巫女転生 -異世界行っても呪われてる-   作:水葬楽

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三二 紛争地帯の子供

 ゾルダートさんたちと別れて数日が経った。

 例のごとくオルステッドについて行き、転移魔法陣を使ってどことも知れぬ地に来た。

 そして、オルステッドは私を壁に囲われた町の前に置き、ナナホシだけを連れてどこかへ行ってしまった。

 

 一人はちょっと心細いし、私もナナホシといっしょに連れて行ってほしかった。

 でも、人里の前に置いていかれただけ、たぶんマシなのだろう。

 前は、人っ子一人いない砂丘に置き去りにされかけたのだし。

 

 

 とりあえず、カーリアンにいたときの事を思い出してみよう。

 話している相手はルーさんだ。

 

『旅の基本?』

『教えてルーさん』

『そうだな……おれは新しい町に来たら、最初に寝床を確保するようにしている。日が落ちる前にな』

 

 旅の基本そのいち、泊まる宿を決める。

 私は小路や人通りのない場所に行かないように気をつけながら、宿屋っぽい看板を探した。

 

「……」

 

 と、行く手を阻まれた。

 10歳くらいの男の子だ。()ぎだらけのチュニックを着ている。

 

 よけて横を通ろうとしたが、通せんぼされた。

 よく見ると彼は刃物をこっちに向けている。

 

 これは、あれだ。強盗だ。

 

 またまた、私はカーリアンでの出来事を回想した。

 話し相手はフェリムだ。

 

『旅の基本? ……つってもなあ、俺も旅と言えば野宿ばっかりだったし……。……うん、危ない奴には逆らわないことだな。とにかくその場では大人しくして、差し出せるものは差し出して、耐えるんだ』

『お金も服もぜんぶ?』

『それで命が助かるなら、安い、安い。大丈夫、身一つあれば、意外とどうにかなるもんだ』

 

 

「あげる」

 

 旅の基本その二、我が身にまさる宝なし。

 私はベルトポーチから金を取り、男の子に差し出した。小分けにして持っているからこれが全財産ではないが、人を寛大にさせるに足る金額だ。

 私より年上とはいえ、子供である。呪いでどうこうしてしまうのは可哀想だ。

 金で解決できることなら、そうしよう。

 

 彼はサッと確認したそれを自分の懐にしまうと、「どっから来た?」とようやく口を聞いた。

「カーリアン」と答えたが、彼は無表情で首をかしげ、市壁を指し、「外から来たのか」と質問を変えた。

 

「うん」

「親は」

「とおいとこ」

「……」

 

 男の子はすたすたと歩き出した。

 見逃されたのかしらと棒立ちになっていると、彼はこちらを振り返り「ついてこい」とひと言。

 ついてこいと言われたのでついて行く。

 

「わたし、シンシア。お兄さんのお名前は?」

「イーライ」

 

 イーライは崩れかけた小屋が並ぶ通りに入っていく。

 小屋は川べりに沿って並んでいるらしい。遠目には宮殿が見えるのだが、私がいる小路には、いまにも倒壊しそうな家々がぎしぎしと押し合いへし合いしている。

 一帯は、鉄錆と厨芥と糞尿の臭いにみちていた。

 

 大きく立派な教会の前を通った。

 十字路には、病の乞食がたくさんいる。

 流行病が心配でトウビョウ様で視ると、そのほとんどが病をよそおっているだけだと判明した。

 あの黄疸がひどく見える者は身体に馬糞をこすりつけているだけだし、子供が多くて養いきれないと主張する者のそばにいる子供たちはよその家から借りた子ばかりだし、鎖につながれて人に引かれ衣服をはだけた気狂いの女は実は正気だ。

 

 イーライは彼らには目もくれない。こんな光景は日常なのだろうか。

 

 乞食がたくさんいる十字路を通りすぎ、しばらく歩く。

 イーライは羽根つきの帽子をかぶった男の前で立ち止まった。

 男は底の浅い箱の側面に穴を開け、紐を通して首に提げている。

 

「選べ」

 

 ぐっと背後からイーライに抱きすくめられ、足が浮く。

 立ち売り箱の中身が見えた。鳥の巣が幾つか詰められている。

 巣には、すべて卵が入っている。茶色だの青緑だの黒の斑だのと種類がそれぞれ違うようだ。

 選べと言ったって、何に使うのだろう。食べるのかしら。

 

「……これ?」

 

 椋鳥の卵のような、青緑の卵が四つ入った巣を指さした。

 イーライは私を下ろし、さっき私が渡した財布から金を出してその巣を買いとった。

 イーライはまた歩き出した。川にそって進む。

 共同洗濯場では女たちが集まって洗い物をしていた。

 

「あ」

 

 と、イーライが言い、女たちのそばに行った。私もついて行く。

 女たちは洗い物の手をとめ、イーライは鳥の巣を足元に置き、ひざまづいた。

 きょとんとしていると、横から濡れた女の手がのびてきて、頭を押さえつけられる。

 路上で遊んでいる子供たちを大人たちが制し、小屋の中に引きずり入れた。

 

 すると、少し離れたところを、鎧姿の集団が通った。

 高貴な服装の人が、何人もの鎧に付き添われている。

 彼らは目もくれず、頭を垂れて跪いた人たちの前を通り過ぎた。

 

 鎧集団が通り過ぎると、女たちは洗い物を再開し、イーライもまた歩きだし、小屋から子供たちが出て遊び始めた。

 静まり返っていたのが嘘のように、騒々しさは戻ってきた。

 

「いまの、だれ?」

「知らない」

「だれだか知らないのに、みんな静かにするの?」

「そうだよ。お前、変なこと訊くな」

 

 東にむかうにつれ、敷地は細くなる。

 右手に広大な館が城壁に沿って並び建ち、左手は小さい木造の小屋がひしめく間を細い小路が延びる貧民窟めいた一郭である。

 

 

『農夫がへりくだって手に接吻し、高位者の前で道路の埃のなかに身をかがめているところには、滞在してはならないよ。そこには暴君がいるからだ』

 

『貧しい国と豊かな国の見分け方を教えてやる。宮殿のまわりに崩れかけた小屋が並んでいるところは、ダメだ。飢えが支配している。幸せなのは一人で、残りは皆泣いている国だ』

 

 小路を進むイーライに追いつきながら、私はトイリーさんとゾルダートさんが言ったことを思い出すのだった。

 

 

 

「ついた」

 

 イーライは瓦礫の山をずらし、地表に現れた穴に降りていった。

 中に梯子を渡してあるらしい。イーライは片腕で鳥の巣をかかえ、片手で器用に梯子をつかんで降りていった。

 

 ひょいっと穴の中を覗き込む。

 下でイーライが手を振った。なかなか広い空間であるらしい。

 ブエナ村にいるときにみんなで作った秘密の家を思い出し、少しわくわくしながら、私も錆びついた梯子をつかんで慎重に降りた。

 

 降り立ったのは、広い暗渠(あんきょ)だ。

 水は枯れてはいないらしい。壁に埋め込まれた光る石が光源となり、人が通れる足場と、黒い水面を、照らしている。

 

 水がぼんやりと青白く光る箇所があらわれた。

 

「水が光ってる」

「魔法陣だ」

 

 水路の底に魔法陣が描かれているのだった。

 転移魔法陣とは、模様がちょっと違う。何でだろう。

 

 水の中に沈んだ魔方陣の横を通り過ぎてから、地上と同じ濁った川の臭いがしなくなっていることに気がついた。

 そういえば、カーリアンには、下水を浄化する仕組みの魔道具があるらしかった。実際に見たわけではないけれど。

 

 さっき見たのは、水を綺麗にする魔道具……魔法陣だろうか。

 

 暗渠の中は蟻の巣のように枝分かれしていて、大勢の人間が暮らしているようだ。

 通路の壁にはタペストリーやカーリアンの教会で見た聖像画が飾り付けられていた。

 壁を掘り作った空間から、ときどき人が顔を出してくる。

 黙ってこちらを見下ろしてきたり、イーライに声をかけたりと、反応はそれぞれだ。

 

 キャンキャンと子犬の鳴き声が聞こえた。正面に黒い人影があり、近づいてくると輪郭と色彩がはっきりした。

 子犬にまつわりつかれている女の子だ。

 

「おかえり、イーライ!」

「ただいま」

 

 彼女は私を見て、「捨て子?」と訊いた。

 

「捨てられてないもん」

 

 たぶん。

 

「初めは、みんなそう言うわ」女の子は言い、「バーバ・ヤーガがいるから大丈夫!」と、私の肩にぽんと手を乗せて、通り過ぎた。

 

 バーバ・ヤーガ? と、私は聞き返したかったが、イーライはすたすた先を行ってしまう。

 私は反対方向に進むイーライと女の子をきょろきょろ見比べ、イーライの方について行った。

 

 バーバ・ヤーガという存在は知っている。

 北方大地の怪物だ。カーリアンに居たときに、楽師から聞いた。

 

 いま私がいる国が地図のどこに位置するのはわからないが、少なくとも北方大地ではないはずである。

 移動に転移魔法陣を使ったし、それに、この町はカーリアンの気候よりずいぶん暖かい小春日和だ。

 

「イーライ、ここってなんの国?」

「ガルデニアだ」

 

 わからない。

 地図でそんな国見たっけ。

 

「わぷっ」

 

 記憶を探ることに熱心になっていた私は壁にぶつかった。

 柔らかい壁……じゃなくて、イーライの背中だ。

 

「ごめんね」

「いいよ」

 

 それからイーライは、持ってた鳥の巣を私に持たせた。

 

「渡してこい」

「だれに?」

「バーバ・ヤーガ。この先にいる」

 

 イーライの指さす方向を見た。

 光る石に照らされているとはいえ、光の程度はぼんやりしていて、先にいくほど真っ黒に見える。

 さっきまでわくわくしていた地下の迷路が、とたんに怖いものに見えた。

 

「ひとり?」

「そう」

 

 まごついていると、「行き止まりまで、歩く。右手側のほうに繻子がかかった入り口があって、そこがバーバ・ヤーガの部屋」とせっつかれた。

 イーライは「右手側」と言うとき、私の右手の甲に人差し指の爪を食い込ませ、弧型の痕を残した。

 

「アトがついた手が、右だ。ほら、行け」

 

 どうあっても一緒に来てはくれないようだ。

 諦めて一人ですすむ。

 

「……ここ、どこ?」

 

 ついてこいと言われて、ついてきた。

 何も考えずに来てしまったけれど、これで良かったのだろうか。

 

 やがて言われた通りの場所にきて、右手の痕は消えてしまったけれど左右の区別はつくので、右手側の壁にある入り口を探した。

 

 暖簾のように空間の奥行きを隠す朱色の本繻子を見つけ、鳥の巣を抱えて捲り、中に入った。

 天井は入り口よりうんと高くなっていて、オルステッドが中で立っても頭をぶつけないくらいだ。

 床には絨毯が敷かれていた。

 

 なんだか踏みたくない。

 布団や畳だって土足で踏んだらいけないもの。

 

 その場で靴を脱ぎ、絨毯の端っこに揃えて置いた。

 足全部をつけないように、ちょっとつま先立ちになって歩く。

 もぐらか蛇が人の心を持っていたら、きっとこんな感じの家を作るのだろうというふうな一本通路だ。

 両端の床には本が乱雑に積まれ、天井や壁には顔の描かれた太陽や月のお守りだの数珠を巻きつけた赤鹿の角だの玉虫色の尾羽だのと魔除けの品々が吊り下がっている。

 奥にいくほどごたごたしてくるのだが、不思議と汚いとは感じない。

 

 奥に、人影が見えた。

 吊り香炉からのぼる煙で顔は隠れている。

 でも、刺繍を施した厚い座布団――クッションというのだっけ――に身を委ねている人の姿は見ることができる。

 肘のあたりまで袖を捲った朱色の詰襟に、腿幅から膨らみ裾にかけて細く絞り込まれた黒いズボン。

 投げ出された脚の長さは、オルステッドと同じくらいだろうか。上背のある男のようだ。

 

乃公(おれ)はバーバ・ヤーガ。地下街の王にして、ガルデニアの怪物だ」

 

 軽薄そうな声であった。

 異界の雰囲気に気圧されていた私は、少し緊張が解けた。

 もし、いかにもワシが王様だ! という感じの声だったら、逃げ帰りたくなっただろう。

 陽気な若者のように親しみやすい声の調子は、私の緊張を溶かした。

 

「なんだ、今度のは、ずいぶんなちびだな。

 もっと近くに来い。顔が見えねえだろうが」

 

 寄ると、煙に隠れていたバーバ・ヤーガの顔が見えた。

 白くあるべき白目の部分は真っ黒で、ごく小さい金色の瞳が私を見ていた。

 オルステッドが三白眼だとすると、彼は四白眼だ。

 耳や小鼻に銀や金色の飾りを通していて、首や顔、服から出ている腕や足の甲にもびっしり華や蛇の刺青が彫り込まれている。

 輝くような銀髪を剃り落として弁髪にしていて、銀色の三つ編みを肩から胸に垂らしている。

 

 初めて見る種類の大人である。

 

「魔族?」

 

 貌が人とは異なる者は、だいたい魔族である。ベリトが言っていた。

 私が話で聞いたバーバ・ヤーガは、鶏の足の上に建つ小屋に住む、老婆の怪物だ。

 でも、実際にいるバーバ・ヤーガは、地下の暗渠にいて、若い男の姿をしている。

 私が首をかしげると、バーバ・ヤーガはニヤッと笑った。

 

「〈魔族〉じゃあ、括りが大ざっぱすぎる。雑すぎる。乃公はリザッケだ」

 

 と、言い、刺青が彫り込まれていない頬の鱗を指さし、それから口をあけて二股に裂けた舌先を指さした。

 

爬虫類(リザード)の特徴を躰に持つものを、リザッケとかリザックとか呼ぶのさ。わかったか?」

「はい」

「よし。素直な子供は好きだぜ。生意気なのも手がかかって好きだがな……」

 

 バーバ・ヤーガは手で〈座れ〉という仕草をした。

 私は彼の正面に正座した。何か質問したら、イーライより詳しく教えてくれそうだ。

 

「名前は」

「シンシア・グレイラットです」

「そんなら、シシィだ。シシィ、おまえは運が良い子だ、転移事件を生き残った」

 

 言い当てられ、どうしてわかるのだろうと驚いた。

 ひょっとして、私と同じだろうか。この人も何かの使いだろうか。

 

「土産がなくても受け入れるってのに、イーライのやつは心配性だ。だがそれも良し。備えあって憂いはないからな」

 

 バーバ・ヤーガは尖った黒い爪で青緑の卵をコンコン叩いた。

 そうして卵をつまみ上げ、殻ごと一呑みにした。喉の奥でパキャッと殻が割れる音を、私は四度聞いた。

 

「はわ……」

 

 殻ごと卵を丸呑みにする人、初めて見た。

 

「……どうして自分のこと怪物っていうの?」

「何でも知ってるし、何でもできるからさ」

「何でも?」

「ああ。試しに何かきいてもいいぜ」

 

 バーバ・ヤーガは、質問を促すように身を少し乗り出した。

 

「えっと、市壁の外側でね」

「うん?」

「高く積み上げられた足場のてっぺんに、大きな水車があって、二人の男の人が中で足踏みをしてて……あれは何をしてたの?」

 

 町に入る前に見た光景であった。

 土と木の市壁の一回り外側に足場が組まれていた。木製の水車の中に男二人が入り、横に渡された棒を掴んで内側に張り出した板を踏んでいた。

 地上には粉塵が舞っていて、何をしているかよく見えなかったのだ。

 

「そりゃあ、石壁を作ってたんだな」

「水車で? どうやって?」

「シシィが見たものは、水車じゃなくて、踏み車だ。中心から水平に長く突き出た棒に、太綱が結びつけられていただろ?」

 

 バーバ・ヤーガは、私が思い出す間を置いた。

 記憶と照らし合わせ、はい、と答えると、「車が回転するにつれて、綱は横棒に巻取られる」とさらに言った。

 

「そうして、綱で結わえた石塊を地上から引き上げてるんだ。

 石の壁が完成すれば、土塁に木の柵を巡らしただけの壁は取り壊され、市は広くなり防御力を増す、っつうわけだ。

 そして、踏み車漕ぎはほとんどが盲人だ。目明きだと、隙間だらけの踏み板から、うんと下にある地上が見下ろせちまうからな。

 だから(めくら)を使うのさ。盲目の者なら、恐怖をおぼえたり目眩に襲われたりすることはない」

 

「だが、目が見えなくとも」バーバ・ヤーガはわっと襲いかかる真似をした。「落下への恐怖は常にある!」

 

 バーバ・ヤーガのことは怖くない。私はがんばり、コクコクと頷いて同意を示した。

 視力を失うのは、怖いことだ。何も見えず、暗黒の中に取り残される。

 私の生前は、家族が世話をしてくれたから仕合わせな方だったけれど、大多数の貧しい(めしい)は、自分で生計を立てなければならない。

 盲が道を歩けば意味もなく石をぶつけ、杖で叩く人もいる。

 そんな中で、あんな高いところで、掴まる棒があるとはいえ、踏み板を踏む。

 仕事があるだけありがたいとはいえ、踏み外して落下する恐怖は必ずあるはずだ。

 

 バーバ・ヤーガは白目が黒いけれど、晴眼だ。卵や私の姿がきちんと見えているようだった。

 なのに、盲人の恐怖に理解を持っている。盲人を人と見ているということだ。

 

「他には何かないのか?」

 

 私はベルトポーチから白い手巾(ハンカチ)を出した。

 レースに縁取られた、純白の手巾だ。ゾルダートさんにもらったものである。

 

「これ、薔薇の形にできる?」

「ホラヨ」

 

 バーバ・ヤーガはサッと手巾を取り、団子を丸めるように重ねた手を動かした。

 右手が退かされ、左掌には白い薔薇が咲いていた。

 

「おお……」

 

 本当に何でもできるらしい。

 私は何度やってもできなかったのに。

 ごくりと唾を飲み込み、本命の質問にうつる。

 

「私のお母さんがどこにいるか、わかる?」

 

 バーバ・ヤーガは私をじっと見つめた。

 私も、金色の瞳を見つめ返した。

 

「!」

 

 ぐるっと眼球が裏返り、違う色の瞳が現れた。

 キロキロと眼が左右上下に動き、しかしある時ピタッと定まる。

 

「ベガリット大陸、ラパン市」

 

 と、答えた。

 しかし徐々に顔が顰められ、「あー……?」だの「なんだこれ」だのと不安になる言葉が混じる。

 

「お母さん、生きてる……?」

「あ゛ー、生きてる生きてる、それは確かだ」

「ほんと!」

 

 よかったあ。

 ゼニス母様が生きている。

 心から、嬉しかった。他にはもう何も要らないと思うほど。

 安堵から滲んだ涙をゴシゴシ拭い、また何かを告げそうなバーバ・ヤーガの言葉を待つ。

 

「生きてはいる、が、ちょっと妙だぞ」

「あの……なんか、緑色のうろことか、見えたりしない?」

「あ? 鱗かコレ。すると、魔物……いや、守護者(ガーディアン)だ……マナタイトヒュドラが、人間を守ってるのか……?」

 

 この人は、過去の私と同じものを視ている。

 相性が悪いのか、いまの私は、母様の居場所を見ることができない。

 バーバ・ヤーガには、知識がある。思慮もある。同じものを視ていても、読み取れる情報は桁違いなのだろう。

 

 普段はあまりしないことだけれど、私はバーバ・ヤーガを勝手に視ることにした。

 シンシアとして生まれてから、同じ神の使いには遭ったことがない。七年越しに見つけた仲間かと思ったのだ。

 記憶に焼きつけるように彼の姿を眺め、目を瞑って手を祈る形に合わせ、

 

「いたっ!」

 

 バチッと目の前で火花が散ったような感覚があった。

 視野が黒く盲い、私はひと時、視力を失った。

 鼓動するごとに頭がズキズキ痛み、床に顔を伏せた。

 慿神は、トウビョウ様だけではない。イズナ憑きやゲド持ち、オサキ憑き。色々いる。

 ただの人であれば平気なのだが、それらに憑かれた者に不用意に近づいたり、呪いをかけようとすると、ひどい目に遭うのだ。

 トウビョウ様はかなり強力だから、他の使いに負けたことはないが、私の心身を完全に守ってくれるわけでもない。

 

「ハァッハハハ!」

 

 バーバ・ヤーガの呵呵大笑が聞こえてくる。

 笑いながら、私に手を伸べたのだろう。後頭部に大きな手が被さった感触があった。

 

「作法を知らないのか? 邪視使いのおちびさん」

 

 何か言われたように思ったのだが、声はぼわんぼわんと頭の中で反響して、意味までは取れなかった。

 

「うー……」

 

 視力が戻り、頭痛も引き、のろのろと顔をあげる。

 壁に彫り込まれた模様が点滅し、ヒュッと頭上で風を切る音がした。

 私の後ろからすっ飛んできた本が、バーバ・ヤーガの手に収まった。

 本がひとりでに飛んできたのだ。これも魔術だろうか。

 バーバ・ヤーガはパラパラと古びたページをめくり、うん、と頷いた。

 

「いいか、シシィ」

「はい」

 

 改まった雰囲気に、ぴっと背筋を正した。

 バーバ・ヤーガは黒く尖った爪で、私を指した。

 

「おまえの母親は――」

 

 

 

 


 

 

 

 数日もすれば迎えがおそらくきっと来ることを告げると、バーバ・ヤーガは、それまでここに居ていいと言ってくれた。

 彼の部屋を出てから、地下の住民たちに毛布を貸してもらい、暖かい寝床を教えてもらった後、気になることができた。

 住民は、私より年上の子供ばかりで、大人やもっと幼い子がいないのだ。

 理由を訊くと、ガルデニアには捨て子が多いらしい。

 だから、国の法では、棄児の養育義務は高級裁判権を持つ者(オプリヒカイト)が負うのだが、たいていはその代理人の守護(フォークト)が養育費をもらって棄児を引き受けるらしい。

 

「なら、どうしてみんなフォークトの所にいないの?」

「オプリヒカイトからフォークトへ、養育費が払われるのは、子供が9か10歳になるまでだ。

 養育費が払われなくなったら、自立しなきゃならねえんだけど、子供の奉公先を見つけることまでは、フォークトの義務じゃない」

「9歳になったら、そのまま放り出されるの? 仕事もないのに?」

「そう。ぼくは10歳だから、親のつてがなけりゃどこにも雇われない。

 ふつうなら、からだが傭兵や娼婦をやれるほど大きくなるまで、物乞いをして過ごすところだ。

 でも、この町では、仕事と家のない子供をバーバ・ヤーガが守ってくれる」

 

 イーライは「飢え、寒さ、人攫い、レイプ、魔物……から」と怖いものを指折り数えた。

 小さな地下街に泊まった翌日、私とイーライは、ほかの四人の子供たちといっしょに、地上の町中を移動している。

 

「バーバ・ヤーガが魔物を倒すところを見たことは?」

 

 くるりと振り返って言ったのは、ランキーだ。

 私は、ううん、と首を振った。あの水路に魔物が出るのだろうか。

 

「ドラインキメラが出るんだ。B級の冒険者が戦っても勝てるかわからない魔物だって」

「それを、バーバ・ヤーガがひと睨み! ゴアア! 魔物は苦しんで死ぬ!」

 

 身振りも混じえてひょうきんに教えてくれたのは、ワン・アイド。生まれつき魔眼を持っているらしく、眼帯をつけている。

 それにしても、やせ(ランキー)片目(ワン・アイド)のっぽ(ロング)くせ毛(カーリー)、と、変わった名前が多い。

 

「そういえば、きみ、名前はなんだっけ?」

「シンシアよ」

「そっちじゃないわよ、バーバ・ヤーガにもらったあだ名があるでしょ」

「?」

 

 首をかしげた私に、昨日の記憶がよみがえる。

 

「シシィって呼ばれた」

「そっか、シシィだな! シシィに初仕事だ!」

 

 ロングが言い、カーリーは私の肩を抱いて、「あそこで水をもらってきて」と、ある一軒家を指さしたのだった。

 

 

 訪ねた家の婦人は、親切だった。

 不審そうに扉を開け、私をみとめてふと表情を緩めた。

「お父さんはモルゲン派の兵士です。わたしはふだんは輜重隊についていますが、次の戦争までこの町で休んでいます。よろしければお水を一杯くれませんか」と、カーリーに言われたままの台詞を言うと、家の中に入れて水を一杯くれた。

 私に与えられた設定は細かくて、婦人との会話につまることはなかった。

 窓の外でひらりと手がよぎったら、「帰ろう」の合図である。

 私はお礼をきちんと言って、干された果物までもらって家の外に出たのだが。

 

 

「盗んだの……?」

 

 イーライやランキーたちは、卵や鶏を大事そうに抱え込んでいた。

 さっきまでは持っていなかったものだ。鶏はすでに絞められたのか、ぐったりして動くことはない。

 家に招かれる前にちらりと見えた鶏小屋を思い出せば、おのずと答えは出てくる。

 盗みは、いけないことだ。前世から変わらず悪いことだ。

 

「だっ、だめよ、返して、あやまってこなきゃ」

 

 扉が閉まった直後、イーライに手をひっぱられて走ったので、あの家からは離れてしまった。

 ランキーたちに追いすがると、彼らはやれやれと言わんばかりに目を合わせ、肩をすくめた。

 

「俺たちゃ盗んでなんかいないさ。〈発見した〉んだ。持ち主の目が離れているとき、それは誰のものでもないんだぜ」

「んぇ」

 

 めちゃめちゃである。そんな道理が通るわけがない。

 何をするか知らされなかったとはいえ、彼らの盗みに加担したことに、罪悪感をおぼえた。

 ここにいたるまで良くしてくれたイーライに目をむけると、彼は仏頂面で言った。

 

「地上の人たちはペンで盗む。ぼくらは腕で盗む。おあいこだ」

 

 野の草や家畜は、地主のものではない。神様が与えたものだ。

 と、詳しく聞くとそんな感じの自論で、彼らは盗みを日常的に働いているらしかった。

 盗みだけではなく、ゴミ山から布くずや骨、金属を拾い、魔物の死骸からとれる素材も売って金に変えているから、親元にいたときより良い生活をしている者がほとんどだそうだ。

 

「バーバ・ヤーガは怒らないの?」

「どうして? バーバ・ヤーガが言ったんだ。「既得権益者が昔ペンで盗んだものを、乃公たちは腕で盗んで取り返しているんだ」って」

「なんてことなの……」

 

 貧しい国らしいし、屑拾いだけではみんな飢えてしまうのかもしれない。

 でも、窃盗は、窃盗は……!

 

「さ、次の家だ。働かなきゃシシィのメシは抜きだぞ」

「帰りたいよぅ」

 

 できればオルステッドの所に。

 最大限贅沢を言うなら、母様の所に。

 

 

 

 五日目に、オルステッドは来た。

 イーライたちは、各々武器をとって襲いかかったが、あっけなく無力化された。オルステッドに相対した時点で恐怖のあまり戦意を喪失した者もいた。

 彼らの怪我を治してまわりながら、私は今後こういうことが続くのかもしれないと思った。

 旅先で世話になる人々を、毎回こうして怖がらせるのは申し訳ない。かといって、ひとりじゃ野宿はできないし……。

 

「助けて! バーバ・ヤーガ!」

 

 誰かが叫び、遠くに朱色を見た次の瞬間、ごうっと風が轟く音がして、バーバ・ヤーガがオルステッドに蹴りかかっていた。

 オルステッドは腕で防ぎ、蹴りを受け流した。

 

「無駄だ。貴様は俺に敵わん」

「……チッ、邪視が効きもしねえ。何者だ、テメェ」

「知ったところで無意味だ」

 

 まるでお前など怖くないというふうに。

 よそ見をしていても相手はできるというふうに。

 武術の構えをとったバーバ・ヤーガを無視し、オルステッドは悠々と私に近寄った。

 

「……!」

 

 イーライが青い顔で飛び出し、オルステッドにナイフを突きつけた。

 私はその背中をとんとんと叩き、「大丈夫よ」と言ってから、前に出た。

 

「……そういうことか。シシィ、この男がお前の迎えか?」

「うん」

 

 バーバ・ヤーガは豪快に笑い、「それならそうと言え」とオルステッドの肩をバシバシ叩いた。

 オルステッドは怖い顔をしている。いや、いつもの顔である。

 

「この男は無害だ! お前たちが大人しくスっ込んでりゃあ、そのうち出ていく!」

 

 バーバ・ヤーガが声を張って知らせた。

 それでも怖いものは怖いのか、地下の自室から飛び出してきた子供たちは、自然とバーバ・ヤーガのもとに集まった。

 オルステッドを睨みつける者、友人同士手を握りあって固まる者。

 前にも見たことがある光景だ。

 ワーシカとイヴたち、元気に暮らしているといいけれど。

 

「お世話になりました」

 

 先を行くオルステッドについて行く前に、振り返り、ぺこりと頭を下げた。

 盗みはちょっと嫌だったけれど、みんな悪い人たちじゃなかったのだ。ご飯をいっしょに食べてくれて、夜は楽器を持ちよって歌った。

 もっと長くここに居たら、きっと離れ難いくらい好きになっていたと思う。

 私はバーバ・ヤーガに言った。

 

「お母さんの居場所教えてくれて、ありがとうございます」

 

「んな畏まるなよ」バーバ・ヤーガはふと微笑した。「生みの親だからって、助けにいかなきゃならん理由はない。死んだっつーことにして、捨てろ」

 

 とんでもない。私はぶんぶん首を振った。

 

「お母さんのこと好きだもん。捨てないよ、助けるよ」

 

 そう言うと、なぜか、何人かの子供が哀しそうな目をした。

 さよなら、と手を振って別れ、走ってオルステッドに追いついた。

 

 

 

 外はすっかり夜だ。

 いちいち門を通っていては騒ぎになるためか、オルステッドが私を抱えて壁を越え、町の外に出た。

 ナナホシとはいつ合流するのだろう。

 きょろきょろと辺りを見回していると、「どうした?」と訊かれる。

 

「ナナホシは?」

「ああ……置いてきた。もう三日前になるか」

「……!?」

 

 ナナホシは魔術が使えない、私のようにトウビョウ様が憑いているでもない、丸腰の少女だ。

 その彼女を、置いてきた。オルステッドは今日まで町の外にいた。

 

「つ、つれ、連れ戻して! なにかあったらどうするの!」

「む? なぜそう焦る?」

 

 オルステッドのことはまだちょっと怖いが、怖がってもいられない。ナナホシの命に関わるのだ。

 オルステッドのコートを掴んでぐいぐい引っ張っても、彼はビクともしなかった。

 

「ナナホシが獣にやられちゃう!」

「……その辺の森に置いてきたわけではない。ペルギウスの下だ」

「え?」

 

 ペルギウスという名前は知っている。

 

「お空に住んでるひと?」

「そうだ。ケイオスブレイカーのな。

 奴は召喚術の権威だ。ナナホシが現れた理由も、ペルギウスならば何かわかるかもしれん。故に、しばらくナナホシを預けることにした」

「そなの……勘違いしてごめんね……」

「構わん」

 

 ということは、ナナホシは、空中城塞にいるというわけだ。

 しばらく会えないのは寂しいけれど、本にまで載っている人を実際に見れるのは羨ましい。

 

 もう外は暗い。すぐ寝るのかと思いきや、「用がある」と言って、オルステッドは農村に立ち寄った。

 村に近づくにつれ、そこが異常であることに気がつく。

 

 夜だというのに、村は煌々と赤く照らされていた。

 ブエナ村よりだいぶ小規模だが、村は柵で囲われている。

 

 あちらこちらの農家の煙出しから黒煙があがっていた。

 草葺の屋根、木組みをあらわにした壁が焼け崩れるのを、遠目に見た。火の粉は星屑に似ていた。

 胸の悪くなる臭いが濃くなった。オルステッドは破壊された柵を踏み越えて忍び入った。

 オルステッドから離れるのも恐ろしく、白外套のマントを握りしめて、はぐれないように歩いた。

 

 炎で照らされた亜麻畑には、人が倒れていた。首を断ち切られ四肢を断たれ、血溜まりに種が浮いていた。

 放火を免れた家も、戸口どころか壁まで叩き壊され土間が丸見えで、腸が流れ出た子供が壁にもたれている。

 四肢がちぎれ腹を裂かれた者たちが、地に折り重なり、踏み躙られた靴跡がそこここに刻まれている。

 女たちは臀を剥き出しにされ、血まみれの下半身を晒している。

 燃えさかる家に放り込まれたのだろう、皮膚が爆ぜ割れ、血を流す老人が、上半身を燃え崩れた家に突っ込んでいる。

 息のある者はいない。人も家畜も、皆燃えて死んでいた。

 

「近くに傭兵の宿営地がある。この村は掠奪の被害にあったのだ」

「……」

 

 人が焼ける匂いは生前も今世も、葬式のときに嗅いだ。

 こんなに大勢分のは初めてで、何か喋ったら深く吸い込んでしまいそうで、私は黙って自分の外套を鼻口に押しあてていた。

 

 生前、寺の坊主に見せてもらった地獄草紙が思い出された。

 傭兵というのは、本当に人間だろうか。地獄の鬼ではあるまいか。

 

 私もトウビョウ様の蛇を使い、人を殺したことはあるし、オルステッドの指示に従って何人か呪殺している。

 でも、ここまで酷い虐殺はやらない。やろうと思えば、トウビョウ様も同じことができるのだとしても、やりたくない。

 できるのと、実際にやるのでは、隔たりがあるのだ。

 

「歩きにくい。離せ」

 

 オルステッドは木組みを燃え残した家に入っていった。

 分限者のものであろう、他より立派な構えの農家だったが、倒壊する寸前だ。

 オルステッドは跨ぎ越えたが、私の歩幅では、戸口の前にうつ伏せになった骸を踏みつけることになる。待つことにした。

 

 オルステッドは、焦げた羊皮紙の束を持って戻ってきた。

 紙束は、地面に投げ出されるとほろほろ崩れた。何か書かれていたようだが判読できない。オルステッドは残骸に火を放ち、念入りに燃やし尽くした。

 何を目的とした行為かわからないが、他に目を向けても気が滅入るだけなので、オルステッドといっしょに紙束が灰になるのを眺めていた。

 

「〈青銅の首〉の設計図だ」

 

 オルステッドは言った。

 なにそれ、と聞き返す前に、彼は滔々と喋りだした。

 

「大昔、世界が六つにわかれていた頃、龍界では、学問も技術も思想も、今より遥かに進んでいた。龍界の叡知の結晶を託されていたのが、初代五龍将だ。後世では大半が失われたが、ラプラスは己の知を振り絞り、叡知を再現せんとした。青銅の首も、その一つだ。数多い事実から正確な推論を導き出せる機巧を、ラプラスは作った。政治上の質問に的確な答えを出すという触れ込みでな。

 ラプラスが自ら作った首は失われたが、手記から設計図を読み解くことはできる。俺も手記を解読したことがあるが、かなり時間がかかった。ノタリコンで書き散らされていたから……」

「のたりこん」

「特殊な暗号だ。ともかく、青銅の首を手にした国が、紛争地帯を制する。俺がしたのはその調整だ。これが残っていると厄介なのだ。設計図を奪いあい、かえって青銅の首の完成が遅れる」

「……」

 

 ええと。

 

「話むずかしくて、ぜんぜんわからなかったんだけどね」

「……そうか」

「私、戦争っていいことだと思ってたの」

 

 あの頃の日本は戦勝続きだった。

 出兵した知り合いが死んでも、国のために死ぬなら良いことだと思っていた。虐殺が起きているなんて知らなかった。

 

「こういう事がたくさん起こってるなら、戦争って悪いことよね。

 でも、せいどうの首? っていうのが完成したら、戦争が終わるんでしょ?」

「概ねそう考えていい」

「はやく完成して、戦争終わるといいね」

 

 オルステッドは肯定も否定もしなかった。

 嗅覚が慣れてしまったのか、鼻口を覆うのをやめて話した私を、いつも通りちょっと怖い顔で眺めていた。

 

「誰だ」

 

 ふいにオルステッドは後ろの家畜小屋を振り返った。

 あそこには焼けた牛馬の死骸しかなかったはずだ、と思ったのだが、ゆっくりと人影が出てきたとき、私は緊張してオルステッドの後ろに隠れた。

 

「ひゃっ」

 

 いきなり、土塊が飛んできた。

 次に氷が、火が、突風が飛んでくる。

 オルステッドが防いだものの、攻撃はやまない。

 

「珍しいな、無詠唱か」

「ソーニャ、こいつ全然効いてない!」

「どうしよう! 逃げる!?」

 

 私はオルステッドの後ろから飛び出していた。

 直後、襟首をつかんで引き戻された。頭に大きな手を翳される。ガキンと硬いもの同士がぶつかる音がして、目と鼻の先で土弾がオルステッドの手の甲で砕けて散った。

 

 彼女たちが紛争地帯にいることは、視て知っていた。

 でもまさか、こんな偶然に会えるとは思っていなかった。

 格好も髪も男の子みたいになって、人相も険しくなっているけれど、見間違えるはずがない。

 

「ソーニャちゃん! メリーちゃん!」

「……シンディ……?」

 

 ソーニャ。メリー。

 転移事件で離れ離れになった、村の友達が、そこにいた。





造語
・「リザッケ」
六面世界ではトカゲ野郎みたいな意味。龍族及び体に鱗のある種族への蔑称。
古龍の昔話によると人界に逃げのびた龍族は迫害されたっぽいので。差別語も過程で生まれているとリアルかなと。
ポーランド人を意味する差別用語「ポラッケ」「ポラック」を元にした造語です。

・「青銅の首」
ラプラスの遺物の一つ。
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