鈍色の銃は射抜かない   作:諸喰梟夜

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当初は前後編にしてた後編の側。せっかくなので連続で投げる


騒乱!ブラックマーケット

 

【ハリカ】

 

前回までのあらすじアビドス高校を襲撃するヘルメット団の背後関係を調べるためブラックマーケットに潜入し、そこで出会ったヒフミちゃんという女の子と一緒に、私たちは銀行を襲撃した。

 

 …ダメだ、意味不明すぎる。順を追って話そう。

 

 ヒフミちゃんの協力を得て戦車の流通ルートを調べていたものの、不思議なほど情報は出てこなかった。…まるで、誰かが意図的に隠してでもいるかのように。

「…そんなに異常なことなの?」

「ここの企業は…ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりはしないんです」

「そうなんだ…聞けば聞くほどタチ悪いの嫌だな…」

「たとえば…あそこのビル。あれはブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」

 遠慮がちに指さす先には、5階建てほどのビル。

「闇銀行…!」

「あれがか…」

「聞いた話だと、キヴォトス全体の盗品のうち15%はあそこに流れてるとか…」

 犯罪で得たお金がここに預けられ、また別の犯罪に使われる…そんな悪循環が起きてるとか。…深い、闇が深すぎるぞキヴォトス。治安の悪さで差をつけないでいただきたい…

「ひどい!連邦生徒会は一体何をやってるの!」

「ホフン」

「理由は色々あるんだろうけどね~。どこもそれなりの事情はあるだろうからさ」

 …いけない、変な声が出てしまった。私は一日アビドス生、今は連邦生徒会と無関係。これ大事。

 まあ、私はあくまでシャーレのお手伝いだから(連邦生徒会)のことはあまりよく知らないけど…なにぶん色々と余裕がなさそうなのは知ってるもので。

 

 そうこうしていると、アヤネちゃんからまた武装集団の接近を知らされ、急いで身を潜めたところ、

「あれはマーケットガードです…ここの治安機関の中でも上位に位置する組織です」

「よかった、こっちには見向きもしない…というか、警護してる感じだね」

「あれって…現金輸送車?」

「闇銀行に入っていきましたね…」

 

「見てください、あの人…」

「あれ?な、なんで?あいつは毎月うちに来て利息を受け取ってる…」

「ほ、本当ですね!車もカイザーローンのものです!今日の午前中、利息を支払ったときのあの車と同じようですが…なぜブラックマーケットに……」

 

 …とんでもないものを見てしまった。それだけじゃない、「カイザーローン」の名前に驚いた様子のヒフミちゃんいわく、カイザーローンの運営元"カイザーコーポレーション"は合法と違法の間(法的にグレーなゾーン)でうまく振る舞うタイプの企業で、トリニティの生徒会(ティーパーティーというらしい)も目を光らせているとのこと。

「そういえば、いつも支払いは現金だけでしたよね…それってつまり…」

「私たちが支払ったお金が、闇銀行に流れていた…?」

「じゃあ何、私たちはブラックマーケットに犯罪資金を提供してたってこと!?」

 …セリカちゃんの言葉に、沈黙が降りる。否定できる要素はない。でもアヤネちゃんが口にした通り、確証もない。

「さっきサインしてた書類、あれを見ればわかるんじゃないですか?」

「なるほどそれだ!ヒフミちゃん天才だね~」

「あはは…で、でもここでもトップクラスのセキュリティを誇る銀行に入る方法なんて…」

 

 悪い予感を察知―――。

 

「ホシノ先輩、ここは例の方法しか」

「シロコちゃん?」

「なるほど~あれか~。あれなのか~」

「ホシノさん??」

「あ~!そうですね、あの方法なら!」

「ノノミちゃんまで…」

 三人の顔が生き生きしてきたのを見て私の目が死んだ。…セリカちゃん、残念だけどたぶん思ってるその方法だと思うよ。

「あ、あのう…全然話が見えないんですけど…"あの方法"って何ですか?」

銀行を襲う

 ほら~…

 

 

 で、現在に至るというわけ。定例会議の時はセリカちゃんとアヤネちゃんが止めに入ったけど、セリカちゃんは衝撃の真実に怒りの炎をふつふつとさせているようだし、アヤネちゃんも仕方ないと折れてしまった。ストッパー…なくなっちゃったね…私は外部の人間だもの…。

 私も巻き込まれるのか…と思ったけど、当たり前のように巻き込まれることになったヒフミちゃんが可哀想すぎて何も言えない。たい焼きの袋から急(ごしら)えした覆面を被らされて「貫禄だけは黒幕」とか言われてるもん。私は黒マスク持ってたからいいとして。

「よく持ってたねハリカちゃん、もしかして予定あった?」

「こんな予定があってたまるか…」

 …一応言っておくと、体調崩したときのために一枚常備する習慣があったのだ。こっちの世界来たときは持ってなかったけど。色は気分で選んだから深い意味はない。そしてノノミちゃんがサングラスを提供してくれた。今はありがたいが何故持っている。

 

 そして銀行の周囲にいたマーケットガードを蹴散らし、ロボットみたいな行員たちに銃口を向ける。ちなみに初っ端停電させたとき、ホシノさんが自動通報システムを落としていたらしい。手慣れていらっしゃる…何故……あと「覆面水着団」って何?水着要素ないが??

「監視カメラの死角、警備員の配置、銀行内の構造、すべて頭に入ってる。無駄な抵抗はしないこと」

 あの、シロコちゃんが怖いです。だって定例会議で名前出したの別の銀行だったよね?いつの間に…?

 対する行員はこういう事態を想定していなかったのか、もうかわいそうなくらいガタガタ震えて書類の束を差し出していた。普通想定した訓練とかしないかと思ったけど…まあ、武装集団頼りな無認可の銀行だもんなぁ……

 

「シロ…いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」

「あ、う、うん」

「それじゃ撤収~!」

「アディオ~ス☆」

「ま、まあ、せいぜい教訓にすることね!」

「すみませんでしたー!さようならー!」

 ひとまず目標は達成したようなので、銀行からの逃走を図る。…ほんと、こっちに来てから体験が濃すぎて…

「おっとぉ、警備兵のお出ましだねぇ」

「はわ…ま、マーケットガード!」

「なんかデカブツあるんだけど何あれ!?」

「関係ない。突破すればいいだけ」

「マーケットの外まで逃げちゃいましょう☆」

「はぁ…しょうがないなぁもう…!」

 一斉に手持ちの銃を構え、引き金を引いた。

 …私のこれはダミーだけどね。

 

 

「封鎖地点を突破。この先は安全です」

「やった!大成功!」

「はぁ…」

 応援ありがとうございます。逃げ切りました。…冗談はさておき。なんとか逃げ切れたもののため息が止まらん。マスクは蒸れるし息苦しいから外して…買い直すかぁ。そしてサングラスは返却ということで…

「ええっ!?シロコ先輩、現金盗んじゃったの!?」

 素っ頓狂な声が上がって肩が跳ねた。セリカちゃん!声が大きい!

「ち、違う…目当ての書類はちゃんとある。このお金は、銀行の人が勝手に勘違いして…」

「あぁ…シロコちゃんめちゃくちゃビビられてたもんね…」

「うへ~軽く一億はあるね。ほんとに5分で一億稼いじゃったよ~」

 

 ホシノさんの言葉に呆然としつつ、でも借金はその10倍なんだよね…という事実はなるべく考えないようにする。数字が大きすぎて私倒れそう。むしろまだ立ててるのが不思議でならない。

 そして、これを借金返済に使うか否かで揉めていらしたけど…

「今必要なのは書類だけ。お金じゃない」

「今回はいいとしてこの後は?…こんな方法を繰り返してたら、きっとこの先ピンチになったとき、「仕方ないよね」ってしちゃいけないことをしてしまうようになる。かわいい後輩がそんなことになっちゃうのは嫌だなぁ~」

 …といったホシノ先輩の説得で治まった。…よかったよこの人が人格者で。また笑顔で煽りおるかと身構えちゃった。

「だからこのバッグは置いてくよ。いただくのは必要な書類だけね。これは委員長としての命令だよ~」

「うああああもどかしい!意味わかんない、こんな大金置いてく!?」

「まあ、委員長としての命令なら…」

 

 このあと、なにやら便利屋68のリーダーがやって来て茶番が繰り広げられたりしたけど、精神的に疲れてたからあんまり聞いてなかった。…いたわ~そういえばさっき、闇銀行に…。

 

 

 

 

 





・ハリカ
目が回るような一日だった。
ツッコミに徹してはいるが、あくまで仕事上の付き合いのつもりでいる。だから深く追及することはないし、(先生と違って)意志決定の最後の砦にもならない。あくまで自由度の高いシャーレの人員
あとそろそろネタバレをしておくと、射撃は移動系+加速系の魔法で行っている。線形座標をガイドにして慣性に任せるイメージ

・シロコ
安心と信頼のやばみ
行員にガチビビりされて逆に困惑した

・ホシノ
やっぱり頼れる先輩。バスジャックのくだりは蒸し返さないであげてください

・セリカ
柴関ラーメンの外だと残念な面しかピックアップできてない気がする。もうしわけない…(土下寝)
即興コードネームは見事でしたね
借金返せる!と目を輝かせてたけど、たぶんそれもブラックマーケットに戻っちゃうんだよね…と思いつつ

・ノノミ
ネーミングの面における戦犯。悪人は懲らしめないとですね☆
でも現金についてはホシノ先輩側

・アヤネ
有能な後方支援…いや覆面あるんかい…

・ヒフミ
かわいそう

・先生
笑顔がひきつっている

・便利屋68
これが真のアウトロー…! (アル)
あれ、なんか多い…? (カヨコ)
ほんとだねぇ、ラーメン屋で見た子がいるよ (ムツキ)
あの、私たちはどうすれば…? (ハルカ)


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