ごちゃまぜメガテン レギュレーション<ロバ> 作:FD一枚ケルベロス
ナナシ「神殺しにはレベルが必要」
リンゴ「コダワリ経験プランでやりたいホウダイ~♪」
ナホビノ「御霊狩りだ」
ピアス「学校に行く前に20以上上げないと人権がなくなるんだ」
フツオ「エナドレチュッチュされてLV1になってから増援殺し続けるものでは?」
奇妙な寒気さと不気味さの漂うもはや誰も住んでいない幽霊団地。
そこに近づく終末の気配によって上昇したGPから発生した悪魔がいた。
\カカカッ/
| 種族 | 外道 |
| スライム | LV1 DARK-CHAOS |
| 相性耐性 | 呪殺無効 ??? |
霊視能力のない、あるいは覚醒の済んでない
鍛え抜かれた愚者や霊視能力があればぼんやりとした影として認識し、《見鬼》*1に精通した者や覚醒を果たしているであれば濁った汚物の塊として見えただろう。
外道スライム。
実体化しそこねた悪魔の成れの果て、あるいはマグネタイトを不足し、その姿とあり方を失ってしまった末路。
最底辺の悪魔とすら呼べない存在だった。
それに――風を切って石がぶつけられた。
≪?≫
ぺちっと手加減された石ころのぶつかり。
もしもゲームだったらダメージが1とでも表示されただろう弱い投石に、か細いマグネタイトを活性化させてスライムが形をなしていく。
戦闘態勢に入り、石を投げつけてきたものを見た。
そこには
≪ゔお'%&*`*■■■~~!≫
常人には理解も出来ない言語を迸らせながらスライムは接近していく。
「飛鳥! 投具・飛具の耐性確認した、投げつけろ!」
「お、おりゃあ!!」
マグネタイトの塊が叫んだ言葉に、分厚いジャンパー姿の少年が細長い棒を投げる。
空を切る棒、いや、矢がスライムに突き刺さり。
――POISON――
<どくや>の効果が発揮された。
「しゃあドクった!! これで攻撃力半減!」
「あ、あとは殴れば、いいのか?!」
「まだ検証だよ! ほら次! 破魔矢投げろ!」
「お、おー!」
バックから取り出した二の矢、安っぽいプラスチックの尾羽根に、先だけ後作業で尖らせた市販品の破魔矢。
それらがゲシゲシとスライムに投げつけられて。
結果、一回だけ少年に噛みついたところでスライムは力尽きた。
● ● ●
玲衣と飛鳥は初めての悪魔退治を確認し、一キロ以上も離れた市街地にまで戻っていた。
「おし、おし、最初は成功。手当が終わったら次のソロスライム探すぞ」
スライムに噛みつかれて破れたジャンパーをめくり、血の滲んだ飛鳥の傷口に丁寧に消毒と包帯を巻き付ける。
そしてその傷に顔をしかめながら、破れたジャンパー部分をダクトテープで補修した。
「手当ってかすり傷だぜ。いらないだろ」
「ばか、毒食らってたからかすり傷ですんだの。教えたっしょ、毒の
「えーと……RPGあるあるのスリップダメージだけじゃなくて、攻撃力半減だっけ?」
「そうだ。メガテンの毒はかかれば格上相手でも戦える強力な
ぐっぱぐっぱと手を開け締めさせて、痺れや異常がないことを飛鳥に確認させながら、玲衣は胸ポケットから手帳を取り出す。
今日の検証予定のメモとチャートの描かれたページを開く。
「メガテンの毒はHPの割合ダメージと共通して物理攻撃力を半減させる仕様になってる。ダメージ率の割合はシリーズで違ったり、ペルソナだと出てこないやつもあるけど」
「まあ毒食らってふらふらになって、力が入らないってのは納得いくけど」
「あと毒は食らったらガチで死ぬからな。覚醒者でもほぼ間違いなく死ぬ」
「断言するほど?! いや毒なんて食らったら死ぬもんだけどよ」
「アトラスの毒に対する殺意はやばい。ボクが何度世界樹で毒殺されたか……」
「おいメガテンに戻れ」
油断するとトリップしだす幼なじみの額に、ていっとチョップして戻す。
「ととと。話は戻すが、ともかくまずは毒だ。タバコから抽出した<どくや>はスライムにも通じた、とりあえずこれをメイン主軸にして毒が通じる奴を探して、それを主軸にレベル上げをする。真2や真3、あとペルソナ1仕様とか、イベント仕様のやばいスライムじゃなければ毒で確殺出来る。毒一発でタルンダ四掛け分は省けるし」*2
「毒殺祭りか……こんなんで強くなれるのか?」
「少なくとも外道スライムはLV4になるまで稼げる」
「LV4になるまでって、なんで?」
「さっきの外道スライムがLV1だったから」
「?」
「メガテンシステムがあるという前提だけど……
「は?」
胡乱な顔をする飛鳥に、玲衣は周囲を見渡して誰も近づいてないことを確認した後、手帳1ページを使って計算式を書き出す。
メガテンの経験値システムは他のゲームと比べてある特徴がある。
それが経験値の変動設計だ。
他の一般的なRPG類(あと一部ペルソナシリーズとか世界樹とかだったと思うが)ではモンスター、メガテンだと悪魔は倒せば経験値が手に入る。
例えばスライムを10匹殺せば1レベル上がって、20匹倒せばLV3になるとかそういうものだ。
そして、序盤の敵ほど経験値は少なく、後半の敵ほど潤沢な経験値を落とすようにゲームデザインがされてる。そのためプレイヤーは効率化を求めて奥へ奥へと自然に進んでいって、適正レベルの強さでボスにぶつかったり、ちょっとレベルが足りないから倒しやすいやつから稼いでいくぜみたいなことが出来る。
んで基本的にそういう敵の経験値はしょっぱくても一定の数値は確定されてる。
だから前世の記憶では雑魚とか毎日毎日倒し続けて、膨大な日数で序盤の街なのにレベルマックスになっちゃいましたみたいなお話が流行ったりしてたこともあった。
毎日感謝の正拳突き1万回するのと同じようなノリだとは思うし、システムがあってれば理論上は間違ってない、が。
「そんで8以上離れてた場合、半減じゃなくて1/3になる」
悪魔ごとの基本経験点が100%手に入るのは、倒した悪魔とのレベル差が±3の場合。
レベル差が4~10の場合、得られる経験値=悪魔の基本経験値÷2。
レベル差が8~11の場合、得られる経験値=悪魔の基本経験値÷3。
レベル差が12~15の場合、得られる経験値=悪魔の基本経験値÷4
レベル差が16~19の場合、得られる経験値=悪魔の基本経験値÷5。
ただしこれは真1と2で、IFとかデビルサマナー関係だともっと緩かった気がする?*4
「以後繰り返しになり、計算結果が小数点になった場合四捨五入されるか、あるいは切り捨てになるかどうかはわかんないけどレベル上げるのは無理だ」
「……いやでもコツコツ強くなるってのはありなんじゃないか? しょっぱいなら数こなせば」
「無理。ゲームと同じだったら経験値テーブルでひっかかる」
「テーブル?」
「レベル1から2に上がるのと、レベル5から6まで上がるのに必要な経験値は凄い差があるんだよ」
コツコツと玲衣が額にボールペンのヘッドを当てながら、手帳をめくる。
「確か思い出した真ifのテーブルが、あー。例えば飛鳥、お前が一年間修行してLV1から2になったとするじゃん?」
「なった。で?」
「次にLV3になるのにどれぐらい修行しないといけないとおもう? 同じ修行ルーチンと同じ相手で」
「? そりゃあまた……多分一年……ぐらい?」
「いや最速3年ぐらいかかる」
飛鳥の顔が曇った。
「その次のLV4になるんだったら6年ぐらいかかる」
飛鳥の顔が宇宙猫になった。
「レベルアップに必要な経験値は基本的にその段階までのトータル経験値から、1.5倍~2倍強前後ぐらいに設定されてる。あーもちろんゲームじゃねえんだから多少才能とか素質ぅ? とかで前後してるとおもうけど、ボクはすぐにLV3まで上がったし」
飛鳥は絶望に陥った!*5
「まあだからといって強くなれないわけじゃない。そうだったら低レベル縛りチャートなんて組む必要ないわけだし」
「なにか手があるんですか!?」
「ふふふ、このレベル差補正はねぇ。逆にも通じるんですよ」
「逆?」
「メガテンではジャイアントキリングという概念がある!」
「ダビデるってことか?!」
「美人の奥さんがいる部下は最前線においき、じゃないよ! レベル差がねぇ、実は4以上離れてるとぉ、なんとぉ、2倍になるんですよ!」
「そんな気はした」
「8以上離れていたら4倍だけど」
「マジで?」
「12以上離れてたら8倍です」
「ぶっ壊れてない!?」
「16以上離れてたら16倍になります」
飛鳥は宇宙猫になった。
「で、LV20以上離れてた場合……32倍です」*6
飛鳥は深淵を直視した探索者の顔になっていた。
「まあそんなの戦ったら普通死ぬんだけど。狙えてLV4上ぐらいが妥当だわ」
「そこ安全圏なの???」
「まあ今スキルもないしLV1で考えることじゃないし、一応プランは考えてあるよ」
休憩終わりっとベンチから飛び降りて、玲衣は千切り取った手帳のページを口の中に放り込む。
まずっと顔をしかめながら噛んで、強引に飲み込んだ。
おいおいという顔を飛鳥がしているが、この情報だけでももしも通用したら危険なのだ。
もしも
(半日かけずにLV99上げテクとかリアルだと無理だとおもうけど……
現実でのレベル上げタイミングがいつなのか。
――戦闘が終わったら?
――悪魔を殺したら?
――不活性マグネタイトを吸収したら?*7
――寝て起きてマグネタイトが定着したら?*8
検証が必要だ。
この世界で生き抜くために、この世界のシステムを理解する必要がある。
自分が使えるのは女神転生の知識だけ。
名前だけは確認できたメシア教。
恐ろしい速度で勢力を拡大してるガイア教団の隠れ蓑であろうガイア連合。
造物主に敵対してるだろう多神連合。
今は日本拠点を失ってるセベク……全人類を洗脳可能なデヴァ・システムを開発出来た企業。
まだ天津と国津での争いを続けてるかもしれない土着神に日本を売り飛ばすゴトウはまだ逮捕されてない。
天使の傀儡になってるトールマンはまだ心不全で死んでない。
DIOシステムによる時間跳躍者パルチザンはこの時代に飛んでくるのか。
魔神転生の世界構造、4つの世界に別れているのかそれとも魔界と人間界の女神転生仕様か。
まだ受胎は起きていないのか、あるいは起きてベテルが結成されてるのか。
アイオーンの暴走、それによる干渉器はすでに古代アメリカのレッドマンに関わってるのか。
ペルソナはある。ならアルカニスト、伝説のペルソナ使いであり、旧支配者の仮面を被る邪神と深淵の潜像共と戦うものたちはいるのか。
JOKER様は? 新世塾は? 原罪のシャドウ狩りと夢見るエナジーを搾取する組織はどっちがいる。
方舟が舞い降りて、それと公による東京守護が始まるのか。
あるいは偽典の、デビルサバイバーの東京封鎖が起こり、救世主誕生による造物主の介入儀式と、カインの暗躍が起こるのか。
聖王バアルは分割されてるか、それともアバターがいるのか。
大破壊はどのルートで起こる? 地下暮らしの仮想現実世界で行き続け、洪水で沈んで死んで再生され続けるのか。
セプテントリオンは果たして悪魔か、それとも違うシステムとして起こるのか。
可能性は多い。
可能性だけなら腐るほど知っている。
アトラスの東京を虐める手口はめっちゃ知っている。
だから動く、だから頼れない、だから頼る、だから抗う。
(まだボクは死にたくない。死ぬために生きるなんてまっぴらごめんだよ)
無敵のライドウさんでも飛んできて、なんとかしてくれるなら最善だけど、そうとは限らない。
だから今できることをしよう。
「今日のノルマはLV3だよ!」
そう考えて、玲衣は虚勢の笑顔を浮かべて歩き出した。
そして、その日は一日入り口付近で粘りながらスライムを狩り続けた。
飛鳥のLVは2まで上がった。
「おし、またスライム一匹だ。うおおおお! 俺の経験値になれー!」
\カカカッ/
| 種族 | 外道 |
| スライム | LV13 DARK-CHAOS *9 |
「いやまて。やばい! LV13のクソつよ仕様だ!!」
―― デスタッチ ――
「ぐぼああああああああ!」
「撤退ぃいい! けむりだまぁああ!」
そのあとめちゃくちゃ手当した。
事故は起きるよね、メガテンだもん。