Sword Art Online ~【道化の王冠】~ 作:蘭丸・オブ・ザ・デッド
001 「リンク・スタート!」
『そうそう、SAO』
『僕もなんとか買えてさ、
『すっごい面白いゲームみたいだから、また感想とか喋るな』
『……お前ともやれたらなぁ…なんて……』
そこで録音を終えて、ボイスメッセージを送る。
聞いてるのかどうか分からないが、
僕は毎日、メッセージを送っている。
「とんだストーカーもいたモンだな……」
自嘲しながらスマホを弄る。
今度はメッセージではなく電話。
相手は引きこもり気味の1つ年上の幼馴染だ。
「もしもし、和人?」
「おう、
「今日からだなァ…SAO。」
「ああ、久しぶりにあの世界に戻れるぜ!」
「お前はな!?僕は今日が初めてだから!!」
そう、このヒッキー気味でボッチかつ、コミュ障な上に厨二病な幼馴染こと
10万人中、僅か1000人の狭き門を潜り抜け、
見事、SAOのβテスターとして、製品版のゲーム以前からプレイしている
超絶ラッキーボーイなのだ。
ちなみに僕は普通に落選した。
それなのに、このオンゲー中毒者と来たら、
毎日のようにSAOの話ばかりしていやがっていたのだ。
嫌味か貴様
「それじゃァ僕は、飯食ってからインするわ」
「俺は、西の出口の近くでMob狩って待ってるぜ」
「奈代の家は自由でいいよな……」
「あはは…、スグちゃん、いい子なんだからいいじゃん」
電話の向こうの、コミュ力を全て犠牲にしてゲームスキルを手に入れた男には
めちゃくそ可愛い妹がいるのだ。
和人本人は嫌われてると思ってるみたいだけど、
スグちゃん、和人の事、大好きだろ
重度のブラコンだよ、アレは
まあ、和人はかっこいいからな
短い付き合いだと、なかなか分かりにくいけど
「いいか?西のほうの武器屋で装備が安く買えるから、まずはそこに……」
「いや、その話、もうアホ程聞いたから……」
電話越しに笑い合った後、僕は飯と水分を腹にぶち込んで、
ゲームをする準備を整える。
和人……
アイツはゲームガチ勢で、やるジャンルは専らMMO。
レア泥集めに命を賭けてて、
常に上位プレイヤーじゃないと嫌なタイプ。
僕もゲームが好きだが、エンジョイ勢だ。
ジャンルに拘らず何でもやるし、
雰囲気が楽しめれば何でもOKだ。
だけど不思議と和人とは昔からウマが合って、
今もこうして、一緒にゲームをやろうとしてる。
世界初の
何でも、ゲームの世界の食べ物や景色、戦いがすごくリアルに感じられるそうだ。
そして、その中で僕は
ナーヴギアを被り、ベットに横たわる。
心臓が高鳴る。
ゲームを始めるのにこんなにワクワクするのは
いつ以来だろう!
そして、剣の世界に入るための呪文を呟く
「リンク・スタート!」
キャラメイクを終え、目を開けると、
そこは漫画やアニメでしか見ないような、
いわゆる中世風の街並み。
そしてそこを、所狭しと歩き回る、
現実ではコスプレ会場でもなければ見ることのない恰好をした冒険者たち。
こいつらがみんな、1万人にも及ぶSAOプレイヤーなんだろうか。
深呼吸をひとつ。現実の気候と同じ、やや冷たい空気が僕の仮想の肺を満たす。
凄いな!聞いてはいたけど、こんなにリアルだとは!!
キリトが話してた安い武器屋を目指して走りながら、
五感で《はじまりの町》を楽しむ。
プレイヤーたちの足音、話し声、
NPCたちの奏でる音楽、
町の匂い、
そして、石畳を踏みしめるブーツ越しの感触。
そんなSAOの世界を堪能していると、ふと声をかけられる。
「ねぇ、お兄さん」
振り返ると、腰まで届きそうな、紫色の長い髪の、
僕と同い年くらいの美少女が立っていた。
「もしかして、βテスターの人?」
「よかったら、ボクにレクチャーしてほしいんだけど、いいかな?」
僕は成り行きで一緒に行動することになった女子、《ユウキ》と武器屋で買い物をする。
武器は僕が曲刀で、ユウキは片手直剣だ。
ちなみにレクチャーの件は、「僕は初心者だけど、友達がβテスターだから、一緒に教えてもらおうぜ」って感じで安請け合いした。
いまさらだが、これ大丈夫か…?
和人という男はとにかくコミュ症だ。
僕やスグなんかの慣れた相手だったら、軽口を叩く余裕もあるが、
初対面の女の子相手に喋るって、
アイツにとっては今から10層のフロアボスにソロで挑むくらいの苦行なんじゃないだろうか
……なんかゴメンな…
童貞丸出しで、どもりまくる和人を想像しながら、
心の中で謝っておいた。
…まァ、なるようになるだろ……
そんなこんなで和人っぽいプレイヤーを発見する。
「よう、かz……じゃねーや、キリト」
ゲームの中でリアルの名前呼ぶのはよくないからな。
危ない危ない
「おう、シロ………か…?」
イノシシ型の敵モンスターを倒して振り返った、和人と思わしき剣士は、
スラリとした体躯に、男らしい精悍な顔立ちの黒髪。
和人が成長したらこんな感じなのかなーって見た目だった。
「キリト…、キャラメイクするにしても、ちょっとは現実と似せようぜ……?」
「お前に言われたくねえよ!!」
僕の姿を見るなり、キリトがツッコんだ。
ちなみに、現在の僕の姿は、
ハゲた頭に、顎と口回りから生えたヒゲ。
鍛え抜かれた筋肉の鎧に身を包み、
匂い立つような
英国風の漢の中の漢。
ジェ〇ソン・ステ〇サム、その人だった。
「僕なんか、外見ほとんどイジってないのに……」
「どこがだ!!!」
キリトが堪らず吠えた。
「もしかして、そのステイサムが、お前の言ってた友達か…?」
キリトの近くにいた赤髪をバンダナで上げた男が、困惑気味に声を上げる。
「え……、まさか……」
僕もまるで幽霊と出会ったかのように、とても驚いたようなフリをしながら、
バンダナの男を見つめる。
そして、目をウルウルさせて、キリトの手を両手で掴んで跪く。
「ついに、キリトに僕以外の友達ができたんだね……!」
「人聞きが悪い事言うな!」
キリトが引き気味にツッコむ。
そりゃ、ジェ〇ソン・ステ〇サムが涙を流して、手を握って来たら怖いだろうな。
しかも、このゲーム、ヤケに感情表現がオーバーなのだ。
目の前のステイサムが涙をボロボロ流す光景なんて、恐怖以外の何物でもないだろう。
みんなも想像してみてくれ
フランダースの犬を見ながら、玉ねぎをみじん切りにして、
金色のガッシュを読破したくらいには涙が溢れて止まらないステイサムを。
そりゃ引くわ
つーかコイツ、ツッコんでばっかだな……
「せっかくのSAOなのに、ツッコんでばっかで疲れない…?」
「誰のせいだ、誰の……!」
主に、友達のいないお前のせいなんじゃね?
僕はユウキのほうを振り向いて
「やったな母さん!キリトに友達ができたぞ!今日は赤飯だ!!」
「いや、誰が母さん……?」
今度はユウキがツッコんだ。
そんな茶番の後に、4人で自己紹介やら何やらをする。
どうやらバンダナ男ことクラインは、
たまたま見つけたキリトをβテスターだと当たりを付け、
SAOについてレクチャーしてもらうために、一緒にいたんだと
残念ながら、キリトの友達でも何でもないらしい。
憐れ和人、真人間への道はまだまだ遠いようだ
そんな口に出したら、キリトにぶっ飛ばされそうな事を考えていると
クラインが口を開く。
「しかし、子供の声で喋るステイサムって、シュールだな……」
そう、このSAOではアバターの声も見た目も自由に設定できるが、
声をカスタムするのは流石に面倒だったので、やってない。
そんな訳で、ボーイソプラノで喋るジェイソン・ステイサムという
変なMADみたいな状況が生まれているのである。
…クラインのひとことから思いついた事を試してみようか………
「シロちゃんですっ (裏声)」
某大サーカスの団員のような声を出すと
「「「ぶふっwww!」」」
3人が噴き出す。
「わわわわー (裏声)」
折角なのでジェスチャー付きでやってみた
「やwwめwろwww」
涙を浮かべて笑いだすキリト。
「ちょwwwお腹痛いwww」
笑いをこらえて蹲るユウキ。
「だっはははっはwww!」
「やべぇwwwMobがwwwうおおおおぉぉぉおおwww!?」
腹を抱えて爆笑した挙句、
イノシシ型のMob、フレイジーボアに吹っ飛ばされるクライン。
しかもクラインが股間に突進を喰らった事により、
さらなる笑いが生まれる。
《はじまりの町》西のフィールドはしばらくの間、
プレイヤーが笑いながらMobにぶん殴られると言う、地獄絵図と化していた。
いやあ、SAOは楽しいゲームだなあ (白目)
おしえてっ!奈っ代せんせ~い!!
白「はい、そーゆー訳で始まりました解説コーナー」
「今日も今日とて、ユルくやってきましょう」
黒「いや、何が『今日も今日とて』?」
「これ、第一回なんだが………」
白「うるせー、桐ケ谷。こーゆーのはな、ノリが大切なンだよ、ノリが」
黒「と言うか、お前が先生設定って無理がないか?」
白「あァ?僕の今の見た目はステ〇サムなんだから余裕だろ」
黒「ステイ〇ム設定、ここでも引き継がれてるのか!?」
「………でも、そうじゃなくても無理があるだろ……お前バカだし…」
白「誰がバカだ!!仮に僕がバカだとしても、まだ視聴者のみんなは気づいてないからいいンだよ!!」
黒「いや、第一話の時点で相当なバカだから。バカじゃなかったらス〇イサムのアバターにしようとか思わないし」
白「何でだよ!ステイサムかっこいいだろーがッ!!」
「……っと、こんな事やってる場合じゃねーや」
「これ、一応解説コーナーらしいぜ?なンか質問ねーか、桐ケ谷?」
黒「お前が始めたんだから『一応』とか言うなよ………」
「……そうだな…じゃぁ、何でこんな感じで」
「わざわざセリフの部分を(「」のところ)を改行してるんだ?」
白「いきなりメタなネタ持って来たな、オメー……」
「こいつはだな、『、』とか『。』で区切って喋りすぎると読みにくくなるだろ?ってアホの作者が思いついた苦肉の策だ」
黒「これ、余計に読みにくくなってないか………?」
「だったらもう一つ質問だ。」
「ユウキはSAOの正式サービス開始当初だと、入院はしてても、まだメディキュポイドの治療すら始めてないんじゃないか?」
「…そんな状態でどうやってSAOに……」
白「あー、それオリ設定で色々弄ってるから、このssの紺野は今はもう健康体だから」
「まァ、ご都合主義ってヤツだな」
「何なら歳とかも変わってるから、ALO開始時に原作の見た目に追いつくぞ」
黒「そんなに違いがあるなら、キャラ設定表とかあったほうがいいんじゃないのか?」
白「紺野の設定に関しちゃ、本編で伏線張ったりするから下手に出せねぇンだよ…」
「………という名目で、作者が細かい設定練る事から逃げ続けてるから、僕でも分かンねーな」
「つーワケで、次回予告で~す」
~次回予告~
突如宣言されたデスゲーム!
その一方で、現実で動かない桐ケ谷和人の体に
直葉の魔の手が迫ろうとしていた……!
次回、ソードアートオンライン【道化の王冠】第2話
『昏睡レ〇プ!野獣と化した妹』
黒「このコーナー、身も蓋もないな……」