オリ主しばらく情弱ムーブ…仕方ないね……ごぬんね………
「おぉ…ふふ、いい感じ」
鏡の前。リボンに隠す形でクリップを止めると、頭上に浮かぶホログラム。本当に私がこの世界出身で、元からこうだった…みたいに違和感がない。これは知ってる顔に出くわしたら驚かれるな。それどころかそっくりさんだと思われるかも。
ゆるみそうな口を押さえつつ何食わぬ顔でトイレを出て、目的は済んだけど、せっかくだからいろいろ適当に見て回ろうかな…とか思っていると、
「あれ?ハリカ…だよね?」
「あ、先生。こんなところに」
背後からよく知っている声。振り向けばそこには予想通りのシャーレの
「先生知り合い?」
「シャーレのメンバー、だけど…ハリカ、それ」
「あ~…ちょっと、エンジニア部のお世話になってました」
「なるほど、それで来てたんだね」
初対面がいる手前、ちょっと曖昧な言い方をしたけど先生には通じたらしい。まあヘイロー問題はもちろん先生にも話してたからね。それで先生を取り囲む四人に簡単な自己紹介をしていたら、先生は何かを思い付いたような顔をする。
「そうだ、よかったらちょっと一緒に来てくれない?」
「はい?」
「いっぱい説明してください」
私with先生and初対面の生徒四名into荒れ果てた廃墟群now. 文法が死んだ。この人でなし!
冗談はさておき…まず初対面の四人は、まさしくさっきヒビキちゃんから聞いた「ゲーム開発部」だった。
「私はモモイ!ゲーム開発部のシナリオライターだよ!」
「お姉ちゃん、この人先輩…すみません。妹のミドリです。イラスト担当です」
まず、名前通りの色で対になってる双子の姉妹のモモイちゃんとミドリちゃん。全体的にペアルックだけど性格は対照的みたい。
「…ゲーム開発部、部長…ユズ、です」
こちらは鮮やかな赤い髪とは裏腹に人見知りオーラ全開のユズちゃん。ミドリちゃんの背後でおどおどしてるけど、その手にはやはりしっかりと銃が握られている。…独特なデザインだけど、配色に見覚えがあるような…。
「私はアリス、タンク兼光属性アタッカーです!」
そして、地面につくほど長い黒髪と一人だけ異様な大きさの武器が印象的なアリスちゃん。ゲーム用語の乱舞で目が点になったけど、「ぱんぱかぱーん!ハリカが仲間になりました!」がとても微笑ましかった。みんな1年生なんだね?
先生がこの頃しばしばミレニアムに出向いているのは知っていたけど、このゲーム開発部からの要請だったらしい。先生を「勇者」と呼び、助けを求められるのは貴方だけです!とかいう独特な文面の依頼が来たとか。…でも、何がどうなったらゲームを開発する部がこんな廃墟探索に乗り出すのかがわからない。
「私たちが廃部を乗りきるための切り札…"G.Bible"がここにあるんだよ!」
気になって問えば、モモイちゃんが元気いっぱいにそう答えた。
「ここに?」
「ちゃんとした調査の結果ではあるらしいよ。もともとここは連邦生徒会直轄の…説明は難しいけど特殊な場所だったみたい。だけど今は…ね」
「はぁ…まあわかりました。でも、私がついていく理由って」
「あっヤバ」
「うわ来た!」
叫ぶ双子の視線をたどれば、何やらすらりとしたシルエット。どこぞで見たPMCみたいなロボットが、銃を構えて続々と…
「危ない伏せて!」
「なるほどね!?」
慌てて物陰に隠れれば降り注ぐ弾丸の雨。…なんでも、連邦生徒会直轄の間は危険地帯として立ち入り禁止になっていたとか。でも
「そこだけ聞くと火事場泥棒ですけどね…」
「ダンジョン解放って言ってほしいかな!」
あっけらかんと言うモモイちゃんにあきれ…てる場合じゃないわ待って、なんかデッカイの用意してるやついる!?軽率に立ち上がろうとした先生の裾をを慌てて引っ張るが早いか、
―――ズドォォォン!!
すさまじい爆音爆風砂嵐。視界が…!仕方ない、ちょっと使おう…無難にブレスレットの方で。
「思ったより火力が…先生、大丈夫ですか?」
「大丈夫…ありがとうハリカ」
「いえ…」
砂煙をどけると景色が変わっていた。ねえ一発でこうなるの何?私まだ全然武器種わかんない…アリスちゃん以外は尻もちをついていたけど、すぐさま体勢を立て直していた。
「来た、ロボットたち…!」
「大丈夫、まだ引き付けられる」
「…よし、じゃあアリスちゃん、やっちゃって!」
ミドリちゃんの合図にうなずいたアリスちゃんはあの大物を構えて、えっ今気づいたけど大きいだけのの銃じゃないんだ何あれ?何か光って…
「今日の私の役割は、光属性広域アタッカー…前方のモンスターたちを、殲滅します!」
…ちょっと待って、この空気感身に覚えがある…確か、慣れない放出系魔法に悪戦苦闘していたときの…
「光よ!!」
―――ドカアアァァン!!!
「…よっし!成功!」
「アリスちゃんすごい!」
「…」
何が起きたんだろう。まず電気系統なのは間違いないけど…とりあえず視界が白く染まったこと、正常な光量が戻るとロボットたちが綺麗に吹き飛んでいたことをお伝えします。ほんとに何?ノノミちゃんとは別の意味で火力が怖い。
とはいえ、どこからともなく次から次へと増援が来ているけれど。全体はどれだけいるのやら…。
「…ここで退くわけにはいかない、突破しよう」
「えーっ!?」
一旦撤退した方がいいのでは?と私も思ったけど、モモイちゃんはそう言った。…まあ確かに、どうせ突撃するのならこれ以上警備が厚くなる前にした方がいいか…私も思考回路が染まってきてるなぁ。
「で、でも…」
「大丈夫です。私たちはこれまで一緒に、27回のダンジョン探索と、139回のレイドバトルを成功させてきました!今回もきっと、このパーティなら勝利できるはずです!」
「そ、それはゲームの話でしょ!?」
ゲームの話かい!待って今、いやでもアリスちゃん真剣そのものだわ…天然だ…!
「どう転んでも、危険はある…私も、頑張るから」
「せ、先生は!?私たちと違って、攻撃を受けたら…」
「安心してください、どれだけ危険な状況であっても、アリスが先生を守ります!」
わお…アリスちゃんがまっすぐな瞳でそう言い放って、ちょっと驚いた。
「頼もしい後輩だよ…私も、できるだけ支援するからね」
「先輩…わかった。私も覚悟を決める。ゲーム開発部、突撃するよ!」
【ハリカ⇒ミドリ】
「潜入成功、ミッションをクリアしました!」
そう言うアリスの隣でほっとため息をついた。ここは廃墟の中の『工場』。なんとかロボットたちをくぐり抜けて、目的地にたどり着くことができた。ほんとに冷や冷やしたしちょっと疲れた…そしてお姉ちゃんだけがやたら元気。
「ねえねえ!私たちってもしかして、実はすごく強いんじゃない!?C&Cとか、他の学校の武力集団が相手でも勝てちゃうかも!」
「C&Cは絶対に無理だと思うけど…確かに、自分でもちょっとびっくり。きっと、先生の指揮のお陰ですね」
「わたしもそう思う…先生がいると、安心感が違う…」
「何度か見てますけど、本当に指揮能力高いですよね先生…」
お姉ちゃんは威勢のいいことを言うけれど、先生の存在が大きいと思う。私たちの得意なことを見極めて、的確にタイミングを教えてくれる。直線上を吹き飛ばすアリス、数人まとめて倒せる部長、面で制圧するタイプのお姉ちゃんと、点で狙う私。ハリカ先輩は私と同じみたいだけど、立ち位置が最後方だからわからない。やけに静かだけれど…何を持ってるんだろう。
とはいえロボットたちをかいくぐったことで残弾数に不安があるし、アリスのレールガンもそろそろバッテリーが危ないみたいだから、極力戦闘は避けていくことにして…
「アリスちゃん?」
ハリカ先輩の声に振り向いたら、アリスちゃんはぽつんと立ち尽くして
「どうしたの?」
「…分かりません…ですが、なんだか見慣れた景色です。こちらの方に行かないといけません」
「行かないとって…アリスちゃん?」
行かないといけない、って…?不思議に思ったけど、アリスは工場の中のどこかを目指して歩いていく。慌てて追いかけることになった。
「アリスの記憶にはありませんが…セーブデータが存在するようです。この体が反応しています」
そう言って、アリスはある部屋で立ち止まった。"チュートリアルや説明がなくても進められるような"、そんな感覚らしいけど…どういうことだろう。
「あれ?何か電源点いてる…?」
そんなとき、ハリカ先輩が不思議そうにつぶやいた。見れば、テーブルの上に一台のコンピューター。画面は真っ黒だけど、確かにバックライトが点いてる。おそるおそる近づくと、ピピッと音が鳴って、思わず身構えた…けど、画面に文字が表示されただけ。
[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください]
「おお、まさかの親切設計!G.Bibleについて検索してみよっか!」
「いや、さすがに怪しすぎない…?」
お姉ちゃんは使う気満々…だけど、いくらなんでも都合がよすぎると思う。…それと、"ようこそお越しくださいました"ってことは、『Divi:Sion System』というのがこの工場の名前?
あたりをきょろきょろと見回していた私は、アリスがキーボードを叩いていたのをうっかり見逃していた。それで、何か出た!とお姉ちゃんが言ったのを見ると…画面にはデタラメな記号が並んでいた。
「え、何?文字化け?」
「壊れた!?アリス、何入力したの!?」
「い、いえ…まだ、エンターは押してないはずですが…」
わたわたする私たちをよそに、再び真っ黒になった画面…そこに、今度はシンプルな文章が表示された。
[あなたはAL-1Sですか?]
「「っ!」」
「これって…?」
「…いえ、アリスはアリスですが…?」
「待って…何かおかしい。アリスちゃん、今はとりあえず何も入力しないほうが…」
[音声を認識、資格が確認できました。おかえりなさいませ、AL-1S]
「お、音声認識付き!?」
おかしい、明らかにこのコンピューターが勝手に進んでる。そう思って一度止めようかと思ったけど…そういえば、挙動がおかしくなったのはアリスちゃんが触ってから。キーボードで入力します…とか言って、その声を拾ったんだろう。
「えっと…AL-1Sっていうのは、アリスちゃんのこと…なの?」
「わ、私もそれ、わかんないんですけど…」
「ご、ごめん、そういえば言ってなかったかも…」
「…あなたは、AL-1Sについて知っているのですか?」
部長と先輩の"状況が飲み込めない"という顔を見て、手短にでも説明するべきかと思ったけど状況が許してくれなかった。アリスちゃん…!
…けど、画面は真っ暗、コンピューターからの返事はなし。…お姉ちゃんの言う通り、処理に詰まってる?
すると、ゆっくりとテキストが入力され始めた。…けど、
[そうで$◇!÷€;*^&)□#%!!"÷@!!!]
「えっ??」
「何何怖い怖い」
「何これ…どういうこと?」
[緊急事態発生]
[電力限界に達しました。電源が落ちると同時に消失します。残り時間:51秒]
明らかに挙動がぎこちなくなったと思えば、今度はそんな…消える?消える!?話が急すぎない!?
「ええっ!?ダ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにして!!」
[あなたが求めているのは、G.Bibleですか?〔YES/NO〕]
「YES!!」
けど、お姉ちゃんが悲鳴をあげたら反応した。残り一分を切った中で探してくれるらしい。とっさに叫んだら、少しの沈黙。早く…消える前に、早く…出た!
[G.Bible…確認完了。コード:遊戯…人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ第1号。残り時間:35秒]
「廃棄!?どうして!?それはゲーム開発者たちの、いやこの世界の宝物なのに!!」
言ってる場合じゃないよお姉ちゃん…あっ、また別の文章が…
[G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを転送するための保存媒体を接続してください]
「えっ?在り処を知ってるの?」
[貴方たちも知っています。今、目の前に]
「ど、どういう…」
「あなたが持ってる、ってことね?」
…食い気味に確認したハリカ先輩の言葉にハッとした。そして、画面に表れたのは肯定の返事。
[はい、私の中にG.Bibleがあります。しかし現在私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します]
…というわけで、G.Bible…〔G.Bible.exe〕はとっさに用意したゲームガールズアドバンスSPに保存された。容量を確保するためにお姉ちゃんのセーブデータが消されたみたいだけど、きっと必要な犠牲というやつだ。
…まあ、さっそくファイルを開けようとしたらパスワードを要求されたんだけど。
「大丈夫。普通のパスワードなら、ヴェリタスが解除してくれるはず…!」
「そ、そうだね…これがあれば…!」
「これさえあれば、本当に面白いゲームが…『テイルズ・サガ・クロニクル2』が…!」
「よし、作れる!待っててねミレニアムプライズ…いや、キヴォトスゲーム大賞!!私たちの新作は今度こそ、キヴォトスのゲーム界に良い意味での影響を与えてやるんだから!!」
「お、お姉ちゃん声大きすぎ!そんな大声で叫んだら、ここにいるって言ってるようなもの……」
ふと思い出して振り向いたら、外にいたロボットがもう廊下にいた。ぴろぴろ何事か言いながら銃を構えて…
「わぁぁ撃ってきた!早く逃げよう!!」
「お姉ちゃん、その前に!」
「うん!ゲームガールズアドバンス確保!私とアリスがしんがりを務めるから、みんなで蹴散らしながら脱出しよう!」
お姉ちゃん、こういうとき本当に頼りになる。とにかく、まずは無事に部室まで戻ること。せっかくG.Bibleを手に入れたのに、こんなところで倒れるわけにはいかないからね…!
・ハリカ 【ヘイロー装備中】
巻き込まれた。話についていけない
妙に人間臭いPCに半目になるなど
魔法をしれっと行使するのも銃声してないのを怪しまれるのはもはや恒例行事
・ミドリ
冷静な妹
・モモイ
溌剌な姉
・ユズ
対人苦手な部長
・アリス
正体不明の少女
火力が異常
・先生
ハリカに…ヘイローがある…?⇒エンジニア部の名前を聞いてだいたい察した
ちょうどいいやとハリカを巻き込む
・ヴェリタス
次回
・C&C
次々回