先に行った良晴がどうなったのか若干気になった風間ファミリーの一行が教室に着いて見たのは忍者のように天井に張り付いている良晴の姿だった。
天井に張り付きながら集中しているのか目をとじている。
クラスにいる連中は慣れたのか全然気にしていないが、いきなりの光景に大和達は暫くの間呆然としてしまった。
いち早く正気に戻った大和はどうしてこんなことをしているか気になってしまったので聞かずにはいられなかった。
「…良晴何やってんだ?」
「見てわかんないか?モモ先輩から隠れてるに決まってるだろ」
「いや…ばれるだろそれ…」
「これが意外とばれないんだなー。今のモモ先輩は視界じゃなくて気を頼りに探知をかけているから、こうやってドアの向こうからじゃギリギリ視界に映らないところで気を抑えていると俺に気付かない」
「もう時間的にいいんじゃないの良晴?」
「あまいぞ京!お前達は今のモモ先輩のガチ加減を知らないんだ!1分毎に教室を覗いては帰っていくんだぞ!恐すぎて、恐すぎて」ガクガク
「いくらお姉様でもそこまではしないと思うけど…」
「いやワン子、ありえるかも知んねえぞ。俺様こんなに怯えてる良晴みたの初めてだ」
「よっぽど怖かったんだねー」
「モロ!なにを呑気なこと言ってる…ん…だ……」
その時良晴は見てしまった。ギラギラとした眼でこちらを眺めている猛獣を…。このクラスにはいない人物がさも当然のように大和達の横にいる。その様子はまるでお預けをくらって我慢している猛獣のようだった。
時間的にそろそろいいかと気を緩めたのもあるがドアから見える位置にいる大和達が上を向いて話をしているのを見た百代が気付くのは当然のことだった。
「見ーつーけーたーぞぉ!良晴ぅ!!」
「ぎゃぁぁぁああ!!出たぁぁあ!!」
「おいおい、こんな美少女を見て出す悲鳴じゃないぞ良晴。そうか…そこにいたのか…。私にも感知させない気のコントロール…。これは死合うしかないだろ!」
しかし幸運の女神は良晴を見捨ててはいなかった。
キーンコーンカーンコーン
丁度タイミング良くホームルームを始める合図のチャイムが鳴り響いたのだった。
ホームルームが終わりと同時に良晴は机に突っ伏した。
「あぁ…疲れたよパトラッシュ…」
「あぁやめて天使さん達!良晴を連れて行かないで!連れて行くなら妻の私も一緒に!」
「いや…乗ってくれたのは嬉しいけど夫婦じゃないだろ京」
「む、いつもと違いツッコミに力がない」
京とそんな感じに会話しているとファミリーの皆が集まってきて今朝のことを聞いてきた。
「まさか良晴が強いだなんてビックリよ!何で黙ってたの?」
「別に黙ってたわけじゃないんだよなー。だってさワン子。戦闘に関して俺達風間ファミリーで真っ先に戦闘するのは誰だ?」
「それは…お姉様ね」
「そうだろ?モモ先輩が敵を打ち漏らすわけない。てことは見せ場がないってことだ。俺も別に戦うのが大好きってわけでもないし」
「で、どのくらい強いんだよ。モモ先輩以下にしても俺様くらいか?」
「ガクトじゃ相手にならないでしょ」
「なんだとぉモロ!」
「だって、モモ先輩から逃げ切ったんだよ?ガクトにできる?」
「ま、今日の金曜集会の内容はこれだな。姉さんも気になってるだろうし」
「あぁ…俺今日を無事に終えれるかなー」
結果的に言うとそれからモモ先輩は襲って来なかった。
本当にいつも通りの日常って感じ、ただ言葉の最後に金曜集会が楽しみだなぁと言ってくる意外は。
学校が終わり、俺達風間ファミリーが秘密基地として使っているビルに行こうと思ったんだが。どうやら皆用事で先にいってくれだそうだ。
キャップのやつ今日は来んのかなーとか思いながら歩いているとあっという間にビルに着いた。
ビルに着いたはいいものの、一人では暇である。
もちろん一人でも時間が潰せるものが此処にはたくさん置いてあるが、今はそうゆう気分ではないとすると
「…寝るか」
ふわふわした意識の中、ふとお腹の上に微かな重みを感じたので意識がはっきりとしてくる。
目を開けるとそこにはモモ先輩が獰猛な笑みを浮かべてお腹に跨っていた。
軽くホラー的な要素を感じたけど意外と取り乱したりはしなかった。
モモ先輩も俺が冷静なのが意外だったのか微妙な表情をしている。
「…なんだ逃げようとしないのか?」
「しませんよ。それよりも…その…言いづらいんですけどパンツ見えてますよ」
そうなのだ、モモ先輩も川神学園から直接ここへ来たのか学園の制服のままで、スカートが短いにも関わらず跨ってるものだからモロに見えてしまう。
「そこを言ってくるのが良晴だよな。大和あたりなら黙ってチラチラ眺めてそうだ」
「確かに!あいつムッツリなとこあるもん」
お互いに顔を合わせると思わず吹き出してしまった。
ひとしきり笑った後、それでもどこうとしないモモ先輩
「どかないんですか?」
「お姉さんの魅力で篭絡中だ」
「篭絡して何するんですか…」
「もちろん闘ってもらう」
「ハハッ、モモ先輩らしいですね。でも普通篭絡って落とす為にするんじゃないですか?」
「それもいいなー。良晴は私が認める数少ない男だし。戦ったらますます好感度あがっちゃうなー」
なんて冗談かわからない会話をしていたが突然モモ先輩が真剣な顔をして聞いてきた。
「私と戦ってくれ良晴。頼む」
そう言って頭を下げてきた。
頭を下げるくらいに強者との戦闘を望んでいるのかとモモ先輩が心配になった良晴は人肌脱ぐことにした。
「はぁー。わかりましたよモモ先輩。だから頭を上げてください。微力ながらお相手させてもらいます」
「本当か!?今更嘘でしたーとか言っても無理だからな!」
「言いませんよー」
「ありがとう良晴!」ガバッ
「ちょ、モモ先輩!?」
「ん?なんだ照れてるのか珍しく」
「いきなり抱きつかれて驚いただけっすよ…」
「だそうだぞ京ー」
「…浮気は許さないよ良晴」
「これは違うんだ京!って、現場抑えられたみたいな雰囲気やめ。いい加減離しませんかモモ先輩!」
「まぁそう言うな。感謝の気持ちだ。ありがたーく受け取れ」
それから暫くしてキャップ意外の全員が揃い
「おーーす!!皆揃ってるなー!」
「あ、キャップ!」
元気よく近づくワン子
「お!俺を出迎えるなんて偉いぞワン子!」
「今日の食べ物はなに!?」
「あ、そっち。聞いて驚け!今日はフライドチキンだ!結構あまったのをもらってきたぜ!」
「お肉!?」
「ワン子、ヨダレでてるよ」
「皆、飲み物は何がいい?」
「あ、クッキー俺は川神水な」
このクッキーというロボは九鬼財閥が作ったロボであり、今は回りまわってキャップの世話係をしている。
「はい良晴」
「ん、サンキュー。ぷはっ。いいつまみもあってサイコーだなまじで!」
皆ひとしきり食べたあと、自然と今日の話になり、良晴の話になった。
「で、どれくらい強いの実際?」
「私も知りたいわ!」
「妻として夫のことを知りたいと思うのは当然のこと」
「正直に言うと…」
「あ、スルーされた」
「ここにいるメンツだとモモ先輩意外には負ける気しないかな」
「どうしたの姉さん?もっとはしゃぐと思ってたんだけど」
「いや、私はもういいんだ。良晴が戦ってくれるって約束してくれたから」
「そうなの良晴?」
「うーん、まぁね。モモ先輩が戦い好きなの知ってるし、最近挑んでくるやつのレベルが低くて溜まってんのもわかるからさ」
「ほーんといいやつだなぁ良晴!」ガバッ
「え、ちょ、またぁ!?」
「ちきしょー。いいなぁ良晴!俺様と変われ!」
「ガクトだとそのまま腕の中で嬲り殺しにされそうだよねー」
「てめ、モロ!余計なこと言うんじゃね!」
「あ、良晴。明日川神院に来いよ?」
「早いなぁおい!」
「それって見に行ってもいいの?」
「別に構わんさ。公式ならダメだが、良晴が非公式の試合にしたいっていうから。ま、私は戦えたらどっちでもいいんだけどな」
「歪みないなーモモ先輩は」
「じゃ、明日川神院に行くからよろしくモモ先輩!」
「おう!いやぁ今から楽しみだなぁ」