巫女転生 -異世界行っても呪われてる-   作:水葬楽

47 / 56
先日も日間ランキング入りしていたようです。
票も増えて嬉しい。皆様ありがとうございました。



四五 決闘裁判、序/残酷

 組みあわせねじり曲げた指のように複雑な城の内部を、アイシャは熟知していた。

 泣き止んだ彼女は、迅速にリーリャが囚われた獄に案内してくれた。

 そればかりか、彼女は、いつの時間、どの通路に人が少ないのかも、完璧に憶えていた。

 ときには空き部屋に隠れてやり過ごし、私は誰にも会わずに地下牢の入り口までたどり着いたのである。

 

 ちなみに、私の胸元は、声を押し殺して泣いたアイシャの涙と鼻水がくっついて、顔の形の痕跡が残った。

 魚拓ならぬ顔拓である。

 乾いた跡がちょっとカピカピしている。

 

 地下に続く獄の入り口には、兵士が立っていた。

 あくびなどして、暇そうだ。

 

「この時間にいるのは、あの人だけだよ」

 

 ひそめた声で言い、「でも」と、アイシャはしょんぼりした。「お姉ちゃんは通してくれないと思う」

 

 それもそうだ。

 リーリャに食事を運ぶ係のアイシャは、牢屋番と顔見知りだろうが、私は初対面。部外者である。

 オルステッドがいうには、見た目が子供のようでも、中身は成熟している種族もいるそうだし、子供だからと態度は甘くならないだろう。

 

「あたしがお姉ちゃんで、お姉ちゃんが妹で小ちゃかったらよかったね。

 そしたら、あたしがお姉ちゃんを毛布で巻いて、お母さんに毛布を届けたいんです、って言って、こっそりお姉ちゃんのこと運べたのにね」

 

 頭の回ることだ。

 私はアイシャのまるくてよく回る頭を撫で、手をつないで牢屋の番に歩みよった。

 アイシャは戸惑い気味についてくる。

 兵士は首に下げた小さな笛に手をやり、にこやかな顔をアイシャに向けた。

 

「アイシャちゃん、忘れ物かい? 横の、子……は……?」

 

 がくりと兵士がくずおれる。

 それで、私たちは易々と地下に入り込んだ。

 

「え、ぇえ? なんで?」

 

 アイシャは後ろを何度も振りかえった。

 束ねた髪もそれに合わせてぴょこぴょこと跳ねている。かわいいね。

 

「お昼の後だから眠くなっちゃったのよ」

 

 ごまかしつつ、手燭は入り口付近にあったのを拝借して、薄暗い階段を降りる。

 くんっと手を後ろに引かれた。

 アイシャが立ち止まっていた。

 

「お姉ちゃん、鍵。鍵がないと、お母さん出られない」

 

 私たちは引き返し、気絶した兵士の懐を探った。

 お姉ちゃん、ちょっとカッコつけて助けに来たから、恥ずかしかったよ。

 

 

 鉄格子があった。

 奥にはぼんやりとした影。

 手燭を差し向けると、輪郭が人の――リーリャの形をとる。

 リーリャは格子に背を向け、背中を丸めていた。

 

「お母さん!」

 

 アイシャは鍵束から迷わず一個を選び、うんと背伸びをして鍵穴に差し込んだ。

 私が手伝うより早く、アイシャはつま先立ちでプルプルと震える手で、牢の扉を開けた。

 そんな半ば手探りで即座にあけられるものだろうか。器用である。

 振り向き、アイシャを胸で抱きとめる前に、リーリャが手元の物を隠すのが見えた。

 

 牢は薄暗く、ひんやりと湿っぽい空気だ。

 床には寝床と思わしき古い藁が敷かれている。

 部屋の端にある壺は厠だろう。

 

 ようやく会えた。万感胸に迫る。

 リーリャさん! そう呼びかけて駆け寄る前に、彼女は言った。

 

「……すみませんが、どちら様でしょう?」

 

 そんな。

 私、リーリャに忘れられていたのか。

 アイシャは憶えていてくれたのに……。

 

 そうなってくると、次の言葉を迷う。

 ブエナ村の、パウロとゼニスの、二番目の子供です、と言ったら、思い出してくれるだろうか。

 言っている途中で悲しくて泣いてしまうかもしれない。

 

「もう何日もまともに陽の光を浴びていません。視力が鈍くなり、私からは、あなたの姿はぼやけて定かではないのです」

「リーリャさん。私よ、シンシアよ」

「……お嬢様……?」

 

 牢の中に入り、手燭を置いてリーリャの手をとり、私の頬にあてる。

 明かり取り窓ははるか上にあり、光は弱い。

 晴眼のリーリャが、一人で暗闇に閉じ込められるのは、きっと辛かっただろう。

 接近すれば文色は捉えられたようで、リーリャの瞼が濡れた。

 抱きしめられる。私も、記憶よりくたびれた彼女を抱きしめた。

 

「……ッ!」

 

 リーリャは途端に蒼白になり、バッと私の両手をにぎり、上にあげた。

 中途半端な万歳の姿勢になる。

 上から下まで、凝視される。

 何かしら。

 

「お、お嬢様、パックス殿下に、なにか……」

「何もされてないよ。逃げてきたもの」

 

 リーリャの危惧を察し、安心させた。

 どやさ! と、自分の察知力を誇る。

 

 リーリャの強ばっていた顔と体がほっと緩んだ。

 

 でも、まだ救出が成功したわけではない。

 城の外に出て、ジェイドが教えてくれた小屋に隠れる。

 アルスルの父親のハーマン・フックも救出する。

 それで大団円だ。

 

「行こう、お母さん。牢屋番の人は寝ちゃったから大丈夫だよ。今度は、あたしといっしょに逃げるよね?」

「アイシャ……」

 

 アイシャが小さな手でリーリャの腕を引き、立たせようとする。

 リーリャは困惑顔である。

 なぜここにアイシャと私がいるか考えているのだろう。

 

「リーリャさん、さっき、何を隠したの?」

「鉄格子の隙間から、手紙のやり取りをしていたのです」

 

 よく見ると、窓から細縄が垂れている。

 縄は火縄で、星のように小さく灯った明かりを頼りに、リーリャは手紙を読み、書いていたようだ。

 リーリャは縄の先を引いた。天窓からの明かりが翳った。

 人の顔が横から覗き、「シンシア?」とジェイドの声が聞こえた。

 

 


 

 

 獄の外に出たリーリャは、ロンデル窓からの光を浴び、眩しそうに目を眇めた。

 眼鏡の奥で目を瞬かせ、ぎゅっと一度強く瞑る。

 

「大丈夫?」

「ええ。すぐに慣れます」

 

 リーリャには私の肩に掴まってもらい、ジェイドとアルスルが待つ、天守の裾をめざす。

 二人がしのびこんだ抜け道を使って逃げるのだ。

 

「お母さん、お姉ちゃん、次は洗濯小屋に隠れて!」

 

 先導するのは四歳の女の子。アイシャである。

 人目につかない逃げ道を把握しているアイシャだが、人の動きは完璧には読めないものである。

 まして、王城にはたくさんの人が働いている。

 

「あっ……」

 

 ときどき、人に遭遇した。

 行きで誰にも会わずに済んだのは、私とアイシャが再会した場所から獄までの距離が近かった事もあるのだろう。

 

「あなたは、牢に、……」

 

 洗濯籠を抱えた女中がリーリャを見て驚き、激しい目眩に襲われたように壁に手をついてゆっくり倒れ、そのまま意識を失った。

 アイシャがきらきらした目でこちらを振り返る。

 私を信頼しきっている目である。

 

「わかった、お姉ちゃん、催眠術をかける魔道具を持ってるんでしょ。だからみんな寝ちゃうんだよね!」

「催眠術って、よく知ってるねえ、アイシャ」

「えへへ!」

 

 きっと本を読んだり、大人の話をよく聞いたりして、学問したのだ。

 急に知らない国へ飛ばされて苦労しただろうに。健気なことである。

 

 天守に通じるという中庭に出ると、兵士が駆け寄ってきた。

 すわ衛兵か、と思い、呪いかけたが、「シンシア!」と声をかけられたことで踏みとどまる。

 アルスルの声である。どうやら、兵士の格好をして、変装しているようだ。忍びみたい。

 リーリャはアルスルに深々と頭を下げた。

 彼らと私が協力していることは説明済みだ。

 

「よかった、無事にここまで来れたんだな」

「うん、アイシャのおかげよ」

「さ、行こうぜ。あと少しで外だ」

「ハーマンさんは……」

「わかってる。父ちゃんは、ここにはいなかった」

 

 アルスルはいちばん小さなアイシャを背負い、移動した。

 兵士がアイシャを構っている光景は、ここでは珍しい光景ではないのだろう。

 すれ違う人々に、アルスルが怪しまれ、呼び止められることはなかった。

 アルスルは昔から馴染んでいる兵士のように歩く。

 そうして物陰に隠れながらついて行く私たちに合図を送ることで、私たちの動線を助けた。

 リーリャもさほど早くは動けないものの、物音と気配を殺して移動するのはお手の物という感じである。

 彼女がしっかりと肩を抱いていてくれるので、私はなんとか置いていかれずに済んでいる。

 それにしても、人が少ないような。

 

「ジェイドさんは?」

「人払いのために、火事騒ぎを起こした」

「火付けをしたの?」

「いや、発煙弾さ」

 

 リーリャによると、城の一階は兵士や使用人の生活区域だそうだ。

 そのわりに、兵士をそれほど見かけなかったのは、みんな煙の方に出払っていたからだろう。

 ちなみに王族は四階と五階で起居しているらしい。

 食事も同じ階で摂るそうだ。運ぶ途中でご飯が冷めてしまわないのだろうか。

 

 

 そんな中で、私たちは……というか、私は、忘れていた。

 私を閨に呼んだ王族がいたことを。

 ものにできると確信していた女に反抗されると、激昂する男もいることを。

 自分は懐手で、手下を引き連れて城内を自由に行動できる存在がいることを。

 

「待て」

 

 甲高いわけでもないのに、妙に幼い印象のある声であった。

 

「!?」

「お嬢様!」

 

 次の瞬間、私とリーリャは、衛兵に囲まれた。

 無数の剣の先が、私たちを取り囲む。

 いまにも刺し貫かれそうだ。

 リーリャは私をきつく抱きしめた。

 

 アルスルは兵士の格好をして、私たちから少し離れていたおかげか、侵入者とは見なされなかったようだ。

 アイシャを連れて逃げて、と目顔で訴えた。

 伝わったのか伝わっていないのか、アルスルは素早くその場を離れたが、途中で立ち止まった。

 人垣と剣の隙間から、こわばったアイシャの顔、歯がゆそうなアルスルの顔が見える。

 

「くくく……」

 

 ずんぐりむっくりとした胴体を、深緑と黒を基調とした上等な服につつんだ男であった。

 子供のような矮躯と、大人の顔の取り合わせは不自然で、畸形のような、と、言っては、言い過ぎか。

 威圧感はあるものの、外見はちぐはぐで、不細工な小男である。

 別に、不細工だから嫌だな、と思ったのではない。

 どんな風采でも、(めしい)てしまえば姿形などわからなくなるもの。

 でも、なにか、既視感がある。

 背筋がソワソワとして落ち着かない。

 

 男は片手をあげて人垣を退かし、私とリーリャの前に立った。

 退路はない。

 こんなに大勢を、失神だけで済ませられるだろうか。

 殺すほうがずっと易しい。

 

「余は、シーローン王国第七王子、パックス・シーローンである」

 

 パックスの目が私をとらえ、表情はにたりと歪む。

 

「余に抱かれる光栄をふいにし、ましてや逃げ出したな。二度と逆らえぬように、その体に思い知らせてやる!」

 

「引き剥がせ」と指示を飛ばすと、兵士が一人ため息をつき、リーリャから私をもぎ取った。

 そうしてパックスの前に立たせられる。

 パックスはじゅるりと舌なめずりをした。

 

「まずは、パンツを脱いでコートを捲りあげろ。今すぐだ」

「そんなっ、パックス殿下!」

 

 リーリャが制止をふりはらい、額を地にすりつけた。

 突然動いたので、剣を下げるのが間に合わず、彼女の頬や首筋に細かい傷がいくつもできた。

 しかし兵士たちは、リーリャを積極的に傷つける気がないようだ。

 命じられ、仕方なく従っている、という風である。

 

「私ならどんな辱めでも受けます、ですからどうか、お嬢様は……!」

「ええい、年増の裸に興味はない! 貴様ら! 何をしておるのだ! さっさとリーリャを黙らせろ!」

「……ハッ!」

 

 黙らせる、とは。

 奇しくもここは、あの無骨な噴水の横であった。

 罪人の首を晒す台。血刀を洗うための噴水。

 

 私は、首飾りのようにした魔道具の指輪を思った。

 オルステッドを呼ぶより、呪い殺すほうが手っ取り早い。

 パックスは殺すな、と言われているけれど、リーリャの命より大事な約束ではなかった。

 呪わなくては。死んでくれますようにと。

 リーリャを巻き込まないように。

 アイシャとアルスルも守って。

 手を祈る形にすり合わせた。

 

「シンシア様」

 

 間際、リーリャが私の名を呼んだ。

 うつ伏せに押さえられ、後ろ手で拘束された彼女は、首を振った。

 

「いけません」

「でも……」

 

 どうしよう。

 殺せばこの場は逃げられるけど、リーリャはだめって言っていて、それに、王族を殺すのは大罪で、私はどうにかできても、リーリャまで命を狙われるようになるかもしれなくて……。

 ぐるぐるごちゃごちゃ。

 良い考えが思い浮かばない。

 

「何をもたもたしている! 早くパンツを下ろせ!」

 

 私はパックスに懇願した。

 

「言うこときいたら、リーリャさんに、何もしないでくれますか」

「ほほう。乳母の命乞いをするか。

 いいだろう、リーリャは生かしてやる。目の前で犯される貴様を見て、絶望する役目がまだ残っているからな!」

 

 私は俯き、腰のベルトに括りつけていた鞄を外した。

 

 旅を始めてしばらく、動きやすいからと履くようになった短いズボン。

 太腿を丸出しにするのは恥ずかしいから、灰色の長い靴下を履いて、半分は隠していた。

 靴下を脱げとは言われていないから、そのまま履いていていいのだろう。

 

 ズボンと下着にいっしょに指をかけ、ブーツの上まで、ゆっくりずり下ろす。

 靴裏ができるだけ服に引っかからないように、下を見ながら、片足ずつ慎重に抜いた。

 脱いだ服は簡単に折り畳んで、横に置く。

 

 ふだんは小さな布で覆っている場所が外気にふれている。

 すぅすぅする。

 

 生前も、トウビョウ使いになる前、男に股に悪戯をされたのも、今くらいの齢だった。

 チサがあまりにも小さかったので、蛇の頭のようなそれで刺されることはなかったけれど。

 引っこ抜けそうなほど激しく扱かれた蛇は、白いねばねばした血を吐いたのだ。

 

「こう……?」

 

 裾の長いケープを持ち、横に開いた。

 後ろのリーリャからは見えないが、パックスにはさらけ出す格好になる。

 パックスは蛇を取り出していじることは無かった。

 ただニヤニヤと私の太股の間を凝視している。

 

 あ、と、胸をつかれた。

 既視感の理由がわかった。

 

『わしはほんまは偉いんじゃ、この世の(おなご)はみんな、わしのもんなんじゃ』

 

 私を――チサを犯した乞食の生ぬるい吐息が膚によみがえる。

 性慾と支配慾にまみれた目も、歪んだ自尊心を弱い者でみたしている顔も、彼とパックスは同じだったのだろう。

 だから思い出すのだ。

 トウビョウ様に見捨てられ、自分の躰が死んでゆく感覚を思い出すのだ。

 

「ギャハハ! どうだ! 大勢の前で辱めを受ける気分は! 大人しく余の性奴隷になっていれば、こんな目には遭わなかったのだ!」

「……」

 

 私は、パックスに両腕を伸べた。

 にこっと微笑みさえ浮かべていた。

 理由がわかれば、もう怖くはない。

 

 

 なんじゃ、偉うなっても、おえんのか。

 欲しい女は手に入らんか。

 女がおらにゃあ、満たされんか。

 ほんなら、乞食も王子様も、変わらんのかもしれんのう。

 かわいそうな人じゃ。

 かわいそうなんは、かわええ。

 ええわ、抱いちゃる。優しゅうしちゃる。

 あんたはずうっと待ちょうたんじゃろう。女に誘われるんを。

 きょうてえことは、ねえ。わたしに任せておけばええんじゃ。

 

 

「ギャハ、は……」

 

 口にした訳ではない。でも、伝わった。

 ふらふらと誘われる彼は、私の白い太股に不吉な翳りを見たのだろう。

 扁平な乳房でも、いとしい女のものであれば、豊かに浮かび上がろう。

 

 丸く肥えた指がこちらに伸び、

 

「彼女が龍神の使者と知っての狼藉かっ!」

 

 声が私を揺り戻した。

 ジェイドが来ていた。

 変装したアルスルと異なり、彼は普段着のまま、平民とひと目でわかる格好をしている。

 彼は丸腰を知らしめるように、両手をあげて近づいてくる。

 兵士たちが剣を差し向けるか迷っているうちに、ジェイドはゆっくりと歩み寄り、私の横に膝まづいた。

 

 白痴のようにぼうっとしていたパックスは、ハッとして人差し指をジェイドに向けた。

 いまにも地団駄を踏みそうな勢いだ。

 

「あ、いや……な、なんだ貴様! 庭師(ボスタンジ)ではないな! 所属を言え!」

「私は代理人です、殿下。

 使者シンシア・グレイラットは若輩がため、これより彼女の本意は私を通してお伝えします」

 

 私はもたもたとズボンと下着を履き直した。

 左右と背後はコートに覆い隠されているし、正面以外からは見えていないはずだ。

 そんなに見られていないといいな。

 

「リーリャとアイシャを王城に軟禁している理由を、お聞かせ願います」

「ふん! そんなのは決まっている! ロキシーを誘き寄せる餌……じゃなかった、リーリャはスパイだ! 城に忍び込み、シーローンの情報を盗もうとしたのだ! 娘も秘密裏にスパイとして教育しているに違いない! 死罪にせぬだけ温情だと思え!」

「……事実ですか?」

 

 ジェイドはリーリャを振り返った。

 地に押さえつけられたままのリーリャは震える声で答えた。

 

「事実無根です。私と娘は転移事件に巻き込まれ、王城に転移したのです。私の主張は一度は認められ、娘ともども解放されるはずでした。しかし……」

「パックス殿下が、取り下げたと?」

「はい」

 

 ジェイドはパックスに向き直った。

 

「双方の主張が行き違っていますね」

「だから何だ。リーリャは嘘をついている。余は王子なるぞ。誰の言葉が正しいか、明らかであろう」

「失礼ながら、それは殿下が判断なさる事ではございません」

「なにっ!?」

 

 パックスが気色ばむ。

 被せるように、ジェイドは落ち着きはらって言った。

 

「リーリャの名誉をかけて、龍神の使者シンシア・グレイラットが、パックス・シーローン殿下に申し込みます。

 決闘裁判を開いてください。どちらが正しいか、神様が裁いてくださいます」

 

 

 


 

 

 

 決闘裁判。

 争いが起こった時、両者の合意を得て実施する裁判である。

 原告と被告が一対一で戦い、勝敗の結果で、罪の有無が決まるというものだ。

 裁判開始の前に、己が潔白であることを神の御前で宣誓する形式上、裁判は司祭の立ち会いのもと行われる。

 決闘に負けることは、偽誓をなしたことを意味する。

 偽誓の罪は重い。罪人とされたほうは両手を切り落とされる。

 死刑になることも珍しくない。

 

 と、ジェイドの話を、シンシアは真剣に聞いていた。

 必要な受け答えはすべてジェイドがしたが、大事なことだから、自分でもきちんと理解したかったのだ。

 

 思い返すのは、オルステッドとアトーフェの戦いである。

 オルステッドに負けたアトーフェは、従順にシンシアを解放したものだ。

 何で勝負していたのだったかしら、とシンシアは考える。

 青い鞠が飛んでいたのは憶えているけれど、まさか鞠突きで勝負したのでもあるまいし。

 

 とにかく、強いほうが正しいのだ。

 勝てばリーリャは解放される。その娘であるアイシャも。

 シンシアはこぶしを固めた。

 

「がんばって勝つね」

「驚いた、君が戦う気でいたのか」

「違うの?」

「子供、女人、老人、病人は、代闘士を立てる権利があるんだ。高位者にもな」

 

 ジェイドがシンシアに代わって決闘裁判を申し込んだ後、彼らはまだ王城の中庭に留まっている。

 あの後、シンシアが龍神の使者であること事態が法螺話だとわめいたパックスだが、腕輪と手紙に描かれた紋章を照合することでその疑いは晴れていた。

 

「金があるなら戦闘奴隷を買おう、と言いたいところだが、奴隷市場の有力な商人とパックスは昵懇の仲だ。裏で手を回され、まともなのは買えないとみていい」

 

 と、ジェイドはパックスにさっと視線を巡らせた。

 パックスは庭に運ばせた椅子にふんぞり返り、女中に羽根団扇で扇がせていた。

「遅いぞ! 司教はまだか!」と苛立ちをあらわにしている。

 

「もっとも強い駒は奴が独占するだろうしな」ジェイドは小声で言った。

 

「代闘士を職業にする者もいるが、彼らはたいていが流れ者で、前歴も実績もすぐには調べられない。実力を正確に把握できない者を雇いたくはない」

 

 ふむふむと頷きつつ、シンシアは、オルステッドに闘ってもらうのはどうだろう、と考えた。

 いや、彼なら誰にも負けないだろうが、呪いのことを考えると、現れた瞬間こちらが反則負けになりそうだ。

 シンシアは頭にもくもくと浮かんだ未来図をパパッとかき消し、自分の考えをなかったことにした。

 

「代闘士にはアルスルを選ぶ」

 

 だから、ジェイドの選択にも了承した。

 負ければ偽誓の罪。よくて両手を切り落とし、悪くて死刑である。

 神は正しい者に味方するそうだが、不確実な神より、自分の中に確実にいるトウビョウ様だ。

 呪いでもなんでも使って、アルスルの勝利を助けるのだ、と決意した。

 

 ちなみにアルスルは、一度城から脱出した後、普段着に着替えてシンシアの代闘士として堂々と入ってきた。

 アルスルが変装して衛兵に紛れていたことや、正式な入城記録のないジェイドが王城に現れたことは、騒ぎのせいでうやむやになっていたのだ。

 

「司教様がお着きになりました!」

 

 兵士の声が響いた。

 

 聖職者の衣服に身を包んだ人たちがぞろぞろと来る。

 杖を持ち、長いゆったりとしたチュニックに、ダルマティカとカズラを重ねて着た爺が司教である。

 司教には、助祭や従者が付き従っている。

 助祭は、まだ若いのと、やや老いたのが一人ずつ。従者は三人である。

 

「ジンジャー」

「……ハッ」

 

 パックスが名を呼ぶと、傍に控えていた女騎士が司教の前に出た。

 ジンジャーと呼ばれた女騎士の横に、ジェイドが並ぶ。

 司教を前にして、そして、騎士と対等な立場のようにふるまいながらも、まだ少年に過ぎないジェイドは少しも気遅れはしていない。

 彼の天性の才能とも言える、強靭な胆力によるものだ。

 

「司教さま、お願いでございます。

 己の罪を認めず、あまつさえ殿下が罪状をでっち上げたと主張する者たちをお諭しくださいませ」

 

 そう訴えるジンジャーは能面のような無表情であった。

 言葉も棒読み気味で、パックスを庇いたいという気持ちがまるでこもっていないかのようだ。

 

 次にジェイドが訴えた。

 

「司教さま、お聞きくださいませ。

 リーリャはアスラ王国から送り込まれた間諜などではありません。転移事件の被害者です。災害で家と財産を失った哀れな婦人を、いわれなき罪に問うのは、神様もお許しになりません。

 さらに、殿下には、兵士の身内を人質にとることで、他の王子の親衛隊をも己の意のままに操っているというよからぬ噂も……」

「黙れ! そんなあくどいことを余がするか!」

 

 パックスが怒り狂い、アルスルは必死に司教に訴えた。

 

「司教さま! しかしおれの父は帰ってこなかった!」

 

「リーリャはパックス殿下の親衛隊であるハーマン・フックと協力し、幼子アイシャを逃がそうとしました」と、ジェイドが補足する。

 

「二人の計画に気づかれた殿下はリーリャを拘束、ハーマンを馘首(かくしゅ)の上、死罪を求刑した。しかし、認められず、ラタキアからの追放刑に留まった。

 現在ハーマンの行方は知れません。

 息子であるアルスル・フックは、殿下により私的な拷問が加えられたのでは、と疑っています」

 

「司教よ、余はこの者たちを告訴する!」と、腹に据えかねたパックスが椅子から立ち、司教につめよった。

 

「この国の王族である余を、神に背くと誹る! やつらは悪魔に憑かれているのだ!

 一人は手足を縛って水にぶちこめ! もう一人は煮えたぎる熱湯に腕を浸せ! 神が彼らを正しいと思うなら、無傷で生還させるはずだ!」

「その神判は許されませぬ」

 

 司教が態度はやんわりと、しかし言葉ではきっぱりと拒否した。

「決闘裁判は許されているけどな」と、アルスルが独り言めかして言い、パックスは「それだ!」とまんまと乗せられた。

 

「司教よ、決闘裁判だ。余はこの者どもに決闘裁判を申し込む」

「お待ちください。殿下といえど、軽々しく仰ることではありませぬ」

 

 老いた助祭が口をはさむ。

 

「決闘裁判は、騎士身分の特権ではなく、良民ならば誰にでも許されています。ただし、同じ身分の者同士に限ります。王族と平民では……、汝ら、名はなんという」

 

「私はジェイドです。私は代理人に過ぎません。裁判を受けるのは」と、ジェイドは目顔でシンシアを呼んだ。

 

「シンシア・グレイラットです」

 

 そうして寄ってきた女童の肩に、ジェイドは手を置き、言った。

 

「彼女は、アスラ王国の大貴族ノトス・グレイラットの男子直系を父に、ミリス神聖国のラトレイア伯爵の息女を母に持つ者でございます」

 

 ざわざわと兵士がどよめいた。

 

「ノトスというと、アスラの有名な武官貴族か」

「しかもラトレイアだと? あの悪名高き教導騎士団と繋がりがあるやも……」

 

 実際は、父母のどちらとも実家からは勘当されている。

 現在もその家に名を置く者が取り立てない限り、シンシアの身分は零落した貴族の子にひとしい。

 また、真偽を確かめるには、シーローン王国はかの大国とは離れた位置にある。身分詐称を疑われても仕方なかった。

 しかし、七大列強『龍神』が後ろ盾についていると証明された事実が、シンシアの血統に説得力を与える。

 

 爛熟と頽廃のアスラ王国

 耽美と熾烈のミリス神聖国

 

 二国の青い血の流れる子供が、魔力災害で流離し、世界で指折りの強者に取り立てられる。

 古典的な貴種流離譚であるが故、受け入れられやすい。

 中には、パックスがシンシアに与えた屈辱を思い、ことによっては後々強国から睨まれることになるのでは、と焦燥に駆られた者もいた。

 ジェイドが仕掛けたハッタリはおおむね成功した。

 

「ふうむ、身分としては申し分なし。パックス殿下に決闘裁判を申し込むのに、また、受けるのに、何の不足がありましょうや」

 

「して、代闘士は誰が」と、司教はパックスとジェイドを順繰りに見た。

 片や肥満体型の王族、片や十にも満たぬ女の子である。端から生身での決闘は想定していない。

 

「余はこいつを使う」

 

 パックスの命令で、拘束された男が兵士三人掛かりで連れてこられた。

 2メートルは越えようかという巨漢である。

 全身がゴムでできたボーリングの玉のような男だ。

 顔も躰も古傷まみれで、眼だけはつぶらで澄んでいるのが、かえって不気味さを助長している。

 

「がんばりまぁっす! がんばりまぁっす!」

 

 まともな意思疎通はできない事が一発でわかる大男を横目に、パックスは高笑いをした。

 

「奴隷市で買ったワシャワ国の戦士だ! 知能は低いが素手で人体を引きちぎる馬鹿力よ! 祖国では手に負えぬ故、売られたらしいがな! ハハハハ!」

 

 辞退するなら今のうちだ――誰もがそう思う中、アルスルは迷わず申し出た。

 

「シンシアの代闘士はおれです」

「年は?」

「年ですか。十四です」

「なんと、成人前ではないか……」

 

 司教と助祭がごにょごにょと話しあう。

 しばしの会議のうち、司教は言った。

 

「認められぬ」

「なぜですか、司教さま」

「神は正しき裁きをなさる。しかし、子供と大人が闘うような不公平は許されぬのだ。双方が、能うかぎり平等な条件で闘わなければならぬ」

「では、成人した者ならいいんですか?」

 

 アルスルとジェイドはバッと兵士たちを振り返った。

 家族を人質にとられ、傍若無人にふるまうパックスに恨みを持つ者は大勢いるはずだった。

 しかし、ここで戦い、勝利しても、アルスルとシンシアの家族が解放されるだけ。自分の家族はパックスに捕らわれたままだ。

 ジェイドとて、まだ年若い少年である。人質全員の解放をパックスに約束させるには力不足であった。

 ジンジャーが、シャイナが、彼らから目をそむける。

 兵士の目に、少年の蹶起は、向こう見ずの蛮勇と映った。

 

「だって、お前は、硝石集め人の子じゃないか……」

「な……」

 

 加えて、誰からともなく、零された言葉。

 常ならば顔色一つ変えないジェイドが絶句する。

 何を言われたか、ではない。誰に言われたか、に起因していた。

 身分は関係なく、実力次第でいかようにも出世できる場所だ。歩兵軍団(イェニチェリ)庭師(ボスタンジ)に抱いていた、そんな希望は、俺の幻想に過ぎなかったのか。

 

「私が闘います」

 

 ジェイド、そしてアルスルの失望を、既所で食い止める声があった。

 リーリャである。彼女はただ一人、歩み寄り、司教に宣言した。

 代闘士は私が務めます、と。

 

「十年は前に片足を負傷し、全盛期ほどには動けませんが、剣術の心得はございます」

「しかし、男と女が闘うなど……」

 

 なおも難色を示す司教に、助祭が言う。

 

「お忘れでございますか、司教さま。ここラタキアでも、決闘裁判は幾度も行なわれています。中には、男と女が相対する例もございました。女は男の代闘士を立てず、自ら闘いました」

「そうだったかな。それは、どういう訴えであったか……」

 

 記憶があやしいらしい司教に代わり、若い助祭がやや面倒くさそうに説明した。

 

「私が記憶するところでは、二件ございます。

 一つは、妻の不義の相手とされる男を殺害した夫が無罪になったとき、妻が異議を申し立て、夫は無辜の者を殺した殺人者であり、この判決は妻自身の名誉を傷つけるものであると抗議し、決闘により神意を伺うことになりました。

 女が勝ち、男は殺人と偽誓の罪で死刑となりました。

 もう一件は、強姦された娘が相手を訴え、決闘裁判を行いました。

 男は無罪を宣誓し、決闘の結果、娘は闘いきれず、途中で降伏。

 死刑にはなりませんでしたが、偽誓の罪で娘は両手を切り落とされました。

 ああ、非常に珍しい例ですが、他国では男と犬が決闘した眉唾な話も……」

 

 喋っているうちに興が乗ってきた助祭を、やや老いた助祭が肘で突いて咎める。

 若き助祭は咳払いをして、「どちらの場合も平等な闘いがなされるように、体力において数段勝る男にさまざまな制約がなされたことは申すまでもありません」と真面目くさって言った。

 

「奴と、この人が、平等……?」パックスの手駒とリーリャを見比べたアルスルが、困惑しきってごちる。「両足を縛ったって、負けちまうよ」

 

 諦めにも似た心境で、周囲がリーリャの敗北を確信した。

 そしてそれは、リーリャも同じであった。

 闘う前に辞退し、不戦敗。その不名誉をシンシアに被せたくない一心で、リーリャは司教に哀願したのである。

 

「私が決闘に負けた場合は、シンシア様でもジェイドさんでもなく、私を裁いてください。元はと言えば、決闘裁判を開くのも私のためです。負けたということは、神様が私が間違っていると仰せなのです」

 

 司教は慈悲深ささえ持ってうなずいた。

 通常、決闘裁判では、横に処刑人が控え、決着後すぐに負けた方を刑に処す運びとなっている。

 彼とて、神意とはいえ、子供の両手が切り落とされ、場合によっては絞首刑になる所など目にしたくはないのだ。

 

 司教はパックスのみならず、この場にいる全員に聞かせるように言った。

 

「元戦士の大男と、片輪の女。よほど、体力の差を縮めなくては、公平な闘いとは申せますまい」

 

 

 

 決闘場をととのえ、司教らが男に課す制約を話し合いの末決めるには、一日を要する。

 リーリャとアイシャの身柄はパックスが預かったまま、ジェイドらは司祭館の一隅に身を置くこととなった。

 パックスの私兵に帰路を付けられ、アルスルの母親、ジェイドの妹のコレット、ナナホシの居場所が割れないように用心したためである。

 

 

 パックスは自らの部屋に引き上げることもせず、乳母と異母妹との短い別れを惜しむシンシアを見ていた。

 彼女らは抱きあい、何事かを囁いている。

 シンシアの言葉に、リーリャが逡巡の後、控えめに頷くのが見えた。

 

 見間違いではない。

 あの者は、子供ではなかった。あの眼は、女であった。

 

 無理やりメイドをお手つきにし、醜い外貌のためか、商売女からもどこか嘲られてきたパックスである。

 心の底から慈しむような――少々の憐憫も混ざっていたが――眼差しをむけ、自らの澱んだ性慾ごと受け容れてくれる相手など、今日まで現れなかった。

 

 ジェイドと名乗った少年がシンシアに近づき、何か言う。

 すらりと伸びた手足、輝くような金髪、ととのった顔立ち。

 自分があの容姿で生まれていれば、もっと周囲からも認められ、愛されたのでは、とパックスは思ってしまった。

 

 いや、と、心に生まれかけた嫉妬を塗りつぶす。

 

 身分は、余が上だ。余のほうが偉いのだ。

 現に、あの女は、余を選んだではないか。

 くくく、見ろ。あの男の悩む顔を。今ごろ、明日の決闘裁判で、どう命乞いをするか必死で考えているのだろう。

 いくら容貌が優れていようと、負け犬には、なんの価値もない。誰も見向きしないのだ。

 

 ふいに、シンシアとパックスの視線が合う。

 

 そうだ、そのまま、余のところへ来い。

 また、あの眼で余を見つめろ。媚びへつらえ。

 余だけが愛しいと夜毎囁け。さすれば、リーリャとアイシャの扱いも少しは良くしてやってもよい。

 

「……」

 

 ところが。

 シンシアの視線は路傍の小石でも見たようにパックスを素通りした。

 あれが、一瞬でもいつくしんだ者に向ける眼であろうか。

 

 人間のうちで、もっとも残酷なのは、美しい處女である――と、かの文豪、太宰治は著作に記している。

 記憶は違う。しかし、躰は處女である。シンシアの心は肉体に依拠している。

 

 シンシアがパックスを愛おしく思ったのは本当だ。

 パックスはあのとき、生前の記憶が鮮明に蘇ったことで生じた血の昂りをぶつける標的に過ぎず、永続する愛情ではなかった。

 であれば、もはやシンシアはパックスに愛しさの欠けらも感じていないのである。

 その態度を、取り繕いも、隠しもしない。

 する必要もない相手だ、と無意識に区分しているのだ。

 

 無関心は時として憎悪より残酷である。

 その残酷さの由来は、子供のそれか、女のそれか。

 思考を巡らせるほど、パックスは冷静ではいられなかった。

 

 シンシアはジェイドとアルスルと共に、司祭館へと向かった。

 取り残されたパックスは、晩に、たいそう荒れたという。




>犬と男の決闘裁判
14世紀、領主が殺されたが、犯人はわからず。しかし領主の飼い犬がある男に対して強く吠え続けた。
国王は犬が殺人を目撃したが自ら証明できないため決闘を申し込んだと判断し、犬と男に対し決闘を命じた。
男には棍棒、犬には避難用の樽が与えられた上で決闘裁判が行われ、結果犬が勝利。男は死罪となった。

Wikipedia参照の伝説です。面白かったので入れました。

 
巫女転生では、
いいえ→ハユル
公衆浴場→ハマーム
強制徴募→デウシルメ
歩兵軍団→イェニチェリ
庭師→ボスタンジ
など、微々たるものですがシーローン王国は所々でオスマン帝国要素を取り込んでいます。
硝石集め人への差別や決闘裁判制度はヨーロッパの文化(差別を文化と言うべきか迷いますが)なのでオスマン帝国に寄せて書くなら入れるべきではありませんが、ファンタジーという事で、好きに捏造していいですよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。