艦これ2 光の絶望と影の希望   作:蒼海 輪斗

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 庄内たちの救援に駆けつけた十六夜たち。そこへ、十六夜へ恨みを持つ影の艦隊の戦艦七十型が現れる。艦隊防空型大型駆逐艦対空母殲滅型高速戦艦。光と影。勝つのはどちらか…


第二十話 絶望と希望

南西諸島海域のある海域

 

 十六夜と戦艦七十型が向かい合い、睨み合っていた。

 

大永      「十六夜、この戦艦を知ってるの?」

 

出羽      「十六夜さんが左目を撃ち抜いた戦艦です。」

 

戦艦七十型   「その通りだ。私はそいつに左目を奪われた。だが、お前が私から奪ったのは左目だけではない。」

 

 戦艦七十型が十六夜を指さしながら話す。

 

戦艦七十型   「私は提督からの信頼もあった。だが、私はお前に治らない傷をつけられた結果、提督の私への信頼は完全に失落した!」

 

十六夜     「…………」

 

戦艦七十型   「戦艦である私が駆逐艦であるお前に”負けた”。提督はそれがよく思わなかったのだろう。」

 

 戦艦七十型の話はまだ続く。

 

戦艦七十型   「だから死にものぐるいでお前を探し回った。この屈辱を晴らすために。そして今日この海域でお前をみつけた。あの潜母たちは本当にいい仕事をしてくれた。初めて潜母に感謝しないとな。なぜなら…」

 

十六夜     「…………」

 

戦艦七十型   「お前を沈めるチャンスをくれたんだからな!」

 

 そう言って戦艦七十型は突然砲撃を開始した。戦艦七十型の41糎三連装砲が火を吹く。しかし、十六夜は突然の攻撃にも関わらず、軽々と砲弾を避けた。

 

十六夜     「何言ってるかよくわからないけど、私に恨みがあるのは分かった。じゃあ私と一対一で戦えばいいんじゃない。」

 

立春      「ちょっ、お姉さま!?何言ってるんですか!」

 

十六夜     「そのかわりお互いの艦隊には手を出さないのはどう?」

 

出羽      「十六夜さん!相手は戦艦ですよ!いくら十六夜さんが重巡を容易く撃破できる力を持っていても…」

 

馬見ヶ崎    「それに私たちのためにここまでしなくても…」

 

十六夜     「大丈夫。私、約束したから。」

 

出羽      「約束?」

 

十六夜     「うん。実は出撃する前に…」

 

回想

 

提督      「十六夜。」

 

十六夜     「ん?提督、どうしたの?」

 

 その時の提督はいつもと違って真剣な顔をしていた。

 

提督      「必ず帰ってこいよ。」

 

十六夜     「何言ってるの〜。当たり前じゃん。」

 

提督      「お前は油断しやすいからな。」

 

十六夜     「えっ!なにそれ〜!!」

 

提督      「まあ、いい。とにかくだ。…生きて帰ってこい。」

 

回想終了

 

十六夜     「だから私は絶対に沈めない。絶対にあの戦艦を撃沈してみせるから。」

 

出羽      「十六夜さん……」

 

立春      「お姉さま……」

 

戦艦七十型   「話は終わったか?私は別に構わない。お前を沈められればそれでいい。」

 

十六夜     「じゃあはじめましょうか。」

 

 十六夜の声を合図に、駆逐艦と戦艦による戦闘が開始された。

 

 十六夜が魚雷を放つ。戦艦七十型が高速性能を駆使して回避していく。しかし、十六夜は魚雷に注意を引き13糎砲弾を放つ。スキを突かれた戦艦七十型は13糎砲弾に被弾した。巡洋艦並の火力を誇る砲だ。瞬く間に、戦艦七十型を小破に追い込んだ。

 

 しかし、戦艦七十型もやられてばかりではない。すぐさま試製六連装魚雷発射管から十二本の魚雷を扇状に放った。扇状に放たれた魚雷は避けづらい。十六夜が避けるのに手間取っていると、戦艦七十型の放った41糎砲弾が目の前に着弾する。十六夜は瞬く間に水柱の中に消えた。

 

戦艦七十型   「フッ、まあ所詮駆逐艦か。」

 

 仕留めたと思ったのか戦艦七十型は攻撃をやめた。しかしその途端、

 

バァーン!!

 

 胸元に13糎砲弾を被弾した。戦艦とはいえ、非装甲を狙われたらひとたまりもない。

 

戦艦七十型   「ぐっ…!!」

 

 しかし、さすがは戦艦。今だに戦闘は可能だ。41糎三連装砲を全門斉射した。全門斉射となると広範囲に砲弾が飛来する。十六夜の頭上に砲弾の雨が降り注ぐ。

 

十六夜     「くっ…」

 

バババーン!!  バババーン!!

 

 直撃こそしなかったものの、爆発により飛ばされた破片が十六夜の体を傷つける。十六夜も13糎連装砲で反撃する。放たれた砲弾がなんと戦艦七十型の砲塔の弾薬庫付近に直撃した。誘爆が起こり、戦艦七十型は炎に包まれた。

 

戦艦七十型   「ぐうううううううううう!!あああああああああああああああああああああ!!」

 

 遂に戦艦七十型は大破した。おまけに機関も停止している。もはや戦闘続行は不可能に見えた。

 

十六夜     「やった…」

 

さすがの十六夜も肩で息をしている。また、小破ではあるが頭部にかなりの損傷を負った。

 

…十六夜の沈没原因。艦首と艦尾狙いの雷撃。十六夜型駆逐艦は艦首と艦尾の装甲が薄く、この箇所への雷撃により海没処分になった歴史がある。

 

 よって頭部への被弾はかなりの損傷である。

 

十六夜     「うっ…」フラッ…

 

 危うく倒れそうになったところを立春に支えられた。

 

立春      「お姉さま!大丈夫ですか!?」

 

十六夜     「う、うん…。全然大丈夫。」

 

 その会話を沈みかけている戦艦七十型が見ていた。

 

戦艦七十型   「(沈みかけている…。私が負けた?あの駆逐艦に?駄目だ!まだ沈めない!まだ私は提督の役に立ててない!!私はまだ…!)」

 

               「なぜ影浦提督の役に立ちたいの?」

 

 いつの日だろうか。そんなことを言われたことがある。その時、私は答えられなかった。自分でもなんでここまで提督の役に立つことに対して執着しているのか分からなかった。

 

 私は影の艦隊だ。提督に指示されたことを私は長年、司令艦として遂行してきた。いつしか提督の役に立つことが私の生きがいになっていたのかもしれない。

 

 目の前の先程まで戦っていた駆逐艦娘に目を移す。…あの駆逐艦も、人の役に立つことが生きがいか夢なのだろうか。そうでなければ戦艦である私に駆逐艦が挑んでくる訳がない。

 

 すると、今まで撃ち合っていた駆逐艦娘がもう一人も駆逐艦娘に支えられながら近づいてきた。止めを刺すつもりだろうか。もう助からない。このままじわじわ沈むよりはいいかもしれない。駆逐艦娘が目の前で立ち止まり、口を開いた。

 

十六夜     「さすが戦艦だね。かなり強かったよ。」

 

 なんと私のことを褒めたのだ。さっきまで沈めてやりたいくらい憎みの感情を持っていた私は、今ではそんな気持ちは消えていた。そしてなぜだかうれしい気持ちが湧いてきた。その時、視界に誰かが写った。死ぬ前にみる走馬灯と言うやつか…

 

???     「???、お前はよく頑張った。もういい。一緒に行こう。」

 

 誰かが私にそう言ってる。なぜか分からないが懐かしい感じがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い出した。あれは私が軍艦時代だった頃の私の艦長だ。そしてなぜ私は提督の役に立ちたいのかも思い出した。どうやら私は艦長と提督を重ねていたようだ。私はあの戦争の末期に建造された航空戦艦だった。日本を守るために戦いたかった。だが、影の艦隊になってから全く逆のことをしていたとたった今気づいた。馬鹿げてるな。自分でも知らないうちに守る側から狩る側になっていたとはな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もし叶うのなら、私もあの駆逐艦と同じように艦娘として生まれたかった。そしたらもう一度やり直せるだろうか。だんだん意識が遠のいていく。

 

 その時、戦艦七十型が光に包まれた。

 

全員      「!?」

 

 そのまま、南西諸島海域の一部が光に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二次い号作戦は…

 

 成功した。

 

 当初の十五日予定が十三日に短縮され、作戦は終了された。戦果は潜母700型全隻撃沈、よって敵航空戦力は壊滅。重巡二十一型十二隻撃沈、戦艦百十型四隻撃沈、戦艦七十型一隻撃沈、駆逐艦多数撃沈。海域は南西諸島海域の南東部を除く全ての海域を奪還した。

 

 被害の方は、戦艦金剛、比叡、空母翔鶴がそれぞれ大破、戦艦庄内、酒田、湯殿、空母飛龍、軽空母飛鷹、隼鷹、軽巡五十鈴が中破、駆逐艦十六夜が小破。航空機損失が61機だった。

 

 

 

 

 

 

 

 今、ドックや工廠には修理を行っている艦娘たちで溢れかえっている。その中に、提督は入ってきた。

 

提督      「北村整備兵長!十六夜はっ!?」

 

北村      「蒼海中将!十六夜さんなら小破です。戦闘や生活に支障はないので安心してください。」

 

提督      「そうですか…。よかっt」

 

十六夜     「提督〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 提督が言い終わらないうちに、復活した十六夜が突撃してきた。

 

提督      「うおっ!?」

 

十六夜     「提督、約束どおり帰ってきたよ!」

 

提督      「ああ。ありがとな。」

 

 十六夜は戦闘のことを提督に話した。提督は驚いた様子で話を聞いていた。

 

提督      「そんなことがあったのか…。大変だったろうな。」

 

十六夜     「まあ、”少し”は大変だったかな〜。」

 

 提督と十六夜はそう言いながら笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。提督は戦果報告を軍令部総長と元帥にするために、霞が関の海軍省に向かった。

 

霞が関 海軍省

 

軍令部総長   「いやーーーーーーーーーーー、よくやってくれたねーー。」

 

提督      「以上が戦果報告になります。」

 

軍令部総長   「輪斗君だいぶ頑張ってくれたね。君じゃなきゃできなかったよ。」

 

提督      「そんなことありませんよ。私はただ安全地点から指示していただけです。この勝利があるのは、艦娘たちのおかげです。」

 

軍令部総長   「あっ、確かにそれもそうだね。だけど、君のおかげでもあるよ。おかげで南西諸島の人たちは影の艦隊に脅かされずに済むんだ。南東部のことはどうにかしておくから。あとこれだけは言わせて。本当にありがとう。」

 

提督      「あっ、はい。」

 

軍令部総長   「あと、次の作戦のことなんだけど…」

 

提督      「はい。(また作戦か…)」

 

軍令部総長   「その前に!」

 

提督      「?」

 

軍令部総長   「昇格の話があるんだけど、いい?」

 

提督      「あ、はい。どうぞ。」

 

軍令部総長   「輪斗くん、今日から君、”大将”ね♪」

 

提督      「はい!?」

 

軍令部総長   「まあ、元帥と前から話してたんだけど、そろそろ階級あげないとなって思ってさ。頑張ってくれてるし。」

 

提督      「は、はあ…(どういう理由!?)」

 

軍令部総長   「じゃあ今日から大将に昇格!」

 

 かなり自由人な軍令部総長であった。

 

 

 

 

 

呉鎮守府 正面玄関

 

提督      「(いろいろあったな。ここまで。だけど、まだ終わりじゃない。これからが始まりだ。)」

 

 そうだ。まだ影の艦隊に日本のみならず、全世界がその脅威にさらされている。俺が提督でいる間に必ずこの闘いに終止符を打つ。

 そう意気込んで正面玄関を通った。すると、

 

響       「司令官♪随分遅かったね。」

 

響が出迎えてくれた。…角から出てきたから、かなりびっくりしたけど。

 

提督      「うおっ!?びっくりした〜。」

 

響       「そろそろ帰ってくると思って待ってたんだ。」

 

栗林・長門   「おかえりなさい。」

 

金剛      「テートクー!やっと戻って来ましたカー!!」

 

十六夜     「提督〜!おかえり〜!どうだった〜?」

 

 栗林や十六夜たちが向かってくる。これからも艦娘たちと影の艦隊の戦いは続くだろう。だけど、絶対に俺たちは負けない。負けられない。

 

守るべきものを守り切るまでは…

 

 

 

 

 

 

 

第一章 完




これにて第一章終了です!
 最後まで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!近いうちに第二章も書きたいと思います。(第二章は短編にする予定です)
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