Fate/DebiRion.   作:遥野みしん

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18.コラボ~‼

●Live 30012人が視聴中……

「みんな~、今日はコラボだよー!」

 

 本間ひまわりの言葉にチャット欄は湧き上がる。社築が澄ましたように立っているので鷹宮と悪魔も黙って立っていたが、内心は恐れ慄いていた。

 

「どうしようでびちゃん、三万人が見てる……」

「おおお落ち着け小娘! まずは深呼吸だ。そしてそのあとはスクアット、それからはカレーライスだ!」

「お前が落ち着け!」

 

 二人がそうしている間にもひまわりは司会を進めていた。

 

「いやあ、私たちデビュー配信からでび様のファンでして、それで今回ブレイクしたお二人とコラボできたらなって思っていたので嬉しいです! それではお二人に自己紹介をお願いしたいのですが……ええぇぇぇ‼」

 

 司会のひまわりがマイクを向けたとき、二人はカレーライスを食べていた。

 

「ちょ、なんでカレー食べてるんですか⁉」

 

 ひまわりの困惑に鷹宮は咀嚼を止めず答えた。

 

「このば……でびる様が私の緊張を和らげようと出して下さいましたので。お二人のぶんもありますよ」

「え、あ、うん。今用意するね」

 

 悪魔が腕を振ると、社とひまわりの前にカレーとスプーンがぽんと現れ、カシャンと置かれた。社とひまわりは顔を見合わせる。

 

「ちょうど腹も減ってたし、俺は助かるわ」

 

 そう言って社はスプーンを取った。

 

「ええ、配信中ですよ⁉」

「いや、ひまわりさあ、コメントを見てみろよ」

 

 社に促されてひまわりがコメントに目を通すと、そこにはスプーンの絵文字が大量に流れていた。

 

「みんなぁ……うぅ、じつはひまもお腹すいてたんだよねぇ。いただきます!」

 

 悪魔の出したカレーがよほどうまかったのか、四人はしばしの間無言でカレーライスを食べ続けた。

 

 

 

「「やっちまった……」」

 

 部屋の隅で体育座りする社とひまわりに、鷹宮と悪魔は首を傾げた。

 

「え、みんな楽しんでたじゃないですか。何が駄目だったんです?」

「そうだよ、お前たちの願いも叶えてやって、喜んでいたじゃないか!」

 

 社はぎぎぎっと首だけを動かして振り向き、淀んだ瞳で言った。

 

「いやぁ、冷静になるとカレーを無言で食い続けた五分ちょっと、あれはやばい。ヤバすぎる」

 

 社は言い終えると深いため息をつく。ひまわりもため息をついていった。

 

「もう駄目だぁ、配信者失格だよ~……」

 

 でもでも、と悪魔が端末に映る画面を指差した。

 

「コメントは美味しそうってみんな言ってるけど」

「そんな馬鹿な。俺たちはその美味しさを伝える努力が出来なかった……」

 

 社は自分で言いながらさらにショックを受けたようで、その背中は丸くなる一方だった。

 

「美味しそうに食べればいいんじゃないの?」

 と鷹宮。

 

「それは……そうかも?」

「おいひまわり!」

 

 反論しようとしたひまわりが納得しかかり、社は配信者として俺が最後の砦だ、と自分の心を奮い立たせるが、それもひまわりの次の一言で陥落することになる。

 

「ねえやしきず。私たち、リオンちゃんとでびちゃんにそのままが良いって言ったばかりなのに……」

「っつ……!」

 

 社は葛藤するように天井を仰ぐ。だが、考えても視聴者の心の中はわからない。いや、コメントに掛かれた美味しそうという言葉、あれを疑う理由はないはずだ……。社は一応の答えを得、納得する。

 

「自然にあのリアクションが出た。だったらあのときはアレが最善だったんだ。そう信じるしかないのか」

「そうだよ! あの配信は大成功だよ。それに、私たちの願いも叶えて貰えたしね」

 

 そう言ってひまわりは視線を部屋の隅にやる。そこにはゲームセンターにあるような音ゲーの筐体があった。

 

「ああ、俺は最新の音ゲーの筐体。ひまわりは……」

「この世で一番おいしいラーメン!」

 

 とひまわりはテーブルの上のスープまで飲み尽くされた空のどんぶりを示して見せた。

 

「まさかカレーの直後にラーメンとはな」

「うん、お腹すいてたから……」

 

 恥ずかしそうにお腹を押さえるひまわりに社は呆れながらも笑ってしまう。

 

「しっかし、配信ってわかんねーよな」

 悪魔は嘆息する。

 

「一人がゲームすっごいやってんのを一人がラーメン喰いながら見てるだけなのに、みんな喜んでた」

「配信……俺も未だによくわからん」

「ああうん。ひまもよくわかんないね」

 

 四人は声を上げて笑った。そんな中悪魔だけは端末を抱えたまま、まるで端末の向こうに誰かがいるように、一緒に笑っているような反応に見え、社は尋ねる。

 

「でび様、その、さっきからどうしてその端末を持ってるんです?」

「だってこいつらといる方が楽しいじゃん?」

 

 悪魔の見せた端末の画面には四人の姿が映り、画面端のチャット欄はすごいスピードで流れていく。

 社は猛スピードで悪魔ににじり寄り、言った。

 

「でび様、まだ教えていなかったようなので今教えましょう、配信の切り忘れは個人情報の流出にもつながるので、配信者は最も避けなくてはいけない事態なのです……!」

「な、なんだってー!」

「なに? 切り忘れ? まだ繋がってる? みんなーバイバーイ、おつひま!」

「ご、ごきげんよ~、あははは……」

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