女を見て一気に夢から覚めたのだが、その骨格標本の様な自分に絡みつく美少年の姿に、ちょっと倒錯的な性癖が目覚めそうになったのは秘密である。
————でも本当に凄かったなぁ。
なんてホワホワした感想を抱く芳子ちゃんの脳味噌。桔梗少年の超絶的なテクニックで全身の弱点を開発された結果強制的に超分泌された
それを「可愛いねぇ♡」と甘やかす桔梗少年も桔梗少年。『大好きな女の子』と散々楽しんだ事で艶々としている彼は一層美しくなっており、もはや若干後光が差すレベルに達している。
だがその美貌は、天使というよりは悪魔、それも淫魔のものなのだろう。頼りのない諸葛芳子の魂を追い詰め、軋みを上げて強引にこじ開けられた心にに甘い毒をドバドバと流し込むその所業は、邪悪と呼ぶに相応しい振る舞いだ。
何しろ、こんな体験をしてしまっては、諸葛芳子は昨日の自分には戻れない。
まだキスと洗いっこまでという幼稚園児幼馴染並みの関係性なので2人は一応清い身の上だが、そういった事に詳しくない芳子の頭でも『この体験が普通ではない』とわかる程、桔梗少年の手練手管は凄まじかったのだ。
もう、公園の隅で拾った宝物*4で自分を満たそうとしても、絶対に不可能。そんな強い確信が芳子に宿り、彼女は早くも桔梗少年との関係性に溺れつつある。
————というか、醜い自分を滅茶苦茶に愛してくれる美少年に抗える女など居るのだろうか? *5
何せ、女の世界は『美』に厳しく出来ている。男が『容姿を強く気に掛ける』という特性を持つ以上、男に選ばれる女は皆美女と呼ぶに相応しい容貌を有しており、並以下の女は物心ついた時から『将来は精子バンクの精子で男の子を産めるといいなあ』が人生の最大目標になってしまうのである。
故に『男に、それも美少年に見初められる』などというのは芳子の様な醜女にとっては夢見る事すらない妄想を超えた妄想であり、桔梗少年の前世でいえば『〇〇坂46の全員に告白されないかなー』と妄想するキモ豚ぐらい、いやそれ以上に無理な話なのだ。
だが、現実はどうだ? 恐ろしい程の美少年が今も芳子を愛で続け、フカフカのバスローブを着せられた彼女は膝枕のVIP待遇を受けている。何より、後頭部に感じる硬く厚く太い感触が、芳子を一層満たすのだ。
これで気が狂わない女がいたら脳神経外科に行くべきである。
そう真面目に考える芳子の脳は宣言通りにイカれてしまい、もはや桔梗少年にされるがまま。世間の目を浴びれば正気には戻るのだろうが、もはや2人きりの空間で理性を保てる訳がない。
それでも、自分から浅ましく寵愛をねだることがなかったのは、一重に彼女の自己肯定感がカスであるが故のこと。拗らせた処女というものは量子論並に難解で面倒臭いものであり、彼女の場合はそれが酷く受動的なものとして現れているのである。
だが、桔梗少年の研ぎ澄まされたスケベ超感覚*6にはそんな面倒な乙女心もお見通し。彼女を抱き起こし、その髪を掻き上げて耳元へと軽く口付けた彼は、「着替えて、デートして、晩御飯食べたら、ね♡」と蕩ける様な声で囁いて芳子ちゃんの脳味噌と自我をドロドロに溶かし、彼女はそれだけで静かに達して息を詰まらせる。
————この状態でデートとか私死ぬのでは?
そんな微かな思考だけが、今の彼女の脳に残された理性の残滓。だがそれも程なく掻き消え、桔梗少年の意のままに着せ替え人形にされる羞恥心で本日何度目かもわからぬ自我崩壊からの気絶を果たした芳子ちゃんは、幸せな気持ちのまま意識を闇へと手放すのであった。
好きなキャラクター
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皇塚桔梗
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粟草紀子
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尾花茅子
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河原撫子
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袴田藤子
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萩原久仁子
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諸葛芳子