鈍色の銃は射抜かない   作:諸喰梟夜

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アビドス砂漠

 

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「…砂漠だ…」

 開幕早々語彙力が失われてしまって申し訳ない。"アビドス"の駅を出ると、そこには一面の黄色い砂が広がっていた。とはいえこの辺りは砂嵐で埋もれたエリア。本来の「アビドス砂漠」まではもう少し歩く必要があるらしい。

 …壊れた警備ロボット等がうろついてて危険とか聞こえた気がするけど気のせいだな。うん。とにかく今は、カイザーが砂漠で何を企んでいるかだ。

 

「けどさ、アヤネちゃん。よく考えたらおかしくない?その情報をくれたのってゲヘナの風紀委員長でしょ?いくら風紀委員長とはいえ、どうして他の学校の生徒がうちの自治区のこと、そこまで知ってるわけ?」

『うーん…あくまで憶測にすぎないけど、ゲヘナの風紀委員長はかなり情報収集能力に秀でてるって聞いたことが…』

「あぁ…あそこって風紀委員会だけで別棟があるくらいの規模だったしなぁ…情報網が桁違いでも不思議じゃないと思う」

「お~現場を見た人の貴重な意見」

「あまり多くは知りませんけどね…」

 ゲヘナの風紀委員会は…本当に、びっくりするくらい大きな組織だった。風紀委員会なんて普通教室一つだろう、別棟があるなんて聞いたことがない。いくらこの学園都市(キヴォトス)が特殊だからといっても、あんな警察機構と言っていいレベルのものはさすがに珍しいんじゃないかと思う。

 

『委員長という立場でしたら、委員会が把握する情報は全て集約されてくるでしょうし…それにあのとき、あちらの行政官は確か「他の学園自治区()()()」と言っていました…「自治区の中」ではなく』

「…そっか、アコさんはもう、土地の情報を知ってたのか」

『はい、だからこそ、「まだ違法行為とは言い切れない」…苦しい言い訳かと思っていましたが、本当に不法侵入の意図はなかったのかもしれません』

 そうかぁ…いやまあ、あくまで侵入した件についての話だから、アビドスと揉めたことには変わりないけど。シロコちゃんがアヤネちゃんを慰めている(?)のを傍目に、小さくため息をついた。

「…やっぱあとで蹴るか…」

 ヒナさんには伝えてあるからたぶん問題ないだろう。

 

 

「砂漠だぁ…」

「ハリカちゃん、さっきから言ってること同じですよ?」

 そうは言うけれどノノミちゃん、失われた語彙力を取り戻すのは大変なんだよ…ただでさえ慣れない砂漠歩きだし…一張羅が黄色く染まってきたけど大丈夫かな…。

 それはさておき、この辺りからいよいよ本来の砂漠であるらしい。みんなもあまり来たことが…

「いやぁ~久しぶりだねぇこの景色も」

「…先輩はここに来たことがあるの?」

「うん。生徒会の時に何度かね。もう少し進めばそこにはなんと、かつてアビドスの砂祭りが開かれていたオアシスが!」

「え、オアシス!?こんなところに!?」

「うん、まあもう干上がっちゃってるけどね」

 …ホシノさんにはあった。軽いノリで言うけど()()()()()()()()()って相当なことじゃない…?詳しくないから知らないけど。昔は船も浮かべられるほどだったというならなおさら。

 "砂祭り"というのはアビドスでも一番有名だった祭りで、往時は他の自治区からも人が集まったとか。…それが今や、この黄色一色の景色か…

 …感傷を抱きつつ、時たま攻撃してくる徘徊ドローンや徘徊ロボットを蹴散らしつつ進む。先生を守ることも忘れずに。…徘徊ドローンや徘徊ロボットって何だよ老人かよ。

 

『…!皆さん、前方に何かあります!砂ぼこりがひどくてよく見えませんが…巨大な町…いえ、工場?とにかく、何か大きな施設のようなものが…』

 アヤネちゃんからそんな通信が入った。…こっちからはただただ黄色い景色しか見えないけど…アヤネちゃん側の視点って高いからなぁ。

「こんなところに施設!?見間違いじゃなくて?」

『恐らく見間違いではないのですが…とりあえず、肉眼で確認できるところまで近づいてみてください』

 周囲のみんなの顔に一気に警戒の色が出る。それを見つつ、私は怪しまれないよう慎重に、右ポケットから小銃形態のCADを取り出した。…この鬱陶しい砂埃を、そろそろなんとかするために。

 

 

【ハリカ⇒ノノミ】

 

「…っ!」

 ごうっ、と風が吹いて、唐突に砂埃が晴れて…そこには、

「…何これ…」

 …なにやら、広大な施設が広がっていました。

 

「この有刺鉄線、優に数キロメートルはありそう…」

「工場…?石油ボーリング施設…ではなさそうな…何なんでしょう、この施設…?」

「…こんなの、昔はなかった」

 ホシノ先輩は、辺りを見渡しながら呆然としていました。先輩も知らない、新しい施設…?と不審がる私たちに、突如として弾丸が飛んできました。

「っ!?」

『前方から、正体不明の兵力が攻撃を仕掛けてきます!』

「よくわからないけど…歓迎の挨拶なら、返してあげた方が良さそうだね?」

 あら…珍しく、ホシノ先輩がとってもやる気ですね?私も手持ちの機関銃(リトルマシンガンV)を抱え直しました。掃討開始です☆

 

「うへ~…結局なんだろこいつら」

「侵入者だ!とか叫んでましたけど…」

「こんなところで、いったい何をしているのでしょうか…?」

 次々に現れる兵士を退治し一息つけた頃。『あ…』とアヤネちゃんが何かに気づいたみたいです。

『施設に何らかのマークが見えます!…このマーク…』

「…カイザーPMC」

 ホシノ先輩が口にした直後、ふわりと砂煙が晴れた先、三角のロゴマークの下には"KAISER PMC"の文字列が確かにありました。

 

「もうどこに行ってもカイザー、カイザー、カイザー!いったい何なの!?」

「それに"PMC"ということは…」

「Private Military Company…民間軍事会社、か…」

「ぐ、軍事…!?」

 目を丸くするセリカちゃん。あとシロコちゃんも。…ハリカちゃんが知っていたのは、ちょっと意外かもです。

『ヘルメット団のようなチンピラとは格が違います…本当に組織された、プロの軍隊のようなものです!』

「軍隊ぃ!?」

「カイザーには…退学した生徒や不良の生徒を集めて、兵として雇っているという噂がありましたが、まさか…」

「思った以上にヤバイ会社だった…っ!」

 

 …どこからともなくブザーの音が鳴り響きました。おそらく警報が作動したのでしょう。

「…ねえ、これ大ごとになりそうな予感なんだけど…」

「警報鳴るの遅くない…?」

「侵入者側が言うことじゃないですけど、手動ですかね…?これ、ヘリの音?」

「それにこの地響き…おそらく戦車」

『大規模な兵力が集まっています!そちらの言う通り戦車やヘリまで…!』

「これがプロの仕事ってコト!?」

『包囲が完成する前に離脱してください!まずは急いで、その場から脱出を!先生、お願いします!』

「わかった。抜けられそうなルートは?」

『今、ノノミ先輩がいるほうです!』

「了解。急ぐよ~」

「はい!」

 左隣の路地に駆け込みました。すぐにまたカイザーの兵士が現れますが…

「シロコ、奥を狙って」

「ん」

「セリカ、」

「言われなくても!」

 …やっぱり、先生の指揮があるととてもスムーズですね☆前衛のホシノ先輩を、シロコちゃんとセリカちゃんが的確にサポートする構図があっという間に出来上がりました。…私のとっておきの出番はまだのようです。

 

 そうやって順調に切り抜け、少し広い通りに出たその時。

「うわ、戦車――」

「おっとぉ!」

 ホシノ先輩の盾の陰で大きな爆発が起きました。ハリカちゃんが言った通り、増援の向こうから現れたのは一台の重戦車……これはちょっと、てこずりそうです。

「ノノミいけそう?」

「遮蔽物が多くてて難しいですね…ですがやってみ「待って」えっ?」

 後ろからハリカちゃんの声。

 …その直後、ドンッ!と戦車が爆発しました。

「えっ何!?」

「故障?…よくわからないけど、これはチャンスだよ」

「この調子で突破するよ~」

「…ハリカちゃん?」

 みんながひょいひょいと進んでいく中、私は少しだけ振り向きました。

「故障してたんじゃない?だいぶ汚れてたし」

「…そうですね」

 ほら行こ、というハリカちゃんと先生と一緒に、みんなを追いかけて倒れた兵士の横を駆け抜け、戦車の残骸を飛び越えます。…ハリカちゃんの左手首、ブレスレットが光った気がしましたけど…気のせいでしょうか。

 

 

 

 

 





・ハリカ
人生初の砂漠行はやけに風が強くて、少なくとも楽しくはなかった
そして敵方が思ってた以上にヤバイ連中な件(随時更新中)。ヮ…
砂嵐を晴らすためにしれっと密度操作を使用
そして戦車の爆発も彼女の仕業。ヒントは加速系

・ノノミ
なんだか不思議な現象が多いような気が…

・アヤネ
有能後方支援

・シロコ
ノリノリ(ただし真顔)

・セリカ
誰よりも感情的で目立つ

・ホシノ
世代間ギャップというか…アビドスについてみんなと違うことをたくさん知っている

・先生
どこにいらっしゃるんですか?(大混乱する作者)

・ヒナ
ハリカになんか伝えられてる。どころか承諾してる


廃線っぽい…?まあいいか()


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