ごちゃまぜメガテン レギュレーション<ロバ>   作:FD一枚ケルベロス

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フリン「ガキ? 大嫌いですね」
人修羅「同意」
ノブ「初手から襲撃!」
ナホビノ「死んだ」


最初の死闘はガキ

 

 

 

 

≪%#%#%! ■&&$%$♪≫

 

「うおおおおおおおおお! また無効されたぁ!」

 

『退避、退避、退避! キズぐすり使ええええ!』

 

「あと二発、あと二発で死ぬから! もったいなくない?!」

 

『クリったら事故るんだよ! 不運(ハードラック)と踊っちまったらしゃれにならん!』

 

 誰も立ち寄ることもない廃れた集合住宅地。

 その片隅でガキと餓鬼が死闘を繰り広げていた。

 

 ついさっきスライム*1をぶっ飛ばした釘バットが唸りを上げて、対峙する悪魔を殴りつける。

 悪魔。そう、悪魔だ。

 この世界には悪魔が存在する。

 悪魔――魑魅魍魎、妖怪、神、天使、怨霊、魔神、人間外の人外全ての総称。

 マグネタイトと呼ばれる人間だけが発する霊力を燃料に、魔界から人間界へと現れ、あるいは幻想の中に住まう存在。

 

 これを古来から人は崇め、あるいは戦い、あるいは利用し、あるいは利用され、歴史を刻んできた。

 歴史の裏側に悪魔たちは実在していた。

 ただ人類社会の影としてもみ消されただけで。

 

 

「うおおお! 唸れ、俺の豪運ぅうんん! ぐぼあー!」

 

『うわあああ! 死ぬなあ!』

 

 

 そして、そんな暴力に今まさに一人の命が吹き消されようとしていた。

 

 

 

 

 ●   ●   ●

 

 

 

「死ぬかと思った……」

 

「死んじゃうかと思ったわぁ……」

 

 ぜーぜーとズタボロのサバイバルベスト*2に、くたびれたリベットナックル*3に、ライダーブーツ*4に身を固めた少年が仰向けになって荒く息を吐いていた。

 

 年齢からして学生、男子高校生といった年代だろうか。

 血まみれのバンダナ頭を仰向けに、ポンポンと剥き出しのお腹を擦っていた。

 

「おれ、生きてる? 生きてるよな??」

 

「生きてるよ、内臓出てたけど」

 

「こわ、キズぐすりコワ。腕一回もげてたけど、これも治るの、やばくね??」

 

「覚醒者なんだからしょうがないだろぉ、ぅうー。グロい、夕飯食べられないかも、牛丼のタレ買っておいたのに」

 

「そこは3日ぐらい抜けよぉ」

 

 鼻をすすりながらテキパキと処置を終えたサバイバルキットを仕舞うのは分厚い眼鏡をかけた少女だった。

 同年代ぐらいだろうか、雑に伸ばしたストレートヘアを明るいブラウンに染めて、冬でもないのにイヤーマフ*5加工されたヘッドホンを付けていた。

 ブカブカのイエロージャンパーを羽織った少女と、釘バットで悪魔と戦っていた半グレめいた少年の二人組。

 

「あれが最序盤の敵ってまーじー?」

 

「マジマジ、初手から死ぬことも珍しくない殺意だから」

 

「うごごご……怖い、おいちゃんライトゲーマーだから泣いちゃうかも」

 

「メガテンだからしょうがないんだ」

 

 青く晴れ渡った空を見上げながら、少女は呟いた。

 メガテン、と。

 それがこの世界の法則だと彼女は知っていた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 女神転生というゲームが有る。

 1987年、アトラスというゲーム会社が販売したゲームだ。

 原案はデジタル・デビル・ストーリーという小説。女神転生って名前は一作目の副題から取られてたりする(まあこれはメインヒロインが女神イザナミの転生体だったからだけど)。

 コンピュータープログラムによって悪魔召喚の儀式が再現可能になり、悪魔の使役が出来るようなプログラム。すなわち【悪魔召喚プログラム】によって起こった現代伝奇小説、そこからゲーム化され、人気から続編が出て、さらに真・女神転生という作品になってゲーム独自の世界観、一種のジャンルになった。

 アニメ化もされたし、漫画も出たし、小説も出たし、ソシャゲにもなったし、映画は……派生作品のペルソナとか、まあそっち方面だけどとにかくたくさん出た。

 これらのユーザーがメガテニストって言われてる。

 女神転生→メガミテンセイ→メガテニストってやつだ。

 

 自分はそのメガテニストの中でもまあまあそこそこやってた奴だと思ってる。

 

 旧約販売時期は生まれてなかったけど移植版とか、Switchに移した真1・2もやったし、直ってないバグに切れたし。

 TRPGは覚醒編とかは入手出来てなかったけど、魔都200Xとか、真3のTRPGとか、あと小説で出てた奴も結構読んでたし、ペルソナとかも初代からやってた、PSPのほうだけど。音楽のことをいうと何故かPS版やってた人はキレてたけど。PCオンラインゲーは昔のNINEとかはやってないけど、IMAGINEはちょっと触れてた。アトラスゲーも結構やってた、悪魔絵師のデザインしゅき。人類は週末を望んでいるのだよ! んん? これは違ったかな?

 と、まあまあ結構やってたんじゃないかな?

 低レベルクリア動画とかアップしてたし、真3のRTAも走ってたりしてたよ。チャートの出来栄えにはんん~自信があるんですよねぇ。

 そんなメガテニストをやってたからなんだろうか。

 

「転生したらメガテン世界にいた件について。ただしイケメン紅顔の男子くんの知り合いはいないとする」

 

 なにげに読んでいた朝刊の片隅に聖十字メシア教という単語が乗っていたんじゃが??

 

 それを見たあと、好物の梅昆布茶を飲んで落ち着き、自室でくるくる回ってひとしきり混乱をしたあと、私――木戸 玲衣(きど れい)は落ち着いた。

 落ち着いてググりまくった。

 まさかの魔剣Xじゃありませんように! あれもメシア教出てたし! と祈りながら調べた。

 

「よかった、インドで自殺ソングとか、欧州で治療不可能な伝染病とか、マフィアが麻薬じゃぶじゃぶ流して、メシア教が自殺に全速☆前進DA! してないみたいだ」

 

 果ては第三次世界大戦か、全人類洗脳エンドか、それとも定数に入れずに間引かれるか、救世主になってる魔剣Xの使い手に救われてつつデスピリア案件*6になるんじゃねえか?? と鬱りかけたがどうやら違ったようだ。

 

「よかったー。ってことはただのメガテンかー」

 

 少なくとも邪悪対邪悪のどっちが勝っても人類がやばいでSHOWにはならないようだ。

 

「よかったよかった」

 

 精々東京以外滅びるか、東京以外死滅するか、東京が全て封じられるか、東京がディストピアになるぐらいでー。

 あとはカテドラル以外全て水没したりー、残ってた水上都市も平行世界のヒーローだのの殴り合いで吹っ飛んで、人類全員消滅と蘇生繰り返したりー。

 

「――アウトだぼけえ!!」

 

 玲衣はキレた。

 

「メガテニストだからってリアルメガテンやりてえわけねえだろ!! ばーか!!」

 

 少女は絶望した。

 あまりにも人類が詰むルートの数々を知りすぎていたから。

 

「助けて神殺しぃ! んおんん!!」

 

 

 それから。

 

 色々と学生生活の片隅でいろいろ調べた。

 そりゃあもうたくさん調べた。

 

 なんかジュネスがあったりー。

 なんかガイアグループってのがあったりー。

 なんかガイア連合ってのがあるみたいでー?

 ガイア教団がめちゃくちゃ跋扈してた、Mハゲは探したけどいなかったし、腕切れて人間性もブチギレたお嬢様な財閥はなかったり、下手すりゃあ東京まで闇討ちにいかないといけないかと覚悟してたメンヘラ女教師とそれが籠もる新宿衛生病院はなかった。

 なんか陸上自衛隊にゴトウって名前があったので、こっちはデビサマルートに行ってとっ捕まることを祈るしかなかった。部屋で豊胸運動しながら乱数調整した。

 とりあえず駅前でメシアンらしいビラ配ってたり、啓蒙活動してたシスターがいたが、絶対に目に見えないように影に隠れて聞いたが、眠り病とか、自殺教唆の謳い文句はなかったので鳩の戦記ルートはおそらくない。

 

(あれ打ちきりだから展開が読めないし、漫画版ペルソナ1は神)

 

 いつ東京が封鎖されてもいいように、近寄らないことにするが……あれガイア教団いたら発生しないよね?

 おそらく14代目だと思われるマダム銀子の赤坂のバーを探したけれど、見つからず。

 紹介状がないとだめか、あるいはデビルサマナーの資質がないと見つからないタイプ? SH2で明言されたけど人払いの結界が張られた秘匿都市レルム形式だった場合、自覚的に見つけるのは困難だ。

 悪魔は一応見える。

 

(てっきり見える子ちゃん路線だと思ってたんだよなあ)

 

 だから昔から分厚い眼鏡となにかを聞いてる振りをするためのヘッドホン装備に、目線を誤魔化すために髪の毛を伸ばしてたけど、よくよく見ればピクシーだのポルターガイストだの、見覚えのある悪魔のデザインだと気づくべきだった……凝視したら呪われそうだったからめっちゃ避けてたけど。

 自分は一応愚者ではなく異能者だと思うが……才能があった場合、覚醒してなくても悪魔が見えるケースが有る。

 自分の霊格覚醒段階がわからない。

 TRPG仕様の愚者→異能者→覚醒者→超人などの順序が適応されてるのか、そもそもゲームの場合すっ飛ばしすぎてて裏設定に過ぎないのか。

 情報が足りない。

 知識が足りない。

 材料が足りない。

 ヤクザはやばい。人間とっ捕まえて脳髄出して赤玉出したり、プラズマソードもってたり、組長が吸血鬼血清打ってたり、ろくでもない。

 警察はペルソナじゃないと基本使えない。ペルソナでも初手襲撃されて全滅してたり、上の方が新世塾と組んでたり、公安が人格暴走事件の政治家の手先やってたりするけど!

 自衛隊。ほぼ論外、シュバババ調査隊とかぐらいならくそつよつよ人類トップ勢だけどあれ国連とかでしょ、あれ。

 自衛隊でいいネームドなんて五本指ぐらいで収まる数しかしらない。当然ふんどしマンは入っていない。

 

(結論、大体無理だこれ!)

 

「自力でなんとかするしかないわけなんじゃが」

 

 目で見てデザインから大体の悪魔は判別出来る。ストレンジジャーニーの調査隊……おそらく愚者なんだろう人間と違って、一定の霊格、霊力保持者ならば悪魔の形状は見てわかる。デビチル仕様でもなければ見ればどの悪魔かはわかるのだ。データもまあまあ覚えてる。

 メガテン世界だと気づいてから覚えている限りのことをひたすら玲衣が書き溜めたノートは30冊を超えている。なんかペルソナ辺りだと武器属性だの、旧約だとシバブー耐性だのあった気がするが割と抜けがあって、思い出したら書き足さないといけない。

 

「せめてアナライズぐらいできればなあ……レベルが、レベルと耐性ががが」

 

 エクセルを使ってデータを打ち直しながら唸る。

 最悪の予想。

 

 これが一作品のメガテン、あるいは統一した設定のやつならいいが。

 

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 ポ○モンの地方違いとかいうレベルじゃないのだ。

 魔神とか魔王とか邪神とか全部違う場合がある。しかも同じデザインなのに。

 舐めてんのか???

 

「んーまあ……そんなわけないか」

 

 ぶんぶんと頭を振って、玲衣は調べたデータをプリントアウトした。

 

 かえんびんの作り方というデータを。*7

 

「とりあえず投具と火炎と衝撃相性は揃えておくか」

 

 ついでにネット通販でフィリピン爆竹*8と装備に使える衣料品を注文した。

 タバコだのを煮詰めればどくや*9ぐらいにはなるだろう。

 

 

 それから。

 

 

 帰宅部直帰の放課後、めちゃくちゃアギ(かえんびん)ザン(ばくちく)を駆使してソロってるスライムとポルターガイストを爆殺した。

 

 レベルが多分上がった。

 

 力に目覚めた。

 

 アナライズが出来るようになった。

 

 そして目覚めた彼女の力は――

 

 

 

 

「ペルソナかよぉおおおおおおおお! しかもナビかよぉおお!」

 

 

 荒ぶる衝動に身を任せて、汝は我、我は汝という声が聞こえたので開放した。

 なんかアナライズを始めた。

 戦闘に使えるようなスキルは……なかった。

 

 ちょっとした裏路地で玲衣は絶望した。

 

「ペルソナ様すればリセマラできないかなあ!?」

 

 自分の頭に浮かぶレベルLV2という認識に、嗚咽を漏らした。

 これ無理、幾らメガテニストでも勝てないよ、死ぬわ。

 人修羅よりクソザコナメクジスタートだよ、サマナーじゃないんだから……

 

 

「ぐへえええええええええええええええええええ!?」

 

 

「へ、なに!?」

 

 聞こえた悲鳴というには醜い声に慌てて立ち上がり、駆けつける。

 

 そこには。

 

「おいまてえええ!! ソウルハック手前えええええええ!!!」

 

 オレサマオマエ丸かじりというわんばかりに口を開けていたスライムに、慌ててどくやを投げつけて始末する。

 

 消化手前の人間がズルリと出てくる。

 

 慌てて応急手当*10を施す顔に玲衣は見覚えがあった。

 

「飛鳥、なにやってんのあんた!?」

 

 喜多 飛鳥(きた あすか)

 玲衣と同じ高校に通う学友であり、昔からの幼なじみだった。

 

 

 そして。

 

「レベル1になってるー!?」

 

 レベル0の愚者だったはずだったのが、LV1。

 

 覚醒を果たしていた。

 

 

「うおおお! 息を吹き返せー!! めでぃーっく! がーでぃああああああん!!」

 

 

 死にかけていたが。

 

 

 

 

*1
外道スライムLV1 悪魔のなり損ないであり、マグネタイト不足や不完全な実体化によって現れる雑魚の中の雑魚であり魔王だろうがなんだろうが事故ればなる

*2
真1胴体防具。最低限の防御力だがわずかに回避力も上がる(男女共通)

*3
真1&TRPG200X篭手防具 拳に鋲を打ち付けた打撃用手袋 防具性能は最低だがわずかに格闘威力が上がる

*4
真1&TRPG200X 脚部防具 動きやすいライダー用のブーツであり防御力もそうだが、回避力が若干上昇する

*5
TRPG200X 頭部防具、気休め程度の対魔防護にFREEZE耐性を得る

*6
魔剣X→デスピリア(販売別、開発元はアトラス関係のマッポ―デストピアゲー)

*7
かえんびん 真1戦闘アイテム、アギと同じ効果がある

*8
探索者御用達の爆竹(真1戦闘アイテムではスティンガーがザンマと同じ効果をもつ)

*9
真1戦闘アイテム ダメージ+POISON効果を与えるアイテム

*10
魔都200X MPを消費して威力点分のHPを回復するドクタークラスの初期スキル





まったりとした低レベル縛りです

変な作品ですが楽しんでもらえたら幸いです
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