十六夜が戻ってきたことには皆が喜んだ。(加賀は凄いぎゃん泣きしてたな…)
姉妹艦たちも、大好きな姉が帰ってきてくれてとても大泣きしていた(特に雫…)
俺からしてももちろん嬉しい。だが、今の十六夜には戦闘をさせることはもちろんできない。
第一次鎮守府正面海域海戦で轟沈したと思われた駆逐艦十六夜。だが、海戦から三ヶ月がたった昨日、遠征にでていた第六駆逐隊によって発見された。…発見されたのはいいが、今の十六夜はなぜか声が出せない状態であり、他の艦娘との会話は筆談ですましている状態だ。
…後は、十六夜を轟沈に追い込み、言葉すらも話せない状態にした憎い敵対勢力”影の艦隊”について調べておかなければならない。
長門 「提督、書斎から影の艦隊に関する資料を探してきました。」
提督 「ああ、ありがとう長門。」
栗林 「提督、影の艦隊の駆逐艦についての情報が…」
提督 「そうか、なんだ?」
響 「司令官、出現海域についてなんだけど…」
提督 「なに、出現海域が…」
このように、補佐官、秘書艦総出で調べている。
時刻はてっぺんに近づいていた。
さすがにまぶたが落ちてきたな…。栗林はまだまだ馬力が続きそうだけど…。
響は俺の膝の上で眠っている。疲れているだろうし無理に起こさずにそのままにしておこう。
提督 「栗林、今日はこれくらいにするか。」
栗林 「そうですね。もうこんな時間ですもんね。」
長門 「そうだな。今日はここまでにする他ないな(あ〜、やっと終わった〜)。
提督 「それじゃあ、ご苦労さま。おやすみ。」
栗林・長門 「おやすみなさい。」
こうして、日が変わる前に俺たちは就寝した。
翌朝
提督業に休みはない。何しろここは最前線の鎮守府だ。この鎮守府が怠けていたら他の鎮守府にも悪影響を与える。だから俺は頑張るのだ。
提督 「おはよう、十六夜。」
十六夜 「…………」二コッ
返事はないが、笑顔で返事をしてくれた。軍医に聞いたら、十六夜の声は近いうちに治るそうだ。ただ、しばらくは筆談で会話をすることになりそうだ。
十六夜に挨拶をし終わった後は、提督室で執務に取り掛かる。
提督 「今日は、第一艦隊が正面海域の警備、第二艦隊は演習、第三艦隊と第六駆逐隊は遠征か。」
栗林 「はい。第一艦隊は正面海域の警備を行い、影の艦隊に関する情報があったらすぐに連絡するようにと報告しておきます。」
提督 「ああ、頼んだぞ。」
この日、遂に影の艦隊が大規模攻勢を開始することはこのときの俺は気づいていなかった。
鎮守府正面海域沖
暁 「今日も遠征頑張るわよ〜。」
電 「今日も暁ちゃんは元気なのです。」
暁 「当然よ!レディはいつも元気なんだから!」
響 「хорошо」
雷 「もお、早く任務を終わさないといけないわ。」
響 「そういえば司令官が影の艦隊には十分注意しろ、って言ってたよ。」
暁 「そういえば、影の艦隊ってどんなのかしら。」
電 「吹雪ちゃんたちは戦ったことがあると言ってたのです。」
雷 「……。」
響 「どうしたんだい、雷。急に黙り込んで。」
雷 「えっ、いや、なんでもないわ!…ただこの海域にそんな艦隊がいると思うとちょっとね…。」
暁 「大丈夫よ!どうにかなるわよ。」
そう暁が雷を励ましている時
海中では、巨大な二つの影がうごめいていた。
鮫のような外見で、頭部に長10糎単装砲、両脇に四連装魚雷発射管を装備している。
まるで艦娘が装備しているような艤装だ。
”影の艦隊”の潜水空母700型だ。
暁たちはまだ気がついていない。すぐそばまで”影の艦隊”が迫ってきてることに…
潜水空母は名前の通り、空母の役目を与えた大型の潜水艦だ。空母として敵艦隊を攻撃したり、もちろん潜水艦として哨戒に利用したりもできる。
日本海軍の駆逐艦は対潜能力が低く、よく潜水艦に沈められてきた歴史がある。
第六駆逐隊も例外なく、暁と響以外の雷、電は潜水艦の雷撃を受けて戦没している。
潜母700型 「我、雷撃ヲ開始ス…。」
潜母700型が先制雷撃を開始した。
響 「!?」
響はいち早く異変に気づいた。
響 「魚雷確認!回避して!」
暁 「えっ!どこ!?」
雷 「三時方向から魚雷多数確認!」
突然の襲撃にも関わらず、第六駆逐隊は魚雷を次々と回避していく。
電 「はわわわわ、びっくりしたのです…」
響 「まだ敵がいるから警戒して…。」
先制雷撃がかわされた潜母700型は、爆雷戦を警戒し深い深度に潜航を開始した。
しかし、暁はタダでは帰してくれないようだ。
暁 「やったわね〜!!爆雷投下!!」
暁が爆雷を投下した。それに続いて響、雷、電が爆雷を投下した。
深い深度を潜航しても流石にこの量の爆雷は避けきれない。潜母700型の真横で爆雷が炸裂した。
一隻はなんとか回避したが、反応が遅れたもう一隻は爆雷攻撃を受け、大破した。
潜母700型 「我、現海域ヨリ離脱ス…。」
潜母700型は、傷ついたもう一隻をかばうように潜航していった。
雷 「暁、そっちはどう?」
暁 「いや、いないわ。もう撤退した後だと思うわ。」
響 「そうだね、きっとどちらかが大破したからだね。」
電 「そうだといいのですが…」
電の言う通り、これが最後ではなかった。
突然、あたりに水柱がたった。
響 「!?なんだっ!?」
暁 「砲撃!?一時の方向からだわ!!」
雷 「今度はなにっ!」
暁たちの前に現れたのは、四隻の影の艦艇だった。
鮫のような外見で、頭部に長10糎連装砲、両脇に試製六連装魚雷発射管を装備した”駆逐十六型”、同じく鮫のような容姿の15糎三連装砲を六門装備した”軽巡二十型”が、それぞれ二隻ずつ現れた。
駆逐十六型 「があああああああああああああああああああ!!」
駆逐十六型が咆哮をあげる。
暁 「来たわね!」
響 「これが、影の艦隊…。」
雷 「これは、私がやるしかないわね!」
電 「電の本気をみるのです。」
すると、軽巡二十型が口を開いた。
軽巡二十型 「オマエ達駆逐艦ゴトキニ我々ヲ倒セルトデモ思ッタカ…。」
雷 「しゃべった!?」
どうやら、影の艦隊の中には言語を理解できるものがいるようだ。
暁 「それがどうしたのよ!」
軽巡二十型 「我々ノ屈辱モ知ラズニ…。」
響 「屈辱…?」
軽巡二十型 「ソノ通リダ…。ソノ屈辱ヲ晴ラス為ニオマエ達ヲ殲滅セヨト”提督”カラ命ヲ受ケタノダ。」
雷 「提督…?」
軽巡二十型 「オット、話ガスギタナ…。コレカラオマエ達ヲ海ノ底ニ沈メテヤル。」
電 「そんなことさせないのです!」
電が叫んだ。
暁 「そうよ!そんなこと暁たちが絶対にさせないんだから!」
響 「信頼の名は伊達じゃないよ。」
軽巡二十型 「ソウカ…、来ルノナラ、コイ!」
駆逐十六型 「がああああああああああああああああああああああ!!」
駆逐十六型が咆哮とともに砲撃を開始した。
第六駆逐隊は敵砲弾の合間を縫うように回避していく。軽巡二十型も砲撃を開始したが、速力で勝る駆逐艦娘に翻弄された。
暁 「この程度なの!」
雷 「逃げるなら今のうちだよ!」
暁と雷は大したことはないと判断したのだろう。煽る余裕までできたようだ。
しかし、響と電は油断しなかった。
響 「(この程度でも十六夜を沈めてる敵だ…。司令官の言った通り油断はできない。)」
電 「(それに、なにか嫌な予感がするのです…。)」
悪くも、電の予感はあたってしまった。
上空からなにやら音が近づいてきた。
暁 「えっ、なに!?」
上を向いた暁が見たもの、それは…
黒塗りの”彗星艦上爆撃機”だった。
雷 「彗星艦爆!?」
雷が叫んだ途端、”影の彗星”が爆弾を投下した。
第六駆逐隊の頭上に爆弾の雨が降り注ぐ。
バァーーーーーーーン!!
次々と爆発がまきおこる。
暁 「きゃああああああああああああああああああ!!」
雷 「きゃああああああああああああああああああ!!」
暁と雷が悲鳴をあげる。響と電は間一髪で回避した。
軽巡二十型 「オオ、アノ一撃ヲ回避スルトハ…。」
軽巡二十型が呟いた。すると、通信が入った。
潜母700型 「コチラ潜母700、我艦載機ヲ発艦シタ。戦果報告ヲ求ム。」
どうやら影の彗星艦爆は潜母700型から発艦してきたようだ。
暁 「もお、許さない、許さないんだからぁ!」
響 「暁!雷!大丈夫かい!」
雷 「なによもう、雷は大丈夫なんだから!」
ふたりとも強がっているが、中破している。
軽巡二十型 「オマエ達ハ、我々ノ作戦カラ逃レル事ハデキナイ…。」
軽巡二十型がジリジリと近づいてくる。トドメをさすつもりだろう。
響と電は二人をかばうように前にでた。
軽巡二十型 「沈ムガイイ…。」
軽巡二十型が第六駆逐隊に主砲を向けた時、
軽巡二十型と駆逐十六型の周りに水柱がたった。
駆逐・軽巡 「!?」
??? 「そんなことさせないわ!」
誰かの声がした。声のした方向を向くと、二人の艦娘の姿があった。
軽巡二十型 「!?何者ダ!!」
??? 「安心して、あなた達は私達が守るわ。」
次回 新たなる仲間
新しいオリキャラを次回投下します。by作者