「何回見てもびっくりだな…風紀委員長」
アビドスと話し合いを始めたらしい小柄な白髪の少女を見やる。…身を挺して守ったつもりがトンデモ強者だったのはいい思い出です。悪い意味で。いまだにちゃん付けしてしまいそうな自分がいる。あれでも先輩なんだぞ…!
あああでも険悪だ…完全に意地の張り合いになりつつある…!待ってよ一発ぶっ放したのに水の泡とか泣くんだけど!?
「…ホシノ?アビドスのホシノって…もしかして、小鳥遊ホシノ?」
ん?何だろう、ホシノさんの名前が出たとたん、空気が変わっ…
「うへ~こいつはまた何があったんだか、すごいことになってんじゃん?」
…唐突に飛び込んだ声に、見ればすたすた歩いてくるホシノさん本人の姿があった。…深刻な遅刻ですよ先輩…。
「事前通達なしでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと…私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する」
…ヒナちゃんさんが頭を下げている。すらすらと出てきたのは、几帳面な謝罪の言葉。無用な戦いは望まないらしい。し、しっかりしてる…!みんなも見習おうね…特にシロコちゃん。
イオリちゃんをひと睨みで黙らせつつ、風紀委員の面々を撤収作業に動かせて…ヒナさんはその場に残った。なんだろう?
「ただ、ひとつ気になることがある。…そこに隠れてるのは誰?」
ヒナさんがそう言って、手にした機関銃を…え?待ってあれこっち向いてない?
「出てこないなら―――」
「ちょ、ちょっと待っ――にゃあああ!!?」
▼ハリカ は やけだされてしまった!
…正しい言い方ではないけれど、隠れ場所として頼りにしていた廃車が無惨な姿になった。ありがとう、君のことは忘れないよ…向こう数分くらいは。
「ハリカ!?」
「ハリカちゃん!」
「…あなた、こんなところに居たの?」
「えっ…まさか知り合い!?」
…とかふざけてる場合じゃないんだけどね!
【ハリカ⇒シロコ】
「弁明をさせてください」
「その前に大丈夫!?ハリカ先輩、外から来たんでしょ!?」
「大丈夫、大丈夫…私は先生とは違うからさ」
へたりこんだままスムーズに土下座に移行したハリカに、慌てた様子のセリカが駆け寄った。…少なく見積もっても25発ほど。それを撃ち込まれていながら…廃車の陰に隠れていたことを考慮しても、不自然なほどにハリカは無傷だった。
「そ、それなら…まあいいけど…」
『ハリカ先輩、通信聞こえてますか?』
「あー…今聞こえた。勝手に飛び出してごめんねアヤネちゃん」
私たちが爆発音に学校を飛び出したあとから、ハリカとはずっと通信が繋がっていなかったらしい。
「来てるのはわかってたけど…」
「まさかハリカちゃんも独断とは思いませんでしたね~」
「僕は知らなかったんだけどね…」
「だって先生、前線に出ていっちゃうし…私が出たら何が起きるかわからないなって…」
「…ハリカさん」
「久しぶり、チナツちゃん…それと、ヒナ委員長も」
「…申し訳ない」
「構いません。私にも非はありますし」
裾を払って立ち上がったハリカは、ゲヘナの生徒と…風紀委員長とも平然と話し始めて…
「ま、待ってハリカ先輩!?」
「ハリカちゃーん?置いてきぼりにされるのはおじさんちょっと悲しいな~?」
『…つまり、当初はゲヘナの風紀委員会が保護していたと?』
「そう。それでチナツちゃんの仲介でシャーレに来て、今は実質所属してる」
私の話してる場合じゃなくない…?とぼやきながらも、ハリカはつらつらと自分のことを話し出した。目を覚ましたときにはゲヘナの路地裏。そこからトラブルに巻き込まれて、風紀委員会と出くわした。その件で、ゲヘナ風紀委員とは短いけれど付き合いがあるらしい。
…そういえば、ハリカは私たちの会話に入ってくることはあっても、自分から話し始めることはなかったと思う。部外者とはいえあまりにも知らなくて、だからちょっとびっくりした。
「先生も知ってたなら…ああ、でもそれどころじゃないですよね…」
「聞かれなかったら話しませんよこんなこと…はいはいこの話はおしまい!」
「うへ~こりゃ厳しいや。この際いろいろと聞きたいことあったんだけどなぁ~」
「それはもっと余裕があるときでお願いします…」
「そうだね~」
「はぁ…もう…」
ため息をついたハリカが先生に駆け寄っていく。…そういえば、ハリカは先生のことをどう思ってるんだろう。おたがい信頼し合ってるみたいだけど、それ以上のことは…あるのかな。
ふいにそんなことを考えていたら、ホシノ先輩が「ふへ~」と深い息をついた。
「…それにしても、みんな無事そうで安心したよ~…大丈夫?体調悪いとかない?」
「ん、それは大丈夫」
「疲れてはいますけど、それだけですね」
『私はいろいろと頭が痛いですけど…何かあったんですか?』
「いやぁ…青い光が見えてさ」
「…青い光?」
「そ。建物の隙間から青い光が見えてて、何か新型兵器でも出てきたのかと思ったらみんながいてさ~」
「…」
誰からともなく顔を見合わせる。そんな、青い光だなんて…?
『…私は気づきませんでしたけど…皆さんは見ました?』
「いえ…まったく」
「別の通り?でも、それだって気づくだろうし」
「たぶん気のせいだったと思うよ~音もしなかったし。だから気にしないで。でも安心したのはホントだよ」
ホシノ先輩はなんでもないように笑って言った。
気がつけば、風紀委員会の生徒たちは撤収してしまったらしく、ほとんど見当たらなくなっていた。
「もったいない…強い人と戦えるチャンスだったのに…」
「シロコちゃんさては怖いもの知らず…?」
こんな機会はそうそうないと思っただけに残念。ぼやいたらハリカに信じられないという目を向けられた。心外。
「うへ~結局私は状況がいまいちわからないんだけど、何があったの?」
「説明したいところなんですが、私たちもよくわからなくて…」
『そうです!わからないのは私たちだって同じなんですよ!そもそもホシノ先輩も、こんな時間までいったいどこで!?』
「ごめんごめん~」
『はぁ…なんだか、さらに大ごとになってきている気がします…慌ただしいことばかりで、わかってないことだらけです…』
通信の向こうで、アヤネがため息をついた。…アヤネがここまで疲れて滅入ってるのは初めてかも。
「色々なことがありましたし…今日はこれくらいで休憩しませんか?」
「そうですね…それでは今日は一旦解散して、明日また学校で状況の整理をしましょう」
ノノミの提案をきっかけに、今日は解散することになった。みんなすごく疲れてる。…私も他人のことは言えないか。
…あ、でも。
ちょっと気になることがあって、私はハリカと話している先生のもとへ向かった。
・ハリカ
やけだされてしまい、その後観念してゲヘナとの関係を明かした。
・シロコ
来てることには気づいてた。言われてみればハリカのことは気になる。先生との関係とか…
このあと聞きに行ったのは風紀委員長と話してた内容についてだけどね
なお、にぶにぶ先生と歳の差気にする系女子なので何も起きない模様(鮮やかなフラグ破壊)
・セリカ
目を白黒させてばっかな気がする。
・アヤネ
いろいろと頭が痛い。
・ノノミ
やっぱり提案する側の人なんだわ
・ホシノ
深刻な遅刻。
色々と事情をお持ちのようだが…おや?
・先生
安心・安全のにぶにぶ先生
ヒナから気になる情報をもらう
・イオリ
満身創痍でさらにまさかの再会をするなどした。今回の不憫枠
・チナツ
こんな形で会いたくはなかったですね…。
・ヒナ
隠れている便利屋か、第三勢力か…と警戒したら思いがけない人物だった件