艦これ2 光の絶望と影の希望   作:蒼海 輪斗

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影の艦隊とは一体なんなのか…


第十五話 正体

呉鎮守府

 

提督      「空襲にあった?」

 

帰ってきた俺に栗林はそう言った。

 

栗林      「はい。幸いこちらに被害はありませんでした。」

 

長門      「空襲を行った機体は晴嵐だったようです。」

 

提督      「晴嵐か…」

 

栗林      「提督、なにか違和感を感じませんか?」

 

唐突に栗林がそう聞いてきた。

 

提督      「違和感?…そうだな。影の艦隊が晴嵐や流星、彗星を使っていたことか?」

 

栗林      「そうです。その機体は史実では”活躍することができなかった機体”ですよね?」

 

提督      「あっ…」

 

 言われてみればそうだ。彗星はエンジントラブルで、流星は生産の遅れ、晴嵐は作戦の中止でその能力を発揮できていないことを練習生時代に教わった。

 

栗林      「加えて影の艦隊は活躍の場がなく、闇に葬られた艦隊です。」

 

長門      「すると共通点が生まれるな…。史実で活躍できなかったこと、か。」

 

栗林はどうやらなにかに気がついたようだ。

 

栗林      「提督が留守の間に考えたんです。影の艦隊は艦娘の皆さんと似ているところがあると。」

 

たんたんと栗林は語る。

 

提督      「たとえば?」

 

栗林      「艦娘の皆さんと似た艤装を装備していることです。」

 

十六夜     「あっ、それはわかる!」

 

 確かに偵察機の情報や写真撮影で影の艦隊の駆逐艦を見ることがよくある。前線で戦ってくれている艦娘だったらなおさら敵の姿がわかるだろう。

 

十六夜     「駆逐艦は私と似てる魚雷発射管を装備してたよ。」

 

長門      「言われてみれば私と似ている艤装を装着している影の艦隊をみたことがある。」

 

栗林      「皆さん心当たりがあるみたいですね。ここからは僕の考察ですが、もしかすると影の艦隊の正体は…」

 

提督      「影の艦隊の正体?」

 

栗林      「はい。絶対とは言いませんがもしかするとです。」

 

十六夜     「それで、正体はなんなんですか?」

 

栗林はゆっくりと、しかし、はっきりと口を開いた。

 

栗林      「”艦娘となりきれなかった軍艦の魂”です。」

 

提督      「艦娘となりきれなかった…」

 

長門      「軍艦の魂…?」

 

栗林      「はい。これは僕の勝手な予想ですが、影の艦隊は史実では本土決戦のため戦線に投入されなかった。一方、艦娘となった艦艇は戦闘で活躍した。」

 

提督      「ということは」

 

俺がそう言ったときに、

 

バタンッ!

 

大淀      「提督!海上警備に出ていた第二艦隊から緊急の入電です!『我、敵戦艦三隻ト交戦ス』です!」

 

提督      「なにっ!」

 

 

 

 

鎮守府正面海域

 

金剛      「バァーーーーニング、ラアァァブ!!」

 

金剛の三十六糎連装砲が火を吹く。敵戦艦が黒煙に包まれる。

黒煙が晴れた先には、三隻の影の艦隊の戦艦が姿を現す。

 

比叡      「ひえええええ!全然きいてない!!」

 

比叡の言う通り、影の艦隊の戦艦”百十型”は傷一つついていない。

 

金剛      「なら効くまで撃ち込みマスヨー!比叡、榛名、霧島、ついてきてくだサイヨー!」

 

榛名      「はい!榛名は大丈夫です!」

 

霧島      「もちろんです、お姉さま!」

 

 次は戦艦百十型が砲撃を開始した。五十一糎砲弾が降り注ぐ。戦艦とはいえこの砲弾を受けたら中破は確実だ。金剛たちは高速戦艦の速度をいかし、砲弾を回避していく。

 

戦艦百十型1  「くっ、ちょこまかと…!」

 

戦艦百十型2  「まあ、落ち着きなさい。私たちの装甲にやつらの砲撃は通らないわ。」

 

再び戦艦百十型が砲撃を行う。

 

金剛      「うう、敵もしつこいデスネー。」

 

霧島      「今、鎮守府から支援を送ると入電がきました!」

 

比叡      「じゃああと少し耐えれば…」

 

戦艦百十型   「無駄よ。」

 

戦艦百十型が冷え切った瞳を向ける。その時、

 

ビューーーーン!!

 

比叡      「!?なんですか!!」

 

金剛たちが上空を見上げる。そこにいたのは、影の”橘花”だった…

 

金剛      「あれは橘花デスカ!?」

 

霧島      「対空電探に反応はなかったはず!」

 

 影の橘花は金剛たちの上空を旋回している。その腹には250キロ爆弾が二発装備されていた。

 

戦艦百十型2  「フフフ、なぜだと思う?」

 

戦艦百十型がそう言った。

 

戦艦百十型1  「私たちの”旗艦”が来たからよ。」

 

榛名      「旗艦…?」

 

その時、水平線のむこうから新たな艦影が現れた。

 

 頭に菊紋の描かれた鉢巻、41糎三連装砲を装備し、腰に日本刀をさした戦艦が現れた。風貌だけみれば、まるで若武者のようだった。

 

戦艦七十型だ。

 

戦艦七十型   「またせたな。」(ス◯ーク風)

 

戦艦百十型2  「随分遅かったわね。」

 

戦艦七十型   「しょうがないだろう。私が作戦海域に出た途端に、偵察機に発見させたんだからな。」

 

金剛たちをよそに、会話を始める。

 

比叡      「お姉さま、これ完全に忘れられてますよね?」

 

金剛      「そうですネ…。ワタシもそんな気がしてきまシタ。」

 

榛名      「でも、今なら敵は油断しています。」

 

霧島      「そうね。今なら攻撃できます。」

 

金剛たちはゆっくりと照準を合わせた。

 

霧島      「全門斉射!!」

 

四隻の戦艦から一斉に36糎徹甲弾が放たれた。影の戦艦は砲弾に包まれた。

 

金剛      「やりましたカー!!」

 

すると上空から風切り音が聞こえてきた。

 

霧島      「!?しまった!!」

 

 そうだった。影の橘花が上空に待機していたのを忘れていたのだった。橘花から切り離させた爆弾は正確に金剛たちの頭上に降り注いだ。

 

バァーーーン!!

 

榛名      「きゃああああああああああああああああああああ!!」

 

比叡      「ひえええええええええええええええええええええ!!」

 

榛名と比叡が声を上げる。250キロ爆弾が命中したのだ。

 

金剛      「比叡!榛名!大丈夫デスカー!!?」

 

比叡      「なっ、なんとか…」中破

 

榛名      「はい、榛名は大丈夫です!」大破

 

金剛      「(榛名が)全然大丈夫じゃないデーーース!!」

 

戦艦七十型   「フフフ、まんまと引っかかったみたいだな。」

 

なんと影の艦隊の罠だったのだ。

 

霧島      「くっ、私としたことが…!」

 

霧島は自身の失敗を嫌悪している。

 

戦艦七十型   「フッ、どうやらここまでのようだな。戦艦とはいえ所詮この程度か…。」

 

戦艦百十型1  「このまま海に…」

 

戦艦百十型2  「沈みなさい。」

 

戦艦百十型3  「そして永遠に…」←出すの忘れてた。

 

四隻の戦艦が金剛達に向け、砲を向ける。

 

戦艦七十型   「沈むがいい…」

 

四隻の戦艦が砲弾を撃ち出そうとした。

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜     「はあああああああああああああああああああああああ!!」

 

バァーーーーン!!

 

放たれた13糎砲弾が戦艦七十型の左目に命中する。

 

戦艦七十型   「ぐぅああああああああああああああああああ!!?」

 

 

 

金剛      「!?」

 

金剛が目を向けたその先には、第七艦隊の姿があった。

 

長門      「間に合ったみたいだな。」

 

十六夜     「ごめん!二人しか出撃できなかったんです〜!!」

 

霧島      「十六夜さん…」

 

金剛      「十六夜!助かりましタ!Thank youデース!!」

 

 

 

戦艦七十型   「ううう…、おのれ…」

 

戦艦百十型3  「よくも!!」

 

戦艦百十型が怒りの砲撃を開始する。しかし

 

長門      「フッ、影の戦艦か…。面白い。いくぞ!全門斉射、ってー!!」

 

長門の41糎連装砲が火を吹く。瞬く間に戦艦百十型は被弾した。

 

戦艦百十型3  「くっ、この程度の砲弾、効くはずが…。」

 

長門      「ビックセブンの力、侮るな。」

 

やはり41糎砲弾の威力は伊達ではないようだ。

 

戦艦七十型   「…撤退だ。」

 

戦艦百十型1  「!!?」

 

戦艦七十型   「これ以上の、侵攻は不可能だ。下手をすれば、”爆沈”する…。」

 

戦艦百十型2  「…分かったわ。撤退よ。」

 

戦艦七十型の指示により、影の艦隊は撤退を開始した。

 

十六夜     「撤退している?」

 

金剛      「はぁ、よ、よかったデース…」

 

長門      「奴らの腕、かなりのものだったな。」

 

なんとか影の艦隊を撃退することに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正面海域 とある島

 

戦艦七十型   「申し訳ありませんでした。」

 

影浦提督    「…”爆沈”しなかっただけでまだいい。だが…」

 

ひとつ間をおいて、影浦は言い放った。

 

影浦提督    「”Elite”の名に恥じぬように戦え。」

 

戦艦七十型   「…はい。」

 

 今、戦艦七十型は左目に眼帯をつけている。十六夜の砲撃により左目に損傷を負ったからだ。

 

 影浦の部屋からでたあと、戦艦七十型は脳裏にある艦娘の姿が浮かんだ。自身の左目を撃ち抜いた駆逐艦娘だ。

 

戦艦七十型   「貴様の顔、覚えたぞ。次会ったときは貴様を海の藻屑としてやる!」

 

 

 

 

 

 

呉鎮守府

 

十六夜     「艦娘だった!?」

 

提督室では秘書艦たちがある”真実”を伝えられていた。

 

栗林      「はい。影の艦隊はもとは艦娘だったのです。まあ、全員がそうではありませんけど。」

 

長門      「確かに先程戦った戦艦も艦娘のような姿をしていた。」

 

金剛      「話し方も艦娘みたいデシター!」

 

提督      「そのとおりだ。影の艦隊は艦娘になりそこねた、”負の艦娘”と言ったところだな。」

 

十六夜     「私たちはそんな相手と戦ってるんですか。」

 

栗林      「そうですね。このことは皆さんだけの秘密にしていてください。時をみて全員に話しますので。」

 

響       「分かったよ。」

 

十六夜     「…………」

 

十六夜は妙な胸騒ぎを覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

次回   艦隊再編成




遂に明かされた影の艦隊の真実。次回は再編成です。
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