コミュ症を拗らせ過ぎた結果、もうひとりの人格を生み出してしまったぼっちちゃんの話 作:モルモルネク
無事オーディションに合格したあの日から数日が経ち、ライブ当日まで残すところあと10日程。オーディションに合格してからというもの、結束バンドの活動は順調そのものだ。メンバー皆が練習を積み重ね、着実にバンドとしての形を成しつつある。
いつも周囲に溶け込めずにいたひとりさんが、結束バンドという集合体の欠かすことのできないピースとしてもはや馴染んでいる。その事実がわたしとしてはとにかく嬉しい。わたしという隔絶された存在の側ではなく、星座のように輝かしい場所こそがひとりさんの居場所であるべきだから。
だからそう。寂しいだとか侘しいだとかそういったわたしのつまらない感情は、そっと隠して何処かへと捨て去るべきなのだろう。何度目かわからない自分への戒めを、わたしはただ繰り返している。
ライブの日に披露する待望の新曲も完成した。曲名は『あのバンド』。前回と同じく作曲をリョウさん、作詞をひとりさんが担当した。僭越ながら、作詞については前回と同じくわたしもお手伝いさせていただいた形である。
作詞のテーマは曲名にある通り、青春コンプレックスを刺激して止まない曲を歌うあのバンドについてのエトセトラ、だろうか。
ひとりさんは言うまでもなく、青春に彩られたキラキラしている曲が大の苦手だ。そしてわたしもひとりさんとは別種であるが、青春を高らかに叫んでいる曲にはかなりの忌避感を持ってしまっている。ならばいっそのこと、一言では言い表せないその複雑な感情を綴ってみてはどうだろうか。そんな発想の転換で生まれたのがこの『あのバンド』という訳である。
テーマが決まってからの速さは凄いものだったと思う。ひとりさんは元々こういうネガティブな話題については一家言あり、前回までの思い悩んでいた姿が嘘のように筆が進みまくっていた。かく言うわたしもあまり言いたくはないが色々溜め込んでしまってることもあり、諌めるどころかひとりさんのどこか捻くれた歌詞を更に補強してしまった。
一気に作業を進め完成した歌詞を振り返ってみると、強い言葉や過激な表現があちこちに散見されており、二人揃って戦慄したものである。流石に修正しようかと思ったが、個性こそが大事というリョウさんの言葉を思い出して踏み留まり、そのまま提出。そして、リョウさんはこの歌詞をいたく気に入ってそのまま採用となった、というのがこの曲の誕生秘話である。
正式に採用されてしまった以上後の祭りではあるが、この曲をあの喜多さんに歌わせるなんてわたし達は相当罪深いことをしているんじゃないだろうか。わたしとしては、リョウさんの「だからこそ面白い」という言葉を信じる他なかった。
順調といえばわたし自身の調子も順調というかべきか、あの日から大きな異常はない。あの底まで意識がズブズブと沈んでいくかのような感覚と、鳴り止まない頭の鈍痛が襲ってきた瞬間には自らの終焉を覚悟したものだけど、一度治まってからは嘘のように快調。わたしは今までと変わらず、ひとりさんのもうひとりの私でいられている。
結局、あの恐ろしい感覚についてはわからないことだらけだ。わかることといえば、あの感覚を受け入れた先にわたしという意識は存在していないだろうということだけ。何かのきっかけで再びあの感覚が襲ってくるかもしれないという不安は尽きないけど、今はひとりさんの側に居続けられることをわたしは喜ぶべきなのだろう。
でも実際は、ひとりさんにとってはちっとも喜ばしいことではないのかもしれないなんて、そんな疑問をわたしは少しだけ抱いてしまっている。ひとりさんはもう昔とは違う。自分だけのヒーローを求めていたあの頃とは違い、ひとりさんは自分の力で困難を乗り越える術を身に付けつつある。ならばもう、わたしの存在は余計な重荷になりつつあるんじゃないかと。
止めよう。いくらなんでもこれはわたしの過剰な不安が過ぎる。客観的事実はどうであれ、今もひとりさんはわたしの存在を必要としてくれている。わたしという意識が同じ身体にいることを許容して、肯定してくれている。その事実だけは、ひとりさんの信頼だけは何があってもわたしは疑うべきじゃない。
そう、わたしは来るべき日まで。ひとりさんのためだけのわたしであり続けばいいのだから。
さて、結束バンドの活動は順調、わたしの調子も好調。良いことばかりを上げ連ねていたけどもやはり、何事も順風満帆とはいられない。ライブの当日が着実に迫る中、ひとりさんはここにきてとんでもない困難にぶち当たってしまっているのだ。
「へへ……父、母、妹、犬、もう一人の私。た、足りてる……!? これでノルマはバッチリ……父、母、妹、犬、もう一人の私」
『あ、あの……ひとりさん?』
「父、母、妹、犬、もう一人の私……へへへ」
夕飯時前のリビング。楽しい一家団欒が繰り広げられるべきその場所で、ひとりさんが呪詛を唱えるかのように同じ呟きをただ繰り返している。これがわたしに話しかけているのならまだ理解できるけれど、わたしに宛てた言葉ですらない完全な独り言なのだから今のひとりさんは相当重傷だ。
座り込んでいるひとりさんの手に握られているのは五枚のチケット。ライブに出ることが決まったのだから、当然ひとりさんにもチケットノルマが課せられる。それがこの五人分のチケットという訳である。
大変言い難いことではあるのだけど、ひとりさんにはバンドメンバーと家族以外の知り合いは殆どいない。端的に言ってしまえば、チケットを売るべき相手が絶望的に足りていない。その重圧こそが、こうしてひとりさんを現実逃避に走らせてしまっているのだろう。唐突にリビングに降りたかと思えば、チケットを広げてかれこれ同じ呟きを数十分繰り返しているのだから異常だ。正直に言えば、わたしも少しだけ恐怖を感じてしまっている。
そんなひとりさんの奇行にも慣れているのか、リビングに勢揃いしている他の家族は特に気にする様子もない。お母さんとふたりは仲良くジミヘンにご飯を与えているし、お父さんはキッチンで夕食の準備をしている。ひとりさんの尋常ならざる状態と打って変わって、本日も後藤家は平和そのものだ。
『ふぅ……ひとりさん!』
「あっ……ど、どうしたの?もう一人の私」
意を決して強くひとりさんに呼びかけると、ようやく反応を返してくれた。このままひとりさんを放っておけば、夕食の時間になるまでこの呪詛を吐き出し続けかねない。現実逃避しているひとりさんの中でだけはチケットを全て捌けているが、実際は致命的に人数が足りていない。心苦しくはあるけれど、ひとりさんを現実に引き戻さねばならないのだ。
『わたしとしても、ひとりさんのノルマに貢献してあげたい気持ちでいっぱいではあるのですが……申し訳ないですけど、わたしがチケットを購入するのは問題があり過ぎるかと』
「うっ!?……それはそう、だよね。もう一人の私はいつだって私と一緒だもん。お客さんにはなれない、よね……ははは」
わたしがそう進言すると、苦悶の声をあげながらもひとりさんは少しだけ現実を直視し始めてくれた。ノルマに満たないという現実に震えるひとりさんの様子は尋常ではなく、恐らく虚な目をしているに違いない。可哀想でなんとかしてあげたい気持ちは尽きないが、わたしはどうやっても観客席に立つことはできない。この現実を一度受け入れてもらう他なかった。
「そ、そうなると一枚足りてない……ど、どうしよう。お、お婆ちゃん?でもライブのためにわざわざ片道三時間かけては……」
なんとか代案を捻り出そうとするも、やはりひとりさんには身内以外の知り合いがいない。そのお婆ちゃんにしても様々な事情から望み薄。加えて言うのならば、ひとりさんが売らなければいけないチケットは残り一枚ですらないのだ。
ふたりはまだ百歩譲るにしても、ジミヘンを自然に勘定に入れている問題にひとりさんはそろそろ気付かなければいけない。これももしかして、わたしが指摘しなければならないのだろうか。できれば勘弁願いたい。いつだって、ひとりさんに現実を突き付けるのは心が痛いのだ。
「流石にジミヘンは一緒に行けないんじゃない?」
「や、やっぱり!?や、流石にそれは私もそうじゃないかなーと……思ってたんだけど」
わたしの願いが通じたのか、それともひとりさんの様子を見かねたのか。お母さんが犬をライブに連れて行くことはできないという正論を伝えてくれていた。あくまで現実逃避していただけで、ひとりさん自身も本気で犬にチケットを売ろうとしていた訳ではなかったみたいである。かなり心配だっただけに、わたしも一安心だ。
「あと、ふたりもライブハウスに入れないだろ。五歳だし」
「あぁぁぁぁぁあああーー!!?」
「えー、つまんなーい!」
続くお父さんからの追撃に、ひとりさんは断末魔のような悲鳴をあげて蹲ってしまった。お姉ちゃんがこんな有様なのに、ふたりはどこ吹く風とばかりに不満を漏らしている。なんというかこう、随分と強かな子に育ったものだと思う。あるいはそう育ったことに、わたしの影響も少しばかりはあったりするのだろうか。
絶望するひとりさんと不服そうなふたりには申し訳ないが、まだ五歳と幼いふたりがライブハウスに行くのは難しいだろう。事前に店長である星歌さんに相談してという形なら実現可能だったかもしれないけど、残念ながら今回に限ってそんな余裕はなかった訳で。ふたりの参加も今回は見送らざるをえない。
三人分。それが今回、ひとりさんの向き合うべきチケットノルマだった。
「さ、さんまい……父、母、父、母、父、母、父!!母!?」
『ひ、ひとりさんどうか落ち着いて……チケットを直接購入することはできませんが、いつだってわたしはひとりさんの力になりますよ!』
いくら頭の中を探ってみても、お父さんとお母さん以外にチケットを売るべき相手は思いつかない。だいぶ追い込まれているようで、ひとりさんは完全にパニック状態だった。わたしの声も届いているかどうか定かではない。
でも逆にいえば、それだけひとりさんが自分で問題を解決しようとしている証でもあるのだろう。以前までならもう既に『助けてもう一人の私!』という救援要請がなされているはずだから。当事者意識を持って、自分の力で困難を解決しようと模索している。それは間違いなく成長であり、どうしようもなく正しいことだった。
「お母さんの友達、呼ぼうか?」
『ほら、ひとりさん。お母さんもこう言ってくれてますし、どうか気を確かに!』
「はっ!?……母」
お母さんから申し出された思わぬ助け舟に、どこか遠いところへと旅立っていたひとりさんの意識が帰還する。お母さんはわたし達と違って交友関係が広いので、三人ライブに呼ぶことも難しくはないのだと思う。
ひとりさんにとってはまさに、神の助力とでも呼ぶべき申し出だった。
「ギター弾く方のお姉ちゃん、バンドの人いがいに誰もお友達いないもんね!」
「うっ!?」
あとは頷くだけでノルマ問題は解決という所に、ふたりの無邪気な発言がひとりさんの繊細な心を刺していた。ひとりさんに友達がいないことを指摘するふたりはどうしてか、嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。
わたし自身も内心で思ってしまったように、バンド関連を除けばひとりさんの交友関係が絶望的なのは純然たる事実だ。しかし、真実を突き付けるのは時として人を大いに傷つけてしまう場合がある。それをふたりにも、そろそろ教えてあげなければいけないだろうか。いやでも、五歳の子供にする話ではまったくもってないような気もする。
「お姉ちゃん、話さないだけで学校にお友達たくさん居るんだよ……」
「えー、嘘だー!」
「冗談でもそんなこと言っちゃダメだよ。人の痛みがわかる子になりなさい」
そんなわたしの葛藤を外に、既にひとりさんがふたりににじり寄ってはそう言い聞かせていた。ふたりの瞳に映るひとりさんの目は完全に据わっており、言い聞かせるその姿はあまりにも圧が強く。正直に言えばわたしも少し怖い。
五歳児の発言に対して、嘘丸出しの見栄を張りながら説教をするひとりさんの姿はかなり大人気ない。でも、これもまたひとりさんとふたりのお決まりのやり取りだから特に問題はないのだろう。生意気を言ったふたりを、余裕のなさ過ぎるひとりさんが諌めるいつもの光景。
だから、この後ふたりが即座に謝って今回も笑い話になる。わたしはそう信じて疑っていなかった。
「やだ!!」
「ふ、ふたり……?」
しかし、そうはならなかった。ふたりは顔を強張らせ、滅多に出さないような大声でひとりさんに真っ向から反抗していた。予想外過ぎるふたりの反応に、ひとりさんやお母さんは呆気に取られてかけるべき言葉を失っていた。
他ならぬわたしも動揺を隠せないでいる。ちょっと生意気なところはあれど朗らかで優しく、なによりひとりさんが大好きなふたりがこうして強く言い返すことは初めてだったから。何がそこまでふたりの癇に障ってしまったのか掴めず、どうしたらいいのかがわからない。
「だって嘘だもん!お姉ちゃんは、ギター弾かない方のお姉ちゃんを仲間外れにしてたくさん友達を作ったりしない!……わたし、それくらいわかるもん!!」
癇癪を起こしたように、ふたりが強く声を張り上げる。その大きな声に反して、和やかだったリビングは冷たく静まり返っていた。お母さんにお父さんも複雑そうな顔でふたりを見ながら、その表情に影を落としている。たぶんひとりさんも、似たような表情を浮かべてしまっているのだろう。
また、わたしのせいだった。最近はいつもこう、わたしはどれだけ誰かの日常を壊せば気が済むのだろう。ふたりにこんなことを言わせてしまった自分が、あまりに申し訳なくて。お姉ちゃんとして、情けなくて仕方がなかった。
作詞をしたあの日、ふたりは知ってしまったのだろう。ひとりさんの作る輪の中にわたしの居場所はないのだということを。そんな事実をわたしが突き付けてしまって、それを寂しく思っていることを悟られてしまった。だからひとりさんの分かりやす過ぎる嘘にも、ふたりは過剰に反発してしまったのだろう。
もしかすると、ひとりさんに友達がいないことを笑顔で話したことも生意気さからくるものではなかったのかもしれない。わたしとひとりさんの距離が離れていないことを確認して、ただ純粋に喜んでいただけ。それは、わたしとひとりさんをふたりが平等に好いていてくれるという好意だ。そして、お姉ちゃん達が仲良く笑い合っていて欲しいという、ふたりの優しさでもあった。
ひとりさんが敢えて言い聞かせるまでもなく、ふたりは人の心の痛みをよく理解していた。でもそれは、まだ幼いふたりが本当に備えるべき優しさだったのだろうか。もしわたしという存在が居なければ、ふたりはもう少し無邪気なままの子供でいられたんじゃないだろうか。ひとりさんにたくさん友達ができることを、素直に望める妹でいられたんじゃないか。そう考えると、自分の存在が酷く罪深いもののように思えた。
「お母さん、やっぱりわたしも行く!」
「駄目よふたり、怖いとこなのよ?」
「行くったら行くもん!幼稚園のお友達もたくさん連れてくる!そしたら、ギター弾く方のお姉ちゃんも困らない……ギター弾かない方のお姉ちゃんも、寂しくないよね?」
ふたりの要求をやんわりお母さんが止めるも、ふたりは止まらない。いくら強く主張しても、ふたりの我儘は通らないだろう。ふたり一人をバンドハウスに連れて行くのも難しいのに、その友達までたくさん連れて来てしまうのはどう考えたって無理だ。
そんな実現不可能な我儘をこの場の誰もが、諌めることができなかった。この我儘は誰かへの優しさで形作られていたからだ。他ならぬわたしなんかへの、勿体無いほどの優しさで。わたしという不確かな存在への優しさをふたりは躊躇わない。そして、お父さんとお母さんもその存在への優しさを決して否定することはなかった。
自分自身という存在を静かに許容され、認められている。それはあまりにも呼吸がしやすくて、居心地が良く。そしてそれ以上に、心が軋むようにただ痛かった。
『代わってください、ひとりさん』
「う、うん」
気づけばひとりさんにお願いをして体の主導権を代わってもらっていた。ふたりに上手に言い含められる自信は欠片もない。むしろ、いまのわたしがふたりになにかを言い聞かせる資格があるのかを疑っている。
それでも、これはわたしが招いてしまった事態だったから。その収拾をつけるべきなのは他ならぬ自分自身であるべきだと思った。そしてなにより、ここでふたりの優しさから目を背けてはもう、ふたりの姉であることすら噓になってしまいそうで嫌だったから。覚悟も定まらないのに、わたしはふたりと向き合うことを選んでいた。
「ふたり」
「ギター弾かない方のお姉ちゃん……」
目線を合わせるようにして傍に座り込みその名前を呼ぶと、ふたりはいつものようにわたしだと言い当ててみせる。わたしと目を合わせないように顔を俯かせ、小さなその手は服の裾をぎゅっと力強く握りこんでいた。声も明らかに震えており、わたしに叱られると思っているのかもしれない。
わたしに咎められるかもしれない。そんな懸念を抱きつつも、ふたりは行動を起こしたのだ。あの日絵を描きたしてくれたのと同じように、辛いことや悲しいことをそのままにしておきたくなかったから。いったいどれほど複雑な気持ちを抱えながら、ふたりはひとりさんの言葉に反発したのだろうか。
ふたりの痛みを想像する。でも不出来なわたしには、今ふたりが抱える辛さや悲しみががどれほどのものか見当もつきやしない。人の心の痛みがわからないのは、どう考えてもわたしの方だった。
「ふたり、ありがとう。でも、大丈夫……お姉ちゃんもお友達は少ないけど、ちゃんとお客さんを自分で連れてくるよ。お姉ちゃん、知らない人に話しかけたりするの得意なんだから」
人の心の痛みがわからないから、こんな諭し方をしてしまう。ふたりが不安に感じていることの本質は、こんな言葉で和らぐことはないとわかっているのに。自分を慕ってくれている幼い妹の前ですら、こんな理屈めいた喋りしかできない自分が酷く恨めしい。
「でも……」
「ふたりはお姉ちゃんに任せるのは、不安かな?」
「そんなことない!……ギター弾かない方のお姉ちゃんは、すごいもん」
言い含めるために随分と卑怯な言い方をしてしまう。こんな言い回しをしておきながら、わたしの心はまだふたりの頼れる姉で居られていることを再確認して喜んでしまっている。あまりに浅ましくて、みっともない。
「お母さんも言ったようにね、ライブハウスってちょっと怖い場所なんだ。ふたりが見たこともないような大人の人だってたくさん集まるの……だからやっぱり、子供のふたりが自由に出入りするのは難しいんだ」
「……うん」
ライブハウスに入れない理由をやんわり伝えると、先ほどまでと打って変わってふたりは素直に聞いて頷いている。普段通りの聞き分けの良いふたりに戻らざるを得なかったのは、他ならぬわたしが直接対面しているせいなのだろうか。
わたしがいま語りかけているのは、ただの大人の理屈だ。わがままを言わないで我慢しなさいと、ただ正論を上から目線で押し付けようとしているだけ。こんなことで、いいのだろうか。我儘は我儘でも、確実に誰かへの優しさから声を張り上げたふたりの優しさに、一つも寄り添わず黙らせるのがお姉ちゃんのすることなのだろうか。
「でも、でも……わたしも、お姉ちゃん達のおーえんに行きたかった」
「……え」
「お姉ちゃん達のほしが一番きらきらしてたよって、言ってあげたかった」
「そっか……そう、だよね」
その言葉には聞き覚えがあった。忘れもしない、ふたりが幼稚園の発表会でタンバリンの演奏を披露した時の話。トラブルを挟みつつも、無事演奏をやり遂げたふたりをひとりさんが称えた時の言葉。『ふたりのほしが一番輝いてたよ』。その時のふたりの嬉しそうな笑顔を、今でも鮮明に思い出せる。
ふたりにとってもかけがえのない、大切な思い出なんだろう。だからそれを与えてくれた人に、同じ喜びを返そうとしていた。そんな優しさまで、この我儘には含まれている。それはなんて、直向きで純粋な愛なんだろう。そしてその対象に、わたし自身も含まれている事実を認識するだけで、色々なものがこみ上げてきそうだった。
この優しさがただ、否定されるだけでいいはずがない。あまりにも切実にそう思ってしまったせいだろうか。わたしの口はもう語るべき言葉なんてもっていないはずなのに、再び言葉を紡ぐために動き始めていた。
「ね、ふたり。お姉ちゃんね、ライブハウスの店長さんと知り合いなんだ。だから、ふたりがライブハウスに入れるようにお願いしてみるよ。今回はもう無理だけど……でも、次のライブからはきっとふたりも入れるようにして見せるから。だからその時に、たくさんお姉ちゃん達を応援してほしいな」
「……ほんと?」
「うん、約束」
全部、わたしが言う権利のある言葉ではないはずだった。結束バンドの皆に星歌さん、STARRYの人たちに関わるお願いなんてわたしが勝手にしていいはずがない。ひとりさんの人間関係にわたしの感情で立ち入らない、そんな不可侵を破ってしまっている。そして、自分で守れる保証のない約束を交わしたのだってどうかしている。つい最近に、自分の身が長くないことを自覚したばかりなのに。勝手な約束が増えるたびに、しわ寄せをもらうのはひとりさんだというのに。
でも、それでも。妹の辛いことや悲しいことをそのままにしておくのは、お姉ちゃんのすべきことでは決してないのだから。ふたりのため、そんな免罪符をもとにわたしは自身のつまらないポリシーや矜持を今だけは黙らせる。そう、決めたのだ。
「別に、ライブハウスの中だけじゃなくてもいいんだ。ふたりが望むなら、お姉ちゃん達はいつだってお家でライブしてみせるよ。ふたりのお友達もたくさん呼んで……ふたりのためなら、ギター弾く方のお姉ちゃんがたくさんギターをかき鳴らしてくれるだろうから……だから、だからね――」
どこまでいっても、わたしに言えるのは借り物の言葉ばかりだった。わたし自身はギターを弾くことはできない。ふたりの心を動かすような演奏なんてできるはずもない。ひとりさんから生まれたわたしが何をしようとしたところで、ひとりさんの善性と能力に縋らなければ始まらないことを思い知らされる。言葉を重ねるだけ、ひとりさんの重荷が増えていく。
許されない行為に手を染めているというのに、わたしのたどり着く言葉はどこまでも無情だった。『だから今回は、我慢してほしい』。結局はそう告げるしかないのだ。所詮自分だけの言葉を持たないわたしに、誰かの心に寄り添うことなど不可能なのだろうか。ふたりにも現実を突きつける言葉を吐きたくなくて、喉に突っかかったように最後の言葉は形になってくれない。
「……うん。わたし、我慢する」
わたしがまごついている内に、気付けば顔をあげていたふたりがわたしを見据えてそう告げていた。わたしが決定的な言葉を告げるまでもなく、聞き分けの良いふたりが自分から折れる形でこの我儘は終わることとなった。
「ギター弾く方のお姉ちゃんも、大きな声だしちゃってごめんなさい……」
『私こそ、変な嘘ついてごめん……』
「ギター弾く方のお姉ちゃんも、嘘ついてごめんなさいって……自分から謝れて偉いね。ふたりは、良い子だね」
どうにもやるせなくて、それを誤魔化すようにふたりの頭を撫でる。ふたりの表情は文字通り何かを堪えているようで、色々なものを我慢していることが簡単に見て取れた。そんな感情を抑えてまでふたりは良い子であることを選択していて、それが誰の為であるのかもわたしは嫌というほど思い知ってしまっている。
思えば、わたしはふたりに与えられてばかりだ。お姉ちゃんという立場も、ひとりさん以外への誰かの優しさも、今この胸に抱える様々な痛みだって全部ふたりから貰ったものだ。対してわたしはふたりに何を返せているのだろう。どれもこれもひとりさんから受け継いだ借り物ばかりだ。わたしが自分からふたりに返せたものなんて欠片もない。
それでも、私だけがふたりに返せるものがあるとするならば――
「ねぇ、ふたり」
「ギター弾かない方のお姉ちゃん、どうしたの?」
「お姉ちゃんはね、ふたりのことが大好きだよ」
私の心にはほとんど何もないけれど、唯一信じられるその気持ちが伝わるようにふたりを強く抱きしめる。ふたりが泣きじゃくってわたしをお姉ちゃんだと認めさせてくれた日。あの日からわたしはふたりに救われ続けていて、ずっとずっとふたりのことが大好きなのだから。これだけは嘘じゃなくて、ひとりさんから受け継いだ借り物でもなくて、わたしだけの唯一不変の感情だった。
こんなちっぽけなたった一つだけだけれど、それだけはブレることなく示し続けていこうと固く誓う。
「わたしも!お姉ちゃん達のことがだいすきだよ!」
たっぷり数分抱きしめて、ふたりから手を離すと屈託のないその笑顔でありったけの好意を返されていた。その不意打ちにわたしは碌な言葉を返すこともできず、曖昧で下手くそな笑みを浮かべることしかできずにいた。それ以上を求めると熱くなった目頭から涙がこぼれそうで、ダメだった。泣いてしまうわけにはいかない。お姉ちゃんとしても、ひとりさんのヒーローとしてもそんな弱さを私は見せるべきではないから。わたしの始まりから終わりまで、この生涯に涙は必要ない。
ちっぽけなわたしを苛んでいた心の痛みなんて、その一言だけでいつの間にか取り除かれていて。こんな時ですらふたりに救われているのはわたしの方だった。
「お母さーん!」
「あらあら」
余韻に浸るように大切な言葉を噛み締めていると、ふたりは軽やかな足取りでお母さんの下に戻っていく。お母さんの周りをちょこまかと回りながら、たっぷりと甘えているようでその表情はどこか満足げだ。でも最終的に我慢をさせてしまったことに違いはなく、そのフラストレーションを発散するためにもお母さんに甘えるのが一番だろう。
ふたりは結果的に笑ってくれているけど、これで本当に良かったのだろうかという疑問は尽きない。もっとふたりにかけるべき言葉があったんじゃないだろうか。そもそも、ああしてわたしがふたりに言い聞かせることは正しいことだったのだろうか。そもそもわたしがもっとしっかりしていれば、こんな事態にはならなかったのではとか。反省は無限に、尽きることがない。
お父さんとお母さんはやはりわたしに何も言わない。なんとなく二人に視線を向けると、お父さんは腕を組みながら満足げに頷いていて。お母さんはふたりを甘やかしながら、微笑ましそうに目を細めている。そんなお父さんとお母さんの反応はとても居心地が悪いはずなのに、どうしてかとても心を温かくさせてくれた。
『もう一人の私、ごめんなさい』
『ひとりさん?どうして謝るんですか?』
ふたりへの謝罪以外、ほとんど口を噤んでいたひとりさんがようやく喋りかけてきた。その内容は加えての、わたしへの謝罪。ふたりにならともかくとしてわたしにまで謝罪をする理由がわからず、お父さんたちが見ているのについ首をかしげてしまった。
『私がふたりに言わなきゃいけなかったことを、たくさんもう一人の私に言わせちゃったから……ごめん』
『いいんです。わたしが勝手にしなければと思い込んだのですから』
ひとりさんらしい謝罪の方向に、慌てて首を横に振った。わたし自身がふたりに向き合うことを決めたのだから、そこにひとりさんが責任を感じる必要はないだろう。仮にわたしがそうしなかったとしても、ギリギリまで悩みつつもひとりさんはふたりに言葉を尽くしたはずだ。そういう人だと、私は嫌というほどに知っている。
むしろ、謝るとしたらわたしの方だ。ひとりさんの許可も得ずに勝手な判断をして、随分と好き放題してしまった。あまつさえ、ひとりさんを巻き込んだ約束までしてしまっている。思い返すと、罪悪感で死にたくなりそうだった。誠心誠意込めてたくさん謝らなければ、自分自身を許せそうにもない。
『それだけじゃなくて、もう一人の私のことを考えもせずにあんな噓をついちゃって……ごめんなさい』
『それこそ謝らないでください。嘘は確かに良くないですけど、わたしはひとりさんに沢山の友達ができたならとっても嬉しいのですから』
ひとりさんの見栄なんてそれこそわたしにとっては日常茶飯事だ。そこにわたしへの当てつけが含まれていないなんてことは分かりきっている。それに、きっとこの嘘は近いうちに嘘ではなくなると思うのだ。バンドを始めて、喜多さんという学校での友達もできたのだから。なにかのきっかけ一つで、ひとりさんを取り巻く交友関係はぐっと広がるはず。そうなってくれる日をちゃんと喜べるように、わたしはできているだろうか。
『ち、違うよ。そうじゃなくて、私はもう一人の私にもっ!……ごめん、なんでもない』
『ひとりさん、何もひとりさんが言いたいことを我慢する必要は――』
『う、うぅん、違うんだ……もう一人の私を困らせたい訳じゃない、から』
分かってはいるのだ。ひとりさんはわたしの想像以上に、わたしに言いたいことをため込んでいることを。ひとりさんがそれを吐き出すことをしないのは、何処までもわたしの心を尊重してくれているからだということも、知っている。わたしが敢えて表に出すこともない、ひとりさんの為のわたしでありたいなんて思想を壊れ物のように大切にしてくれているのだ。ひとりさん自身の気持ちとは、少なからず相反しているだろうに。
わたしはその優しさに甘えて、今日までを生きている。ひとりさんだけじゃない、ふたりにお父さんとお母さん、もしかすると星歌さんにリョウさんもなのだろうか。気づけば沢山の人の善意と優しさによって、わたしは生かされている。それだけは忘れずに日々を歩んでいかなければいけない、それがいつか消え行くわたしの最低限の責務だと思うから。
『わたしこそ、ごめんなさい。ひとりさんを置いてけぼりにしたまま、勝手に話を進めてしまいました。あまつさえ、わたしだけでは守れない約束までしてしまって……本当に、申し訳ありません』
『あっ、え、そ、そんなに謝らないでっ!大丈夫っ、ふたりのためなら私も色々してあげたいし……だからもう一人の私も気にしないでー!?』
流れてしまった気まずい空気を変えるために、今度はこちらから謝罪をする。もちろんついでのつもりはなく、誠心誠意謝り倒す。いつものようにひとりさんは寛大な心で許してくれているが、今回は本当に猛反省だ。ひとりさんとふたりのどっちを優先するなんて優劣をつけるつもりはないけど、少なくともひとりさんに一言確認しながら話を進めるべきではあったのだ。これではひとりさんのサポートである立つ瀬もない。
ただ、このまま謝罪を続けてもひとりさんが困り果ててしまうだけなので、表面上は平静を取り繕うことにする。一人反省会はひとりさんが寝静まった後にでも、存分にやるとしよう。
『こんなのはお詫びにもなりませんが、チケットノルマに関してはわたしが何とかしますので、そこだけはご安心いただけたらと』
『え、い、いいの?』
『はい。ふたりにああ言ってしまった以上、お母さんに頼るのも恰好つかないですから。なので、大船に乗ったつもりでわたしに任せてください!』
『あっ、ありがとうもう一人の私!』
もちろんお詫びの気持ちに嘘はない。でもそれ以上に、お母さんに頼ることなくわたしの手でこの問題に対処できることをどうしようもなく喜ぶわたしが居る。どんな言い訳をしたところで、ひとりさんの為に動くことこそがわたしの生きがいであることは未来永劫変わらないのかもしれなかった。
『ひとりさん、せっかくですので少しお父さんの手伝いをしても良いでしょうか?』
『あっ、うん。もちろん』
粗方の問題が片付いて、後はひとりさんに身体を返すだけというところでキッチンのお父さんの姿が目に入る。お父さんもしばらく手を止めていたのか、まだまだ晩御飯の下ごしらえをしているようだった。
ならばわたしにできる数少ない親孝行として料理の手伝いをしようと申し出れば、ひとりさんは快諾してくれた。立ち上がって手を洗いエプロンをしては、キッチンに立つお父さんの隣に並ぶ。
「手伝うよ、お父さん」
「おっ、ありがとうひとり。それじゃあ、野菜を切っといてくれるかい?」
「うん、任せて」
包丁を手に取ってまな板に向き合う。本日使う野菜はニンジンにタマネギ、お父さんがひき肉を捏ねているところを見るに今日のメニューはハンバーグのようだった。ひとりさんの好物の一つである。ひとりさんも自身の好物が作られていることに気付いたのか、意識の奥で目を輝かせているようだった。
「なぁ、ひとり」
「どうしたの、お父さん?」
「困ったことがあったら、遠慮なく父さん達を頼ってくれていいんだからな?」
世間話をするかのように投げかけられたお父さんの言葉に動揺して、右手に持った包丁の手を止めてしまう。普通なら何気ない親子の会話でしかないそれは、わたしにとってはまったく別の意味を纏っていたからだ。
だって、ひとりさんは敢えてこんな言葉を交わすまでもなく両親をちゃんと頼っている。今時珍しいくらい仲のいい親子で、こんな探るような言葉を必要としないほどに通じ合っている。その事実を踏まえれば、今のお父さんの言葉が誰に向けられているかなんて、火を見るよりも明らかだった。
「どうしたの、急に」
「ひとりがなんでも器用にこなせる方っていうのは、父さん知ってる。でも、ひとりの環境は最近目紛しく変わってるだろ?バンドを組んでバイトをして、今度はライブだって控えてる……だからひとりだって、悩みの一つや二つあるんじゃないかって思ってさ」
「そうだね……うん、そうかも」
「だろう?だから、いつだって父さんを頼ってくれていい。 父さんな、窓際族なんだ。お昼は寝放題だし、徹夜もできる。暇を持て余してるからひとりの話だっていくらでも聞きたいくらいなんだ……一つも、遠慮することなんてないんだぞ?」
「ありがとう、お父さん」
いつものように冗談めかしているのに、どこか真剣な口調でお父さんはわたしに訴えかけてくる。わたしはお父さんの顔をとても直視できなくて、動かしもしていない包丁に視線を落とし続けている。
肯定も否定もせずに、ただお礼だけを言うに留める。大丈夫と添えようかと思ったが、止めておいた。お父さんの不安を悪戯に増大させるだけだと、予想できてしまったから。
窓際族だなんて、暇を持て余しているなんて嘘に決まっている。ひとりさんが何不自由なく暮らして、毎日ギターに没頭する生活を送れるのは、お父さんが一生懸命働いてくれているからだ。そんなことは、小学生の頃のわたしにすらわかりきっていることだ。
未だ子供で、そして大人になることもないであろうわたしには一生想像が及ぶことはないのだろうけど。大人とは、人の親なんてものはどう考えたって尋常ではない。毎日あくせく働いて、疲れている中で自分自身よりも家族こそを尊重して、小さな命の成長を守り続けなければならない。わたしが語るのも憚られるほどに、激務に違いないはずだ。
だからわたしは、重荷になるべきではないと思ったんだ。お父さんとお母さんが愛し守るべき存在なのはひとりさんとふたりで、そこにわたしという負荷が加わるのを少しでも抑えるべきだと信じていた。できるだけ目立たずに、気付かれたと確信してからは手のかからない人間であるように振る舞い続けている。
でもそれは、間違いだったのだろうか。本当はお父さんとお母さんをもっと頼った方が、彼等は安心できたのだろうか。
初めてお母さんに美容品について教えてほしいと頼った時、いったいお母さんはどんな表情をしていただろう。わからない。初めてお父さんに料理を教えてほしいと頼んだ時、お父さんはいったいどんな表情をしていただろう。わからない。
嘘だ。彼等の誇らしげな表情はなにより雄弁にその答えを語っていた筈だった。目を背けて、わたしが見えないフリをし続けているだけ。
結局、わたしが臆病なだけなんだろう。ひとりさんという小さな海の中でしか生きてこなかったわたしが、お父さんとお母さんの深い愛を信じて飛び込む勇気がなかっただけ。この優しい家族の在り方を歪めているのはいつだって、わたしのせいだ。
考えて、悔やんだところで意味はない。過去に戻ることはできないし、戻れたところで結局わたしは同じ選択を繰り返す。ひとりさんの為だけに生きて死ぬ。そうわたしが自分を定めた時点で全て決まっていたこと。わたし自身が全て決めたのだから、悔やむ資格だってありはしない。ままならないことを叫び吐き出すことにも、意味はない。それでも、敢えてわたしの浅はかな望みを吐き出すとするのならば。
一分一秒でも長く、この優しい人達の家族でいられますように。そう、願わずにはいられなかった。
大変お待たせいたしました。夜勤に変わってしまったり、仕事の都合で一行に執筆時間がとれなくなってしまい、こんなに時間を要してしまいました。誠に申し訳ありません。そしてなのにも関わらず、こうして物語を追い続けてくれてありがとうございます。
本当は今話できくりお姉さんの話まで書きたかったのですが、あまりに皆様を長く待たせてしまっていること。そして今話の部分が予想より遥かに長くなってしまったことで断念しました。楽しみにしていた方はすいません、次回こそはきくりお姉さん回になりますので……何卒。
暫く更新がなかったにも関わらず、たくさんの感想が来てくれたことは本当に嬉しかったです。多忙な中で、皆様の感想だけが励みになり執筆意欲にも繋がってくれました。本当にありがとうございます、そして図々しいながらこれからもよろしくお願いしたいです。
あと数話でこの物語の一つの区切りとでも呼ぶべき場所にも近づいているので、できるだけ更新を滞らせないように駆け抜けたいですね。皆様からの感想を糧に完結に向けて書き進めていきますので、今後ともよろしくお願い致します。