ごちゃまぜメガテン レギュレーション<ロバ>   作:FD一枚ケルベロス

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アレフ「コロシアムのファイターとしてビシバシ鍛えられた」
ライドウ「悪魔召喚師として訓練は受けていた」
人修羅「上着取られた」
キョウジ「肉体チェンジ!」
ナホビノ「ドッキングだ!」
ヒデト「ゲームで遊んでた」

フツオ「アサルトナイフ手に入れたから、チンピラ殺しにいくことにした」



みんなLV1からスタートです

 

 木戸 玲衣(きど れい)はオタクに優しいギャルである。

 

 見た目は瓶底眼鏡、伸ばし放題の髪に、やや猫背のくせに突き出る胸部装甲もない。

 外見的にはダウナーな陰気キャラそのもので、いつも両手に本でも抱えていたら完璧な陰キャラだった。

 

 だがそんな見た目とは裏腹に普通にハキハキ喋るし、お昼には友人と普通にお弁当を食べていたり、売店で買ったパンとコーヒー牛乳を啜っていたり、携帯も使う。

 授業中や体育の時にはヘアバンドで髪をまとめてるし、漫画やドラマの話題も普通にするし、なんだったら家とか近所では芋ジャージでコンビニや市営図書館に行く猛者だ。

 見た目以外は完全に陽キャである。

 

 だから見た目と行動のギャップに初めてのやつは大体驚くし、なんで髪とか髪型をそのままにしてるのかと聞かれると「肌が弱いから」なんて言ってるが。

 

(いやお前、小学生の頃は虫取り網片手にガキ大将してただろ)

 

 海に行ってはこんがり肌になってたし、山にいってはカブトムシをおいかけてたし、ひ弱さのひの字もない奴だった。

 それを喜多 飛鳥(きた あすか)は知っている。

 

 喜多 飛鳥にとって木戸 玲衣は幼なじみであり、大事な友人だ。

 

 まだ彼女ではないが。

 まだ女友達というよりはやや親友分類だが。

 まだゲームを一緒にやったり、お互いの家で課題に取り組んだり、ノートを貸し借りするような間柄だが。

 大事な友人だ。

 それがなんか放課後にコソコソと寄り道しだしたり、ホームセンターで液体窒素ボンベ*1を購入していたり、なんか駅中のトイレに入ったと思ったら髪型と格好変えてごついボストンバックを大型ロッカーから出したりと、めっちゃ怪しかった。

 

(まさかラノベ展開、俺の幼なじみは影で世界を守る戦士とかなんかだった?)

 

 眼鏡を変えればクラスで三番目ぐらいの美少女だと個人的に評価していたが、まさかの展開過ぎた。

 尾行する飛鳥もレイの行動パターンを認識してから、同じように格好を着替え、ワックスで髪型を変えつつ伊達メガネをつけて監視を続けた。

 

(昔からレイの奴と付き合ってやらされてたシティアドあるあるが役に立つとは)

 

 学生探索者気分になりつつ、裏路地に消えていく幼なじみを尾行して、そこでみたのは――

 

「うおおお! 電撃でWEEKしろ! おるぁーSHOCK!!」

 

 なんということでしょう。

 スタンガンをくくりつけた棍棒*2をぶんぶん振り回す姿だった。

 それが誰もいない路地裏でバチバチ振り回してたのです。

 

(やっべ)

 

 飛鳥は戦慄した。

 幼なじみの奇行にはそれなりに慣れて受け入れるつもりだったが、魔を討つ者みたいなムーブをリアルでされて困惑する。

 いやしない者などいないだろう。

 

「おら、ジオラハメ! ジオハメされろおら!」」

 

 しかもなんか催眠○じさんみたいな言い回しを!?

 

(うわぁ)

 

 思わず引いた。

 その時だった。ぐにょりと今まで感じたことがない感触がしたのは。

 

 目を向けたそこには――()()()()()()()()()()()

 

「うぇ」

 

 声を上げる暇もなく恐ろしく冷たいものに包まれて。

 飛鳥は絶叫と共に苦痛に沈んでいった。

 

 

 

 ●  ●  ●

 

 

 

 無賃乗車でキセルかおんどれー! とソバットを食らった。

 船から蹴り落とされて、しけてんなと舌打ちをされた。

 

「カロンおじさん!?」

 

 そんな夢を見た。

 

「オ○レ兄さん?!」

 

 ガバッと起き上がった飛鳥が見たのは知らない天井……ではなく知ってる青い空だった。

 

「あ、あれ、ここどこ?」

 

「近所の公園。ラブホで目覚めるとかそういうの期待してたぁ? ないからっ!」

 

「やだ、エッチなことされちゃう……!」

 

「え、あんたが被害者側前提?!」

 

 慌てて距離取り――……膝枕でもなんでもなくボストンバック枕だったのを認識しながら、飛鳥は慌てて立ち上がり、気付いた。

 なんか首周りとかめっちゃべとべとしてた、というかすっぱい臭いがする。

 

「ゲロとかはいてたからね。自分で口拭いて、あとそこ水あっから」

 

 ウェットティッシュを投げ渡し、玲衣が指差した方角にあったのは公園常備の水道。

 

「公園の水だろ、それ」

 

「文句が?」

 

「いやないけど」

 

 ぐい、みし、じゃー、がらがら、おげー。

 音にするとそんな作業をして、ようやく飛鳥は自分に何があったのか思い当たった。正確には思い出した。

 

「なんかファンタジーなことがなかった? おれ生きてる?」

 

「死にかけてたぞ、飛鳥……あとで病院いっておこうか、わかるかわかんないけど」

 

「玲衣。俺に何が起こったんだ? 路地でなんかやってた闇討ち練習と関係があったりする?」

 

「忠臣蔵の予習みたいに見えてたの???」

 

 飛鳥はとっさに出た発想を言ったが、予想外みたいな顔を玲衣は浮かべる。

 

「まあ覚醒したなら無関係で終わらないか……闇討ちじゃなくて、悪魔討ちだよ」

 

「串撃ち?」

 

「三年。じゃなくて、悪魔退治。悪魔ぶっ殺してたの」

 

「あーくま?」

 

「熊裂き包丁でも欲しいところだわ、ってちゃうわ! いいからボクが説明するから、そこに座って! もう!」

 

 頬を膨らませて怒り出した玲衣がバゴバゴ音を立てるベンチに、飛鳥は横並びに腰を降ろした。

 

「いいか、よくきけ飛鳥」

 

 そして、飛鳥は聞いた。

 

「悪魔は実在する」

 

 幼なじみが語り出す世界の真実を。

 

「だから東京は滅ぶ」

 

「なんで??」

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 女神転生という話を聞いた。

 

 メガテンという略語も聞いた。

 

 めちゃくちゃ話が長くなって日が傾いてきたので、ファミレスにいった(汚れた格好から学生服に着替え直した)

 

 軽いスナック類とドリンクバーで粘りながらめちゃくちゃ話を聞いた。

 

 そして結構遅くなったのでファミレスを出て、一緒に帰りながら話を聞いた。

 

 そんでお互いの家の前で別れを告げて、両親にただいまといって、ちょっと怒られて、汚れた服を洗濯機にいれて、風呂に入って、早めにベットに入り。

 

 電気の消した天井を見て、思う。

 

「え、マジ?」

 

 

 

 

 ◆

 

 

 学校に登校。その昼休みに別クラスの玲衣をいつものように誘って、売店を経由しながらたまーに来る開放された屋上にて。

 

「東京滅ぶの?」

 

 割り箸でお弁当のおかずを食べながら飛鳥は玲衣に聞いた。

 

「世界も滅ぶよ」

 

「世界が滅ぶのかぁ」

 

「東京が滅んで、世界も滅んでるからね」

 

「なんで東京のついでみたいな言い方なんだよ」

 

「だってメガテンだから」

 

「わけがわからんぞ!?」

 

「アトラスクオリティってやつだ」

 

 今からでも幼なじみの妄想ってことにならねえかな? ならない? そうですよね……

 

 ただの戯言だと片付けたかったが、飛鳥はそれを無視できない理由があった。

 

「マジか……覚醒もマジだもんな」

 

 飛鳥は手元を見る。

 昼休みの弁当出しに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 色々と身体の調子がおかしかった。

 絶好調過ぎるというレベルで片付かない身体能力に、動きのキレ、道路を走る車の速さの鈍さとか、色んなものが変わってしまった。

 

(昨日公園の蛇口も握りつぶしかけたもんな)

 

「死にかけたら覚醒するとか、ラノベかよ」

 

「一番楽なコースだよ? 他には悪魔との接触、悪魔召喚プログラムを手に入れたり、儀式をしたり、悪魔に力を与えられたり、長年修行したりして、そんで運かな」

 

「運?」

 

「目覚めなきゃそのまま死ぬからね」

 

 ジューと紙パックジュースを啜り、玲衣は腕を撫でながら言った。

 

「飛鳥はレベル1。一般人っていうか愚者から覚醒したね」

 

「レベル1ってマジでゲームだったら初期レベル過ぎる……」

 

「普通の一般人はレベル0。無意識に宿る力もなにもかも眠らせたまま過ごしてる状態、これとちょっと目覚めかけてたり、才能があるのでも愚者扱いだったり、完全に一般人なのも含むのはああ……その時代ごとの扱いだったかな。私はLV1から5LVぐらいまで異能者でいい主義」

 

「ゼロなんてあるのか」

 

「そ。目覚めてない奴はそれ、悪魔もまともに見えない。めちゃくちゃ鍛え上げてる人類精鋭クラスでも愚者だと悪魔とはまともに戦えない、認識出来ないからね」

 

「つまり今の俺なら悪魔ってやつと戦えるのか? ウソだろ」

 

「うーん、机とか椅子使ってその場の勢いで運が良ければガキとか殴り倒せるかも? ぐらい、七割ぐらい死ぬけど」

 

「死ぬの?」

 

「素人が狼と真っ向から戦って安定して勝ちますなんてあると思う?」

 

「ないな」

 

 悪魔怖い、マジ怖い。

 飛鳥は怖くなった。

 覚醒した力は万能感があった、興奮もあったけど、死にかけてから目覚めて、一晩経ってそんな興奮は消えていた。

 強くなった、それのはずなのにそれも大したことがないと誰よりも知っている幼なじみがマジ顔で言ってるのが拍車をかけていた。

 

「私のレベルは2だよ、それでも最弱の悪魔相手でも武器と安全策でやらないとマジで死ぬ。怪我しながら戦うし」

 

「怪我って」

 

「ハメたりしながら出来るだけ余裕もって倒してるけど一人だもん、うっかり足くじいたり(MISS)こけたり(ダウン)したら死んでる」

 

 淡々と、ゆっくりと、玲衣は言う。

 他人事のような口ぶりだったが、飛鳥は気付いていた。

 吸っている紙パックはとうの昔に中身が空で、ストローを噛んでいるだけで。

 

 玲衣が腕を擦るのは自信がない時の癖だった。

 

 なんか前世の記憶があるだの、ゲーム世界にトリップしてたみたい、みたいなことを冗談みたいに言ってたが、それも痩せ我慢だったのだ。

 飛鳥にとっては当然だったが、玲衣にとってもこの世界は現実で。

 

「あのさ」

 

 それが殺し合いなんて平気なわけがない。

 

「なに?」

 

 現代社会の暴力なんて縁のない女子高生だったらなおさらで。

 

 

「その悪魔退治、俺も手伝っていいか?」

 

 

 それを放っておくなんて出来なかった。

 喜多 飛鳥は男の子だったから。

 

*1
ソウルハッカーズ1戦闘アイテム 液化チッ素ボンベとして登場、敵一列に氷結ダメージ、FREEZEの状態異常を与えるマハブフ相当品

*2
偽典武器 スタンバトン。先端に感電するスタンガンを取りつけた棍棒であり、武器発動魔法として<ジオラ>が発動できる。




LV0<愚者>自らに眠る可能性にも気づかず、多くの人々はこのまま生涯を終える。一般人という表記、LV1~5までを愚者として扱うこともあるが後期女神転生TRPGでの設定であり、覚醒してない場合は愚者として呼ぶ。

覚醒したものを異能者、そこから自らの力に自覚し、運命に導かれ出すものを覚醒者と呼ばれる。


女神転生TRPGルール上
異能者からHP、MP、その他ステータスに補正が発生する。
愚者はその肉体のままでしか力を発揮できない
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