約1ヶ月半ぶりの投稿なので初投稿です。
龍と竜
チェン視点
「……来たか」
私は隊員からの連絡を受け、敵拠点の付近でロドスと待ち合わせをしていた。ちょうど今、アーミヤ達が来たところだ。
「お待たせしました……」
「今回は急な呼び出しだったからな。それはともかく、人数が少なくないか?」
今この場にいるのはアーミヤ、BSWの二人、それと1小隊だけだ。
「特別行動班の二名には付近の偵察をお願いしました。他の皆さんには万が一に備えてスラムに残ってもらっています」
「そうか」
戦力的に少し心許ない気はするが……まあ贅沢は言っていられないな。
「では、現在の状況を改めて確認させてもらう。ミーシャは現在レユニオンが身柄を確保している。そして、あそこに見える建物が龍門を襲撃したレユニオンが拠点としている場所の中の最有力候補だ。そして、我々の目的はミーシャの確保だ。あくまでレユニオンの殲滅は二の次だ。それを忘れないように」
「あの場所にミーシャさんが……」
そうこう話しているうちにホシグマがやって来た。
「チェン隊長、お待たせして申し訳ございません。件のレユニオンに手こずらされてしまいまして」
「来たか、ホシグマ。怪我はないか?」
「はい、問題ありません。しかし、奴の実力には心底驚かされました。動ける舞台を総動員した上でこの結果ですからね。さらに向こうはたった一人しかいないばかりか、かなり余力を残していたようですし……もしも本気を出されていたらと思うと恐ろしいですね」
「督察隊を相手に手を抜いた上でまとめて足止め、か……」
ホシグマの言っていたことが事実なら、癪ではあるが相手が足止め目的で動いたことが幸いしたと言えるだろう。そもそも、龍門での最高戦力とも言って差し支えない督察隊の大半がその場にいたはずなのだ。それを1人で足止めなど、一体どんな力の持ち主であれば可能だというのだろうか?
「ところで、こちらの皆様はロドスの方でしょうか?」
「はい、そうです。そちらは……」
「特別督察隊のホシグマ。部下の中でも指折りの精鋭だ」
ホシグマはアーミヤをじっと見ている。何か思うことでもあるのだろうか?
「それにしても、ロドスには随分と若年の方もいらっしゃるのですね。驚きました」
「その『若年の方』こそロドスのリーダーだ」
「わ、ええと……アーミヤと申します、よろしくお願いします」
ホシグマは心底驚いた顔をしてこちらに顔を近づけてきた。
「彼女、本当にロドスのリーダーなのですか?代理とかではなく?」
「気持ちは分かるが事実だ、ホシグマ。私も最初は耳を疑ったが、他の者の反応を見る限りどうやら内部でもそういう認識らしい」
「そうなんですか……」
ホシグマは険しい顔をしている。何を考えているかは想像に難くないが、おそらく我々には想像も付かないような理由があるのだろう。
「……それでアーミヤ、改めて現在の状況を説明してもらえるか」
「はい。こちらは既に特別行動班の二名が、ミーシャさんを連れ去ったレユニオンの同行を掴んでいます。現在も追跡を続行しており、いつでも指示を受け取れる状態です。現在までに大きな動きはないようです」
「なるほど、確かに能力の高さを感じます。隊長の評価に違わぬ方々のようですね」
ホシグマはあからさまにこちらへ話を振る。アーミヤの顔色に喜色と驚きが見て取れた。
「えっ……チェン隊長が、我々を評価してくださっていたんですか?」
「まあな。それより、ホシグマ。近衛局の全小隊を招集しろ。行動を開始するぞ」
「チェン隊長、龍門内の警備は大丈夫なのでしょうか」
アーミヤがそんな質問を私にかけてくる。
「こちらに時間をかけすぎなければ問題はない。それに、今の龍門の一番の脅威はレユニオンだ。この問題を最優先で解決しなくてはならないからな」
「そうなんですが……何か引っかかるんです。何かを見落としているような……」
「今は目の前の作戦に集中をしろ。情報の精査は後からいくらでもできる」
とはいえ、アーミヤの話も気になるのは事実だ。レユニオンの行動に不審な点はいくつかあるが、それはこの件を主導しているリーダーを捕まえて洗いざらい話させればいいだけのこと。今考えても仕方のないことだ。
「ロドスの人員には先導役をお願いしたい。頼めるか?」
「了解しました。こちらに利があるとはいえ、警戒を怠らずに行きましょう。レユニオンは足止め要員を残しているようですし、既に待ち伏せされているでしょうから」
「なあに、それくらいの対処は朝飯前ですよ」
「頼もしいですね。……それでは、作戦を開始します!」
アーミヤの号令と共に進軍が開始する。一抹の疑問はあるが、今は目先のことに集中しなくては。
「まさかと思ってはいたが、本当に会うとはな」
「────タルラ」
アーミヤ達と別れ、隊員達と伏兵が大量にいると予測された中央ルートから迂回している途中だった。人影が見えたので近付くと、そこにはかつての友であり、家族でもあった人が立っていた。
「何故貴様がここにいる、レユニオンのリーダー」
「違うな、フェイゼ。お前が聞きたいのはそんなことではないはずだ」
当たり前だ。言いたいことは沢山ある。聞きたいことも山ほどある。ただ、それは今するべきではない。今ここにいるのは、龍門近衛局特別督察隊隊長とレユニオン・ムーブメントのリーダーでしかないのだから。
「……あったとしたらどうした。今のお前と話すことも、かける言葉も何もない。早く剣を抜け」
「それがお前の選択か。ならば……」
タルラは呆れたような顔をした。しかし、彼女を剣を取り、それを抜くと表情が一変する。
「私はそれに応えるまでだ。ここは何人たりとも通さん」
「隊員各員に告ぐ!奴は私が引き受ける!他のものは先へ進め!」
「そうか。ならば始めよう」
戦いの火蓋は切られた。過去に残した残像も、昔交わした約束も、戦場においては何の意味も成さない。そんな当たり前のことを、先延ばしにし続けていたことを、今ここで清算しなくてはいけない。
登場キャラ紹介
・ホシグマ
原作からほぼそのまま。アーミヤのことを気にかけている。