鈍色の銃は射抜かない   作:諸喰梟夜

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ウッまたオリキャラ追加したい発作が
鎮まりたまえ…鎮まりたまえ……



『鏡』のクエスト(後)

 

 …私たちを足止めしたアスナさんは、とんでもなく強かった。とにかくめちゃくちゃ避けまくる上に攻撃も多い…せめてもの救いは、先生に当たらないように調整してくれているらしいことだろう。じゃあせめて私も!と思うけどこれは私がヘアクリップつけっぱなしなのが悪い。あとで泣く。

「でたらめに強い…これがC&Cのエージェント…!」

「ああもう、まさかここでアスナ先輩と出くわすなんて!」

「お姉ちゃん、一旦退こう!」

「私も、その方が――」

 このままではまずい。一旦退却を…そう思ったとき、ズドンッ!!という轟音とともに壁に穴が。

「ひゃあ!?」

「これ、カリン先輩の…!?」

「っ…ハレから連絡!カリン先輩を抑えられなくなって、ウタハ先輩が捕まっちゃったって!」

「この状況を見ればわかるよ!」

「あ、マキからも!アカネ先輩がシャッターを爆破して脱出したみたい!…あと、すごい数のロボットがこっちに向かってるって…」

「えぇ!?」

「一気に逆境じゃん…!」

「あはは!何がなんだかわかんないけど、私たちが優勢って感じ?あなたたちの計画はもう失敗寸前?」

 通信から続々とやって来る悪い知らせ。動揺を隠せなくなった私たちの前で、アスナさんがころころと笑う。…けど、双子の瞳からまだ光は消えない。

「…違う、まだ失敗じゃない」

 

 …停電に乗じてのハッキングで、捕まったアリスちゃんを解放する。そう、『鏡』を取ってくるのはアリスちゃん。その存在を失念させるために、今度は私たちが陽動をする番…ということらしい…そういう情報は共有しておいてほしかった。私聞いてなかったぞ?味方まで欺く必要は…いや、私がユウカと親しいからか?

 あと捕まっても謹慎くらいなら部室でゲーム製作ができるとかなんとか…。「物語·伝説·年代記」みたいな妙なタイトルが聞こえた気がするけど、そっとしておこう。うん。

「うーん…なんの相談かなぁ?」

 ちなみにひそひそ話とはいえ声には念のため『拡散』をかけていたので、向こうに内容は全く聞こえてないだろう。…未だかつてないほどにこの魔法を使ってる。えぇ私にもありましたよ、あんまり役に立たないかなぁとか思ってた時期が…

 

「この状況なら、諦めた方が賢明だと思うけど?」

「う゛…ユウカ!」

 …そんな思考は、突然飛び込んできた声にぴしりと固まった。ゆゆユウカ!?嘘!!?今出会いたくなかった!どんな顔すれば、やばい、空気にならないと…!

 

 

 

「もうイタズラじゃ済まないわよ。一週間の強制的な停学か、拘禁ぐらいは覚悟しておいた方がいい」

「停学!?拘禁!?」

 …先生の背に隠れる私(※blur(にじみ度):8)が冷や汗を流す眼前で、ユウカと双子のやり取りがなされている。はっきり言って耳を傾けるどころじゃない…けど、なんだか「やっぱり突破するしかない!」みたいな流れになったみたいだ。

 そしてメイドがもう一人増えた。メガネをかけた柔和そうな…そんな彼女に双子がびびっている。どうやら彼女がアカネさんらしい…見た目がどうだろうとエージェントはエージェントってことね。…先生何照れ笑いしてるの?ロボットもめちゃくちゃ集まってきてる状況だが?ユウカちゃんもずいぶん深いため息をついてる。

 

 …そんな中、ふと背後から聞き覚えのある音がするのに気づいた。そしてこの空気感…

「お姉ちゃん、伏せて!」

 不思議そうな顔をするユウカ&メイド二人の前で、双子が身を低くするのが見えた。私も念のため先生を後ろに下がらせる。そして、

 

光よ!!

 

 

 

 

 

 …みなまで言わなくてもわかる?わからない?了解。

 アリスちゃんがやって来て、それで…またしても、視界が真っ白に染まった。そして、結構すぐに戻ってきた正常な視界にはアスナさんの姿がない。押し寄せるロボットもだいぶ減っていた。

「アスナ先輩!?大丈夫ですか!?」

大丈夫じゃないよ~!あっはは、思いっきり当たっちゃった!何これめっちゃ痛い!頭のてっぺんからつま先まで今1ミリも動かしたくな~い!

「…大丈夫そうですね」

 …アカネさんが呼び掛けたら、ちょっと遠くから返事が来てた。あの高火力が直撃しておきながらとても元気そう。

 

 一方こちらはアリスちゃんが合流…したけど、なんか別行動って話じゃなかったっけ…?

「モモイ!ミドリ!」

「アリスちゃん!?」

「どうしてここに!?」

「差押品保管所に行く途中、考えていました。…『ファイナルファンタジア』、『ドラゴンテスト』、『ドールズ・オブ・フェイト』、『竜騎伝説』、『英雄神話』、『アイズエターナル』…そして、『テイルズ・サガ・クロニクル』…どんなゲームの中でも、主人公たちは決して仲間のことを諦めたりしませんでした。なので、アリスもそうします!試練は、ともに突破しなくては!」

「アリスちゃん…」

 …と、友達想いの良い子…!すごくゲーム一色だけど…まあ、良い学びを得てるってことだね。私も感動したし、先生も満面の笑顔。今日のこの人妙に図太くて怖い。

「捕まったら全部終わり…行こう、ゲーム開発部!」

 まだ閃光による混乱が収まらない中、双子+アリスは力強く踏み出した。…と、飛び出したくない…!けど、先生を追わないと!

 

 

 

 

 

「なんとか、逃げ切れた…?」

 一体どこから湧いて出るのか、とにかく押し寄せる警備ロボットの群れでほとんど混戦と言っていいような状態から抜け出し、私たちは雑然とした部屋に滑り込んでいた。モモイちゃんの安否確認に、全員から無事である旨が戻ってくる。

「ここが、差押品保管所…ですね、書いてありました」

「だいぶめちゃくちゃだけど…」

「管理がなってないとかじゃないな…戦闘のあおりを受けたんだろうね」

 …部屋の中は、壁には穴が開き棚が倒れてぐちゃぐちゃの様相だった。まあ外であれだけドンパチやってたし、そもそもここはタワーの最上階…下の爆破でよく揺れるだろう。

 今のところ追手が来る気配はない。アカネ先輩はアリスちゃんが吹っ飛ばしてたし……モモイちゃんいわく、アリスちゃんが『鏡』を確保して部室に戻ってるとミスリードできてるはず!"とのこと。

 

「あとは『鏡』さえ見つかれば…」

「…ここから探すの?大丈夫?」

「だいじょぶ、どんな見た目かは聞いてる…えーっと…」

「あった、『鏡』!これさえあれば…」

 …まさかここに来てわからないとかそんなありがち(?)な…と不安になったけど、ミドリちゃんがすぐさま見つけていた。

「よっし、じゃあ帰ろ帰ろ…んむ!?」

「っ、静かに…ミュートでお願いします…誰かがこちらに向かってきています。足音からして、おそらく一人」

 …不意にアリスちゃんが、モモイちゃんの口を塞いでそう言う。すぐ振り払われてるけど、表情が固い…誰かが来てる?

「んー…このままここにいてユウカとメイド部が戻ってきちゃったら困るし、一人くらいなら突破しちゃう?」

「ちょっと待って、ハレ先輩から連絡が来てる…『逃げて、いや隠れて早く!』って…?」

「どういうこと?」

「誰か、対面することすらまずい人が来る…とか?」

「この状況でそんな人…まさか?いや、でも…」

 あのクールなハレちゃんが言うなんて相当なことだ。ミドリちゃんが眉を寄せる横で、目を閉じて動きを止めていたアリスちゃんが、おもむろに口を開いて。

「接近対象を確認、ミレニアムの生徒名簿を検索…」

「え、そんなことまで?」

「…対象把握。…身長146cm、ダブルSMG、()()()()()()()()()()()()()()()()()

「隠れて!!」

 ミドリちゃんが悲痛な叫び*1を上げた。

 

 

 可能な限り身を縮めた私たちの前で、ドアを開けて入ってきたのは…アリスちゃんの言う通り、メイド服の上に龍柄のスカジャンを着込んだ小柄な少女。…聞いたときは何それと思ったけどマジなのか…私、まずアリスちゃんの口から「スカジャン」が出たところから驚いたけど。

ね…ネル先輩だ…

な、なんで!?どうしてあの人がここに!?

落ち着いて二人とも…大声さえ出さなきゃ…

 ネル先輩、という名前は確かに聞いた。でも、自治区外にいるって聞いてたけど…?

 さっき一人なら突破すれば~とか言ってたモモイの顔がここまで真っ青ってことはよっぽど強いらしい。体格と強さが比例しない例はアビドスで見たけど、こっちもいるのか…

 …今『拡散』を最大限張ってるんだけど、ホントに限界迎えて悲鳴を上げるとかやめてよ!?(かば)いきれなくなるからね!?

 

「ん?今なんか声が聞こえたような…」

ヒッッ!?

 …いや駄目だ。そもそも外のドンパチが止んだ今、この部屋は無音そのもの。こんな『拡散』程度じゃ…いや、『極致拡散』だってこん狭い部屋に踏み込まれて見つからないように、なんて原理的に無理だ。アリスちゃんも顔が青い。その光の剣とやらでも無理な感じか…

「ふぅん?確かに気配が…机の下か?」

「「「「「っ!!?」」」」」

 的確に当てやがったそしてこっちに来てる!?本格的にやばい…あんまり近づかれたら『拡散』の範囲内に入られて即バレする…!

 アリスちゃんはフリーズ、双子は涙目で先生の裾を掴んでる。どうする…いけるか?想子(サイオン)残量と要相談だけどイレギュラーの私なら、あるいは―――

 

 

「…あ、あの!」

「あん?」

「ね、ネル先輩!大変です!」

 緊張がピークに達したその時、廊下からネルさんを呼び止める控えめな声…ゆ、ユズちゃん!?え、どこから…!?

「あんたは?」

「せ、生徒会『セミナー』所属のユズキです!戦闘用ロボットが暴れまわったせいで今、あちこちがめちゃくちゃなんです!アカネ先輩とカリン先輩が制圧を試みていますが…!」

「なんだ、暴走か?あれを差し押さえたのはもうかなり前だってのに…まだ整備が終わってねぇのか」

 あ、とっさの嘘が通じてる…二人に面識が一切無いのか、それともユズちゃんが変装してるのか…とにかくすぐ近くにいるネルさんと、たぶんまだ廊下にいる()()()ちゃんの会話が続いている。

「じょ…状況的に、助けが必要かと思い…それで、ここにいらっしゃると聞いたので…!」

「はぁ…仕方ねぇな」

「わっ私はここの整理をします…その、戦闘は苦手で…経験も、あまりないですし…」

「んなこたどうでもいいが……それよりあんた、覚えときな。戦闘で一番大事なのは、武器でも経験でもねぇ」

「は、はい…?」

()()だ。その点で、あんたに素質がないとは思わねぇ。自分がどう思われてるかぐらいあたしにも分かってる。そんであんたが結構ビビリなのも分かる。その上で、初対面であたしに声をかけられるってのは、それなりに度胸が要るだろうからな」

「あっ…は、はい!あ、ありがとうございます!?」

 

 …ネル先輩めっちゃいい人だ、とわかった辺りで部屋を出ていく足音がして、そっと(うかが)うと部屋の入り口にへたりこむユズちゃんがいた。

「し…死んじゃうかと思った…」

「ユズ~~~!」

「ユズちゃんすごい!おかげで命拾いしたよ!」

 双子に抱きつかれているその姿を見て、私と先生も安堵の息をついた。よく勇気振りしぼって頑張ったよユズちゃん…!

 いろいろ気になることはあるけどさておくとして…これでゲーム開発部が集結、そして『鏡』も無事確保。となれば、あとは脱出するだけ…さすがに飛び降りるわけにはいかないから、来た道を戻らないといけないんだけどね…。

「この先は戦闘用ロボがたくさんいる…気を付けて」

「そうだね、まだ任務は終わってない」

「私たちの目的は『鏡』じゃなくてG.Bible…早く、ヴェリタスの部室に行かなきゃ!」

「そうだね、みんなで無事に部室まで戻ろう!」

 ともかく、任務完了にはまだ遠い。ここからまた気を引き締めていかないと。

 

 

 

 

 

*1
一応小声





・ハリカ 【ヘイロー装備中】
一部情報共有ができていないなどした
そしてまさかのユウカ現着にかなり動揺するも、迂闊にボロを出すこともなくちゃんとハリカになった。たださすがに存在はバレた模様
『極致拡散』、たぶん均一な値を出すための母数を増やす(強い干渉力でもって範囲を広げる)のではないかと思われるので、となると閉鎖環境では不向きなのでは…と推測した次第。原作(魔法科)で使われてたのも確か屋外だったし…

万が一の切り札を出しかけたが引っ込めた。たぶんもうしばらくは引っ込んだまま。

・先生
図太い。あまりキャラを出さないようにはしてるけどこれはたぶん確実にそう

・モモイ
本当に見れば見るほどしっかりしたお姉ちゃんだよ

・ミドリ
今回は割と翻弄され気味な印象がある妹

・アリス
やっぱり仲間を見捨てることなんてできません!


・ユズ
本日のMVP。よく頑張りました
しかしホントにどこにいたんだろう

・アスナ
直感型バトルジャンキーメイド、世界の法則崩壊を受けて元気いっぱいに戦線離脱(熱の時に見る夢みたいな日本語)

・カリン
ウタハを抑え込んだが、エンジニア部のが一枚上手だった模様

・アカネ
おっとり爆弾魔系メイド。光の剣に討伐される

・ユウカ
まさかの現着したので焦った。ゲーム開発部の三人と先生、そしてもう一人も目撃したが…

・ネル
恐れられる圧倒的強者…且つ、とてもいい先輩
一部の先生によるとだんだんかわいく見えてk

・作者
あまりゲームに詳しくはないけどタイトルが際どいのはわかった
発作に負けそう


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