続きは来年からですね
皆さま、よいお年を
基本的に休むことが必要のないサーヴァントの肉体で呼び出されている僕は、カルデアで忙しく働いていた。
アーチャーの不在の場合は代わりに僕が厨房を担当することも多く、カルデアの職員達やサーヴァント達の食事を大量に作ることになるが、料理は嫌いじゃないので苦ではない。
子供系のサーヴァント達に頼まれてお菓子を作ることもあったが、そのせいか子供系のサーヴァント達が部屋に遊びに来ることも増えて、部屋が一段と賑やかになることもある。
藤丸さんのサーヴァントである僕は、必要になる素材や食材などを回収する時にも呼ばれ、回収した物資は今のカルデアで1番筋力の高い僕が運ぶことが多かった。
忙しなくカルデアで働き、時には特異点で戦う日々を過ごす僕にも休みは与えられたが、そういう日に限ってカルデアの変態達が行動を起こすので、僕が対処に動くことになるかな。
「はぁはぁ、ますたあのことを考えるだけで身体が熱くなってきてしまいます。この火照りを止めるには、ますたあに責任を取っていただくしかありません!そして私は新しい世界へと飛ぶのです!ああ、ますたあ、貴女の清姫が直ぐに参ります!」
「ふふふ、マスターは、とてもいけない子ですね。母のことをこんなにも惑わせるいけない子です。これはもう積もりに積もった想いを受け取っていただかなくては!ああ、愛しの我が子よ、母が直ぐに向かいます!」
「はい、いつものお2人さん、止まってくださいね」
既に完全に理性が蒸発している2体のサーヴァントを手早く倒して捕縛しておき、纏めて清姫の部屋に叩き込んでおいたが、明日には復活していることは間違いない。
カルデアに来ても結局変態の相手をすることになったが、僕が対処しないと藤丸さんが変態の犠牲になると考えれば、休日を返上してでも僕が動く必要がある。
それにサーヴァントとしてマスターを守ることは当然の仕事だ。
マスターを狙う変態の相手も業務内容ということだろう。
そんな多忙な日々を過ごしていると、ライダーと遭遇することになったが、平行世界のライダーなので、まともなサーヴァントであることは確かだ。
しかし、以前特異点となった冬木の惨状をばっちりとモニターで見ていた平行世界のライダーは、まともなサーヴァントだったからこそ、精神的なダメージも大きかったらしい。
その為、特異点の冬木のことを思い出させる僕と会うことに抵抗があるようだった平行世界のライダーは、基本的に僕を避けていた。
それでもこうしてたまに遭遇することもあったが、基本的に平行世界のライダーは無言で素早く立ち去るので、会話を交わしたことはない。
今日もそうなると思っていたんだけど「少しいいですか」と珍しく平行世界のライダーから話しかけてくる。
「あの世界は聖杯のせいで狂っていたようですが、普段は、どのような世界なのですか」
「冬木の女性達が聖杯でおかしくなってたのは確かだけれど、僕の居た世界だと聖杯戦争を始めた御三家のマスター達は、いつも衛宮を狙ってる変態だったということには変わりないかな。元から桜はショタコンだったし」
僕が平行世界のライダーにそう答えると、よろめいて倒れそうになったライダーは精神的なダメージを受けていたようだ。
「桜、どうして」
なんてことを言いながら落ち込んでいるライダーは、平行世界でも桜に召喚されたのかもしれない。
平行世界の桜がどんな存在なのかには興味があったが、現在のライダーは話を聞けるような状態ではなかった。
とりあえずそっとしておこうと思った僕は、ライダーから離れて移動していく。
まあ、正直に答えた僕は悪くないと思う。
カルデアで日々を過ごすことにも慣れ、様々な特異点に赴いて人理を修復していく度に、様々な出会いと別れがあった。
特異点で出会う英霊や人々は、確かにそこに居たと、僕達だけは、しっかりと覚えている。
今日も特異点で結んだ新たな縁から新たなサーヴァントがカルデアに召喚されていき、カルデアの一員となったようだ。
特に俵藤太さんが呼び出されたことは厨房担当としては喜ばしい。
彼の宝具である無尽俵があれば、美味しいお米がいくらでも用意できて、更に山海の幸までも出すことができる。
これで食料に関しては、俵藤太さんのおかげで困らなくなった。
食材探しの手間が省けたのはとても助かることだ。
食事がしっかりと食べられることは良いことだが、大食いのサーヴァントを相手に食事を用意するのは大変だったからね。
俵藤太さんのおかげでカルデアの食に関する問題は、かなり改善されるだろう。
調味料に関しては、地道に確保していくしかないかもしれないが、大量の食材よりかは軽い筈だ。
カルデアに来てくれた俵藤太さんには、僕から深く感謝をしておこうかな。
なんて浮かれるくらいに良いことがあったかと思えば、悪いこともある。
それは新たにカルデアに召喚されたサーヴァントの1体である静謐のハサンが、僕と藤丸さんを両方狙っている変態だったことだ。
静謐のハサンの身体は毒であるようで、特に唇に触れた相手は助かることはないらしい。
第6特異点で藤丸さんや僕に静謐のハサンの唇が触れてしまうことがあり、毒で死ぬことのなかった藤丸さんと僕に驚いていた静謐のハサン。
藤丸さんはシールダーと契約していることでその恩恵を受けていたので、静謐のハサンの毒が効かなかったのだろう。
長い歴史を持つ間桐のえげつない様々な毒蟲の能力も持っている僕には大抵の毒は効かないようだから、僕にも静謐のハサンの毒は効かなかった。
そんな僕達に関しての記憶を記録として座に持ち帰った静謐のハサンは、カルデアに召喚されても僕達のことを覚えていたみたいだ。
特異点で確かに縁を結んだサーヴァントが僕達を覚えていてくれたことは、本来なら喜ぶべきことの筈だけど、それで異様に執着されることになってしまうなら悪いことなのかもしれない。
今日は僕の部屋に入り込もうとしてきた静謐のハサン。
昨日は夜中に藤丸さんの部屋に向かおうとしていた。
「本当に私の身体が1つであることがもどかしいです。同時にお2人の寝床に入り込むことはできませんから」
「まず寝床に入り込もうとすることを止めようね」
「そうです!マスターと慎二が一緒の部屋で寝てくれれば、私はお2人の間に挟まることができるのでは!どうでしょう、これからマスターと一緒の部屋で寝てみませんか慎二!ああ、勿論私を間に挟んでくださいね!今晩は圧迫祭りですよ!」
「うん、とりあえず黙ろうか」
殴って毒となる体液が飛び散っても困るので、テンションの高い静謐のハサンを糸でぐるぐる巻きにして強制的に黙らせてから、彼女の部屋まで運んでおく。
カルデアの変態の相手にも、すっかり慣れたような気がする今日この頃。
冬木の衛宮が大丈夫なのか、僕は、ちょっと心配だった。