鈍色の銃は射抜かない   作:諸喰梟夜

53 / 60

魔法科のッ!!!TVアニメ3期がッ!!!!来るッッ!!!!!(クソデカボイス)(突然興奮しはじめる著者)
あ、ブルアカは映らない地域です(うわぁ!急に冷静になるな!)



閑静な海(ゲヘナ基準)

【ハリカ】

 

「ほら、ボーッとするな!企画部と情報部はそこの機材を、5階で作ってるオペレーションルームのところに!」

 白い砂浜に響きわたる声。海を臨むホテルの前に風紀委員一同が集まって、イオリちゃんの指揮のもとテキパキと動き回っている。…この感じ、どうやらホテルは貸し切りになっているらしい。

「みんな手慣れてる感じだね」

「そりゃもちろん。これくらい当然のようにできてもらわないと、ゲヘナの風紀は守れない」

 先生の言葉に少し振り向いて即答するイオリちゃん…ちなみに、この子だけは一足早く水着姿になっていたりする。やる気に満ち溢れてるのかなんなのか…さすがに露出多くない?

「毎週とは言いませんが、訓練は定期的に行なっていますから。まあ、今回の訓練は特殊な形になりそうですが…」

「ああ、ここにいらっしゃいましたか」

 

 ふと横合い…私から見ると先生の向こうから飛び込んできた声。先生の陰から覗き込むと、久々に見る顔があって…私を見て一瞬目を丸くしていた。

「やあアコ!」

「ええ…ハリカさんも、ご一緒なんですね」

「せっかくの海だからね!」

 短めの青い髪に、胸元が(こころ)(もと)ない独特なファッション…風紀委員会行政官のアコさんである。にこやかな笑みを浮かべているけど口許が引きつっている。顔を会わせるたびにこうなんだけど…周辺の人に、というかずいぶん前ヒナさんから聞いたところによると、アビドス関連でお尻を蹴っ飛ばして以来、私はアコさんから苦手意識を持たれているらしい*1。私の方が年下なんたけどな…*2

 …それはそうと、マジで先生のテンションが高すぎる気がする。なんか不安だ…

「…こほん。ともかく、臨時のオペレーションルームの設置が終わったようなので、そちらに移動しましょう」

 

 

 臨時オペレーションルームはホテル内の一室を借りて整備されていた。シャーレ以外のこういう施設ってあんまり見たことないけど、ある程度機器を揃えてしまえばこうやって即席で組めるものなんだな…。

「準備のほうはいかがですか?」

「問題ない。もう準備が終わったところにはとりあえず休憩してもらってる」

「兵站部はもうほとんど終わってるから、何人か他のヘルプに回ってるよ」

「こちらも、医療部の運び込みはおおよそ完了しています」

「では大丈夫そうですね、良かったです。…それでは、始めるとしましょうか」

 アコさんは、懐から「極秘」と書かれたファイルを取り出す。…今ここに集まっているのはアコさん、イオリちゃん、チナツちゃん、フユコさん、そして先生と私。つまり、今回の訓練の真の目的を知る面々のみ。

「うん…それにしてもここ、なかなかいい感じの場所だね?」

「はい、なんといってもここ『アラバ海岸』は、ゲヘナの中でも閑静な場所でして…この1年で発生した事故の数も100件以下。ここ最近で起きた事件といっても海の家での無銭飲食無許可の爆音ライブ建造物建築…それくらいでしょうか」

「それはもう閑静ではないんじゃ…?」

 得意げに言ってるけど、なんか閑静とは真逆のやつが混ざってなかったか…?ただイオリちゃん曰く「これくらいなら子供のイタズラみたいなもの」らしい。ぅゎゲヘナ基準っょぃ…。

「まあとにかく、静かなところがよかったので。なにせ表面的には夏期の合宿訓練ではありますが、私たちの真の目的を忘れてはいけません…静かな場所であればあるほど、ヒナ委員長もゆっくり休めるはずです!」

 おっと、一気に熱がこもってきた。なるほどこれが「ヒナ委員長のこととなると…」のやつ。もちろん、立案者として張り切っているのもあるんだろうけど……ほんと、普段の落ち着いてたり落ち着けてなかったりしてるときとは違う気迫があるな…。

「体裁としての風紀委員の訓練も、まあ何も起きなきゃ私たちだけでなんとかなるか…」

「まあ…そうですね」

「はぁ、しょうがないな」

「しょうがないなんて言ってますがイオリ?貴方どうしてもう水着なんですか?」

 …あ、さすがにツッコミが入った。よかった違和感抱く人他にもいた。当人のファッションもどうかと思うけど。

 なおこのアコさんによる詰問は、先生の「そういえば言いそびれてたけど、水着似合ってるよ!」に遮られることになった。先生…

 

「こ、これはあくまでもその、今回の訓練が海辺だってことで、それに合わせようとしただけで…!その…夏の海に自然な格好じゃないと、問題児たちに警戒されるだろうし…」

「イオリちゃんそれでも結構目立つと思うけどな…」

 木を隠すなら森の中、水着姿に溶け込むなら水着姿…的な?私の髪留めみたいな論理展開だけど、あいにくビーチは閑散としてるんだよね…。それにイオリちゃんはただでさえ"風紀委員会の斬り込み隊長"として広く認識されてるみたいだし、さっきまでホテル前で大声で指揮とってたし…。

「はしゃぎたい気持ちはわかりますが、今回大事なのは皆さんの夏休みではありませんよ!」

「だから違うんだってアコちゃん!?」

「とにかく、今回のメインはヒナ委員長の休息です!皆さんはそれを成立させるためのだと思ってください!」

「うーん言い方」

「今回の計画においては各位の意思も言葉も必要ありません!この夏はただ全力で、委員長を休ませるための歯車になってください!!」

「そ、そこまで言うことある…?」

「ははは…」

 うーん言い方(二回目)。先に聞き及んでいた「ホテルに幽閉」といい、アコさん割と容赦ない言い方するタイプなのか…それともこれがゲヘナクオリティなのか。先生も苦笑い。…もっとも、やる気が(みなぎ)っているアコさんに届く様子はないけれど。

 

「いいですか、委員長を(わずら)わせる事象を限りなくゼロにするのです!どんな騒音も問題も、委員長のお耳に届かせてはなりません!!」

「…そういえば、その当人のヒナはどこに?」

「委員長でしたら、今はもうホテルに。この後4時間はお部屋で…と伝えています」

「4時間も…?」

 よ、4時間……4時間ひとりぼっちは、あまりにも寂しいのではないかと思うんですがそれは??大丈夫?ちゃんと論理的な説得した?

「はい、4時間後にはちょうど戦術訓練が終わって、次の歩行訓練に移る頃合いです。委員長はそのタイミングでお呼びしようかと」

「あ、一応呼ぶのは呼ぶんだね」

「ええ、さすがに怪しまれてしまいますから。ただし、この『歩行訓練』もあくまで名目上のこと…言ってしまえばこれは、ゆっくり海辺を散歩していただく時間です!」

「まあずっと休みっぱだと体力落ちるしね~」

「委員長はそれで納得したのか…?」

「しっかり歩くことも訓練の一種だと、それはもうかなりの勢いで主張しておきましたから!ですので戦術訓練は手早く済ませて、急いでビーチの掃除と整備を行なう予定です!」

 …窓の向こうに負けないくらい熱くなってるアコさんの様子を見るに、よほどの勢いで言いくr…主張、もとい説得したらしい。それってヒナさん納得したというより折れたのでは…?まあ、計画に支障がないならいい……のか………?

 

 

「ところで行政官、ひとつ疑問が…」

「チナツ?どうしましたか?」

「その…良いことではあるんですが、この辺り、あまりにも静かすぎる気がするのですが…ここまで来る途中も、訓練の準備をしている間も、ほとんど誰ともすれ違いませんでしたし…」

「ただのタイミングの問題じゃないか?」

 …そういえば。言われてみれば確かに、このアラバ海岸へ近づくほど人通りも車通りも減っていったように思う。あのビーチに関してはてっきりホテル管理のプライベートビーチなのかと思ってたけど、言いぶりからしてそんな感じじゃなさそうだったし…。

 うーん……目の前のイオリちゃんみたいに水着でうろつけるほどの夏真っ盛り、そんな中でビーチがここまで無人になるか?…これはまさか……いやいやいや。そんな縁起でもないこと考えるのは()そう………なんてぐるぐると考えを巡らせていたら、誰かの携帯が鳴る音。

「失礼、はいもしもし…うん……え?本当?そんなこと……マジで?」

「フユコ?何かありましたか?」

「あぁ…物資調達で外回りしてる子からだけど、この近辺のお店がひとっつも開いてないんだって。コンビニすら臨時休業らしい」

「はい?どうしてそんな…?」

 

 その時、部屋のドアがノックされた。…支配人が直々に?チナツちゃんが入室を促すと、入ってきた正装のロボット*3は表情を明るく(?)した。

「おぉ…フロントでお聞きした際は耳を疑いましたが、本当に来てくださったんですね!ゲヘナ風紀委員の皆様!」

「は…?どういうことだ?」

嫌な予感がする

奇遇ですね、私もです

 思わず目をぱちくりとさせ、顔を見合わせる面々。かく言う私も先生と顔を見合わせたけど…そんな私たちに対し、支配人ロボは困惑した表情*4に切り替わる。――厄介事の気配を察知―――。

「えっと…皆様は、私どもの()()()()を受けてこちらに来てくださったんですよね?」

「…行政官?」

「…へっ!?いえ、私は何も…!?」

「あー…何かすれ違ってるようなので、初めから説明をお願いできますか?」

 ざわつく風紀委員の面々と困惑する支配人ロボ…ちょっと混沌としてきた空間に、判断の早い先生が助け船を出した。…()()()()。なんか物騒なワードが飛び出してきたぞ…?

 

「はい…今、この辺りは大変なんです。もともとスラム街を占拠していたヘルメット団と、最近になって急に現れたスケバンが衝突してまして…。はじめは小競り合いだったのがどんどん過激になってきていて……それで、どちらがこの地域を牛耳る存在となるか、今日…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言っているんです!」

「は?」

「それがネット上でも騒ぎになって…方々から面白半分で見物客が集まるとか、どちらが勝つか賭けになっているだとか……それで逆に、この噂を聞いたこの辺りの方々は軒並みお店を閉めて、逃げ出してしまったんです!これでもし、見物客も巻き込んで大暴れなんてことになってしまったら…!」

「………」

 …肩を落とし沈痛な面持ち*5で話す支配人ロボ。一方、こちら側はすっかり無言になってしまった。アコさんがこの世の終わりみたいな顔してる。

「どうか、お願いします!彼女たちの全面戦争を止めてください!」

「「「「全面戦争!!?」」」」

 …さっきは縁起でもないって放棄したけど……まさか、本当に()()()()()()()だったなんて…。

 

 

 

 

 

*1
当たり前

*2
そういう問題じゃない

*3
誤変換ではない

*4
(○○u)

*5
推測





・ハリカ
キヴォトスの海にやってきた。やっぱり海水の組成とかも同じなのかな…詳しくないけど
ヒナ委員長強制休暇大作戦に先生共々協力中。大丈夫かな…とか思ってたら斜め上の方向から大丈夫じゃなくなった。これが嵐の前の静けさか~(遠い目)

・イオリ
中心的存在の2年生
驚異の早着替え中

・チナツ
医療部の中でどういう立ち位置なんだろうな…

・アコ
委員長(トップ)ガチ勢のナンバー2
委員長のために張り切るあまり表現力のストッパーが故障中
しかし前途多難……ガンバ☆

・フユコ
兵站部長ではないです。念の為。シャーレが風紀委員会にある程度認められてる証左みたいな特例扱い。本人は特になんとも思ってない模様

・ヒナ
このあと4時間ほど幽閉される

・先生
ウェミダー!とか言ってる場合じゃなくなってきたなこれ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。