「貴様…何者だ!」
「お前と同じファンガイアだよ!」
キバはスパイダーファンガイアを華麗な身のこなしで翻弄しながら、数発のパンチを入れる。生身の状態では本来出来ない筈の動きだって難なくこなせるからこそ、こうして戦えているのだ。
更に、キバの戦いかたにプロレスのような動きも混ぜられているため…型が存在しない。
だからこそ、並みのファンガイア相手には指一本触れさせないようにしている。
「ガッ!グッ!」
「どうした?そんなもんか?」
「き、貴様ぁ…!」
スパイダーファンガイアは糸をキバの顔に向けて吐くも余裕で避けられ、その代わりに顔面にパンチを食らう。
「がふっ!」
「はっ!天下のファンガイア様も形無しだな!」
「おのれ…!」
『東司、遊んでる暇はないぞ。直ぐに決めろ!』
「あぁ。」
キバットから注意を受けた東司はフエッスルを取り出して、キバットに吹かせる。
《ウェイクアップ!》
その瞬間、世界は夜に変わる。ただの夜ではない…それは、キバの作り出す世界。
キバが左足を高く上げると、キバットがベルトから離れて巻き付いていた鎖を解く。カテナの鎖と呼ばれる物が解き放たれ魔皇力が解放。残った右足でジャンプし、月をバックに、空中から強力なキックを放つ。
これぞキバの必殺技、ダークネスムーンブレイク!
左足から流し込まれた魔皇力はスパイダーファンガイアに流れ込み、その体をガラス細工のように粉々に打ち砕いた。
その後その体から光の玉が現れるが、それを狙うように城と融合したかのようなドラゴンが現れた。
「……来たか。」
その名をキャッスルドランと言う怪物であり、ファンガイアの生命力を餌としている。
怪物は光の玉を飲み込むと、咆哮を轟かせながら何処かへと飛んで入った。
「…ふぅ~、終わった。」
変身を解いた東司はキバットと共に歩いて家路へと戻る。だが、それを見ていた一人の異形がカメラを持ってキバの姿を確認していた。
「やはり…!」
「そうか…報告ありがとう。」
ここは人間界ではない全く別の場所。蝙蝠のような羽を
生やした男性が、部下が撮ってきた写真を見る。
そこにはキバとファンガイアの姿があった。
「(キバとファンガイア…彼らが再び現れた。封印が弱まったのかそれとも…いずれにしても、調査をしないとね。)」
人間界に送り出した自身の妹の安否も気になるが、それ以上の面倒事が舞い降りたとこれからの事を考えると胃が痛くなる思いをすることになった。
一方、1986年では……
「~♪」
鼻歌交じりにバイオリンを引く一人の男。その男は、町を練り歩きながら下手くそなバイオリンの演奏をしている。
この男の名前は月影 大瓜
無名のバイオリンの奏者であり、バイオリン作りが得意な男である。