月影 大瓜…彼は街を練り歩く。だがその演奏が酷いったらありゃしない。
こんなものを演奏などと呼べるわけがない。
「下手くそー!」
「演奏やめろー!」
周囲の人間達の反応はごもっともである。しかしそんな声など知らないと言わんばかりに引き続けながら、河原まで来たかと思えば…突然誰かに抱き付かれてしまった。
その後から、強面の男性が2名現れて何処かへ走っていった。
「…助かったわ~。ありがと☆」
以下にもコスプレとも言わんばかりな服を着ている少女と思わしき人。普段ならただのコスプレ女なのだが、大瓜はその少女?をこう思った。
「(何だこいつ。頭可笑しいのか?)」
だがそう思っても仕方ない。そもそも常時コスプレ状態の女に抱き付かれても全く嬉しくない。…と言うより、大瓜は女が苦手だ。
だから早々に立ち去りたかった。
「そうか、なら俺はさっさと行かせてもらうぞ。」
「あ!待って!ちょっとで良いからお礼をさせて!」
「嫌だね。てか、勝手に抱き付いてきたのはお前だろうが。」
そう一蹴して大瓜は去っていった。
2008年…東司は一人の客?に対して茶も出さずに椅子に座らせている。その場には東司と男性とキバットの三人しか居ない。
「何の用だ、アザゼル。」
「やれやれ…お前さんはホントに俺の事が嫌いなのか?キバット。」
アザゼルと呼ばれた男性は羽を広げるその羽は、堕天使の証。堕天使の総督である男に対して嫌いですオーラを全開にしているキバットに対して肩を竦めている。
「お前が気安く呼ぶんじゃねぇ!」
「おっと、そいつは悪かったな。」
本当にキバットはアザゼルの事が嫌いらしい。過去に何をしたのか気になるが、キバットの為にもここは敢えて聞かないことにしてバイオリン作りに集中する。
「てか、お前さんにも関係ある話だぞ。ファンガイアの王様殿よ。」
「聞こえない聞こえない。あの白龍皇とか言う奴を連れてきた迷惑野郎の言葉なんて聞こえなーい。」
「うぐっ…それは悪かったよ…。」
東司もまた、一度アザゼルが連れてきたヴァーリーと言う少年のせいでえらい目にあっているので苦手どころか寧ろ嫌いの域にまで達している。
マジでこの一件で堕天使陣営を潰そうかと思ったが、流石に一人だけでは無理だしめんどくさいしで辞めにした。
「てか仕事はどうした。」
「部下に押し付けてきた。」
「お前とんでもねぇ野郎だな。」
何だかこいつが堕天した理由がちょっと分かった気がした。と言うか俺にも関係があると言っていたが…一体何なのだろうか。
「お前、俺にも関係あるって言ってたよな?どういう風に関係してるって言うんだよ。」
「近々教会の関係者がこっちに来るらしいからな。無闇な真似すんなって忠告しに来た…って、あからさまに嫌な顔すんなよ…。」
教会…東司からすれば迷惑でしかない連中だ。ファンガイアを敵視するのはまだ分かるとして、何故キバまで倒そうと思ってるのか。
と言うか、まず生身で倒せると思っているあいつらの頭の中身とかどうなってるのか。
「…取り敢えず忠告は受け入れるが、どう動くなんて俺の自由だろ。」
「そりゃそうさ。だがまぁ、取り敢えず殺されねぇようにしろよな。」
そう言ってアザゼルは帰っていった。そして俺は玄関に塩を巻くことにした。