カルデアに新たなサーヴァントが呼び出されたが、僕とあのサーヴァントが出会うのは確定した未来であったことは間違いない。
アルターエゴのサーヴァントの殺生院さんと再び出会うことになった僕だが、この殺生院さんはまだ僕が作ったおはぎを食べたことはないようである。
という訳で食堂に殺生院さんを案内してから、厨房で僕が作った和食とおはぎを殺生院さんに渡してみた。
和食をキレイに食べ終えてからおはぎに手を伸ばしたサーヴァントの殺生院さんは、おはぎを一口食べると驚いた様子で目を見開く。
夢中になって僕が多めに作っておいたおはぎを食べていた殺生院さんは、全てのおはぎを直ぐに食べ終えてしまったようだ。
皿の上のおはぎが無くなったことを知った瞬間、悲しそうな顔をしていた殺生院さんに、僕が追加で作ったおはぎを渡してみると殺生院さんの顔が物凄く嬉しそうな顔になる。
とても分かりやすい反応をしてくれる程度には、僕が作ったおはぎを殺生院さんは気に入ってくれたみたいだった。
こうしてサーヴァントの殺生院さんに僕がおはぎを食べさせなければ、冬木のあの特異点ができることもなく、僕がカルデアに召喚されることにもならなかったのかもしれない。
それでも厨房を預かる身としては差別することなく食事を用意するのは、当然のことだと僕は思っているので、結局殺生院さんがサーヴァントとしてカルデアに来た時点で遅かれ早かれ、僕が作ったおはぎを殺生院さんは食べていただろう。
殺生院さんが僕の作ったおはぎを食べてから翌日、サーヴァントの殺生院さんは僕に何度も話しかけてくるようになった。
どうやらその目的は、僕が何故カルデアに呼ばれたのかを知ることであるらしい。
マスターである藤丸さんにも僕のことを聞いているサーヴァントの殺生院さん。
藤丸さんは平行世界の冬木の特異点で僕と出会ったことを話したようで、僕が平行世界から来た存在であることをサーヴァントの殺生院さんは知ったようだ。
それから数日の間、カルデアから消えたサーヴァントの殺生院さんは、僕が居た平行世界の過去の冬木で特異点を作りに行っていたらしい。
こうして過去と未来が繋がり、現在に至るということになるが、カルデアに帰ってきたサーヴァントの殺生院さんが迷わず僕に飛びかかってきたりもした。
「過去の貴方がここまで私を昂らせたのですから、未来の貴方が責任を取ってくださるのが当然のことではないでしょうか!」
なんてことを言いながら飛びかかってきたサーヴァントの殺生院さんを拳で撃墜しておく。
多分、過去の僕が腹パンして放置したことで、サーヴァントの殺生院さんの興奮が最高潮に達してしまったのだろう。
頑張れ未来の僕とか無責任に思っていたら、本当に未来の僕が頑張ることになってしまった。
「ああ、そのように激しくされてはいけません!この身が壊れてしまいそうです!ですがもっと激しくしてもらっても此方としては捗るので構いませんよ!貴方以外では味わえないこの痛みを味わい尽くしてみせましょう!さあ、いくらでも来てください!私は全てを受け止めます!」
そう言って身悶えながら待ちわびている様子で、痛みすらも悦びに変えている姿を見せつけてくるサーヴァントの殺生院さんは、間違いなくヤバいサーヴァントだ。
何かもうサーヴァントの殺生院さんは存在が18禁な感じがする。
消滅させない程度に殴っても蹴ってもプロレス技を使っても、サーヴァントの殺生院さんは悶えながら悦ぶだけだと判断した僕は、とりあえず糸でぐるぐる巻きにして縛っておいた。
サーヴァントの殺生院さんはアルターエゴのままでは糸から逃れることはできないようで、一応無力化はできたらしい。
「どうせ縛るのなら何故亀甲縛りにしてくれないのですか!異議を申し立てます!」
「異議は却下します」
そんな会話をサーヴァントの殺生院さんとしながら殺生院さんの部屋まで、ぐるぐる巻きの状態の殺生院さんを俵担ぎで運んでいく。
糸で巻いてある殺生院さんをベッドに寝かせておき、僕は素早く立ち去った。
それから何故かやたらと僕に近付いてくるようになったサーヴァントの殺生院さん。
僕に攻撃されたいと考えているようで、あの手この手で僕を怒らせようとしてくるが、基本的にサーヴァントの殺生院さんは、ちょっと考え方が普通とはズレているので、面倒なだけで怒る程ではないことばかりしてきた。
「あら、何故怒ってくれないのでしょう」とでも言わんばかりな顔をしている殺生院さんは、やっぱりちょっとズレている。
サーヴァントの殺生院さんの行動は他のサーヴァントから見て完全に奇行だったようだ。
とりあえず僕は子供系サーヴァント達に殺生院さんが近付かないように気をつけておく。
何かもう殺生院さんの言動は明らかに子供系サーヴァント達に悪影響がありそうだったからね。
サーヴァントの殺生院さんと接する機会が増えていくと、様々なことも話すようになった。
カルデアに居る今の殺生院さんは本人いわく禁欲中らしいが、どう考えても禁欲中には見えない。
そこのところは実際どうなのかを聞いてみると「私を惑わせる貴方がいけないのです!身体がバラバラになるような、あの一撃を喰らっては、とても我慢などすることはできません!」と開き直る殺生院さん。
やっぱりサーヴァントの殺生院さんはレベルの高い変態だ。
それから日々が過ぎていき、バレンタインとなったところで、カルデアの皆にチョコを作ろうと考えていた藤丸さんから、厨房担当として協力を頼まれた。
僕が作り方を教えはしたが、マスターである藤丸さんが全て作ったチョコは、カルデアにいる全てのサーヴァントとカルデアの職員達に渡されたらしい。
僕にも藤丸さんからのチョコは渡されており、貰ったチョコをゆっくり食べようと思って自室に向かう僕を呼び止める声がする。
「これを貴方に渡そうかと思いまして」
そう言いながら僕におはぎを渡そうとしてきたサーヴァントの殺生院さんは「たまには乙女の気持ちを味わってみようかと」と一言付け加えた。
こういうものは本人の気持ちがこもっているので、受け取りを拒否するのは酷いことだと僕は思う。
「ありがとうございます、殺生院さん。大切に食べますね。ホワイトデーは期待しててください」
「それは楽しみです。お返しを期待していますね。私としては身体でずっこんばっこんとお返ししてもらえると嬉しいのですが」
「いや、普通に食品でお返ししますからね!」
やっぱりサーヴァントの殺生院さんは、バレンタインであっても変態なのは変わらないらしい。