とりあえず案が思い浮かんだので即断即決で書きました。モチベと内容が続く限り投稿は続くと思うけど途中で修正もするので少しペースは遅いかもしれないです。
目覚め
ドクター視点
……。
…………。
…………………………。
「ねぇ……まだなの?急いでくれないかしら」
「わーってますって。急かしても何も変わらないっすよ?」
「そうだぞ。少しは落ち着いてくれ……」
…何か聞こえる。誰かが会話しているのか?
目を開けようとする。開かない。もう一度開けようとする。やはり開かない。
「ん?んー……あ、意識を取り戻し始めてそうっすよ。この調子だとあと5分以内には目覚めそうっす」
「そうか……。可能性は低かったが、なんとかやったかいがあったな」
「これでようやくスタート地点に立ったのよ。そんな感慨深い顔しないでくれない?自分のことでもないのに……全く」
「いや、仲間のために力を尽くしてこそだろう?当然だ」
どうやら私は助けられたらしい。……にしても、一体誰に助けられて……助け……られ……。
いや……そもそも、私は……誰だ?何故自分の名前すら思い出せない?私は……忘れたのか?それとも元から記憶がない?
そんなことを考えているうちに目が開く。知らない天井だ。無論、忘れているだけの可能性はあるだろうが。
「あ、目が開いたっす」
「ようやくお目覚めってわけね。待ってたわよ、ドクター」
ドクターと呼んできた女は銀色がかった髪に大きな赤い角が生えていた。反対側にいる医師のような恰好をした男は白い髪に黒いメッシュが入っており、さらには猫のような耳が生えていた。どうして記憶がないのに猫がわかるのかは分からないが……とりあえず良しとしよう。
「……ぅ…………ぁ……」
「あー、無理して喋らなくていいっすよ。目覚めたばっかっすからね」
そういえばそうだった。早くも忘れかけていた事実を思い出させてくれた医師に心の中で感謝をする。
「はぁ……ホント面倒ね。早く片っ端から聞き出さないといけないのに……」
赤い角の女はそう愚痴を漏らす。やはり私は何か忘れているらしい。彼女が私から何を聞こうとしても一切答えられないのは少し心苦しい。
「だから焦るなと言っているだろう。時間はあるんだ、ゆっくり聞けばいい」
どうやら私の頭のすぐ横にもう1人いたらしい。彼女は赤い角の女を宥めているようだ。
「わかってるわよ。で、天災はあとどのくらいで来そうなの?」
「あと……2時間弱だな」
「脱出する時間考えたら全然余裕ないじゃない!ったく、こいつから話を聞く時間すらないとかどうなってるわけ!?」
「っつってもここに来るまでは予定通りでしたし、ドクターが目覚めるまで想定より時間がかかったのは事実っすけど仕方ないんじゃないっすかね」
「わかってるわよ、その上で言ってんの。そもそもこれで少し休んだらまた作戦でしょ?早く問いただしたいってのに時間がないんじゃ意味ないのよ」
「何度言ったら分かるんだ、W。焦っても仕方ないし、今は時間がないんだ。一段落すれば話を聞ける、違うか?」
「はぁ……見回りしてくるわ、ドクターが話せるようになったら呼んで頂戴」
そう言い残して赤い角の女は去っていった。
しばらくして、私も落ち着き、ようやく起き上がることができた。
「だ、大丈夫っすか?目に見えて体調悪そうっすけど……まず何か食べさせた方がいいっすかね」
「先に脱出した方が良さそうだ。天災もだが……どうやらここに向かってくる集団がいるらしい」
「不味いじゃないっすか。早くWさん呼んで離れましょうよ」
「だがドクターのことを思うとな……」
どうやら危険がすぐそこまで迫ってきているようだ。緊迫した状況だということが2人の会話からひしひしと伝わってくる。
「……ぁ…………」
「焦らなくていいぞ。君の体調が整うまでは私が必ず守ろう」
「いや、それでリーダーが死んだら困るっすけどね」
「死ぬ気はないが……さて、急いだほうがいいのは確かだな。ヴァイオレット、担架の用意はできるか?」
「わかったっす」
そう言って猫耳の男は少し離れた場所にいた他の人と作業を始めた。どうやら赤い角の女はW、猫耳の男はヴァイオレットという名前らしい。ヴァイオレットという割にはそんな色ではなかったが。
彼らを見送って少しした後、頭の場所にいた女が私の正面に位置を変えて話しかけてきた。彼女も角が生えていたが、Wよりも長く、細く、鋭い黒い角だった。
「さて...彼らが準備している間に少しこちらの事情の説明をさせてもらってもいいだろうか、ドクター」
声が出せないのでどうするか少し考えた後、瞬きで返事をしてみる。これで伝わるだろうか?
「……あぁ、すまない、失念していた。まだ声が出せないんだったな」
どうやら伝わったようだ。今度はウインクで返してみよう。
「ふふっ。ウインクのつもりか?上手くできていないぞ。……ではなく。私たちについて少し話をさせてもらおう」
彼女は一呼吸置いた後、改めてと言った風に話し始めた。
「ドクターがどこまで知っているかどうかわからないので一つ一つ説明させてもらおう。まず私の名前はタルラ。レユニオン・ムーブメントという組織のトップをしている。トップと言っても特に大したことはしていないがな。先程のWやヴァイオレットもレユニオンのメンバーだ。そして、私たちが君を連れ帰ろうとしているのは、Wの頼みだからだ」
Wと言えば、どうやら私から話を聞きたい様子だった。ただ残念なことに私は何も覚えていないため、私から情報を聞き出すためには思い出すまで待ってもらう必要があるが。
「詳しい話は彼女から聞いて欲しい。私の口から話すわけにもいかないからな。あとは……天災だな。あと1時間程度で天災が来る。急かすわけではないが、早くここを出ないと不味いことになるかもしれない。当然、君のことは守ろう」
やはり天災は何か不味いものらしい。そこをタイムリミットにしているということは何か恐ろしいものなのだろうが...いかんせん記憶がないせいで恐ろしさが分からない。以前の私は天災とやらを知っていたのだろうか。
「そういえば……Wが中々戻ってこないな。まさか勝手にどこかに行ったんじゃないだろうな……」
「あら、私そんなに信頼されてないのかしら?」
ふと部屋の出入り口を見るとそこにはWが立っていた。いつの間に……。
「いいニュースと悪いニュースがあるけど、どっちから聞きたい?」
ニヤリと笑いながらWはそう告げる。
「いいニュースからで頼む」
「そうねぇ……いいニュースはこの周りに爆弾を一通り設置し終わったことね」
「W、もうすぐここを離れるんだぞ。爆弾を設置しても使う機会は……」
タルラの言葉を遮るようにしてWは話を続ける。
「悪いニュースはね、もうすぐここに敵が来るってことなの」
報告するのが遅くなってごめんなさいね~、とWは茶化すように言う。
「……あとどれくらいで着く?人数は?」
タルラは出入り口のさらに奥の方を見据えながらWに問う。
「自分の目で確認すればいいんじゃない?もう敵さんは来るわよ」
Wがそう言い終えた次の瞬間、廊下から飛び出すように人が入ってきた。タルラやその他のレユニオンのメンバーも一斉に構える。
「「総員、戦闘開始!」」
敵のリーダーとタルラの声が重なるように発せられ、戦いの火蓋は切られた。
登場キャラ紹介
・ドクター
主人公。そこまでゲームのドクターに寄せてない。どちらかと言うとドクターよりプレイヤー寄りのイメージ。
・タルラ
レユニオンのリーダー。ちゃんと会話できるけどそのせいで少し口調が気になる。ちゃんと走るし語尾にたるをつけないタイプのタルラ
・W
ファッション狂人。爆弾魔。(ゲームの方と比べると)比較的大人しい。
・ヴァイオレット
白髪に黒いメッシュの入ったフェリーン。名前に色は一切関係ない。レユニオンで医療班として活動しており、その豊富な知識から自ら医療に当たることも多いのはもちろん、他の人への指導なども行っている。ロドスで言うところのワルファリン的ポジション。