第二次MI作戦終了の翌日
ジリリリリリ…! ガチャ…
呉鎮守府に一本の電話がかかってきた。栗林が受話器をとる。
栗林 「はい、こちら呉鎮守府在任提督補佐官の栗林学です。…あっ、元帥。どうしたんでしょうか。…はい。…はい。分かりました。お伝えしておきます。それでは失礼します。」
受話器を置くと、栗林は提督室に向かった。
トントントン…
栗林 「提督、栗林です。」
提督 「そうか。入れ。」
ガチャ…
提督 「どうしたんだ?」
栗林 「先程海軍省から提督に電話がありました。」
提督 「そうか。それで内容はなんだ。」
栗林 「…今日中に海軍省に出頭しろとの電話です。」
その時俺は耳を疑った。海軍省にいくことは決して珍しいことではない。しかし、今栗林は”出頭”と言っていた。
提督 「作戦のことだろうか…。」
栗林 「十中八九そうでしょう。」
提督 「まあ、しょうがない。俺の責任だ。赤城たちが轟沈しなかっただけで良かったんだ。…海軍省からしたら作戦の失敗は痛手になるからな。」
そう言いながら俺は出かける準備を始めた。さて、元帥や軍令部総長になんと言われるのか…。
準備が終わった。出かける前に秘書艦には話しておくか。すると奥から長門が歩いてきた。
長門 「提督、どうしたんですか。そんなに荷物を持って。」
提督 「ああ、実は海軍省から呼び出しがかかってな。」
長門 「…作戦のことですか?」
提督 「きっとそうだろう。秘書艦全員には言っておこうと思っていたんだ。」
長門 「そうなんですか…」
提督 「長門が負い目を感じる必要はない。これは提督である俺の責任だ。心配するな。すぐに帰ってくる。」
長門 「はい…。」
提督 「あと、このことは秘書艦全員に伝えておいてくれ。」
長門 「分かりました。気をつけてください。」
提督 「ああ、分かってる。」
そうして俺は呉鎮守府の正門を出た。
そのまま近くの飛行場から連山に乗り込み、海軍省に向かった。
数時間後
東京 千代田区 霞が関
霞が関に着いた。ここは戦中から海軍省として使用されていた建物がある。俺たち提督は”赤レンガ”と呼んでいる。
海軍省の正門の前に立つ。…入るのは少し抵抗があるな。
すると、
??? 「おっ、輪斗じゃん。久しぶり〜。」
いきなり声をかけられた。
提督 「あっ、加藤。久しぶりだな。」
こいつは俺の友人提督の加藤隼だ。舞鶴鎮守府の提督をしている。練習生時代にはよく食事に行ったりした中だ。
加藤 「どうしたんだよ、海軍省に来るなんてな。」
提督 「元帥に呼ばれたんだよ。多分作戦のことだ。」
加藤 「ああ、話は聞いてたぞ。大変だったらしいな。」
提督 「まぁな。いろいろ大変だよ。」
加藤 「まあ立ち話もなんだし、中に入ろうぜ。」
そう言って加藤と一緒に海軍省に入っていく。すれ違う提督や関係者たちに敬礼をしながら元帥の部屋にむかっていく。
元帥の部屋の前に着いた。ドアをノックすると「はいれ」と声がした。
提督 「失礼します。呉鎮守府在任提督、蒼海輪斗、ただいま参りました。」
加藤 「舞鶴鎮守府在任提督、加藤隼、ただいま参りました。」
元帥 「きたか。まあ、座ってくれ。」
元帥がそう言い、椅子を指さした。俺たちは椅子に腰掛けた。
元帥 「今回の作戦についてだが、まずご苦労だった。」
提督 「はい。…作戦があのような結果に終わってしまい申し訳ありませんでした。」
俺はまず作戦の失敗を元帥に謝罪した。
元帥 「まあまあ、顔を上げてくれ。今回のことはしょうがない。今君たちに聞きたいことは違うことだ。」
加藤 「と言うと…?」
元帥 「蒼海君。」
提督 「はい。」
元帥 「君にお願いがあるんだがいいかな?」
提督 「?はい。なんでしょうか。」
俺がそう答えると、元帥は驚きの一言を言った。
元帥 「那覇基地の開放には失敗した訳だが、本土の制海権はもう奪取したも当然の状況だ。だから影の艦隊の航空戦力を壊滅させるために、”第二次い号作戦”を行ってほしい。」
提督 「えっ?」
思わず耳を疑った。俺は作戦を失敗している。なのになぜ作戦を失敗させた俺にもう一度作戦をお願いすることは信じられなかった。
提督 「元帥、なんで俺なんですか?」
元帥 「ん?なんでってそれはもちろん…」
元帥は少し黙ったあとに、続きを発した。
元帥 「君を信用しているからだよ。」
提督 「…いいんですか。作戦を失敗させた提督に大規模作戦を任せて…」
元帥 「なーに一回の失敗で落ち込まないでくれ。誰も轟沈させなかったらしいじゃないか。他の提督だったら無理だよ。失敗は次にいかしていけばいい。」
そういって元帥は最後に付け加えた。
元帥 「頼んだよ、”軍令部総長の息子さん”。」
呉鎮守府
金剛 「うう〜。心配デース!テートクは大丈夫なんですカー!」
響 「司令官はまだ帰らないのかい…」ショボン…
栗林 「落ち着いてください、二人とも。提督は大丈夫です。」
十六夜 「そうだよ。提督だったら大丈夫だよ。」
長門 「だが、やはり心配だな。辞めさせれていないか心配だな。」
栗林 「それは流石にありませんn」
金剛 「そんなの絶対にいやデーーース!!(泣)」←聞いてない
栗林 「とにかく落ち着きましょう。」
金剛をなだめる栗林であった。
海軍省
省内食堂
加藤 「それで作戦は引き受けるのか?」
提督 「当たり前だろう。元帥があそこまでお願いしてるんだ。今度は失敗しないようにする。」
??? 「そういうところ、変わってないよな〜。」
提督 「おい西沢、さりげなく会話に参加するな。」
いきなり登場したこいつは加藤と同じ俺の友人の西沢弘樹だ。こいつは佐世保鎮守府の提督をしている。
西沢 「お前、やらかしちまったらしいなぁ〜。」
提督 「大きなお世話だ。」
加藤 「おい西沢、言い方がなってないぞ。」
提督 「いい加藤。そんなに気にしてない。」
西沢 「あと話が変わるけど、また大規模作戦が始まるらしいな。」
加藤 「そうだよ。その作戦を輪斗が任されたんだよ。」
西沢 「へぇ〜、そうなのか。じゃあ頑張らないとな。」
提督 「お前は佐世保鎮守府あけすぎだよ。」
西沢 「副司令に任せてるから大丈夫♪」
加藤 「相変わらず面倒くさがりだな。」
提督 「加藤、お前も作戦任されたんじゃないのか?」
加藤 「そうなんだよ。影の艦隊の潜水艦隊の殲滅だよ。」
西沢 「そういえば輪斗は呉鎮に帰らなくてもいいのか?」
提督 「ああ、今日は泊まっていくよ。栗林に話はしてる。」
帰るのは明日になるな。…あいつらは大丈夫かな。
呉鎮守府
大淀 「空母蒼永より入電!『我、敵潜水艦隊ヲ発見ス。』です!」
栗林 「提督が不在のときに戦闘ですか。今でれる駆逐艦隊はありますか?」
十六夜 「私はでれますけど。」
栗林 「じゃあ十六夜さん。姉妹艦の皆さんと出撃してください。」
十六夜 「分かりました!」
鎮守府正面海域沖 50キロ地点
海上を航行する四隻の艦隊がいる。影の艦隊の潜水艦隊だ。潜水空母700型で構成された艦隊は呉鎮守府に向けて侵攻中だった。
潜母700型 「全艦隊、艦載機発艦用意…」
旗艦の潜母700型が残りの三隻に命令する。潜母700型が口を開きカタパルトを出現させる。そして口内から”影の晴嵐”が姿を現した。
潜母700型 「発艦開始!」
次々と潜母700型から影の晴嵐が発艦していく。
晴嵐は伊400型潜水艦に搭載されている特殊攻撃機であり、史実では活躍の場はなかった。
十六夜 「どこにいるんだろう…」
立春 「四葉、なにかみえる?」
四葉 「いいや、まだなにも見えないよ。」
星空 「もお〜、隠れてるとわからないじゃん!」
雫 「…敵は潜水艦だから、見つけにくいよ…。」
向日葵 「んっ?あれって潜望鏡?」
そう言い向日葵は指さした。遠方に潜望鏡がみえる。
十六夜 「あ〜!見つけた〜!」
立春 「対潜戦闘用意!」
四葉 「分かってるよ。」
星空 「よーし、いっちゃお〜!」
十六夜たちが対潜戦闘に移る。爆雷の投下準備に入る。
十六夜 「爆雷投下!」
十六夜が新型の”五式爆雷”を投下した。
五式爆雷は(作者の創造した架空の兵器)影の艦隊の駆逐艦に搭載された新型の対潜爆雷だ。アメリカの対潜爆雷ヘッジホッグを真似て開発された。
ババーン! ババーン!
次々と爆雷が炸裂する。
潜母700型 「がああああああああああああああああああああああああ!?」
どうやら潜航していた潜母700型に爆雷が命中したようだ。音波が消滅した。
立春 「音波消滅。敵潜水艦制圧確認!」
十六夜 「やったあ〜!」
星空 「わ〜い!」
潜水艦の制圧に喜ぶ十六夜たち。しかし、影の晴嵐が鎮守府に向けて飛行していくのを誰も気づくことはなかった。
次回 正体
次回、影の艦隊の全貌が明かされる。