前回投稿から2週間空いたってマジ?
ラヴァ視点
「ええと……貴方達、何者なの?」
「龍門近衛局からここ一帯の防衛とレユニオンの掃討を任されたものです」
「は、はぁ……」
少し前のことだ。アタシたちはスラムに残っておけと言われたからアタシは大人しくしてるつもりだったんだが、うちの隊長がレユニオンがまだいるかもしれないと言い出してスラムの中を回り始めた。確かに何回かレユニオン兵と交戦はしたし結果的にはそれで良かったのかもしれないが。で、そんなことをしてれば周りの人らもアタシらに気が付くわけで……こうして話しかけられるハメになったわけだ。
「もしかして、新しく入った自警団の方かしら?」
「自警団……ですか?」
「違うのね……そう。てっきり、近衛局に頼まれたと聞いたからそうなのかと」
「その話、少し詳しく聞かせていただけませんか?」
うちの隊長が応対してるが、ありゃまだ時間がかかりそうだな。
「ん~……」
クルースは珍しく何か考え事でもしてるみたいだな。
「おーい、クルース。なんかあったのか?」
「ラヴァちゃん?ん~、それがね?少しおかしいんじゃないかな~って」
「おかしい?何がだ?」
「これだけ歩いたのに、あんまり人に会わなかったというか~……そりゃ、逃げた人もいたと思うよ~?そうだとしても人に全然会わないな~と思って」
確かに、ここでようやく住民に話しかけられたが、今まで全然人に会っていなかった。なんならレユニオンの方が沢山会ってる。
「避けられてるんじゃないのか?アタシらは外部の人間だし」
「それだけならいいんだけどぉ……」
アタシはただの杞憂だと言ったものの、クルースの言ってることにも一理ある。おかしなくらいに人の気配がない。どこの言葉だったか……これが『嵐の前の静けさ』ってやつか?
「そ、それじゃあ私はそろそろ……」
「情報提供、感謝します」
「全員集合。これからの動きについて少し話したい」
ちょうどフェンも話し終わったみたいだな。
「……よし、全員集まったね」
「さっきの人と話して何かわかったんですか?」
ビーグルがすかさず質問する。
「うん。まず第一に……この場所は既に襲撃をされた後みたいだ」
「は?どういうことだよ」
既に襲撃された?もしかして人がいない原因はそれか?
「あまり詳しい状況はあの人も知らなかったみたいなんだけど……1か月前くらいにいきなり襲撃されたんだって。ただ、どうやら自警団のリーダーやその他のここでの重要な人物だけが殺されたらしくて……襲撃というより暗殺みたいだ」
「フェンちゃん、ここら辺に人があんまりいなさそうなんだけど、それも関係あるのかな~?」
「多分そうだね。自警団はリーダーと他数名が死亡または行方不明になったことにより、組織は崩壊したらしい。自警団はスラム内ではかなり影響力の大きい組織だったらしくて、龍門近衛局とも秘密裏に協力してたんじゃないかって話もあったとか。自警団の崩壊後、元メンバーの一部はスラムの住民を連れて龍門を出て荒野に行ったそうだ。そしてそのしばらく後にレユニオンの襲撃。その2つの襲撃に関係は……あるかもしれないけど、推測の域を出ないね」
「その自警団は完全に崩壊してしまったんですか?」
「いや、どうやらそういうわけじゃないみたい。今も残ったスラムの住民を守るために巡回をしてるんだって。だから、一旦自警団の人に会ってみようかと思って」
「賛成です!」
「私もそれでいいと思うな~」
「私も賛成です……ラヴァちゃんは?」
皆の視線がアタシに集まる。なんでアタシが反対すると思ってるような目で見るんだ?
「アタシも賛成だ……だけど、こんなに勝手に動いてていいのか?向こうからの連絡も入らない、しきっと順調だとは思うんだが……」
「念の為にアーミヤさんには通信で連絡を入れておいた方がいいかな?」
「いや、アタシに聞くなよ」
「それじゃ、メッセージで送っておこうか」
にしても、自警団のリーダーの暗殺に、レユニオンによる襲撃か。もし関係性があるなら、レユニオンは何がしたかったんだ?
「ここら辺に拠点があるって話だったんだけど……」
「あれ?ここって……」
ビーグルが何かに気が付いたみたいだ。まぁ、アタシにもそれがすぐに何なのかわかったが。
「ここってさっき来た場所の近くだよな?」
「そうだねぇ。でもさっきは誰もいなかったよね~?」
「入れ違いになったんですかね」
ビーグルはきょろきょろと辺りを見渡している。アタシもそれに釣られて辺りを見回すが……人の気配はしないな。
「一旦この周辺を調べようか。何か見つかるかもしれない」
しばらく周りを探したものの、確かに誰かがいたような痕跡はあったものの人は見つからなかった。
「見つかったのは生活の痕跡くらいで、拠点らしきものはなさそうだったね。どうしようか」
「一旦他の人達と合流した方がいいかもしれないですね」
「そうだね。一旦戻って……」
と、そんな話をしているところに人が来た。
「……ん?あんたら、見ない格好だな?」
そう言って話しかけてきたのは、鎧で全身を包んだ大男だった。いや、どう見てもアンタの方がすごい格好してるだろ、と言いたくはなったが、その前に1つの考えが浮かんだ。
「アンタ……もしかして自警団か?」
「ん?あぁ、そうだが……なんだ?俺らを探してたのか?」
「あ、危なかったです……また入れ違いになるところでした」
「お聞きしたいことが幾つかあるのですがよろしいですか?」
「ああ、構わねぇ。だが、ここじゃダメだ。せめて拠点くらい安全な場所じゃなきゃな。……っと、うっかりしてたぜ。俺はアラン。《白百合自警団》のアランだ。よろしく」
《白百合自警団》か……当たり前だが聞いたこともない名前だな。そもそもなんで白百合なんだ。
「私はフェンです。こちらこそよろしくお願いします」
「ビーグルです!よろしくお願いします!」
「ハイビスカスです、よろしくお願いします」
「アタシはラヴァだ、よろしく」
「クルースっていいま~す。よろしくおねがいしま~す」
「よし……覚えた。それじゃ行くぞ」
アタシたちは鎧を身に纏った大男、アランに連れられ誰もいないスラムを進む。その先に何が待ち受けているのかも知らずに。
登場キャラ紹介
・アラン
龍門のスラムの一派《白百合自警団》の副団長。鎧で全身を覆った大男。見た目に反して比較的フレンドリー。