お祖父様が言うには、キャスターが根城にしている場所は柳洞寺であるらしい。
柳洞寺の入り口にキャスターとは別のサーヴァントが番人としているようで、恐らくはキャスターが召喚したアサシンのサーヴァントだそうだ。
偵察として放った蟲の使い魔がアサシンのサーヴァントが持つ長刀に切り裂かれていく姿が記録されており、明らかにハサンではないアサシンは、イレギュラーなアサシンであることが理解できた。
ちなみに柳洞寺には結界が張られていて、入り口以外から侵入するのは得策ではないようだ。
間違いなくアサシンと戦うことになるが、誰が戦うかを決めようとすると「私が戦います!」とセイバーが言い出す。
かなり好戦的なセイバーは少々焦っているように見える。
よほど叶えたい願いがセイバーには、あるみたいだ。
脱落しているサーヴァントがいない現状を変えたいとセイバーは考えているのかもしれない。
アサシンはセイバーに任せることに決まり、柳洞寺の内部に攻め入るメンバーは、それ以外の全員に決まった。
昨日は精神的なダメージが高そうだったアーチャーも何とか立ち直ったので、戦力として期待できるだろう。
時おり桜や遠坂が頭のおかしい行動をする度に「ここは平行世界、ここは平行世界」と自分に言い聞かせるようになってしまったアーチャーが可哀想だが、頑張ってもらうしかない。
柳洞寺に攻め込むことになり、全員で移動していくと、柳洞寺の門に繋がる石段に立っているアサシンを発見。
アサシンが「アサシンのサーヴァント、佐々木小次」まで言ったところで突っ込んでいったセイバーが剣で斬りかかっていく。
名乗りを全て言わせてもらえなかったアサシンだったが、セイバーとの剣士としての戦いに夢中になっていたようで、直ぐに上機嫌になっていた。
アサシンはセイバー以外を素通りさせることに抵抗がないようで、普通に柳洞寺に侵入できてしまった僕達全員。
そんな僕達を待ち構えていたのはキャスターだったが、キャスターの格好がパジャマ姿であり、葛木先生の姿がプリントされた抱き枕を何故かキャスターが抱き抱えていた。
完全に寝起きの人といった様子のキャスターを見たアーチャーが膝から崩れ落ちて「なんでさ!」とか言っていて、どうやらまたアーチャーが精神的なダメージを受けていたらしい。
アーチャーの正体って平行世界の衛宮なんじゃないかな、と僕が思っていたりもしていると「魔術師の領域内に不用意に踏み込む恐ろしさを教えてあげましょう」とキャスターが寝起きの格好のまま言い出す。
竜牙兵という竜の牙から生み出された兵を此方にけしかけてきたキャスターは、抱き枕を抱えたまま宙に浮き上がると魔力砲を連続で撃ち出してきた。
冗談みたいな姿をしているわりには普通にキャスターみたいなことをしてくる相手に、何とか意識を切り替えることができたらしく、アーチャーが立ち上がって戦線に加わっていく。
僕は僕で魔術で強化されている葛木先生と戦うことになっていた。
どうやら葛木先生は僕が想像していた通りに普通の先生ではなかったようで、見たこともない特殊な武術を習得しており、人間としては実力者であることは確実だ。
興味深い技であるのでしっかりと見て覚えさせてもらおうと思った僕は、葛木先生の動きを記憶に刻んでいく。
それからしばらくして葛木先生の技術の全てを見て覚えた僕は、終わらせることにした。
使う技は空手の正拳突き、空手の突きとは突き手と引き手が背中越しに滑車で繋がっているように同時に打つものだ。
そして敵がどこからどういう力をかけてきても、ただ鋼のごとく体を締めることで攻撃を弾き飛ばす身体用法で放たれた正拳突きは、葛木先生の攻撃を弾き飛ばして腹部に命中。
僕の一撃で倒れた葛木先生には息があるが今日は、もう戦えないだろう。
サーヴァント達の戦いも終わりが近付いている。
葛木先生がやられたことで動揺していたキャスターをアーチャーが撃ち落として、ライダーによって攻められたキャスターは満身創痍だった。
戦いが終わるかと思ったところで「その人に消えられると困るんですよ」という声がする。
次の瞬間、空から降り注いだ数多の武具がアーチャーとライダーを貫いた。
アーチャーとライダーが一瞬で無力化され、トドメを刺されるところだったキャスターだけが武具に貫かれていない。
いつの間にか現れたギルくんは、にっこりと笑いながら「良い夜ですね、慎二お兄さん」と話しかけてきた。
やっぱりギルくんは普通の子じゃなかったみたいだ。