秘書艦メインです。
空襲から二日がたった。艦娘たちはまるで何事もなかったように過ごしている。十六夜がいなかったら完全に空襲を受けていたけど…。とりあえず何事もなくてよかった。
だが今俺は悩んでいる。なぜかって?それは俺が今持っている書類と小箱に原因がある。
「ケッコンカッコカリ書類一式&指輪」
早く決めろと海軍省からも催促されること約三週間…、今だに決まらない。
たった先程電話で、
元帥 「蒼海君、まだ決まんないのか?」
提督 「はい…。申し訳ございません。」
元帥 「別に謝らなくていい。君のことだから決まるのに時間がかかることは分かっている。ゆっくりでいい。」
提督 「はい…。」
こんなかんじで元帥も言ってくれたけど、これ以上元帥に迷惑をかける訳にはいかない。だから今日中にケッコン相手を決める!
かと言ってもすぐに決まることではない。俺はもともと決めるのが苦手だ。艦娘は全員平等にあつかいたい。誰が一番だとかそういうのを決めるのが本当に苦手だ。
提督 「誰に渡せばいいんだ〜。」
栗林 「金剛さんはどうですか?提督に対しての好感度が半端ないですよ。」
提督 「確かにそうだけど金剛だけみて決めるのもなあ…。」
栗林 「ならば秘書艦のなかから選んだらどうですか?」
提督 「秘書艦のなかから?」
栗林 「はい。あの四人は全員最高練度ですし、戦闘能力も高いです。」
提督 「確かにそうだな。だけどな…」
栗林 「時間に追われているほうが大変なのでは?」
提督 「うっ、確かにそうだな…。」
駄目だ。栗林には流石に勝てない。即刻で論破されてしまった。しょうがない。四人の秘書艦の中から選ぶか。
鎮守府内 食堂
長谷川直樹 「そうですか。そんなことがあったんですね。」
提督 「これは完全に俺の責任だよ。俺が決められないばかりに元帥にまで迷惑をかけてる。」
長谷川直樹 「蒼海さんって自分の気持ちに素直になったことってありますか?」
提督 「自分の気持ちにですか?」
長谷川直樹 「はい。僕は弟として生まれたので長男である蒼海さんの気持ちは理解しけれないかもしれません。でも、弟として生まれたので多少は自分の気持ちに素直にはなれます。」
提督 「そうですか…。」
長谷川直樹 「はい。なので蒼海さんも一度自分の気持ちに素直になったらどうでしょうか?」
提督 「…そうですね。それが大切ですね。向き合ってみます、自分の気持ちと。」
こうして提督は自分の気持ちと向き合ったところで何もかも解決したかにみえたが…
提督 「秘書艦全員良い子だから難しい…。」
栗林 「素直になった時点でこれですか。」
提督 「意外と決めるの難しいんだよ…。」
栗林 「とりあえず僕は外の見回りにいってきますね。」
そう言って栗林は提督室を出ていった。
提督 「…………はぁ。」
フタヒトサンマル
呉鎮守府では就寝時間だ。なので殆どの艦娘や海軍関係者、陸軍駐屯連隊の隊員たちも就寝している。起きているのは提督と栗林、そして一部の艦娘である。
トントントン
提督 「いいぞ。」
ガチャ…
響 「失礼するよ、司令官。」
提督 「響か。どうしたんだこんな時間に。」
響 「少し話があって。栗林補佐官は?」
提督 「夜の見回りにいってるからしばらくいないぞ。」
響 「そうかい。じゃあむしろ都合がいいね。」
提督 「?ところで話ってなんだ?」
響 「司令官…、私とケッコンしてくれるかい?」
提督 「へ?」
予想もしていなかった言葉に思わず間抜けな声がでる。…いや、予想はしていた。
提督 「ケッコンを、か?」
俺がそう言うと、響はコクリとうなずいた。顔を赤らめながら。
響 「実は秘書艦になったときから考えていたんだ。どうしたら司令官のこと振り向かせられるか。」
提督 「それってすなわち…」
響 「……」
提督 「俺に対して好意があるのか?」
響 「……」コクリ…
嘘だろ。俺はこの十数年感生きてきて告白などされたことはなかった。海軍にいることもあったが、そもそも家族が死んでから人と関わることが苦手になっていたからかもしれない。今関わっている人は補佐官の栗林、秘書艦の十六夜、長門、響、金剛、その他の艦娘や陸軍の人々、海軍関係者くらいだ。
だから俺に青春をする余地なんてなかったのである。
だが、実は俺もある二人の艦娘に惹かれていた。
一人目は十六夜だ。なぜだか分からないが十六夜は死んだ妹とかなりにているのだ。自分よりも人のことを優先するところ、甘いものが好きなところ、運動神経がいいところ、そして笑顔を絶やさないところだ。馬鹿らしい話だけど、もしかすると十六夜は俺の妹の生まれ変わりなのかもしれない。だからこれから大切にしていくときめたのだ。
そして二人目は今目の前に立っている響だ。今響は俺に好意を持っていると言ったが、実は少なからず俺も響に対して好意をもっていた。数多くいる駆逐艦のなかで二度の損傷を受けたのにも関わらず、あの戦争を生き延びた数少ない駆逐艦だ。しかし、一方で一人に取り残されていく気持ちを味わっている。境遇だけ考えたら俺と似ている。響は姉妹艦を全員失い、俺も家族を祖父だけを残して失った。だから俺は響にはじめて会ったときから気になっていたのだ。
会ったときから気になる。→境遇も同じ。→好意を持っている。→こっちも持っている。
=ケッコンカッコカリ成立。
きたわこれ。決まったら善は急げだ。
提督 「響、じゃあケッコンしてくれ。」
響 「!?」
そして俺は響に指輪を手渡した。
提督 「これからよろしくな、響。」
響 「…うん!」
こうしてようやく海軍省に報告ができたのであった…。
海軍省
??? 「へぇ〜、蒼海君は響とケッコンしたんだ。」
元帥 「はい、そのようです。」
??? 「そういえば呉鎮の正面海域の影の艦隊はどうなったのかい?」
元帥 「はい。蒼海提督以下艦娘たちの活躍により政海制空権の維持には成功しているようです。」
??? 「そうか〜。やっぱ蒼海君はすごいな。さすが師匠の息子さんだね。」
元帥 「”軍令部総長”、次はどんな作戦を発令される予定で?」
軍令部総長 「まずは敵の航空戦力が厄介だからね。最近呉鎮の前線に中規模な泊地が発見されたらしいよ。この泊地から敵の航空機が出ているみたいだからここを空母で強襲する。」
元帥 「強襲…。分かりました。」
軍令部総長 「作戦名は…」
”由利島作戦”だ。
翌日
提督 「今日も書類仕事は終わりか。」
栗林 「そうですね。演習でも見にいきましょうか。」
提督 「そうだな。確か今は第七艦隊と第一機動部隊が演習をしているな。」
演習場
長門 「全主砲斉射、てっーーーーーーーーー!!」
ババァーン!!
赤城 「第一次攻撃隊、発艦してください!」
加賀 「ここは譲れません。」
ビュン!ブロ〜!
砲撃と艦載機が入り乱れている。まさに乱戦状態だ。
提督 「おお、激しくやってるな。」
栗林 「そうですね。特に十六夜さんはすごいですね。」
提督 「そうだな。」
二人が言ったとおり十六夜はすごい。駆逐艦でありながら重巡並の火力をいかし、一隻を中破に追い込んでいる。
栗林 「その代わりにかなりの量の資材を消費しますけどね…。」
提督 「それは言わない約束だ…。」
その時、提督の携帯電話が鳴った。
提督 「あっ、電話だ。」
どうやら海軍省からのようだ。新しい作戦か…。
提督 「もしもし、蒼海です。」
軍令部総長 「蒼海君、久しぶりだね。」
提督 「!?軍令部総長!」
軍令部総長 「仕事中悪いね。ちょっと新しい作戦についてなんだけど時間いいかな?」
提督 「はい、大丈夫です。」
軍令部総長 「その新しい作戦はね…」
ヒトキュウサンマル
駆逐艦寮
電 「あれ、響ちゃんそれどうしたのですか?」
響 「ん、ああ、これかい。」
雷 「確かに、もしかして…」
暁 「司令官と…」
響 「ケッコンしたんだ。」
三人 「えぇぇぇぇぇーーー!!」
深夜に騒ぐ第六駆逐隊であった。
次回 発令!!由利島作戦
次回、遂に反撃開始!(史実ルートで進めます)