アーミヤ視点を書いてたら滅茶苦茶時間かかりそうだったので先にこっちから投稿します
ドクター視点
「それでは、私は見回りをしてくる。見張りは彼らに任せておくから何かあったら彼らに言うといい」
フロストノヴァはそう言い、白い服を着た人たちを見る。彼らはスノーデビル小隊と言うらしい。
「了解しました。それじゃ、いってらっしゃい」
「あぁ、行ってくる」
フロストノヴァの姿は段々と小さくなり、見えなくなってしまった。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
私と彼らの間に沈黙が訪れる。私も特に話したいことがあるわけではないが、こうして突然無言になると寂しい気持ちになるものだ。
「……フロストノヴァはいつもああなのか?」
先に口を開いたのは私だった。私は、スノーデビル小隊の隊員に普段の彼女の様子について聞いてみたくなった。彼女は私に随分と良くしてくれていたが、最初出会った時の印象と大きく異なった。それが少し引っかかったのだ。その私の質問に、一番近くにいた隊員が答える。
「あー……まぁ姐さんはいつも優しいぞ。っていっても仲間に対してな。だからー……ドクターだったか?お前は敵だとは思われてないってことだ」
「そうなのか?」
「逆に敵に情報をペラペラと話すと思うのか?」
それはないだろう。確かに私は敵が誰かとは聞いたが……それにしても気を許すのが早すぎやしないだろうか。
「確かにそうかもしれないが、もっと信頼を得たりだとか、そういうものがあっての上じゃないのか?」
「おいおい、まさか姐さんの敵になるっていうのか?それはやめておいた方がいいぜ。敵には容赦ないからな」
「なるほど、やめておこう」
今の私では彼女に睨まれただけで失神しかねない。それに、今のところ敵になる理由もない。わざわざ敵になりたいなどと思うはずはないだろう。
「ま、そういうわけだ……っと、誰かお前に会いに来たらしいぞ。あれは確か────」
どうやら誰かが来たようだ。隊員の視線の先を見てみると、全身鎧を着た人がいた。厳つい見た目をしているが……まさか私に用があるのか?
「すまない。彼と話したいのだが、いいだろうか」
やはり私に用があったようだ。もしかするとWのように私と過去に会ったことがある人物なのだろうか?
「あぁ、構わないが……ドクター、何かされたら俺を呼べ」
彼はそう言い残し、他の隊員を連れて少し場所を離れた。こちらの会話を聞かないように配慮をしてくれたのだろう。
「貴方がドクター……で合っているか?」
彼?彼女?はこちらのことを知っているわけではないようだ。だとしたらどうして私に会いに来たのか余計に分からないが。
「そうらしい。記憶喪失で自分の事すら覚えていなくてね」
「……すまない、配慮が足りなかった」
そう言い頭を下げる。そもそも配慮が足りないだとかそういう話でもないだろう。
「仕方ないさ、相手が記憶喪失だと思って会話をする人なんていないだろう?」
「だが……そうだ、何か困っていることはないか?記憶がないと何をするのも大変だろう」
どうやら私の事を気遣ってくれているらしい。それはありがたいのだが……本当に何をしに私に会いに来たんだ?
「そうだな……まず名前を聞いてもいいか?」
「確かに自己紹介は大事だな。私はマドロック。訳あって鎧を脱ぐことはできないが許して欲しい」
「いや、大丈夫だ。そこまで私に気を遣わなくていい。……改めて私はドクターと言うらしい。Wが昔の私を知っていたらしく、彼女が私をドクターと言っていたからおそらくそうなのだろう」
「では、それに倣って私もドクターと呼ばせてもらおう」
マドロックもそれを受け入れてくれたらしい。しかし、ドクター、……つまり私は医者だったということなのだろうか?彼女から昔の私についてもっと詳しい話を聞いておけばよかったのかもしれない。そうすれば、記憶を思い出す足がかりになった可能性があるが……今は連絡も取れないし、また会った時に聞いてみよう。
「それで……マドロック、君はどうしてここに?」
私は今の一番の疑問をぶつける。
「それは……貴方がロドスの人だと聞いたからだ」
マドロックの口からは意外な名前が出た。確かに昔はそこにいたらしいが……。
「ロドスの?それはまたどうして?」
「実は、レユニオンを離れてロドスへ行こうかと考えていたところなのだ。それで、丁度ロドスの関係者であるドクターがここまで連れられてきたと聞いて、ロドスの話を聞けたらいいと思っていたのだが……」
「なるほど。それはすまない、私もロドスについて知りたいくらいだ」
「いや、私も悪いことをした。すまなかった」
私たちの間に何とも形容しがたい空気が流れる。しかし、私はそこで1つの案を思い付いた。
「マドロック、今の君が知っていることを私に教えてくれないか?もしかすると話を聞けば何か思い出せるかもしれない」
マドロックは少し考えた後、その提案に頷き、私にロドスについてのことを教えてくれた。
ロドスの正式名称は"ロドス・アイランド製薬"。製薬会社で、主に鉱石病の進行を遅らせたり、鉱石病の症状を緩和する薬を作っているらしい。また、ロドスの薬は格安であるため、他にも様々な仕事を請け負っているとか。どこの国にも属していないことから、多くの国の問題に介入し、それを解決をしたり事前に阻止をしたりと、ここ最近は特に注目を集めている企業らしい。また、彼らの目標は『感染者と非感染者が手を取り合える世界を作ること』だそうだ。
「……胡散臭くないか?それは」
私はまず第一にそんな感想を抱いた。Wやタルラ、フロストノヴァらの言葉からこの大地の過酷さを知った。そして、実際に自分が見てきたものを加味して考えると、ロドスの目指す道がどれだけ長く険しいものか容易に想像がつく。
「しかし、彼らには実績がある。それらを本当に目指していると思えるようなものが」
「なるほど。確かに、本当に彼らの目標が達成されたら素晴らしいだろうね」
「そういうことだ。ただ、私も実際にこの目でその活躍を見たわけではない。だから確かな情報というわけでもないというのは覚えておいて欲しい」
「だから私から話を聞いて、よりその情報の確実性が欲しかった、と」
「そうだ。……何か思い出せたか?」
私は少し過去を思い返してみる。しかし、私の記憶の最奥は変わらずWらに起こされた時からだった。
「いや、残念ながら何も。ただ、改めて私もロドスについて考えなくてはならないことできたよ」
「考えなくてはならないこと……?」
「今は大したことじゃない。マドロックも、また話を聞かせてくれ」
「分かった。お互い、ロドスに対してどう向き合うべきか考えていこう、ドクター」
ロドスとの向き合い方……か。私はこれから、どのような道を辿っていくのだろう。このままレユニオンに残るのか?それともロドスへ向かうのか?私はどちら……いや、何をを選ぶべきなのだろう。私はどんな道を選べばよりよい未来へ向かえるのだろう?しかし、まだ情報が足りない。更なる情報を集めなくてはならない。
そして。1つだけ、昔の私の痕跡と思わしきものが発見できた。それが、アーミヤ。彼女に対しての心残りだ。今の私は彼女との接点などないに等しい。昔の私が、彼女のことを心配しているのだ。他に何も思い出せないにも関わらずそれだけが過去の私から引き継がれたのだとしたら、私にとってアーミヤという少女はそれだけ重要な人物であったようだ。アーミヤ、君は私にとって何なのだ?
登場キャラ紹介
・スノーデビル小隊
フロストノヴァの仲間。ドクターに対してはどちらかと言えば友好的。
・マドロック
レユニオンのやり方に疑問を抱いてはいるものの脱退には至っていないため、ウォルモンドの一件には関わらない。その他詳しいことは次回のドクター視点での会話で語られる…ハズ。