桜によって召喚された英霊はライダーだった。
外見は目隠しをした長髪長身の女性といった姿をしているライダーの英霊。
ライダーの真名は、僕に教えられることは無かったが、それなりにステータスは高いようだ。
当たりの英霊であるとお祖父様は喜んでいたな。
僕にとって問題なのは、触媒を使った召喚ではなく、桜との縁で召喚された縁召喚であることだ。
このライダーには、桜との共通点が何かある筈だが、それが何なのかまではまだわからない。
とりあえず僕は自由にしても構わないと言われているので、危なっかしい衛宮としばらく行動を共にするとしよう。
登下校も衛宮と一緒に行動をしていき、衛宮を衛宮家に送り届けたところで、霊体化を止めたライダーが出現し、僕に蹴りを叩き込もうとしてきた。
ライダーの足を掴んで蹴りを止めた僕は、そのままライダーを投げ飛ばす。
「やはり貴方は、まともな人間ではありませんねシンジ。私の蹴りを容易く止めるとは」
「いきなり蹴りを入れられる理由は無い筈だけど?」
「想い人との逢瀬には、貴方が邪魔だとサクラが言うので、しばらく眠ってもらおうかと」
「あれは逢瀬とは言わないよ。桜が指示すれば何にでも従うのかい君は」
「マスターに従うのがサーヴァントですよシンジ」
「それだけの理由だとは思えないのは何故だろうね」
「さて、それはどうでしょう」
微笑みながら駆けたライダーが迫り来ると、顔面を狙った上段の廻し蹴りを放つ。
先程よりも早いそれが、英霊であるライダーの本気であることは確かであるが、やられてやるつもりはない。
ライダーの上段蹴りに合わせるように僕も蟻の筋力と飛蝗の脚力を組み合わせた押し込むような蹴りを放ち、その蹴りでライダーの蹴り足を狙って止めた。
本気の蹴りを止められたことに驚くライダーは、僕の性能を桜に詳しく聞いてはいないようだ。
大雑把な身体能力だけを使った蹴りは怖くないが、英霊としての能力を使われては困る。
大事な戦力であるサーヴァントに怪我をさせないように手早く終わらせようと考えた僕は、クモイトカイコガとオオミノガの糸を組み合わせた強靭な糸を手から伸ばして、ライダーを縛り上げた。
英霊であろうと縛り上げることができる僕の糸から逃れることができなかったライダーは「なんなんですか貴方は!?」と僕を警戒しているようだ。
いきなり攻撃してきた相手に容赦をする必要はないので、ミノムシ状態になったライダーを引き摺りながら衛宮家に入ると桜に追われている衛宮を発見。
蔵に逃げ込んだ衛宮を追おうとしている桜の後頭部を掴むと「兄さん、争いとは虚しいものではありませんか?」と言ってきた桜。
「争いじゃなくて制裁だから問題ないよ」
「イッタイ!コメカミガァ!」
僕の拳骨で、桜の左右のこめかみを挟んでグリグリやっておくと、いつものように桜は悲鳴を上げている。
そんなことをやっている間に、蔵が光ったかと思えば、サーヴァントが衛宮によって召喚されたようだった。
蔵から出てきたサーヴァントが狙ったのは糸で縛られたライダーだったので、僕が持っていた糸を引っ張って攻撃が当たらないようにしておいたが、多少ライダーの身体が地面で擦れたかもしれない。
そんなことをしていると、サーヴァントが今度は僕を狙って襲い掛かってきた。
一見このサーヴァントは手に何も持っていないように見えるが、それは透明なだけであり、実際は何かを持っていることは間違いないだろう。
サーヴァントが持っている何かが、おそらくは剣であることが理解できたところで、制止に入った衛宮によって、サーヴァントの動きは止まったが、どうやら衛宮はサーヴァントを止める為に令呪を一つ使ってしまったらしい。
もったいない使い方をしてしまった理由は桜にあることは間違いないな。
詫びとして聖杯戦争について何も知らない衛宮に、詳しい事情を教えておくことにした。
そんなことをしていると遠坂が現れて、詳しい状況の説明を求めてきたので、僕が説明することになったが、正直に全てを語った僕に殴りかかってきた遠坂。
「桜がおかしくなったのは、きっと間桐のせいよ!」
「間桐のせいにするなよ!桜は、もともとおかしかったんだよ!」
「ひとを頭おかしいみたいに言わないでくれませんか2人とも」
そんなやり取りをしている僕らを見ながら痛そうに頭を押さえていた遠坂のサーヴァントが衛宮に似ているような気がしたのは、気のせいではないだろう。