今回か次回お家流が多く使われそう。
F組とS組は結構前からくだらない小さな事でも頻繁にいがみ合っていた。その理由としてはS組は基本金持ちの集まり、いわゆるSだけあってエリートに属する人間で人を見下したような態度をとることが多い。その反対にF組はバカや問題児達の集まりでこの二つのクラスが犬猿の仲のようになるのは当然のことだった。
何故こんな話をしているかというと、このクラス間の関係がもっと友好的にならないかとF組の委員長である甘粕真与がF組の大使として恒久和平をしにS組に行った時にS組の一人が委員長に酷いことを言ったので、一緒にいた俺が我慢できるわけもなくそいつをぶっ飛ばしたら自体がさらに悪化してしまった。
その場は学園長である川神鉄心が明後日何か提案すると言って自体を収集した。
その明後日が今日なのである。
話を聞くために2‐Fと2‐Sの代表者が集まっていた。
「よく集まったのぅ……多人数で」
「フハハハ!聞こうではないか勝負内容を」
「お前達は、1度全力でぶつかるべきじゃ。そのために最高の舞台をワシは用意した」
「――川神大戦、開戦じゃ」
「川神大戦?」
「川神学園。最大最高の勝負方法じゃ」
「具体的にはどんなスポーツですか?」
「スポーツにあらず。……戦じゃ」
「丹沢山中で。F軍とS軍に分かれて向かいあう」
「――そして合図と同時に、大将首を狙って全員で戦闘する。それだけじゃ」
「それだけですか」
「それだけじゃよ。細かいルールはそうじゃの」
「1.尖った武器は禁止。武具はレプリカまたは峰打ちで戦ってもらうぞい」
「2.拳銃と爆弾も禁止。当たり前じゃな。矢は先端にしていの処理をすれば許す」
「3.相手捕虜への尋問、拷問は御法度」
「4.学校内の人間ならいくらでも助っ人可能」
「5.逆に学校外の人間の助っ人枠は50名まで」
「――以上。この5つじゃ」
「という事は…このイベントは…校内の人間が総出で」
「そういう事じゃの。2-Fと2-S以外の連中を味方に引き込むんじゃ」
「この戦いは学園を二つに分けての大きなものになるじゃろう」
「(こっちにはモモ先輩もいるし勝ちは確定でしょ。それにしても外部の助っ人か…。久しぶりだし連絡してみるか)」
F軍とS軍の人数争奪戦は既に始まっており、大和が悪い情報が入ったと俺に知らせてきたのだがその内容は予想外もいいところだった。
「悪いんだが大和…。最近耳が悪くなったらしいもう一回言ってくれよ」
「だから姉さんがS軍に入ったんだって!!」
「……はぁぁぁあ!!?何でモモ先輩がS軍に!?せっかく大戦で楽しようとしてたのに!!」
「いや楽はさせないぞ?向こうに入ったらお前とまた戦えるだとさ」
「マジかよぉ…。(なら助っ人にあの人も追加しなくちゃなー。二人と由紀江ちゃんなら十分モモ先輩を抑えれるな。あ、意外となんとかなるわこれ)」
「安心しろ大和。意外となんとかなりそうだ。外部の助っ人ですごいの呼んでこれたらだけど」
「心当たりがあるのか?」
「おう!その代わり夏休みの予定行くとこできたから。今回の夏は俺抜きで楽しんでくれ」
「…わかった。信じてるぞ良晴」
「まかせんしゃい。あ、あとS軍との勢力差は二倍くらいなら問題ないから。じゃ勧誘の方よろしくー」
「え!?ちょ、まて」
そう言って良晴は何処かに行ってしまった。
「何がよろしくーだよ。俺がやるよりお前がやった方が集まるのに」
そしていよいよ川神大戦の日がやってきた。
いよいよ勝負が近づいてきたことにより両陣地は少しピリピリした雰囲気を醸し出していた。
その中にもやはり例外はいて全く緊張感を出していない者もチラホラ見受けられる。
「うわーテレビの中継まであるとかすごいなー」
この男、織田良晴もその一人で呑気にテレビのヘリなどを見て歩いている。
良晴はこの夏休みいろいろと飛び回って皆と一緒にいることはできなかったが、今やっとF軍に合流したようである。
そんな良晴をいち早く見つけた一子は久しぶりに会った良晴に迷わずダイビングしていった。
「良晴!やっと帰ってきたのね!こんなに会わないの久しぶりだったから寂しかったわ!」
そんな一子を良晴はしっかりと抱きとめ頭を撫でて嬉しそうにしている。
「おぉよしよし!元気にしてたかーワン子!」
今の一子に尻尾があれば振り切れんばかりに振っていることだろう。
その後にやってきたのは良晴といえばこの人、椎名京。
京はゆっくりと良晴に近づいてゆき、そのままのスピードで首に手をかける。
そしてそれまでとは打って変わって、もの凄いスピードで首を前後に振り始め
「どこの女と会っていたんだっ!」
どうやら良晴に会えないことで随分フラストレーションが溜まっていたようだ。
これには良晴もかなり苦しそうにしていて
「ちょ、京!苦しいって!」
必死に振りほどこうしたが、思った以上に力が強い京に解けずにいた。
「さぁ!はけ!はくんだっ!!」
「お、落ち着けって京!胃の中のもんが出ちまうよ!」
そして皆との再会の挨拶もほどほどに大和が話しかけてきた。
「で、この夏休みの成果は期待していいのか良晴?」
「バッチリだ。一人はお前がアポ取ろうと必死だった人で、もう一人は秘密にして欲しいらしい」
良晴は大和がどうにかして連絡を取ろうとしていた人物と話をつけていたらしい。
「本当か!これでわからなくなったぞこの勝負」
その報告を受けた大和は一気にテンションを上げた。
「もともと勝ちだろこの勝負は」
しかし良晴はさも当然のように言い放った。
「どういうことだ?姉さんも敵だし、戦力差は二倍もあるんだぞ」
「二倍ならどうってことない。正面から行っても互角だ。三倍ならちょいと厳しかったけど」
「何か作戦があるのか?」
「まぁ見てろって!」
大和が追求したがいつも通り自信満々の良晴に大和も追求するのをやめた。
F軍の話合いも終盤になり
大将の甘粕真与が大和にいった。
「では、軍師さん、シメの一言を」
「そこは大将が」
「大将として命令します」
そう言われて大和は大きく息を吸い込み
「みんな、やってやろうぜ!」
「「「おーっ!!」」」
皆が拳を天に突き上げる。
開戦を間近にして隊長がそれぞれの部隊に戻る。
「ワン子、苦しい位置だと思う。耐えろよ」
「ふふ、まぁ見ててよ。アタシが一番手柄とるから」
「京。図々しい指示をとばすと思う」
「しょうがないしね。いくらでもどうぞ」
「まゆっちは切り札の一枚だ。頼むぞ」
「はい、キレ味の良い札になります!」
「……クリス」
「何だ」
「お前の白の部隊の動きが、勝敗を分かつ」
「――!」
「お前が重要なんだ」
「そこまで軍師に言われて嬉しいな」
「任せてくれ。お前の剣となろう!」
「開始3分前!!!」
学園長の怒号が山を包む。
「本当にお前は部隊を率いなくていいのか良晴」
「いいのいいの俺は一人で自由に動くから。あと、モモ先輩は助っ人の修行僧達が動き止めるんだよな?」
「あぁ、その予定だ」
「たぶん時間稼ぎにもならないぞ」
「…どういうことだ」
「様子見のモモ先輩ならある程度時間は稼げるだろうけどなぁ」
「お前と戦うために本気でくるからか。ならどうするんだ?言ってくるからには何か対策でもあるんだろ?」
「あるっちゃあるんだけど。まぁそこは臨機応変に対処するとしますか」
「大丈夫なのかよ…」
「10!」
「カウントダウンが始まったか!話は終わりだ大和」
「あぁ!!」
「さて、それじゃ俺達F軍にシンデレラの魔法でも掛けるとしますか」
そう言った良晴から薄いオーラが漂い始める…
「其の疾きこと風の如く」
「其の徐かなること林の如く」
「其の侵掠すること火の如く」
「其の動かざること山の如し」
「……人、其れを、風林火山と云ふ」
それを黙って見ていた大和が話掛けてきた。
「今のは何をしたんだ良晴」
「お家流・風林火山。武田晴信が使っていた武田家のお家流で、言霊によって風林火山の加護を授ける。効果としては兵の強さを2倍3倍にしてくれる。もちろん一時的だけどな」
「なるほど、これなら正面のワン子達の負担がグッと軽くなるし戦力差もあってないようなものになるな。ありがとう良晴」
「じゃ、とりあえずモモ先輩が出てくるまで本陣の守護をしとくから」
「任せた」
F軍の本陣に行くと見知った顔を見つけたので話掛けることに
「由紀江ちゃん調子はどう?」
「あ、良晴さん。はい、体調の方は全く問題はありません」
「そか、じゃあまだまだ敵は来ないだろうしのんびりしてようか。お茶でも飲む?」
『それは流石にくつろぎすぎじゃね』
「大丈夫だよ。やることやってれば誰も文句は言わない」
「そ、それじゃその…いただきます」
それから二人でのんびりくつろいでいたら眠くなってきてしまった。
「うーん、景色もよし空気も美味い。それに日向ぼっこしてるには丁度いい天気。これは寝てもしょうがないよね。てことだからよろしくね由紀江ちゃん……Zzz」
「えぇ!?寝ちゃだめです良晴さん!ってもう寝ていらっしゃる!」
『こんな状況で寝られるとかヨッシーまじぱねぇよ』
「でも良晴さんらしいと思いますね」
『起こすときはキッスで起こすんだぜまゆっち』
「ちょっと松風何を言ってるんです!?そ、そんなことできるわけないじゃないですか!!良晴さんの同意もなくそんな…」
『じゃあ同意があったらするんやねまゆっち』
「あ、あわわわ」
一方その頃大和は
「よし!良晴の風林火山のおかげで思った以上に敵の本体にダメージを与えられたぞ。これでワン子達が一時撤退、その後クリス、キャップの伏兵にワン子達が再びUターンして挟み込めばこの勝負勝てる!なんかあっけなくて怖いな…」
その後大和の読み通り、撤退するワン子達を追撃する九鬼英雄に見事十回に分けた伏兵が成功しワン子達も反転し勝負は決まったと誰もが思った。
「おいおい、あっさり負けようとしてんじゃないぞ。まだ良晴とも戦ってないのに決着とかこっち側に付いた意味が無くなるじゃないか」
「ワン子にクリス、姿は見えないが京もいるな。悪いが撤退の邪魔はさせないぞ。どうしても邪魔するなら私を倒してからいくんだな」
が予想通りにはいかず決着とはならなかった、一人の武神が出てきた事によって。