間桐慎二は一人で暮らしたい   作:色々残念

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欲情汚染都市 冬木 その4

明らかにサーヴァントの殺生院さんを警戒している藤丸さんは、油断してはいない。

 

それだけサーヴァントの殺生院さんが強敵ということなのだろう。

 

確かにサーヴァントの殺生院さんは普通のサーヴァントとは何かが違う気がする。

 

戦いを避けられるなら避けた方がいいのかもしれない。

 

平行世界の殺生院さんということは間違いないだろうが、好物が一緒である可能性もあるので、交渉できるか試してみるとしよう。

 

「ここに、おはぎがあります。これを渡すので僕達が先へ進むのを見逃してもらえませんか」

 

間桐で作ってから、今はタッパーに入っているおはぎを持ちながら交渉してみると考えている様子だったサーヴァントの殺生院さん。

 

「おはぎ、ですか。確かにおはぎは好物ですが」

 

迷っているサーヴァントの殺生院さんに見えるようにタッパーを開き、おはぎを見せつけておく。

 

視線がおはぎに釘付けになっているので、食べたくない訳ではないらしい。

 

「慎二さんが作ってくれた、あのおはぎ、凄く美味しかったよね」

 

「そうですね先輩。あんなに美味しいおはぎは初めて食べました」

 

「確かに悔しいが、和菓子に関しては慎二が上だと認めておこう」

 

藤丸さんとシールダーにアーチャーが言っていることが真実だとわかり、サーヴァントの殺生院さんの視線が更におはぎへと集中していくところを見て、あと一押しだと僕は判断した。

 

「もし戦うということになったなら、僕は貴女の目の前で、このおはぎを食べます」

 

僕がそう宣言しておくと脅しの効果はあったらしい。

 

「酷い人ですね。わかりました、通っても構いませんよ。おはぎを忘れないでくださいね」

 

諦めたように言ったサーヴァントの殺生院さんは、そこまで戦う気はなかったようで、交渉の結果通行を許可してくれた。

 

「ありがとうございます。おはぎをどうぞ」

 

交渉が成立したので、おはぎの入ったタッパーをサーヴァントの殺生院さんに渡しておき、入り口から内部へと侵入していった僕達。

 

完全に内部の内装もそういう感じのアレになっているアインツベルンの城内。

 

冬木の女性達に連れ去られた男性達が連れ込まれていた場所は、此処だったようで、閉ざされた部屋の中からそういう感じの男女の声が聞こえてくる。

 

素早くシールダーの耳を両手で押さえて聞こえないようにして「これはマシュにはまだ早い」とか言っている藤丸さんは顔が真っ赤だった。

 

衛宮も藤丸さんと同じく顔が真っ赤になっていたが、僕とアーチャーは何とも言えない顔をしていたかもしれない。

 

何故なら基本的に男性の喘ぎ声が大きかったからだ。

 

しかもなんか「んほおおおおおおおおお!」やら「ひぎい!」とか「らめええええええええ!」なんてことを男性が言わされていたりもするので、女性達に連れ去られた男性達がどんな目にあっているのか想像したくなかった。

 

そんな惨状を進んでいくのは本当に嫌だったが、聖杯を回収しなければ、ずっと冬木がこのままであることは確実なので、嫌でも進むしかない。

 

奥へ奥へと進んでいくと士郎の姉を名乗る不審者ことアインツベルンが腕を組んで仁王立ちしながら待ち構えていた。

 

「来たわね!私の宿敵であるマキリの蟲!そしてようこそ士郎!お姉ちゃんの城へ!日本で結ばれる時はこういう場所ですることが多いと聞いて、拾った聖杯に願ってみたけど、変なサーヴァントは現れるし、女性達が勝手に部屋を使ってるしで困ってたの」

 

どうやらアインツベルンの城がおかしくなっていたのはアインツベルンのせいであるようだが、冬木の女性達がおかしくなっていたのはアインツベルンのせいではないらしい。

 

それでもアインツベルンの城に女性達が現れたのは、聖杯に引き寄せられた可能性がある。

 

藤丸さんに通信が入り、目の前にいる人物が聖杯を持っていると連絡されたようだ。

 

アインツベルンが聖杯を持っていることが確実であるとわかったので、僕達は戦闘体勢に入る。

 

今回は交渉はしない。

 

どう見てもアインツベルン自体がやる気だったからだ。

 

「私は士郎を手に入れる!そしてめくるめく世界へと士郎と一緒に飛ぶのよ!その為に、やっちゃえバーサーカー!」

 

アインツベルンが叫ぶと同時に、霊体化を解いて実体化したバーサーカーが現れて、僕達に襲いかかってくる。

 

ヘラクレスを狂戦士に変えたバーサーカーは、アインツベルンが持つ聖杯によって呼び出されたことは間違いない。

 

手の内が知れている相手だとしても、このバーサーカーは楽な相手ではないことは確かだ。

 

それでも戦わなければ、普通の日常が戻ってこないというなら、どんな強敵が相手だろうと戦うことに躊躇いはなかった。

 

アーチャーが投影した武具を僕の筋力で扱って致命傷を負わせること10回。

 

バーサーカーを倒すまで、あと3回となり、アインツベルンは焦ったのかバーサーカーの強化を聖杯に願ったようだ。

 

少し生前に近付いたバーサーカーの力は凄まじいものとなり、攻防を続けるとアインツベルンの城内が荒れ果てていく。

 

聖杯の力によって変化しているアインツベルンの城だからこそ耐えられているが、そうでなければ城が1つ無くなっていただろう。

 

アーチャーが矢として放つ偽・螺旋剣に僕が追い付いて、柄に蹴りを入れてバーサーカーの頭部に食い込ませて1回、壊れた幻想でもう1回の命を削った。

 

残された最後の命を燃やし尽くすかのように、暴れまわるバーサーカーを相手に、衛宮が投影した黄金の剣を受け取って構えた僕は踏み込む。

 

振り下ろされたバーサーカーの斧剣を、クロカタゾウムシや甲虫の外皮を組み合わせて強度を上げた腕で弾き上げると、真正面から黄金の剣を振り下ろした。

 

両断されたバーサーカーが光の粒子になって消滅し、敗北を悟ったアインツベルンが意気消沈しているのが見える。

 

それから僕達はアインツベルンから聖杯を回収したが、アインツベルンの城が元に戻り、また女性達に連れていかれた男性達がアインツベルンの城内から居なくなっただけで、元の冬木には戻っていないようだ。

 

どうやら最後の聖杯が本命であるらしい。

 

最後の聖杯があるらしき場所まで藤丸さんのナビゲートで向かった先には、遠坂家の姿がある。

 

聖杯戦争を始めた御三家が関係している場所にそれぞれ聖杯が存在しているのは、偶然にしてはでき過ぎているような気がした。

 

それでも今は聖杯の回収を最優先にするとしよう。

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