新イベも始まりましたね。年末年始にじっくり読もうと思います
ドクター視点
「そういえば、どうしてマドロックはレユニオンを離れようかどうか考えていたんだ?」
私は、ふと気になったことを聞いてみた。ロドスのことが気になった、だから私に話から話を聞きたいというのは分かる。当然の道理だ。ただ、レユニオンから離れ、ロドスへ行こうとする理由がわからなかった。
「……ドクターはレユニオンとロドスの行動方針を知っているか?」
「いや、知らないな」
「そうか、では説明しよう。レユニオンは感染者で構成された組織だ。当然、感染者のために動く。これがどういうことか、貴方には分かるか?」
「非感染者に対する態度が良くない……ということか?」
「そうだ。鉱石病や源石の被害に苦しんでいるのは、何も私達感染者だけではない。非感染者も同様に、その被害を受けている。しかし、感染者と非感染者は対立し、互いを敵視している。私は……その現実を変えたい。感染者と非感染者、両者が共に歩んでいける未来が見たい。そんなことを考えている時に、ロドスについての話を聞いた。当然、最初は耳を疑った。そんなものはただの理想だと。私もそうであったら良いと願っているものの、世界はそれを許すほど甘くはない。ただ、彼らはそのために真っ直ぐと進んでいるようだった。だからこそ……私はロドスに惹かれたのだろう。その後もロドスについて個人的な調査を行なっていたが、言葉通りの行動をしていたようだ。それでも死傷者が出ることには変わりないらしい。悲しいことだ」
そういえば、少し前にもマドロックが言っていた気がする。『感染者と非感染者が手を取り合える世界を作ること』が彼らの目標だと。それに対して行動を続ける彼らは、ただの理想論者というわけでもないらしい。一体誰が、何の目的で創った組織なのだろう。私は一体そこで何をしていたのだろう。
「そうか……レユニオンはどうなんだ?彼らも感染者の権利のために活動しているんじゃないのか?」
「レユニオンは、感染者のための組織だ。多くの人は、非感染者に対する怒りに支配されている。リーダーのタルラや、フロストノヴァらはそういうわけではなさそうだが……組織単位で見ると、非感染者の敵なのだ。それに加え、彼らは全ての命を平等に扱うわけではない。非感染者が感染者に対してそうであるように、感染者も非感染者に対して非協力的かつ容赦がない。自分達がやられたことをそのまま返すといった風に、感染者の怒りを、屈辱を、恨みを、非感染者に与える。例え彼らが自分達に対して何もしていなくてもな」
「マドロックはそれを変えようと……?」
「おおよそはそうだが、少し違う。本来、私達は争うべきではないと私は考えている。皆、元はただの人なのだ。『罪を憎んで人を憎まず』という言葉があるように、私たちは共に鉱石病という脅威に立ち向かうべきだというのが私の考えだ」
確かに、マドロックの考えはロドスの考え方と近いようだ。『感染者』という立場と『非感染者』という立場。それらはあくまで、立場に過ぎない。ただ、互いが互いを憎み、傷つけ、争うことでその溝は深まり、立場に囚われてしまう。私は、それが何より恐ろしいことであると同時に、人の本質であるようにも感じた。互いに相容れない立場である時、私はどんな選択をするのだろう?
「難しい問題だな」
「ああ。私もどうするのが正解か分からない。私の理想に着いてきた数多くの同胞は命を落とした。私も未だこの大地に立ってはいるが、いつ死ぬかも分からない。しかし、この争いはいつ終わる?1年後か?10年後か?100年後か?それとも終わりはないのか?……終わらせる方法はないのか?多くの命を、罪なき人々の命を救うにはどうすればいい?」
「マドロック、君は……強いな」
私はそんな感想を漏らした。会話を続ければ続けるほど、この大地は人々に優しくないこと、人々も負の連鎖を繰り返し続けていることが伝わってくる。この大地を変える……それがいかに厳しく遠いものだろうと、それを実現しようとするマドロック、そしてロドスには頭が上がらない。
「そんなことはない。私は、ただ目の前で人が死ぬのはもう嫌なだけだ。それに、私は私の手の届く範囲でしか助けることができない。私の知らない場所でどれだけの命が消えていっているのか、私に知る由もない。だから、私は私のできることをしているだけだ。もっと私に力があれば……そんなことを思う時もある。それで力が手に入るなら誰も苦労しないがな」
今の話を聞いて、私は1つの考えに行き着いた。
「少し思いついたことがあるんだが、聞いてもらってもいいか?」
「わかった。どんなことだ?」
「────『今のレユニオンを変え、真に"感染者にための組織"にする』。今のままでは良い方向へは向かわない。このままでは、レユニオンもいずれ破滅の一途を向かうだろう。だから、今のような『感染者の怒りを非感染者にぶつける組織』ではいけない。『感染者を救う組織』に変える。もしかすると、レユニオンも最初はそんな志で行動していたが、人が増え、非感染者への怒りを持つ人々が集まり、そういった組織に変質してしまったのかもしれない。おそらくタルラはそれを良しとしたわけではないだろうし、彼女の目の届かない範囲でそういった怒りが発散されているのだと思う。何より、彼女はチェルノボーグが襲われている時に、すぐに暴徒を止めに入っていたからな。暴徒を放っておけば、多くの非感染者が死ぬこととなる。それを良しとせず、止めに入った彼女は非感染者だろうと関係なく命を救っていた。間違っているのは、彼女の指針ではなく、組織単位としての意思の方だろう。それを変える……というのはどうだろうか」
「つまり、タルラ自身の考えで今の組織が動いているのではなく、彼女の意図とは違う方へ組織が動いていると?」
「おそらくは。彼女が帰ってきたら話を聞いた方がいいかもしれない」
マドロックも過去のことを思い出しているようで、しばらく口を休めて考え事をしていた。私も、その間に考えを巡らせていた。
しばらくした後、マドロックが口を開いた。
「ドクター、ある程度考えがまとまった。聞いてもらえるか?」
「ああ」
「レユニオンに入った後のことを思い出していたのだが、確かにドクターの言っていた通りかもしれない。少なくとも、私の前で彼女が非感染者を襲え、といったような指示はしていた覚えがない。向こうから襲われた時に迎撃をしたことがあるくらいだ。その時も命までは取らなかった。それに加え、多くの仲間が彼女に着いていくのもそういった考えがあったからだろう。ただ非感染者を殺し、感染者の怒りや恨みを晴らす、といった人間に着いていく人は少なくはないだろうが、それも一時的なものだ。その怒りから抜け出した時、彼らはレユニオンを離れることとなっただろう。しかし、今もなおレユニオンには多くの人が集まっている。それには貴方が言ったような理由があったからなのかもしれない。もし、この考えが間違っているのだとしたら……彼女は相当な策士だろうな」
マドロックの言っていること、私の見たものを総合して考えると、おそらく私の推測は正しかったのだろう。
「そうか……ただ、それをどう実現するかという問題がある。それに、タルラや他の人らが私を仲間として迎えてくれるのかも分からない。今のところはただの夢物語に過ぎないな」
「……?今更だが、ドクターはレユニオンに入るつもりなのか?ロドスに戻るのではなく?」
「…………」
そういえばそうだ。完全にレユニオンの視点から考えていたが、元々はロドスにいたらしいことを考えると、ロドスに戻った方がいいのかもしれない。ただ、今のレユニオンの現状を放っておくわけにもいかないことには変わりない。
「……レユニオンに力を貸そうと思う。今はロドスについては殆ど分からないようなものだし、戻るべき理由もない。なら、レユニオンにいても変わらないさ。それに、もしレユニオンを変えることができれば、ロドスとレユニオンは敵対する理由もないだろうし、何ら問題はないだろう」
「だといいのだが……」
マドロックは少し不安げだったが、おそらく杞憂に終わるだろう。ロドスにとって今の私がいかなる意味を持つのかは分からない。ただ、私にとって今のロドスは深い意味は持たないのだ。またロドスが私へ接触してくるのならその時は話をするべきだが、今は何をできるわけでもない。それなら……少なくとも今は、レユニオンに力を貸すのがいいだろう。
この大地は広大だ。それに対して、人はとても小さい。1人では殆ど影響力を持つことはない。ただ、それが積み重なれば、少しずつ変えていくことができるだろう。より良い明日を願う人々のために、私たちは一歩、また一歩と踏み出すのだ。
今回は登場キャラ紹介はないのでお知らせです
今回から書き方を変え、誰がどのセリフを言ったか分かりやすいようにしました。アンケを取るので、前の書き方と今の書き方、どっちの方が見やすいか教えてくれると助かります。
理由ですが、書いてて自分が見ずらいなと思ったのが1つと、ストーリーを読み返していて名前があると誰が何言ってるか分かりやすいし、読んでる側の情報として入ってきやすいなと感じたからです。立ち絵もあった方がいいしBGMも大事。
今の書き方の方がいいという票の方が多かった場合は1話〜8話までも同様に書き換え、前の書き方の方がいいという票が多かった場合は9話(ここ)〜最新話までの書き換えを行います。アンケ期間は9話投稿日から1週間くらいで決めようかと思います。よろしくお願いします。
古い書き方(1〜8話)と新しい書き方(9話〜最新話)、どっちの方が見やすい?
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古い書き方
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新しい書き方