レユニオンと往くテラの大地   作:青影

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 ほぼ原文+αなのに1から話書くより時間かかりました
 てか元の文の時点で完成されすぎててほぼ変えようにも変えられる箇所がなかったので半分以上はそのまんまです




契約

 

 

アーミヤ視点

 

 

 

 ドクター救出作戦から数日後、私達ロドスは龍門へ来ていました。レユニオンの次の目的地が龍門だからです。今度こそ、私たちはそれを止めなくてはなりません。

龍門の国境にある検疫所、そこが待ち合わせ場所です。少し辺りを見回すと、近衛局の方に指示しているチェンさんを見つけることができました。

 

「────お待たせしました」

「時間通りだな。では行くぞ。ロドスの人員はアーミヤのみ私に同行してもらう。他のものは、ここに残って龍門国境警備隊の補佐に当たれ。いいな?」

 

 ロドスの他の方々、近衛局の方々はチェンさんの気迫に圧倒されています。話には聞いていましたが、本当に厳しい方のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 目的地へ向かう途中、私たちは龍門の街並みを見る機会がありました。とても綺麗で、人の営みを感じます。この都市を守らなくてはいけない……そう、改めて決意しました。

 

「ここだ」

 

 私はチェンさんに雅な装飾が施された部屋に通されました。奥からは何かを話している声が聞こえます。

 

「このままでは、次のチェルノボーグとなるのは龍門でしょう。ですから────」

 

 とても聞き慣れた声が聞こえます。

 

「これはケルシー先生の声、でしょうか?」

「ああ。君たちロドスの交渉役として、ウェイ長官と会談をしている最中だ。ここで待っていてくれ、後ほど案内する」

 

 そう告げると、足早にチェンさんは奥へ行ってしまいました。チェンさんにも、ケルシー先生にも不安はないですが……やはり一人というのは心細いものです。不安に押しつぶされそうになって……それに、こうして1人になると、誰も私のところに来てくれないんじゃないか、と時々思ってしまいます。

 しばらくすると、チェンさんが戻ってきました。

 

「入ってくれ。2人とも君を待っている」

「わかりました」

 

 奥へ進むと、すぐにケルシー先生と目が合いました。

 

「ケルシー先生!」

「アーミヤ……」

 

 先生は私の姿を見ると、少し安心したような表情を見せた気がします。普段はそんな表情を見せないのでそのことに少し驚きつつも、先生からの信頼を感じました。

 

「君がアーミヤか。話は聞いてるよ。そちらの席にかけてくれ。今、ケルシー君からちょうど説明を受けていたところでね」

 

 そう龍門のトップ、ウェイ長官から促され、ケルシー先生の隣に座ります。彼は私が席についたことを確認すると、ケルシー先生へと目線を移しました。

 ケルシー先生は、しばらくウェイ長官に龍門の現状、そしてレユニオンの脅威についての説明していました。しかし、ウェイ長官もチェンさんも、納得できない様子でした。このままでは協力は無理なのかもしれない……そう私が思い始めた時です。

 

「では、お二人とも。チェルノボーグが一夜にして陥落した本当の理由は、知らなくてもよいと……そう言いたいのですか?」

ケルシー先生はそう聞きました。確かに、彼らの情報網がいくら優れてるとはいえ、その場にいた人の方がより正確な情報を知ることができます。それがあれば、龍門での対策もより強固なものになるでしょう。

「……」

「聞かせてもらおう」

 

 ウェイ長官は、やはりその情報に興味を示しました。チェンさんも仕方なくといった感じに、こちらへ耳を傾けています。

 

「────アーミヤ」

「……はい。ロドスの人員は、チェルノボーグの事件だけではなく、あの天災を経験したうえで生還を果たしました。そしてあの日、私たちはレユニオンのリーダーとも交戦をしました」

レユニオンのリーダーの話をした途端、2人から驚きの感情が伝わってきました。チェンさんは目に見えて動揺をしているようですが、ウェイ長官は変わらず悠々としていました。

「ほう?彼女とやり合ったのか。名はなんと言ったか……」

「……タルラです」

「ああ、そうだそうだ。そのような名前だったな」

 

 今のウェイ長官からは、芝居がかったように見えました。彼は顔にこそ何も出していませんが、様々な感情を抱えているようです。

 

「チェン警司、君は知っていたかね?」

 

 ウェイ長官が彼女に対してそう聞くと、チェンさんは苦虫を嚙み潰したような顔をしました。それは、まるで聞きたくなかった事実を聞いて、それが本当なのだと受け入れなくてはならないような様子でした。つい先日の私も同じような表情をしていたような気がします。

 

「…………はい。存じて、おります」

 

 チェンさんはどう返事をすればいいのか困惑している様子でした。やはり、私たちが知らないことを、お二人は知っているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も、私たちがチェルノボーグで見た光景を事細かに説明しました。ウェイ長官も、この内容については一定の納得を示してくれました。

 

「……以上が、チェルノボーグでの私たちが経験したものの詳細です。なお、天災に見舞われたあの都市は、ウルサスの統治下から外れることになりました。レユニオンは勢力拡大のため、大量の物資が必要となりました。そこで目を付けたのが龍門というわけです。確かに龍門なら、彼らの破壊活動を一時的には阻止できるでしょう。しかし、積極的な対応を取らなければ、襲撃は今後も続くことになります。加えて……現状においてウルサスは、この件に関して何の声明も出していないことが気になります」

「いい着眼点だな、お嬢さん。……君たちの言い分は理解した。この緊迫した状況と、龍門近衛局の人員にも限りかあることを考慮して、合意済みの仮契約のもとに、そちらの具体的な計画を聞いて検討しよう。だが、先程も言及したように────」

 

 ウェイ長官はケルシー先生の方を見やり、話を続けます。ケルシー先生もやや不快そうな表情をしながらも、彼の言葉に耳を傾けていました。

 

「……ロドスからの要求はやはり多すぎる。ゆえに、この契約を妥当なものにするべく、こちらから条件をつけさせてもらう。なに、たったの二つだけ、シンプルな内容だ。一つ目は、レユニオンによる脅威を、近衛局に協力して排除すること。これは、チェルノボーグ関係者への対応と、龍門市内へ潜り込んだ者たちへの特定、両方を含んだものだ。そして、いわゆる感染者などの侵入状況などについても、いかに有用な情報も、必ず龍門側に共有してもらいたい」

 

 これは、ロドスと龍門が協力関係を築くために必要な条件ということでしょう。

 

「────では、二つ目の条件というのは?」

「そちらは、この体制での初任務を終えたあとに伝えるとしよう。無論、二つ目の要求も、君たちの能力や業務内容を超越するようなものではない。その点は安心してくれたまえ」

 

 ウェイ長官はそう言い切り、深く息をつきました。条件を提示せずに後から契約違反と言われても困るので、できればここで聞いておきたいのですが……。どうやらそれは先生も同じようです。

 

「失礼ながら、その説明だけでは理解が及びません。詳細な内容を開示していただけませんか」

 

 先生もそう食い下がります。

 

「ならば、こう言おう。万一、レユニオンが龍門にロドスの予想を上回るような損害を与えた場合、近衛局に協力し、適切な対処を行い、事後処理に当たってもらいたいのだ。もちろん、可能な範囲で構わんがね。……と、概要としてはこんな所だ。現時点では、これ以上の詳細は伝えられない。だが、君たちに選択肢がないことは忘れずにいてもらいたいものだ。仮にこの条件では受け入れられないというのなら……残念だが、この話はなかったことになるだろう」

 

 今の話からすると、特におかしな話ではありません。でも、それをあえて伝えないようにした事の意図が汲み取れないのが少し不安です。ケルシー先生も同様の懸念を抱いているように感じました。ここは私が……。

 

「……ウェイ長官、契約書に追加していただきたい条項があるのですがよろしいですか?」

「ああ、言ってみたまえ」

「『条文の解釈は、両者間での協議のもとで決定すること』────この内容でいかがでしょうか?」

「ほほう、なるほど……もちろんだとも。これは君から龍門への敬意を示した一文でもあるようだしな」

 

 ウェイ長官は、私の提案した内容を好意的に受け取ってくれたようです。これで不当な契約があったとしても、状況を覆せるようにはなりました。あくまで保険程度ですが、ないよりはいいでしょう。

 

「さて、チェン警司。何か意見はあるか?」

「いえ。私も、この内容で異存はありません」

「よろしい。どうやら彼女も、為すべきことを理解したようだな」

 

 チェンさんも、最終的には納得してくれたようです。ただ、彼女の顔には僅かに不安の色が残っていました。今の内容に納得がいっていないというわけではなさそうですし、やはり────

 

「それでは……おめでとう、諸君。ロドスは晴れて、龍門の信頼を勝ち取った。今後はこのチェン警司を窓口として、対応させてもらおう。とはいえ、感染者である君たちが市内で自由に行動してしまうと、市民がパニックに陥る可能性もある。そこで、任務に当たる際は必ず龍門近衛局の指示に従ってほしい。特にチェン警司の命令は、重視してもらえたらいいと思っている。────そうすれば、龍門はロドスに門戸を開き続けよう。君たちが選択を誤らない限りは、な」

 

 ウェイ長官はそう話を締めくくり、後日話を進めるということで今日はケルシー先生と共にロドスへ帰ることとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~……ウェイ長官って、本当に難しい相手ですね……。終始ゆったりと構えていて、何事にも動じませんし……理路整然とした話しぶりで……」

「アーミヤ。君には、こうした場面においても、自力で対処できるよう研鑽を積む必要がある」

「えへへ……ありがとうございます、先生」

 

 私とケルシー先生は、ロドスへの帰り道で少し会話をしていました。先生も、顔には一切出していませんが疲れを感じているようでした。

 

「ときに、アーミヤ」

「はい、なんですか?」

 

 先生は改まってこちらを向いてきました。

 

「……今は龍門、ひいてはレユニオンの問題について気を止めておいてくれ。他の問題は私が対処をする」

「……?はい、わかりました」

「では行くぞ。私たちに用意された時間は少ない、できるだけ早く事を済ませよう」

 

 先生はそう告げると、龍門の街並みに背を向け歩き始めました。私はその背中を追いながら考えます。

 (先生は何を言おうとしたんだろう……?それに、時間がないっていうのも。まだ、私にはわからないことが多すぎる。それにドクターも助けないといけない。とにかく、今は龍門、それにレユニオン。この問題を解決して、いち早くドクターを助けないと)

 今は、暗闇の中を進むしかありません。でも、そこに希望を見出すしか、今の私達にはできないのです。

 (こんな時に、ドクターさえいてくれれば……)

 ドクター……待っていてくださいね。私達が、すぐに助けに行きますから。それまで、どうかご無事で。

 

 






登場キャラ紹介


・チェン
 トゲトゲ要素はあんまり出てこないチェンちゃん。元からあんまり変化なし。



・ウェイ長官
 いつも通り。コチシェイとの因縁はあるし、当然タルラのことも知っている。

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