間桐慎二は一人で暮らしたい   作:色々残念

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第9話、聖杯

とりあえず僕は桜や遠坂のストッパーになってくれそうなアーチャーを受肉させることに決めて、ギルくんにそれを伝えると了承したギルくんがアーチャーだけを連れてきた。

 

傷だらけのアーチャーにギルくんが薬らしきものをふりかけていくと、アーチャーの傷が瞬く間に癒えていく。

 

万全の状態となったアーチャーをキャスターの手で受肉させたギルくんはアーチャーに令呪らしきもので命じていた。

 

「3つの令呪において命じます!たとえどんな相手であろうと少年らしき存在が狙われて襲われていたら必ず助けなさい!」

 

少年達の守護者となる未来が決定したアーチャーの背中が泣いていたような気がする。

 

2体のサーヴァントを受肉させても魔力が残っているようだったので、世界中の防犯に対する意識改善を願ってみた。

 

汚染されていた大聖杯がキャスターによって正しく利用されていくと、世界中の防犯意識が改善されたらしい。

 

それなりに大きな願いだったので魔力もかなり消費されており、あと僅かとなった願いの使い道を決めようとギルくんとアーチャーとキャスターに僕で話していたら、アーチャーが「世界中の人がほんの少しだけでも優しくなれるように願ってほしい」と言った。

 

誰もそれを否定しなかったので残り僅かな願いで叶えられたアーチャーの願い。

 

やっぱりアーチャーは平行世界の衛宮だと僕は思ったが、アーチャー本人が知られたくなさそうな雰囲気を出しているので僕は知らないフリをしておく。

 

大聖杯に蓄えられていた魔力が消費されたとしても、アインツベルンが用意する小聖杯というものがあるようで、倒されたサーヴァントの魂を回収するのが小聖杯の役割であるらしい。

 

今回のアインツベルンのマスター自体が小聖杯だということを聞かされた僕としては、小聖杯も確保しておく必要がありそうだと判断した。

 

大聖杯がある大空洞から出た僕達は、それぞれ別行動をすることになるようだ。

 

ギルくんは拠点にしている場所に帰るようで、キャスターは葛木先生の治療、僕とアーチャーにライダーは衛宮家に一旦帰ることにして移動していく。

 

戻った衛宮家には衛宮の姿が無く怪我人が多かった。

 

どうやら僕達だけを置いて柳洞寺から帰る途中でバーサーカーに襲撃を受けたらしく、衛宮が拐われてしまったとのことだ。

 

アインツベルンの城の場所は判明しているが、戦力が揃うまで待機していた方が良いと判断して、僕達を待っていたらしい。

 

セイバーに魔力は供給されている為、衛宮が生きていることは確かである。

 

とはいえ時間の問題かもしれないので、今戦える全員でアインツベルンの城に向かうことにした。

 

メンバーとしては僕とアーチャーにライダーとセイバーに桜と遠坂という面々。

 

人間で元気だったのが僕以外は変態しかいなかったのが悲しいところだ。

 

そんなことを考えながら到着したアインツベルンの城に侵入して向かった先では、何処かで見たことがあるような光景を目にすることになる。

 

扉を開けたそこには、全裸のアインツベルンのマスターに半ズボンを脱がされそうになっている衛宮の姿があった。

 

「や、止めろイリヤ!」

 

「イリヤお姉ちゃんと言いなさい士郎!天井のしみを数えている間に終わるわ!」

 

鼻血をだらだら流しながら衛宮の半ズボンを脱がそうとするアインツベルンのマスターは、僕の義理の妹にそっくりであり、どうやらまた変態が増えたらしい。

 

令呪の効果で、衛宮を素早く助けに行ったアーチャーの顔は完全に死んでいた。

 

手早く衛宮を回収して僕に手渡したアーチャーは「イリヤまで変態だった」と言いながら顔を両手で押さえて蹲ってしまう。

 

「あいあむざ、ぼーんおぶまいそーど」とか言い出したアーチャーの精神的なダメージは大きい。

 

精神的な大ダメージを喰らっているアーチャーを慰めてやりたいところだったが、獲物を逃がした新たな変態は、怒り心頭といった様子で厄介なバーサーカーをけしかけてきた。

 

アーチャーの隣に衛宮を降ろしておき、セイバーとライダーと一緒に戦線に加わった僕は、バーサーカーの攻撃を受け止めて、隙を作っていく。

 

その間も、ぶつぶつと何かを呟いているアーチャーは体育座りのまま動くことはない。

 

セイバーやライダーと連携してバーサーカーと戦っているところにランサーが現れて、此方に加勢してくれることになった。

 

どうやらキャスターによって、いけすかないマスターから自由になり、ランサーは新たにキャスターをマスターにしたらしい。

 

受肉したキャスターならアサシンとランサーの2体を使役しても問題なく魔力を回せるようだ。

 

ランサーも加わったことで有利になった此方に対して、バーサーカーは全力で攻撃を繰り出す。

 

その全てを受け止め続けていた僕に「やるじゃねぇか坊主、こいつとの戦いが終わったら俺とも戦おうぜ」と獰猛に笑いながら言ったランサーは、戦うことが好きなようだ。

 

僕達がそんなやり取りをしていると「そー、あざいぷれい、あんりみてっどぶれいどわーくす」という声が聞こえ、体育座りしていたアーチャーから炎が広がったかと思えば、剣の突き立つ荒野へと僕達の居場所が変わる。

 

これが固有結界だと気付いたアインツベルンのマスターは「何者なの!?」と戦慄していた。

 

「なあ、あの嬢ちゃんは何で裸なんだ?」と聞いてきたランサーに「セイバーのマスターを性的に襲おうとしていたからだね」と僕が答えると「ああ、まあ、そういう奴もいるわな」と納得していたランサーは、あっさりしている。

 

ランサーは生前そんな相手と出会ったことがあるのかもしれない。

 

体育座りから立ち上がったアーチャーが「貴様が挑むのは無限の剣!剣撃の極地!恐れずしてかかってこい!」とバーサーカーに向かって言い放つ。

 

どうやらアーチャーは立ち直ってくれたようだ。

 

アーチャーが頑なにアインツベルンのマスターを視界に入れないようにしているのは気になるが、とりあえずバーサーカーとは戦ってくれる筈だ。

 

それじゃあ、僕も、もうひと頑張りするとしよう。

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