「虹夏、やっと帰ってきた」
「あっ!リョウ〜」
奥から暗めの青い髪色の少女が出てきた。
中性的で一瞬男女どっちだかわからなかったが骨格を見てなんとなく少女だな、と判断した。
「あのね、ギターの弾ける子見つけてきたよ。ひとりちゃん、こっちの人はあたしのバンドでベースを担当している山田リョウ」
「どうも、山田リョウです」
「あ、はい。後藤ひとりです、よろしくお願いします山田先輩」
「リョウはね〜、変人って言うと喜ぶんだよ〜」
「う、嬉しくないし...///」
(変人って言われて照れるのはどうなんですかね...?というかなまじ顔が整っているだけあって照れるとカッコいいクール系からキュート系に早変わりしてる...)
「そうだ、虹夏。さっき何も言わないで出て行ったって店長怒りながら買い出し行ったよ。あと、戻ってきたら本番まで時間があんまりないからさっさと練習しとけって」
「うっわあ、お姉ちゃん怒ってたかぁ〜。...それじゃ、急いで練習しよっか!」
そう言って伊地知先輩は山田先輩の肩を押してスタジオの方へ歩き出す。
私もそれに追随する。
───
─
スタジオ内
「ひとりちゃん、はいコレっ」
「あ、どうも」
伊地知先輩から手渡された楽譜を見る。
全体を見て特に苦手な部分は見当たらなかった。
「どうかな、いけそう?」
「問題ありませんね、いけます」
「なら良かった、それじゃチューニング終わったら声かけてね。打ち合わせして合わせに入るから」
「はい」
ギターケースを下ろして中から相棒を取り出す。
少し音を出してから自分の記憶の音と合わせるように弦の張りを調整していく。
音を調整し終わったら予備のピックをポケットに突っ込んで準備完了だ。
コードをアンプに繋いで伊地知先輩に声をかける。
「伊地知先輩、準備終わりました」
「おっけー♪それで、今回演奏する曲なんだけど--」
そんなこんなで合わせをする。
「始めるよー」
伊地知先輩のその一言を合図に演奏が始まる。
変にテクを使用したりはせずにベースとドラムの速さに注視して楽譜通りの音を奏でていく。
流石に寸分の狂いのない演奏は出来ている自信はなかったものの、違和感を感じないレベルで合わせる事は出来たはずだ。
演奏を終えて軽く息を吐く。
後は伊地知先輩と山田先輩の評価を待つだけだ。
二人は目を合わせて頷く。
「「いいね」」
二人してサムズアップをしてくれる。
合わせは成功したようだ。
「ならば良かったです。人と合わせて演奏したのは初めてですがこれはこれで楽しいですね」
音源に合わせて演奏するのは楽しいが、他の演奏者と音をぶつけ合うのも楽しいものなのだと知ることができた。
ふと気になったことがあったので聞いて見る事にした。
「あの、今回のライブってお客さんは何人程で?」
私の質問に緊張を感じ取ったのかはわからないが伊地知先輩は笑みを浮かべながら答えた。
「私の友達が数人くるって感じかな。でもミスしたりしても大丈夫!普通の女子高生に演奏の良し悪しなんてわかんないよっ♪」
「微妙に怖いこと言いますね...」
そんなこと本人らが聞いたらほぼ確で怒るでしょ。ネットだと炎上確定だ。
「あとね、ひとりちゃんは名前はどうするの?」
「名前...ですか?」
名前...なまえ...、ん?どう言うことだろう?
理解が及ばず首をかしげると慌てて補足を入れた。
「バンドをする際にメンバーの名前として使うニックネームみたいなものだよ。ひとりちゃんは学校ではなんて呼ばれてた?」
ニックネーム...。そう言ったもので呼ばれたことはないな。
「苗字で呼ばれることしかなかったのでなんとも...あ、なら下の名前がひとりなのでそれにあやかってぼっちというのはどうでしょうか?」
「え、うん。いいと思うけど...ひとりちゃんはそれでいいの?なんか自虐ネタみたいになってるけど」
いいと思っている人の顔をしてないな。
「ぼっち、うん、いいんじゃないかな」
山田先輩の表情はやはり読み取りにくいが賛成のようだ。
「では今日から私のニックネームはぼっちです。お気軽に呼んでください」
「ぼっちちゃんってちょっと不思議ちゃんだったり...?」
「? 不思議ちゃんですか?」
「あっ、いや?なんでもないよ?」
「そうですか」
意識して変なことを言わないようにしていても不思議系扱いか...。
一体自分の何に不思議系を彷彿とさせるイメージが纏わり付いているのだろうか。
こればかりはよくわからないな。
あかん!ぼっちちゃんが奇天烈な行動に出ないせいでエピソードの味が薄すぎて、面白みがない!
この時点でわかったこと:イかれたキャラクターほどエピソードは書きやすく、普通よりだと書くことが無くなる。
だから創作物って登場人物がやべー奴な割合が高いんだね
そんなわけで次回、5話目。
おそらくアニメ2話目突入!