レユニオンと往くテラの大地   作:青影

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 アーミヤ精神崩壊待ったなし




最悪な出会い

 

 

ドクター視点

 

 

 

「W、ドクターを頼んだ。私は奴らの足止めをする」

 

 どうやらタルラは私をWに預けるつもりらしい。

 

「それだったらあたしが……」

「いや、私が彼らを足止めする。足止めなら私のアーツの方が適しているのでな」

 

 そう言うと、タルラは手のひらから炎を勢いよく噴出させた。

 

「クソっ、厄介なアーツだなこりゃ……」

「Aceさん、一旦退いてください!ここは私が!」

「いいやアーミヤ。お前がドクターを迎えに行け。適任はお前しかいないはずだ」

「……っはい!」

 

 どうやら向こうも私が目的らしい。私は……一体何者なんだ?

 

「W、早く行け。お前たちが行ったら私もすぐに追いかける」

「わかったわよ……ほらドクター、あたしにしっかり捕まっておきなさい。じゃないと落ちるわよ」

 

 Wに促されるままに彼女の背中に乗る。彼女は私を下から両手で押さえた。そのままWは外へと走り出す。他のレユニオンのメンバーらも急いで外へと向かっているようだ。ヴァイオレットは担架を抱えて走っていた。本来私を運ぶためにあったそれは、こんな状況ではとても使えないので彼が抱えて走るしかないのだ。すまない、ヴァイオレットさん……。

 

「ドーベルマン教官、彼女を牽制して逃げないようにしてください!」

「了解した!」

 

 そう声が聞こえると、いきなり鞭が目の前を掠っていった。Wも突然の攻撃にビビっていたが、すぐさま攻撃が来た方向へ爆弾を投げた。

 

「チッ……アーミヤ、追えるか?」

「行けます!」

「しつこいわね~……ドクター、アンタモテモテじゃない?特にあのウサギの子はご執心の様よ」

 

 どうやらそうらしい。Wの言った通り、ウサギ耳の少女……小さな見た目に反して他の人の指揮も執っている彼女がどうやら彼らのリーダーであり、彼女も私の回収をしたいらしい。それに、他の人たちもどうしても彼女自身に私の回収をさせたいらしい。

 

「もう少し早く走るからちゃんと捕まってなさい?」

 

Wはそう言うと、走る速度を上げた。今出せる全力で捕まっていてギリギリ振り落とされないくらいの強さで横に揺さぶられる。落ちそうで少し心配だが、彼女はしっかりと手で私を掴んでいるので思っていたよりは大丈夫そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 建物の出口が近づく。しかし、あと1歩といったところで後方から攻撃が飛んできた。

 

「ドクターを返してください!」

 

 このまま去ろうにも私を置いて去ることはできないだろう。Wは仕方なく後ろに振り返った。

 

「あら、やっぱウサギちゃんだったわね。あなたもドクターが欲しいわけ?」

「あなたも……?ということは……」

「えぇ、あたしも欲しいの。だから諦めてくれる?」

「そんなことできるわけないじゃないですか!ふざけないでください!」

 

 ウサギ耳の少女は叫ぶ。彼女も自身から予想外に大きな出たことに驚いたらしく、一度咳払いをしてから話し始めた。

 

「ドクターは私にとって、とても大切な人です。返していただけないというのなら……」

 

 彼女はアーツを手の内に出し、照準をこちらへ……正確にはWの方へ向ける。どうやら戦う気のようだ。

 

「あら~、感心しないわね。あたしたちが先に取ったのに、それをまるで自分のもののように言って……まるで盗人じゃない」

 

 Wも相変わらず口数は減らないが、明らかに警戒をしている。それほどまでにあの少女の力は強大だということか。

 

「もう一度言います。ドクターを返してください。そうすればこれ以上何もしません」

「まさか、それで返すと思う?」

「それでは……行きますよ!」

 

 ウサギ耳の少女が攻撃を始めようとした瞬間、彼女は勢いよく横方向へ吹っ飛んでいった。

 

「……やれやれ、なんとか間に合ったな」

「タルラ、遅いじゃない。せっかくこれだけ時間を稼いだのにギリギリに来るなんて」

「無力化に時間がかかってな。彼らもかなり強かったから仕方ないと思って欲しい」

 

 タルラですら一筋縄ではいかない相手……ロドスと言っていただろうか、かなり強い集団らしい。

 

「よし、ここには彼女しかいなかったようだ。先を急ぐぞ」

「そうね、もうウサギちゃんは懲り懲りだわ……」

 

 Wも愚痴をこぼしながらタルラについて行く。去り際に後方から声が聞こえた。とても聞き取れないような小さな声のはずだったが、それは確かにこう言っていたのだ。「ドクターを、返しなさい」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレは一体……なんなんだ?」」

 

 私たちが外に出ると、レユニオンの恰好をした人たちが暴動を起こしていた。

 

「我ら感染者に自由を!」

「奴らに我々の怒りを見せつけてやれ!」

「非感染者は皆殺しだ!」

 

 そこは、地獄のような光景だった。街は破壊され、あらゆる場所から戦闘の音が聞こえる。道路には血痕が残っており、所々死体も目に入る。家からは火が出、その火の手から逃れるために多くの市民が逃げ惑う。それを見つけた彼らは一斉に襲い掛かり殺していた。殺して、殺して、それでも飽き足らずこの街を殺し尽くそうとしていた。

 

「何よ、これ……タルラ、どういうこと?」

「私がこんなことを命令するはずがないだろう。それに、制服をよく見ろ。少しデザインが違う。おそらくどこかの暴徒が我々を真似た恰好をして暴れている、というわけだ」

「信じ難い話ではあるけど……そうね。あなたがそんな命令をするはずはないわね」

 

 レユニオンの、偽物?どうしてそんなものが……それにどうしてこのタイミングで街を襲っているのか……疑問は尽きない。

 

「タルラ、どうする?私はドクターを抱えてるからあまり戦闘はできないわよ」

「ならば私1人で行こう。まだ余力のある者は私についてきてくれ!」

 

 タルラはそう高らかに声を上げ、こちら側のレユニオンの兵士の半数以上はそれに賛同し、タルラについて行った。

 

「やっぱりそうなるわよね……」

「こっちはどうします?とりあえずここを抜けた方がいいっすかね?」

 

 タルラが先程いた空間にヴァイオレットが入ってきた。彼も無事だったようだ。

 

「そうね、タルラたちが気を引いている間にチェルノボーグから脱出しましょうか」

 

 そう言ってWは進もうとする。私は肩を叩いてWを呼んだ。

 

「何?用があるなら直接口で伝えればいいでしょ?」

「あ……あー、あー、声出るようになってたな……」

 

 いつの間にか起きてから時間が経っていたためか、声が出るようになっていた。

 

「私を肩から降ろして欲しい。ここからは自分で歩く」

「でもあんたまだ万全の状態じゃないでしょ?そこまで負担でもないし、あたしがこのまま背負っていくわよ」

「悪い……ありがとう」

 

 結局彼女の言葉に甘えてそのまま背負って行ってもらうことにした。

 

「今ここで言うべきじゃないかもしれないけど、もう1ついいかな?」

「いいわよ、今度は何?」

「実は私、記憶喪失らしい」

「へー、そうなのn……はぁ?」

 

 Wは素っ頓狂な声を上げて私を地面へと落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はWに背負われて移動している最中、私がどうやら記憶喪失らしいということを一通り話した。今までの記憶がないこと。一般的なことはある程度覚えていること。おそらくWが聞き出したいであろうことを話すには時間がかかりそうだということを。彼女の表情はよく見えないが、あまり信用されていないような気がした。

 

「記憶喪失……記憶喪失ねぇ。それを信じろと言いたいわけ?」

「あぁ。記憶にないことは話せないからな」

 

 Wは怪訝そうな顔をしてこちらを見る。どうやら全く信じられていないらしい。そりゃ突然記憶喪失だと言われて信じる方がおかしいとは思うが。

 

「あんたねぇ……あたしがどれだけ苦労してあそこまで行ったと思ってるの?これじゃ全部パーじゃない」

「だから……私は必ず思い出す。だからその時まで待って欲しい」

「それまでにあんたが死ぬか、ロドスに回収されるかしなければいいんだけどね……どちらにせよしばらくは時間がないし、あんたから話を聞き出す時までには思い出しているといいわね」

 

 Wは不服そうではあるが一応納得したらしい。とはいえ、早く思い出さなくてはいけないことに変わりはない。

 

「すまない。できるだけのことはやってみる」

「頼むわよ。その時が来たら思い出せなくても思い出させてやるから」

 

 厳しい声でそう言った後、彼女は黙って進み始めた。

 私は何を忘れてしまったのだろう。過去の私は何を知っていたのだろう。私は一体誰なんだろうか。Wがそこまでして聞きたい話とは何なのだろう。ウサギ耳の少女……アーミヤが私を求めていた理由は何なのだろう。彼女たちの目的は同じなのだろうか?そんな考えが頭の中を巡っていた。しかし、何も思い出すことはないままに私たちはチェルノボーグから脱出を終えたのだった。

 

 






登場キャラ紹介


・アーミヤ
 ロドスCEO。ドクターをレユニオンから取り戻すために奮闘をする。


・Ace
 タルラの炎すら止められる盾兵。流石はエリートオペレーター。今回は無事死亡回避できた。


・ドーベルマン
 ロドスの教官の1人。教官姿が様になるようないい鞭使いをする。あっ!ドーベルマン教官、来てくださったんですね!

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