人理を修復してからも様々な特異点をマスターである藤丸さんと一緒に駆け抜けてきた日々だったが、それにも終わりが近付いていることは確かだろう。
逃げ延びていた魔神柱の企みも全て阻止し、特異点の原因となった魔神柱達も全て残らず倒した。
サーヴァント達の協力もあり、カルデアで凍結されていた47人のマスター達も全員治療が完了したようで、解凍された47人は一部を除いて、帰るべき場所へと帰っていく。
Aチームのリーダーであったキリシュタリアさんは、カルデアを守る為にカルデアに残るつもりであるようだ。
時計塔からの横やりを回避する為にも、キリシュタリアさんがカルデアの新所長となることをロマニは望んでいた。
ちなみにAチームのベリルという奴がマシュに絡もうとした瞬間に現れたバーサーカーのランスロットによって殴り飛ばされたところで、待ち構えていたキャスターの玉藻の前による去勢拳がベリルに炸裂して内股で気絶したベリル。
起きた時のベリルは何故か、おネエ言葉に変わっていて性格も変わっていたらしい。
去勢拳を喰らうとああなってしまうことを知り、一部の男性サーヴァント達は非常に恐れていた。
まあ、僕も喰らいたいとは思えない攻撃だね。
ベリルは以前、マシュに絡んで虐待紛いなことをしていたようで、危険人物として認識されていたみたいだが、完全に別人のようになってしまったベリルは危険人物ではなくなったのかもしれない。
それでもいつ元に戻るかはわからないので、ロマニと新所長のキリシュタリアさんによってカルデアからベリルは強制的に退去されることになる。
Aチームの他の面々は、完全に帰り支度を整えていた芥ヒナコさんを除いて、カルデアに残るつもりのようだ。
カルデアに執着することなく去っていった芥ヒナコさんは、どうやら人間ではないみたいだったが、それを指摘しない方が良さそうだと思ったので、僕は黙っていた。
項羽様グッズとやらを全身に身に付けていた異様な芥ヒナコさんに関わりたくなかったというのも理由の1つにはなるかもしれない。
ベリルや芥ヒナコさん以外の面々とは良好な関係を築けていたマシュは、特にスカンジナビアさんを慕っていて「ぺぺさん」と呼んでいる。
良好な人間関係を築けていることは悪いことではないので、藤丸さんもマシュをにこにこしながら眺めていた。
そしてそんな藤丸さんを見ながら明らかにヤバい顔をしているサーヴァントが2体ほどいたので、その2体が行動に移る前に手早く捕縛しておく。
物凄く驚いていたキリシュタリアさんに、いつものことだと説明しておいて、僕は2体のサーヴァントを彼女たちの部屋まで担いで運んだ。
人理修復も特異点の攻略も終わって、僕達サーヴァントの務めは終わりを迎えようとしていた。
サーヴァント達のマスターであった藤丸さんとの別れが近付いていることは確かだろう。
役目が終わったと判断して徐々にカルデアから退去するサーヴァントもいる。
戦闘好きなサーヴァント達は最後に、派手にサーヴァント達と戦って満足してからカルデアから去っていった。
技術者系サーヴァントは、カルデアの設備の点検をしっかりと行ってから、カルデアを去っていく。
作家系サーヴァントは人理修復の旅を本にして、藤丸さんに渡してカルデアを去った。
キャスターのサーヴァント達はカルデアの魔術的な防備を凄まじく厳重にし、守りを固めているようで、作業が終わるまで座に帰るつもりはないらしい。
バーサーカーのサーヴァント達は自分達にできることはもうないと判断して、清姫と源頼光以外は静かに座へと戻る。
その他のサーヴァント達も役目は全て終わったと思っているみたいで、次々とカルデアから退去していった。
カルデアに残っているサーヴァントは今までに比べれば少ない数となり、部屋には随分と空きができているようだ。
僕は、まだカルデアに残っていてくれと頼まれていたのでカルデアに残っていたけれど、残っていてほしいと頼まれた理由が何とも言えない理由だった。
厨房で料理を担当できる人材が派遣されてくるまでの間、これまで通り厨房を担当していてほしいという理由だけではなく、変態の相手ができるサーヴァントが他にいないという理由で引き止められたのは、何とも言えない。
マスターである藤丸さん狙いのサーヴァントが、まだ座に帰っていないから、それに対処するサーヴァントが必要なんだろうね。
まあ、マスターである藤丸さんを守るのもサーヴァントの仕事だから仕方ないと思っておこう。
今日も僕は、厨房で注文に応じて様々な料理を作っていく。
カルデアに残っていたサーヴァントの殺生院さんは今日も食堂に来て、僕が作ったおはぎを美味しそうに食べていた。
おかわりを頼んできたサーヴァントの殺生院さんに、山盛りのおはぎを持っていくと喜んで食べていたかな。
「カルデアで貴方のおはぎを食べられるのも、もう少しで終わりですか」
しみじみとそう言っていたサーヴァントの殺生院さんは、とても残念そうな顔をしている。
そこまで惜しんでもらえるのはカルデアの厨房担当としては嬉しい限りだ。
「それと1度も貴方を味わうことができませんでしたね。とても残念ですが、手に入らないこそ興奮するものがあるということでしょうか。ああ、みなぎってまいりました!禁欲中の私をこんなにも惑わせるとはいけない人ですね!これはもう責任を取ってもらうしかありません!朝までコースでずっこんばっこんといきましょう!」
ちょっとしんみりしているかと思えば、やっぱりこの人はこんな感じなんだなあ、と納得しながら素早くサーヴァントの殺生院さんを捕縛した僕は、彼女の部屋まで運んでいく。
カルデアのサーヴァント達は、大なり小なり藤丸さんに何かを渡していっていた。
それを受け取った藤丸さんが、サーヴァント達から好かれていたことは間違いない。
だから僕も何かを藤丸さんに渡したいとは思うが、何が良いだろうかと頭を悩ませることになる。
そんな僕にカルデアに唯一これからも残るサーヴァントであるダ・ヴィンチが、話しかけてきた。
「立香ちゃんに渡すものを考えているなら、慎二くんの糸を使わせてくれないかな。凄まじい強度がある慎二くんの糸なら良いコートが作れそうだからね」
糸を僕が提供してダ・ヴィンチと共同で作ったコートを藤丸さんに渡すことになったが、流石はダ・ヴィンチといったところでセンスが良いコートだ。
これならきっと喜んでくれる筈だろう。