藤丸さんがよく食べていたスタミナを回復させる効果がある果実だが、それは色によって回復量が違うそうだ。
最近物凄く大量に入手したそれらの果実を消費していくのは大変であり、果実が余りに余っているらしい。
特に回復量が多い黄金の果実が貴重だと思って残しておくようにしていたら、それも物凄く余ってしまって困っているみたいだ。
黄金以外の色の果実も、そのまま食べるのが少しつらくなってきているようで、厨房を担当しているサーヴァントの僕達に「せめて味に変化を加えてほしいです」と頼んできた藤丸さん。
という訳で果実をアップルパイやリンゴジャムにしてみたり、リンゴジュースにしたりしてみた。
それ以外にも、すりおろした果実をカレーに加えてみたりもして、味に変化を加えることには成功したので藤丸さんも喜んで食べていたかな。
こうして果実を幾つか消費してみたけど、まだまだ果実は沢山あるようであり、果実を余らせない為には他の活用方法も考えなければいけない。
アーチャーと試行錯誤しながら果実の使い道を考えてみたが、様々な料理に混ぜてみるという活用方法以外だと果実でデザートを作るということになり、果実を使ったデザートを食堂のメニューに追加してみたりもした。
リンゴのシロップ漬けやアップルゼリーに、アップルジェラートと焼きリンゴなど、それ以外にも果実づくしのデザートなどがメニューにあったが、それなりに好評だったことは確かだ。
デザートのおかわりを幾つも頼んできたサーヴァントが何人もいたからね。
料理に混ぜたり、デザートに変えて味に変化を加えることはできていたので、藤丸さんも笑顔で食べていて「これだけ味のバリエーションがあるなら沢山食べられそうです」と物凄く喜んでくれた。
加工されても果実は効果があったようで、様々な姿に形を変えた果実によってスタミナを回復させた藤丸さんは、今日も元気に特異点へと向かっていく。
果実を使ったアップルティーを僕とアーチャーで一緒に作り、食後の1杯としてカルデアの職員達やサーヴァント達に提供してみると、これも意外と評判は悪くなかったので、新たな活用方法が見つかったことを僕達は喜んだ。
それでも果実の在庫がまだまだ大量に残っていることを知り、どうしようかと頭を悩ませていた僕とアーチャーだったが、地道に消費していくしかないと考えを切り換える。
普通の果実とは違うので腐ることはないから、長期保存も不可能ではない様々な色の果実達を、僕達は今日も工夫を凝らして活用していった。
料理にデザート、様々な飲料などを作る為に果実を使用して消費していくと、徐々に無くなっていく果実達。
日に日に減っていく果実に僕達は達成感を感じながら、少しずつ果実を使っていく。
飽きられないように手を変え品を変え味を変え、僕とアーチャーは大量の果実の山を少しずつ減らしていった。
ようやく終わりが見えてきたと思っていたところで、申し訳なさそうな藤丸さんが特異点から持ち帰ってきたのは、様々な色の凄まじく大量な果実。
「すいません、捨てるのも勿体ないと思って持って帰ってきちゃいました」
そう言っていた藤丸さんは日本人であるから勿体ない精神を持ち合わせてしまっていたらしい。
どうしようかと再び頭を悩ませていた僕とアーチャーだったが、もういっそのことカルデアで祭りでも開いて、果実をリンゴ飴にして消費してしまおうという発想に至った僕達。
あの時の僕達は、ちょっと疲れていたのかもしれないと思うけど、カルデアで祭りを開くという提案は、ロマニ所長代理に却下されることなく承諾された。
という訳でカルデアで祭りを開くことになり、日本の祭りでは定番の品々を作ることになった僕とアーチャーは、ひたすら祭りの準備に追われていく。
開かれた祭りは、カルデアの職員達やサーヴァント達が全員参加する盛大なものになったが、全員楽しむことができていたのは間違いない。
イカ焼きに焼きとりや焼きそば、ステーキ串に串カツや、じゃがバターにタコ焼きとお好み焼き、わたあめにかき氷とリンゴ飴、といった祭りの食べ物を楽しんで食べていたカルデアの職員達やサーヴァント達。
他のサーヴァント達にも協力してもらって用意した景品が並ぶ射的や輪投げにも、熱中していた職員やサーヴァントは多かった。
全員が笑顔で祭りを楽しめていたことは、きっと悪いことではないだろう。
果実を使ったリンゴ飴が意外と人気で、直ぐに無くなったのも僕とアーチャーにとっては悪いことではない。
さて、次はどうやって果実を消費していこうかと果実の活用方法を考えていく僕とアーチャーだったが、そんな僕達の元に再び申し訳なさそうな藤丸さんが現れた時点で嫌な予感がした。
「ごめんなさい、また増えちゃいました」
両手を合わせて謝っている藤丸さんの背後では大量の果実を抱えたサーヴァント達がいて、彼等も申し訳なさそうな顔をしている。
「どうしてこんなに増えちゃったのかな藤丸さん」
「特異点が、リンゴ農園みたいな感じで、戦う度に果実が入手できちゃって、こんなに増えちゃいました」
「何でそんなピンポイントな特異点ができたんだろうね」
いや本当にどうなっているんだろうと思ったけれど、増えたものは仕方ないと諦めることにした。
「で、どうしようかアーチャー」
「これまで通り地道に消費していくしかあるまい」
「まあ、そうするしかないんだろうね。じゃあ僕はリンゴジュース作っておくよ」
「ああ、任せたぞ慎二。私は見せ筋なので、そこまで筋力がないものでな」
「この前僕が見せ筋って言ったの気にしてたのかいアーチャー」
「ああ、何せ私の心は硝子だからな。打たれ弱いのだよ」
笑みを浮かべながら自虐的に言ったアーチャーは、何だか楽しげである。
ジャガーマンのおかげで桜ショックから立ち直れたアーチャーは、いつもの調子に戻れたみたいで良かった。
「アーチャーが意外と打たれ弱いのは知ってるよ。これまで沢山見てきたからね。たとえば僕の世界の遠坂とかアインツベルンがカルデアに来たときとか」
「頼むからそれは思い出させないでくれ。摩耗したはずの記憶がそう叫んでいる」
僕の世界の遠坂とアインツベルンの言動のせいで、思いっきり悲鳴のような声を上げていたアーチャーのことを思い出しながら言う僕に、物凄く嫌そうな顔でアーチャーは言った。
桜ショックは克服できでも、どうやらそっちはまだ克服できていないらしい。
またアーチャーに引きこもられたら困るから、この程度で止めておこうかな。
もしかしたら、何処の世界でも衛宮は苦労する運命なのかもしれないね。