流石にあのセイバーを衛宮家に置いておくのは問題があると判断した僕の提案で、遠坂と衛宮がサーヴァントを交換することになり、アーチャーが衛宮の、セイバーが遠坂のサーヴァントとなることになった。
何だかんだで衛宮家に居座ろうとした遠坂と桜を僕がアイアンクローしたまま外へと引き摺り出していき、僕の糸で縛られたセイバーを普通の服を着て、魔眼殺しの眼鏡をかけたライダーが引っ張って運んでいく。
最近桜よりも僕の指示に従うようになったライダーは「いつも賑やかですね」とよく笑う。
そうやって普通に笑っているところを見るとライダーは美人だと思うが、夜中に薄着で僕の部屋に入り込もうとしてくるところは油断できない。
「何でライダーは僕の部屋に入ろうとしたのかな?」
「人肌が恋しくなりまして」
「桜で我慢しなさい」
「それはもうやりましたが、正直いまいちでしたので」
「そうなのかい、桜の容姿は悪くないと思うけど。容姿はね」
「反応がなんというか変態で冷めました」
「ライダーも桜を変態だと思ったんだね」
「ええ、私の故郷にもあれほど酷いのは、そう居ません。全く居ない訳ではありませんが」
「桜みたいなのが居るライダーの故郷は魔境か何かかな」
「否定はできませんね」
「とりあえずライダーは部屋に入ろうとするのを止めてもらえないかな」
「少し位いいではないですか、血を吸う訳ではありませんし」
「別のものは吸う気なんじゃないかな?」
「バレましたか」
「うん、部屋に帰れライダー」
「邪魔なドアノブは、こうしてしまいましょう」
「ああ!ドアノブが!」
「そしてドアもこうです」
「ドア自体が!」
「ふふ、シンジ。優しく抱き締めてあげましょう」
「ライダー、後ろ後ろ」
ドアノブとドアを破壊して部屋に入り込もうとしてきたライダーは嬉しそうに微笑んでいたが、僕の言葉に後ろを振り返る。
そこには完全に怒っている桜が立っていた。
「令呪において命じます!私の許可なく兄さんに近付くことは許しませんライダー!」
マスターである桜の令呪によって命じられた命令に従うことになったライダーは、僕に近付くことができなくなったようだ。
「何故です、桜!何故このようなことを!」
「私が先輩とあんなことやこんなことやそんなことをしようとしている時に、兄さんと一緒に邪魔しにくる貴女だけが!ライダーだけが幸せになるとかぶっちゃけ許せません!」
完全に逆恨みも入っている桜の主張だったが、僕が助かったことは確かだろう。
「助かったよ桜」
そう言って桜に笑いかけた僕に桜は、若干照れた様子だった。
「べ、別に兄さんの為じゃないんですからね!ライダーが兄さん狙いでモヤっとしたとかそういうことはありませんから!」
「うん、わかってるよ」
「珍しく兄さんが優しい!はっ!これはもしや偽者!」
「本物だってわかるようにしてあげようか」
桜に偽者扱いされたので本物だとわかるように、アイアンクローを喰らわせておく。
「イッタイ!アタマガァ!優しい兄さんに戻ってぇぇぇぇ!」
とりあえず5分位は桜にアイアンクローをしておいた。
聖杯戦争はバーサーカー以外の脱落者もなく終了して、アインツベルンのマスターは、ホムンクルスの身体を高名な人形師の人形と交換したそうだ。
アインツベルンのマスターは聖杯を持ち帰ることが目的だった筈だが、衛宮と一緒に生きていくことが新たな目的となったのかもしれない。
人形師への報酬は、アインツベルンのホムンクルスの身体と、バーサーカーの魂を宿した小聖杯ということになったようである。
ランサーは現世に馴染んでいて、アロハシャツを着こなしながら釣りをしている姿がよく目撃されていた。
たまにストレスが蓄積したアーチャーが、見事な釣り師スタイルで「フィィィィッシュ!」と魚を釣り上げていたりもして、釣り場が賑やかになっていることもあるらしい。
まあ、アーチャーは好きにさせてあげるとしよう。
春の冬木では桜が満開であり、僕達は花見に来ていた。
衛宮に向かって暴走しがちなサーヴァントを含めた4名を鎮圧しながら、桜を眺めていく。
様々なことがあったが、こうして無事に生きて聖杯戦争を終わらせることができたのは悪いことではないだろう。
桜を見ながら思うことは家族や友人が、誰も欠けることなく日々を過ごしていけることは、とても幸せだということだ。
随分と人数が増えて賑やかになった花見の席で、はしゃいでいる面々の中に僕も混ざっていく。
祝いの席だから、少しくらいは羽目を外してもいいと思う。
さて、とりあえず衛宮と一緒に歌でも歌おうかな。