Sword Art Online ~【道化の王冠】~ 作:蘭丸・オブ・ザ・デッド
黒「普通なら嬉しい筈なのに何でだろう……」
「…酷い目に遭う予感しかしない………」
Side シロ
BUKKAKE事件の次の日の朝、
僕はネズハたちと落ち合い、オルランドのところへ。
「ヌッ!?ネズオではないか!それにアストルフォ殿まで!!」
朝っぱらからロールプレイが完璧なおっさんである。
「あー……今回はあんまし楽しい話にはならねェんだけどな?「シロさん、ここは僕に喋らせてください」」
そう言うネズハが前に出て、
「オルランドさん、………僕は……鍛冶をしながら、…人の武器を…騙し取っていました…」
ネズハは全てを語った。
「そうか……やはりな…」
オルランドも感づいてはいたらしい。
黒ポンチョの男に詐欺の手口を聞いた時、コイツも一緒にいて
その後すぐに、ありえないくらいの装備が整ったんだから
当然と言えば当然である。
結局のところ、オルランドもネズハの事を許して
むしろ【伝説の勇者】を代表して
被害者に謝ろうとしたくらいだ。
なんなら、このオッサンの勇み足を止めるほうに
神経を使った。
その後、オッサンも含めた【伝説の勇者】プラス僕で
被害者たちに謝りに行った訳だが、
ここでもコイツが大活躍。
暑苦しいが人好きのする性格もあって、すぐに被害者と打ち解け、
僕がしたことと言えば、
“アニールブレード”とかの中Lvプレイヤーたちが集めてくれてる武器や
素材アイテムをいくつかもらって、
ユウキやキリトたち、そして【伝説の勇者】のコルから強化に必要な分を
被害者に返したくらいである。
あと、この件を言いふらされると困るので、
ちょっと脅迫した。
その結果、詐欺をしたネズハは同情的な目で、
火消しに努める僕は、悪魔を見るような目で見られた。
……解せぬ…
そんで、被害者のうち最後の1人が……
「よりにもよって、テメーかよ」
「いきなり、随分なご挨拶だな」
迷宮区のハンマー持ったウシ型Mobもかくやと言うほどの
でっかいガチムチ、またの名をエギルと話していた。
つーかコイツと話すの疲れるんだよ
常に見上げないといけないから、首が痛いのなんの
「……つまり、あの斧は金に変えたんだな…」
「はい……本当に何とお詫びすればよいか…!」
今日だけで何度目か分からないほど聞いた
「何とお詫びすればよいか」である。
いい加減、何て詫びればいいか思い付けよ
勇者の土下座×6と、それを見下ろすガチムチを見ていてもしょうがないので
話を進めることにする。
「まァ、そーゆーワケだ」
「コイツで忘れてくれたァ言わね―が、この件を広めるのだけはやめてくれねーか?」
「……それは…?」
「迷宮区のMobが落とすレアドロップだ」
「スペックで言えば、前のヤツとあんま変わんねェと思うぜ?」
「あと強化素材とコルも、上限いっぱいのプラス2までだけど、こっちで用意する」
「……少し重いな…」
「いいのか?これだけの武器を人のために使って」
「いいンだよ、…コイツは僕の為でもあるから」
「それに、手に入れたパーティに斧戦士がいなくてな?」
「モノの割に安く変えたンだぜ?」
「安く仕入れて有用に使うってヤツだ」
「HAHAHA!ソイツはいいモットーだな」
「分かった!今回の事は水に流そう!」
抱き合い、喜びを表現する勇者たち。
ここまで長かったなぁ
エギルなんかめちゃくちゃ話しやすいんだよ?
下手に感情的なヤツは、脅迫から入らないといけなかったし…
「じゃぁ、賠償の話は、一旦これで区切りだな」
「ん?他にも何かあるのか?」
「言ったろ?この話を広められたら困るって」
「話は変わるが、オメー、商売やりてェんだよな?」
「あ……あぁ………そうだが?」
「ちょうど、最前線まで出張ってくる鍛冶屋さんが廃業したとこでね?」
「こんなアイテムが余ってンだ」
「オイ…コイツはまさか……」
「そのまさかだ」
「“ベンターズ・カーッペット”。これがあれば、いつでもどこでも商売ができるぜ?」
「そんな物を……いいのか…?」
「売れば、相当な金になるだろ」
「金なんてどう使うかだろ?」
「僕はオメーを黙らせる為に、コイツを使いたいンだよ」
「それに僕は商人なんて、ガラじゃねェしな?」
「OK. I understand.」
「俺にとっては願ったり叶ったりだな」
「ってこたァ、受け取ってもらえるって事でいいよな?」
「あぁ、もちろんだ」
「……だが、俺がもらう物だけもらって、情報を広めるとは考えないのか?」
「そン時はコイツの出番よ」
「それは……録音結晶か」
「オメーがばらまきやがったら」
「エギルは人から騙し取ったモン使って商売やってます、って言いふらすだけだ」
「Oh!! まさか詐欺の謝罪に来たと思ったら脅迫してくるとは!」
「確かにあんたは商人に向かないな」
「あんたは人を信じなさすぎる」
「ハッ…違いねェや」
そんなこんなで、被害者たちへの謝罪参りが終わり
勇者共とは別れることになった。
あァ……疲れた………
あとは、黒ポンチョと強化詐欺の件を
ディアベルとキバオウ辺りに伝えといたら、
ひと段落ですかねぇ……
でもまァ、あれだな
今回いちばん頑張ってくれたのは
ネズハでもオルランドでもなく
ましてや僕なんかでもなく
「アルゴだよなぁ「呼んだカ?」ギャァァァァアアッ!?」
強化詐欺の被害者とその脅迫ネタを
朝までに集めてくれたMVPがいきなり現れた。
「なんなの!?オメーは背後から現れねーと会話できねェのォ!?」
「だってシロちゃんは、いいリアクションしてくれるだロ?」
答えになってねーけど!?
「その様子だと、根回しは上手く行ってるようだナ」
「あぁ、お陰さんでな」
「そのせいで、今までずっと働き通しだヨ」
「ほんとにシロちゃんは、オネーサン使いが荒いよネ」
「合法ロリに片足突っ込んでるようなヤツは、お姉さんにカウントしねえの」
「どこかの白いやつの為に、寝ないで仕事したのに酷いナー」
「わァったよ、悪かったって、マジで助かったよ」
「だロだロ?だからオレっちは、もう眠くてしょうがないんダ」
「宿代くらいなら何とか出すよ」
「今回のことは本当に助かったしな」
「…シロちゃんが素直にお礼言うなんて珍しいナ」
「……どうしタ?何か悪い物でも食べたカ?」
「オメー、人のこと何だと思ってンの?」
「…悪口製造機…?」
「永眠させてやろーか、ゴラ゛」
「とにかク、オイラは眠いんダ。宿なんか行ってる余裕もなイ」
「ちょうど、あそこのベンチが空いてるじゃないカ」
「………どーしろってンだよ」
「毛布でも買って来いってか?」
「2層はこんなに日当たりがいいのに毛布なんていらないだロ?“枕”は欲しいけどネ?」
「ほラ、分かってるんだロ?照れてないで早く行こうゼ!」
「わァったから引っ張ンなって!徹夜明けでテンションおかしくなってねェか!?」
「オネーサンをそうしたのはシロちゃんだロ?」
「ちゃんと責任取ってよネっ!」
「語弊のある言い方してンじゃねェ!!」
つーか、そんな力あるなら、ネズハ助ける時に使ってくれよ
「うーン……これはこれで悪くないけど、ズボンがゴワゴワするネ…」
「そうダ!オレっちの服を貸してあげよウ!!」
そう言って、僕の足に頭を乗せたまま
アルゴは器用にウィンドウを開き、
……トレードに出てきたのは、昨日着てた部屋着だった…
「何で女装!?他に何かあっただろ!!」
「大丈夫!シロちゃんなら体型もそんなに変わらないシ、似合うっテ!!」
「何一つ大丈夫じゃねーよ!似合ったら大問題だわ!!」
アルゴのトチ狂った提案に全力で抗議する僕だが、
『サッ』←アルゴが僕の手を掴んで、トレードを成立させる音
『スッスッ』←そのままメニューを操作する音
『パァア』←僕の服が入れ替わる音
「あああぁぁああ!?やりやがったな、テメー!!」
「これが女装ショタの太ももカー」
「ひんやりして、いい寝心地だヨ」
性別が逆なら“黒鉄宮”待ったなしのセクハラ発言をかますアルゴ。
「オメーなぁ…やるにしたって、もうちょい………」
しかし僕の発言は、アルゴが「すぅすぅ」と寝息を立てていたので
中断する事にした。
こんなすぐに寝てくほど、疲れてたんだな……
いや、……まぁ、別にいいんだけどさ…?
助けてもらったし?これくらいなら全然言うこと聞くんだけどさ?
周りの視線が痛いです。
微笑ましいモンを見てるような目してンじゃねーぞコラ
身動きが取れないのに、周囲を気にしてもしょうがないので
僕は、思考にふける事にする。
しかし、こうやって見ると、普通の女の子だな……
これでSAOじゃ腕利きの情報屋なんだから
世の中分からない物である。
「またシロとアルゴがいい雰囲気になってる……」
ふと思ったのだが、このアホ毛はどうなってるんだろう?
髪を触ってみるとサラサラしてるのに、
アホ毛だけは、スプレー1缶まるごと使ったかのように固いのだ。
「ねぇ、シロ?」
このアホ毛の構造は謎である。
リアルでもアホ毛はあるんだろうか?
流石に、アイテムで髪形を変えてるんだろうか?
……ヒゲのペイントみたいな感じで、キャラ付け的な…
「シロってば!」
髪形と言えば、最もわけわからんのがキバオウだ。
なにあれ?アバターの設定でやったにしても、
どんな罰ゲームなら、アレにしようってなるんだよ?
それともやっぱり、リアルでもあの刺々しい頭なのか?
あんなんナーヴギア傷付くだろ
…リアルでもアレだとしたら、どんな構造してたら、ああなるんだ……?
やっぱり頭蓋骨からして尖ってないと…「無視は酷いんじゃないかなぁ!?」
「うぇっ!?」
「何で全然気づかないのさ!」
「あぁごめん、キバオウの骨格について考え込んでた」
「…ほんとに何考えてるの……?」
ユウキは怪訝な顔をした。
気にならない?キバオウの髪の秘密
「よく分かんないけど、肩借りるね」
「いや、なに当たり前のように、人の肩に頭乗せてンの?」
「そのバカな事しか考えられない頭使って想像してみたら?」
「……まぁ、素材集めやってくれたしな」
「………ハァ?」
「いや、眠いンだろ?宿まで遠いし、他のベンチも空いてないからみたいな」
「……刺されればいいのに…て言うか、そのうち刺す」
何で殺害予告されてるんだ!?
隣で眠る未来の殺人鬼に戦々恐々としていると
ミトがやってきて
「刺されればいいのに、て言うか、刺す」
なんか、どんどん直接的になってねェか!?
「そのままだとアルゴが腰を痛めそうね」
「……うん、きっとそうだわ…そうなのよ」
ミトが、よく分からん自問自答をすると
アルゴの身体を膝に乗せて、
ユウキと逆側に座り、僕の肩に頭を乗せる。
「という訳で、おやすみ、シロ」
「……いや、どんな訳…?」
お前とアルゴって、いつの間に、そんな仲良くなったんだ?
………まァいいか……僕も眠い…………
Side キリト
「何だあれ……」
知り合いがベンチでまとまって寝てるのを見て
そう呟いたのは、決して俺が悪いんじゃないと思う。
なんか
ハーレムアニメの主人公みたいになってるんだが
なんなのコイツ?いつか刺されたらいいのに
て言うか、俺が今すぐ刺し殺してやろう
こんなけしからんヤツは許せん
バカな事しか吐かない口を、綺麗に真っ二つにする為に
“アニールブレード”をライトグリーンに輝かせると
「やめなさい」
アスナに腕を掴まれて、止められた。
「離せアスナ!俺はあの異端者を惨殺しないといけないんだ!」
「俺がモテないのにアイツは!……アイツばかり………!」
しかしアスナの手が、万力のように強く俺の腕を握り、
「キリトくん……」
「あなた、やっぱり殺されたいヒトなの……?」
振り返ると、不動明王のような顔をしたアスナがそこにいた。
こんなの俺が知ってるアスナじゃない
……まさか、アスナもシロの事が好きなのか!?
あんな目が死んでるチャランポランが!?
クソッ!ここに俺の味方はいないのか!?
やはりあのバカはどこかで殺さなければならない
俺は異端者に鉄槌を下す為ならば
幼馴染だってやめられる!
月夜ばかりだと思うなよッ!!
でも……
モテるのはムカつくけど………
本当に苦しんで死ねばいいと思うけど………
シロは凄いヤツだよな……
強化詐欺の手口に気づいて、
気づいたその日の内に解決して、
それで今日はアフターケアまでしてるんだもんな…
「俺はシロが羨ましいよ……」
つい口に出てしまった。
恥ずかしさはあるが、紛れもない本心だから別にいいだろう。
「そっかー、キリトくんは」
「“殺されたいヒト”じゃなくて、“殺さなきゃいけないヒト”だったんだねー」
GTロボに、テリーの母親を殺された時のトリコ
のような顔をしたアスナがそこにいた。
なんでだ!?さっきのはいいシーンだっただろ!?
「キリトくんは、ミトが好きなのかな?」
「それともユウキ?アルゴかな?かな?」
アスナの目のハイライトが消えている。
これはすぐに誤解を解かないとヤバいやつだ!!
「違うんだアスナ!俺はシロのポジションが羨ましいだけなんだ!!」
俺は必死に弁解を図るが、
「そうなんだー、キリトくんは女の子に囲まれたかったんだね♪」
アスナの“ウインド・フルーレ”はライトブルーのエフェクトを纏い、
「そうじゃなくて!「今回はお仕置きじゃない…“駆除”よ……!!」」
目にも止まらぬ速さの【リニアー】が
俺の意識を刈り取った。
おしえてっ!奈っ代せんせ~い!!
絶「たたたたた、大変だよっ!」
「“蒼の道化師”の作者の“青メッシュ先輩”先生からお気に入り登録されてたっ!」
黒「どどどどど、どうするんだよ!」
「7話でネタにしたことがバレてるんじゃないかっ!?」
隊「私たち、大御所に目を付けられたのね……」
「完全に怒りを買って、潰しに来てるのよ………!」
鼠「もうだめダ……おしまいダぁ………」
白「落ち着けバカ共。」
「どうせ、同姓同名の他人だって」
「“青メッシュ”だろーが“リオネル・メッシ”だろーが、街歩いてたら、そこら中にいンだろ」
「つーか何?『先輩先生』って?敬称2つ付いてンじゃねーか」
「なんなの?どこの“さかなクンさん”?」
絶「少なくともメッシは、世界にただ一人しかいないよ!」
「それに、恐ろしい事に御本人だったし!!」
黒「おい、これ本当にどうするんだ!?」
「菓子折りにピーナツバター、ダースで買ってったら許してもらえるのか!?」
隊「それだけじゃ足りないかも知れないわっ!!」
「ここはバナナとか焼き鳥も買って、まとめて鍋で煮込んで送り付けましょう!!」
鼠「友好の証に、シロちゃんの好物のハンバーガーも煮たらどうダっ!?」
絶黒隊「「「それだッ!!!」」」
閃「何も“それ”じゃないから。嫌がらせでしかないからやめなさい」
「まずは勝手に名前を出した事を謝りましょう」
白「ほんじゃァ、よろしくな?結城。」
閃「あなたがやらかしたせいで、こうなってるんでしょっ!!」
白「いや、そもそも『勝手に名前出した』っつったら今もだからね?」
「現在進行形で失礼の上塗りしてるからね?」
閃「本当にどうするのよ………消されるわ……」
「…きっと今、向こうは裁判の用意をしてるのよ………」
「シロ……覚悟の準備だけしておきなさい………」
白「オメーはどこのパッショーネのスタンド使いだ」
「いいンだよ。どーせ何やってもバレねェって。こんな底辺ss、誰も見てねェンだからよ」
「と言うワケで、で次回予告だ」
~次回予告~
度重なる暴言にブチ切れた“リオネル・青メッシ〇先輩”氏は、
ついにシロを刑事告訴する!
こちらは、叩けばホコリしか出て来ない!有罪は確実!!
そこで、シロはとある凄腕弁護士の元を尋ねるのだった……
しかし相手も無罪判決を許した事がない敏腕検事で………
「どんなにキタナイ手を使っても、真実は必ずカオを出す…」
「正義は立場で変わる!勝った者こそが正義なのだっ!!」
史上最強のホコタテ対決が、今始まる!!
「やられてなくてもやり返す……八つ当たりだ!!」
「ふっ………弁護側は、さらなる絶望を望んでいるようだ…」
次回、ソードアートオンライン【道化の王冠】第18話
『逆転・ハイ』
白「そんなワケで、これからも【道化の王冠】は『どうせ誰も見てない』をコンセプトに頑張って行こうと思いまーす」