艦これ2 光の絶望と影の希望   作:蒼海 輪斗

14 / 21
短期決戦で勝負を掴みにいく呉鎮守府!
慢心は禁物。





第十三話 定めの軛

 作戦は面白いほど順調にすすんだ。呉鎮守府に侵攻しようとした敵戦艦部隊を日本海で迎撃した戦い(第二次日本海海戦)、敵重巡二隻、敵潜母一隻を撃沈した戦い(瀬戸内海戦)、淡路島海域の奪還を狙い翔鶴、瑞鶴の二隻が活躍した戦い(淡路島海戦)、これらの戦いに全て勝利した。

 

栗林      「当初の計画よりも順調にすすんでいますね。」

 

提督      「そうだな。もう瀬戸内海の制海権は完全に奪還した。次は南西諸島海域だな。」

 

栗林      「そうですね。ちょうど那覇基地から増援を求める暗号がきましたからね。」

 

提督      「だが、油断してはいけない。」

 

栗林      「はい。分かっています。」

 

提督と栗林がそう話していたところに十六夜、響、金剛が提督室に入ってきた。

 

十六夜     「提督〜。正面海域の哨戒終わったよ。」

 

提督      「そうか。ご苦労さん。」

 

栗林      「どうでしたか?」

 

響       「敵は駆逐艦くらいしかいなかったよ。」

 

金剛      「テートクー!ワタシがでる幕もありませんデシタ〜。」

 

栗林      「確かに戦艦が駆逐艦に攻撃するのはオーバーキルすぎますしね。」

 

十六夜     「そういえばなにか新しい作戦届いた〜?」

 

提督      「そうだな。南西諸島海域の制海権の掌握くらいだな。」

 

金剛      「最近はEnemyが弱すぎてつまらないデース!」

 

十六夜     「金剛さん、そんなことないよ。仮にも私のことを轟沈させてるんだよ。」

 

 そう。十六夜の言うとおりだ。十六夜型駆逐艦は十六型駆逐艦のなかでは重武装重装甲高速の駆逐艦なのだ。その一番艦である十六夜を動作もなく一度は轟沈に追い込んでいる。もし、影の艦隊が我々に対して全力で戦っていなかったら?今恐れている事態はそれだ。

 正直に言うと、今までの勝利はぎりぎりだった。瀬戸内海戦のときは赤城たちが航行中に上空から爆撃にあったのだ。奇跡的に誰一人として被弾はしなかったが、己の慢心であったと俺は今でも思う。

 淡路島海戦では、潜母700型が潜んでいることに気が付かずに翔鶴、祥鳳が航空攻撃を受け、祥鳳大破、翔鶴中破の被害を受けた。潜母700型は二隻中一隻を取りこぼしてしまった。これも油断にほかならない。

 

金剛      「うう、確かにそうデース…。」

 

提督      「今までの勝利はぎりぎりだったからな。淡路島海戦では海戦自体に勝利はしたものの本来の目的である淡路島海域の奪還は完全にはできなかった。」

 

栗林      「そうです。ここで油断していたら”あの頃”のような事態に陥る危険性もあります。」

 

 栗林が言っている”あの頃”とは大東亜戦争当時のことだ。戦争初戦は大日本帝国は連戦連勝していたのはご存知な方もいるだろう。しかし、あの運命の五分間で有名なミッドウェー海戦での敗北から戦線は悪化を辿っていったのだ…

 

提督      「それだけはなんとしても避けないとな。」

 

栗林      「そうですね。次の作戦も綿密に練らないといけませんですね。」

 

長門      「提督。南西諸島海域の作戦はいつ決行する予定ですか?」

 

提督      「大本営の連絡では六月五日から二日間の予定らしい。」

 

栗林      「ちょうど一週間後ですね。今那覇基地は敵の占領下に置かれています。あそこには飛行場もありますし、早いうちに奪還しないといけません。」

 

長門      「なら早いうちに編成を考えないといけませんね。」

 

そうして作戦に向け、俺たちは準備を始めた。今回の作戦も空母を主力とし、那覇基地の飛行場攻撃、それに援護をしに必ず現れる影の艦隊を同時攻撃する。そういう作戦だ。

作戦名は…第二次MI作戦だ。

 

作戦開始十二時間前

 

提督室

 

提督      「なんで大本営は、”MI”なんて単語を作戦名に使用したのだろうか。」

 

誰もいないハズの提督室で俺はそう独り言を呟いていた。

 

提督      「…先の戦争の失敗を教訓にするためにこの作戦名にしたのか?」

 

響       「私もそう思うよ。」

 

提督      「そうだよな、って響。お前いつからここにいる?」

 

響       「私はいつでも司令官のそばにいるよ♪」

 

提督      「怖いわ。」

 

 なんだか最近、響が俺によくくっつくようになった。ケッコンしたこともあると思うけど、もとから俺に対して好意があったからかもな。まあ、俺も響に対しては少なからず好意は持ってるけど…

 

響       「それに、司令官とやっとふたりきりになれたしね♪」フフフ…

 

どうか終戦まで響が病みませんように。

 

 

 

 

作戦開始まで???

 

栗林      「作戦開始時刻になりました。」

 

提督      「艦隊の準備は完了したか?」

 

大淀      「はい。全艦隊の出撃準備が整いました。」

 

提督      「そうか。それでは出撃命令を出してくれ。」

 

大淀      「はい。それでは…」

 

大淀は宣言した。

 

大淀      「全艦隊、出撃してください!」

 

 出撃サイレンが響く。赤城たち一航戦、飛龍たち二航戦、翔鶴たち五航戦が南西諸島海域に向け出撃していった。

 

栗林      「提督、十六夜さんを出撃させて本当に良かったんですか?」

 

 栗林がそう聞いてきた。俺が十六夜を出撃させたからだろう。十六夜は帰還後、一度しか出撃していない。轟沈のことを考えて俺にそう聞いたんだろう。

 

提督      「栗林、十六夜なら大丈夫だ。…あいつは役に立ってくれる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城      「まもなく作戦海域です。敵影はありませんか?」

 

十六夜     「大丈夫です。ソナーにも逆探にも電探にも反応はありません。」

 

加賀      「そうね。まだ私たちの動きは読まれていないみたいね。」

 

 赤城たち、空母機動部隊は南西諸島海域に到達した。周囲の索敵を行うも敵影は発見されなかった。

 

赤城      「それでは、敵飛行場の攻撃を開始します。」

 

加賀      「分かりました。」

 

 そうして、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の六人が艦載機を発艦した。放たれた矢は瞬く目に爆装状態の九七式艦上攻撃機へと変わったいった。

 

 

 

 

 

那覇基地 飛行場

 

???     「敵機来襲!!繰り返す!敵機来襲!!稼働機は全機離陸せよ!」

 

 来襲を察知した???が戦闘機を離陸させる。影の戦闘機隊が迎撃にあがっていった。飛行場上空で会敵した両航空隊は戦闘を開始した。しかし、練度が高い空母機動部隊の零戦隊が次々と敵機を撃墜していった。

 敵の防御陣を突破した九七艦攻隊は飛行場に爆撃を開始した。次々と飛行場が爆発していく。これだけでもう発着陸は不能に思えた。

 

赤城      「三番機より入電!敵飛行場の爆撃に成功!」

 

十六夜     「やったぁ〜!」

 

加賀      「これで敵は飛行場から攻撃はできないわね。」

 

喜んだのもつかの間、

 

飛龍      「二番機より入電。第二次攻撃ノ用アリ求ム。」

 

 そうだった。まだ影の艦隊の飛行場は機能を失ってはいない。今だに戦闘機程度なら発着陸できり状態なのである。

 

加賀      「どうしますか、赤城さん。」

 

赤城      「…そうですね。敵艦隊は今だに確認されていません。先程の攻撃でもこちらの被害は数機の艦載機のみです。再度攻撃を仕掛けるのがいいでしょう。」

 

蒼龍      「そうですね。敵艦隊がいないうちに飛行場を制圧しましょう。」

 

翔鶴      「そうですね。」

 

 空母全員の意見をまとめた結果、直掩の戦闘機のみを残し他は全て爆装させ飛行場を攻撃させることになり、第二次攻撃隊が飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

その頃

 

南西諸島海域

 

 暗い海の中を進む艦艇郡が存在した。影の艦隊の潜水空母700型だ。三隻のうちの一隻が横腹に大きな砲撃痕がある。淡路島海戦で取りこぼした潜母700型だ。傷あとの潜母700型が浮上を開始した。浮上が完了した途端に、、口を開きカタパルトを出現させる。そして影の流星艦攻を発艦させていった…

 

 

 

 

 

 

赤城      「それにしてもやけに静かね。」

 

加賀      「ええ、なんだか不気味です。」

 

十六夜     「確かに敵が姿を現さないのはおかしいですね。」

 

金剛      「イエース!Enemyは一体どこにいったんでしょうカー?」

 

赤城たちは一向に姿を現さない影の艦隊に違和感を覚えていた。

 

 

 

 

その時だった。

 

十六夜     「!?対空電探に感あり!敵機です!」

 

瑞鶴      「嘘っ!?なんで突然!?」

 

金剛      「ワタシも気づきませんデシター!!」

 

すると、いくつもの機影が見えてきた。影の艦隊の雷撃隊である。

 

十六夜     「敵!雷撃機です!!」

 

赤城      「っ!零戦隊!迎撃急いで!」

 

 零戦隊が影の艦隊の影の流星艦攻へと襲いかかった。次々と影の流星は零戦により落とされていった。

 

加賀      「左舷にも敵機が!!」

 

しかし、左舷にも零戦隊はいる。こちらも魚雷の射程に入るまもなく撃墜されていった。

 

十六夜     「すごい…」

 

金剛      「これなら大丈夫そうデース!」

 

しかし、赤城は何かを感じていた。

 

赤城      「(なんでしょう、この胸騒ぎは。前もこんなことがあったような…)」

 

その時、

 

十六夜     「敵機直上!!急降下!!」

 

加賀      「嘘っ!?」

 

見上げたその先には、影の彗星艦爆が迫ってきていたのだ。

 

赤城      「(…また、あのときのようになってしまった…)」

 

加賀      「これが定めの軛…」

 

影の彗星艦爆から爆弾が切り離されすのが分かった。

 

轟音があたりに轟いた。爆弾が炸裂したのだ。赤城、加賀、蒼龍に爆弾が命中した。

 

三人      「きゃあああああああああああああああああああああああ!!」

 

赤城、加賀、蒼龍が大破した。かろうじてまだ轟沈はしていない。まるで史実のミッドウェー海戦のように…

 

赤城      「くっ…」

 

加賀      「こんなことになって…しまうとはね…」

 

十六夜     「赤城さん!加賀さん!」

 

加賀      「大丈夫よ…十六夜。」

 

飛龍      「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

瑞鶴      「私と翔鶴姉は大丈夫だけど…」

 

 さらに影の艦隊は追い打ちをかける。25糎三連装砲を五基十五門搭載した影の艦隊の重巡洋艦、”重巡二十一型”が四隻、侵攻してきたのだ。

 

重巡二十一型  「このまま、海に、沈むがいい…。」

 

重巡二十一型が砲撃を開始する。

 

赤城      「いやあああああああああああああああああああ!!」

 

飛龍      「くっ、これ以上はさせないっ!」

 

瑞鶴      「稼働機、全機発艦!」

 

 被弾を免れた飛龍、翔鶴、瑞鶴が攻撃隊を発艦させた。攻撃隊が次々と重巡二十一型に攻撃を開始する。

 砲撃に夢中になっていた重巡二十一型は次々と攻撃隊の攻撃を受けていった。

 

重巡二十一型  「ぐうぅぅ!?ああああああああああああああああ!!」

 

重巡二十一型が叫び声をあげる。

 

飛龍      「こちら第一機動部隊!我、敵艦隊ト交戦ス!空母三隻大破!轟沈ノ危険性アリ。至急応援ヲ求ム!」

 

 飛龍が鎮守府に向けて打電を打つ。確かにこのまま戦闘継続は不可能に近い。下手をすれば轟沈の危険性もある。

 

十六夜     「赤城さん!加賀さん!蒼龍さん!皆さんはこの海域から離脱してください!ここは私たちが引き受けます!」

 

なんと十六夜がこの場を引き受けようとしているのだ。

 

加賀      「そんな!相手は潜母が三隻よ!駆逐艦のあなたでは危険だわ!」

 

十六夜     「大丈夫です。私は”ただの”駆逐艦じゃあありませんから!」

 

 確かに十六夜は”ただの”駆逐艦ではない。艦隊防空型大型駆逐艦だ。すなわち対空、対艦には強い。

 

金剛      「十六夜の言う通りデース!ここはワタシたちに任せてくだサイ!」

 

瑞鶴      「五航戦の私たちにまかせなさい!一航戦より優秀だって思い知らせてあげる!」

 

赤城      「みなさん…」

 

飛龍      「さあ、早く!」

 

十六夜たちのことを信じてくれたのか、加賀が赤城に声をかけた。

 

加賀      「いきましょう赤城さん。」

 

赤城      「加賀さん…」

 

加賀      「大丈夫よ。十六夜なら。」

 

赤城      「…わかりました。いきましょう。」

 

蒼龍      「皆さん…気をつけて!」

 

十六夜     「分かってます!」

 

金剛      「ワタシたちにまかせてくだサーイ!」

 

こうして赤城たち第一機動部隊は、複数の駆逐艦に援護されながら撤退を開始した。

 

栗林      『こちら栗林です。皆さん状況はどうですか?』

 

無線で栗林から連絡が入った。

 

赤城      「栗林補佐官!私たち三隻が大破で…うっ」

 

栗林      『大丈夫ですか!?』

 

赤城      「はい…今撤退中です!」

 

栗林      『ならこのまま佐世保鎮守府まで撤退してください。』

 

赤城      「佐世保鎮守府、ですか?」

 

栗林      『そうです!今はとにかく急いでください!』

 

赤城      「…わかりました。皆さん、いきましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

那覇基地

 

???     『影浦提督、那覇基地の制圧完了しました。』

 

影浦提督    「そうか。よくやった。」

 

???     『しかし、飛行場は壊滅的被害を受けており修復までは時間がかかります。』

 

影浦提督    「分かった。もう飛行場は使い物にならない。飛行場の修復は放棄。引き続き那覇基地に新飛行場建設を続けろ。」

 

???     『了解しました。』

 

 

 

 

 

 

十六夜たちはようやく影の艦隊の撃破に成功し、呉鎮守府に向けて帰投を開始していた。

 

十六夜     「潜母が三隻でよかったです…」

 

金剛      「三式弾が切れたときはかなり焦ったデース。」

 

翔鶴      「私たちも稼働機がなくなってどうしようと思いました。」

 

飛龍      「これは十六夜ちゃんもおかげですね!」

 

十六夜     「そんなことありませんよ〜。」

 

 

 

 

 

 

呉鎮守府   

 

提督      「三隻大破に作戦失敗…」

 

栗林      「嫌な予感がしてきましたね…」

 

提督      「いや、まだ大丈夫だ。まだ撤回できる機会はある。」

 

栗林      「そうですね。まずは赤城さんたちが帰投するのをまちましょう。」

 

提督      「そうだな。」

 

 

 このとき、俺たちは気づいていなかった。このまま戦局は少しずつ”悪化”の道を辿っていくことに…

 

 

 

 

次回   提督の決断




まさかのミッドウェー海戦と同じ結果に…。
次回は海軍省編です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。