Fate/DebiRion.   作:遥野みしん

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8.配信者!

「何してるの、あなたたち……?」

 

 自室に戻った鷹宮が見たのは、見覚えのないパソコンの前に座る悪魔、でびでび・でびると吸血鬼の葛葉だった。

 

「あ、お邪魔してます……えーっと……ッスゥー……天気いいっすね」

「そうですね。そんなことはどうでもいいです」

「はい」

「どうしてあなたがここにいらっしゃるの? 同盟を組んだとはいえ事前に連絡もなく家に上がり込むなんて失礼じゃないです⁉」

 

 そこで鷹宮の袖を悪魔が引いた。悪魔は胸を張って言った。

 

「小娘、ボクだよ! ボクが入れたたたたたっ痛いって小娘!」

「乙女の部屋に勝手に殿方を入れないでくださる⁉」

「姦しいな」

 

 いつの間に鷹宮の背後に立っていたバーサーカーが鷹宮を見下ろして言った。

 

「我々がここにいるのもその悪魔の要請に応えてのこと。そして悪魔の望みは己の強化。悪魔が強くなることを貴様も望んでいるのだろう? で、あるならば我々がここにいるのは貴様の望みでもあるというわけだ」

「そ、そうかもしれませんけど……」

「それに、同盟相手が強くなくては我々も困るのだ……」

 

 これを言われては鷹宮は何も言えなかった。一方的に窮地を救ってもらい、恩を返すすべもない。同盟とは名ばかりの実質的な保護だった。

 

「いや、俺も悪かったよ。よくよく考えると女の部屋に本人の許可なく立ち入るとか、どうかしてたわ。悪かったな」

 

 真摯な態度の葛葉に鷹宮も落としどころを見つけてほっとする。

 

「わかりました。必要があってここに居るのはわかりましたから。それで、何してらしたの?」

「えへん、それはボクから説明しよう! 悪魔が強くなるには信仰がいる! 信仰を集めるには力がいる! でもボクは力が使えないだろ? じゃあどうするか、例えば、ボクの姿は威厳たっぷりで力に満ち溢れている……」

 

 ここで葛葉が「諸説……」と口を挟んだが悪魔は無視して続けた。

 

「でもボクが人前に出ていくのはちょっとなんかよくないらしいじゃん! そこで、ハイテクインターネットの力を利用してボクのこの力強い雄姿と! 悪魔的な精神で! 世界中の皆をボクに陶酔させてやるんだ!」

 

 鷹宮は無言で葛葉を見つめた。葛葉は弁解する。

 

「いや、わかるけども! 言いたいことはわかるよ? でも実際姿はUMAなわけだし、なんか人気出るかもしんねえって……思うじゃん?」

「ねえよ! ……失礼。ありませんわ、そんなこと」

 

 もっともだ、と葛葉は苦笑する。それでも、と前置きして葛葉は話し出した。

 

「信仰を集めるためには人間と接触できなきゃいけないわけよ。路地裏で一人一人説得していくか? それでねずみ講みたく人が増えてくにしても、サーヴァント並みの力を得るのに何十年かかるんだ? それよりかは一発逆転、有名配信者になる方が可能性はあるんじゃないのか? 今生きている人間が百万人、でびでび・でびるに心を奪われる……そうなれば最低限戦うことはできると思うんだけどなぁ。それとも別の方法……外道にでもなっちまうか、なあ?」

 

 葛葉の言葉に鷹宮は唸るしかなかった。苦々しく悪魔の方を見ると、悪魔は親指らしき指を立てて言った。

 

「安心しろ小娘、ボクは大丈夫だ!」

「はぁ~……もうあんたの好きにすれば?」

「よし、小娘の許可ももらったし、計画を先に進めよう、吸血鬼!」

「はいよ。ところで鷹宮……リオンさん? だっけ。あんたも配信に協力すると考えていいのか?」

「ええ、それはもちろん。でびるが強くなるのでしたら協力しますとも!」

「そうか。だったら引き合わせたい奴らがいるんだけど……」

 

ーーーーーーー

 

「こんにちは、頭のひまわりがチャームポイントの本間(ほんま)ひまわりです!」

「あー、社築(やしろきずく)です。よろしくお願いします」

 

 画面に映し出された二人組を見て鷹宮は葛葉に言い放った。

 

「なんですか? こいつら」

「「こいつら⁉」」

「あ、失礼。この人たちはいったいどういった方々でおありで?」

「ああ、俺の知り合いの配信者だよ。俺自身は配信しねえけど、ゲームを通して知り合う機会はあってな。配信者として色々教えてくれるだろうから、あとのことはこの二人に聞けよ。じゃあな、俺は帰る」

 

「ちょっと、葛葉さん……!」

 

 鷹宮が止める間もなく、葛葉はサーヴァントを引き連れて部屋から出ていき、そのまま家からも出ていってしまった。

 

 画面に映るスーツ姿の男性、社築が咳払いをする

 

「えー、鷹宮くんとでびるくんだったね。今度動画配信者としてデビューしたいのは君たち二人組ということで間違いはないかな?」

 

 ん? と鷹宮は目を白黒させる。

 

「うんそう! 間違いないよ!」

 

 え? 鷹宮は目をぱちぱちと瞬かせた。

 

「よっしゃ! じゃあひまたちが知ってることは教えてあげるよ! 任せとき、二人とも可愛いからみんな注目間違いなしだよ!」

 

 頭にヒマワリを乗せた女子高生、本間ひまわりがどんと胸を叩く。

 

 鷹宮はぽかんと口を開けたまま悪魔と画面上の二人の間で何度も視線を交差させ、ハッと我に返って叫んだ。

 

「聞いてないんですけど‼」

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