ありふれていた月のマスターで世界最強   作:sahala

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 一月に入っちゃったけど、せっかくだからオルクス迷宮編は書き切ろうと思います。オバロクロスを待っている方は申し訳ないけど、もう少し待って下さい。


第十話「夢幻召喚」

 オルクス大迷宮の中。ワイバーン達が巣にしていた横穴の中で二人の少女が力無く座り込んでいた。剣を持って見張りをしながら、雫は壁に寄りかかる香織に声を掛けた。

 

「香織……まだ、生きているわよね……?」

「うん……大丈夫だよ。私はまだ元気だから……」

 

 言葉とは裏腹に香織は辛そうに答える。その様子に雫は唇を噛み締めた。

 昼夜の概念がない迷宮の中だから正確には分からないが、ワイバーンの巣穴に入ってから既に一週間は経過しているだろう。

 白野によって巣穴のワイバーンが全滅させられ、場所が断崖絶壁の横穴の為か、あれから雫達は魔物とは遭遇していなかった。お陰で戦闘で消費してしまった魔力も、睡眠を摂る事で回復していた。

 

 だが———同時に雫達はこの場から動けなくなっていた。場所は迷宮の奈落の底へと繋がる断崖絶壁。ワイバーン達の様に空を飛べない雫達には岩肌を登るか、奈落へと落ちるかの二択しかこの場を抜け出す手段がない。

 一か八か岩肌を登るとしても、登っている途中にワイバーンの様な魔物に襲われたら一巻の終わりだ。そもそも断崖絶壁の上の元いた階層だって、迂闊にも転移トラップを作動させた檜山のせいで飛ばされた場所だ。この階層にいる魔物達は明らかに今の雫達より明らかにレベルが上だろう。一か八かで助けを呼びに行くには危険過ぎる賭けだった。何より———。

 

「白野くん……今日も起きないね」

 

 空腹や不安になる気持ちを紛らわせようとしたいのか、香織は心配そうな表情で白野を見る。

 白野は———あの日以来、眠ったままだった。

 まるで地球で頻繁に倒れていた時の様だったが、いつもよりもずっと深い眠りについた様に目を覚さない。昏睡した白野をそのまま放置する事も出来ず、雫達はこの場に留まるしか無かったのだ。

 不幸中の幸いか、今回のオルクス大迷宮の演習は行軍演習も兼ねていた為にメルドから各自に保存食は配られていた。とはいえそれも一食分しか無く、雫達は硬いビスケットの様なパンを毎食に一口ずつ嚙り、白野がワイバーン達を凍らせた際に作った氷を魔法で溶かして飲み水を確保してどうにか餓えを凌いでいる状況だった。

 

「白野……」

 

 空腹と疲労で弱った身体を引き摺る様に動きながら、雫は目を閉じて横たわる白野の側に寄る。額に手を当て、まだ冷たくなってはいない事にとりあえず安堵した。

 

「早く起きなさいよ……いっぱい、いっぱい聞きたい事があるんだから」

 

 不安で泣きそうになるのを堪えながら、雫は白野の目覚めを待ち続けた。

 

 ***

 

 雫達が極限状況にありながらも白野の目覚めを待つ中———白野は夢を見ていた。

 それは、()()()()戦いの記録だった。

 

『アタシの名前を覚えていきな! テメロッソ・エル・ドラゴ! 太陽を落とした女ってね!』

 

 数多の魔術師が争う戦争があった。

 

『我が墓地はこの矢の先に———森の恵みよ、圧政者への毒となれ!』

 

 地球外の文明で作られた巨大霊子演算機———ムーンセル・オートマトン。

 地球上のあらゆる事象を記録と演算を行うが故に、望む未来すらも引き寄せられる願望機(聖杯)

 

『今日だけは一緒に遊んであげるね!』

 

 月にある願望機の所有権を巡り、数多の魔術師達がそれぞれの願いを胸に電子空間を介して月に訪れて争い合った。かつて地上で行われた願望機を奪い合う戦い———英霊を従え、お互いに相争う聖杯戦争という形で。

 

『みこーん! ワタクシ、心を入れ替えました! これからよろしくお願いしますね、ご主人様♪』

 

 記憶の無いままに聖杯戦争に参加する事になった岸波白野は、生き残りたいという一心で多くの魔術師や英霊達と戦ってきた。時には敵だった者にも助けられ、彼は迷いながらも勝ち残っていった。

 

『くはははははははは!!!! 滾る滾る!! 血が!! 肉が!! やはり武とは生き死にあってのもの! さあ、力比べだ!! 極致のその先を――見せてみろ!!』

 

 戦いの最中で岸波白野は知る。自分はNPCから奇跡的な偶然でマスター権を得たマスターに過ぎず、この戦いで勝ち残ったとしても地上に生還する事は叶わない。

 

『……貴方に星の祝福を。いかなる困難、いかなる闇の中でも、北天の星が、その道を照らしますよう―――』

 

 ……それでも白野は歩みを止めなかった。たとえ勝ち抜いた先に得る物が無いとしても、これまで歩んできた道程を否定しない為に。彼を信じて、共に歩んでくれた者達への信頼に応える為に。

 

『……行こう、アーチャー。これが、私の最後の戦いだ』

 

 同じ様な道程を歩んだ自分のコピー。それすらも降し、彼はとうとう熾天の玉座へと辿り着く。

 

『———やあ。待っていたよ。私は誰よりも君を認め、君を讃え、君を誇りに思っている。君こそが幾たびも繰り返された聖杯戦争の中で、もっとも素晴らしいマスターなのだと』

 

 そこに———人類を憂いる白衣の賢者がいた。

 人類の戦争を憎みながら、戦争の中で育まれる命の強靭さを否定出来なかった過去の亡霊。

 白野と同じ様にNPCからマスターへと至った白衣の賢者は、停滞する地上の世界を変える為に白野に願いを託そうとした。

 

 今一度、人類に収穫期を。生と死が交差する刹那、人々に芽生えるものは略奪に見合うだけの成果と信じて。

 

 だが———白野はそれを否定した。

 

『多くの人達と出会ってきた。そして多くの人達の願いを淘汰して、自分はここにいる』

 

 人類の愚かさを嘆きながら、人類の強さを信じる過去の亡霊に白野はまっすぐと対峙する。

 

『願いに貴賎なんて無い。失われた者達の願いも背負ってここにいる。だからこそ、そんな事の為に自分の願いを放棄するなんて許されない。人類は貴方の言う通り、正しくないかもしれない。でも、それを結論付けるのは現在を生きる者達の選択だ。過去に生きていた()()()が好き勝手にして良いものじゃない』

 

 多くの屍を踏み越え、戦いの中で魂を精錬させた少年は白衣の賢者を否定し、最後の戦いに挑んだ。

 

『命あるものは必ず滅びる。衆生は苦しみの輪廻にいる。生存の強さをもって悟りへの道を拓こうとした彼もまた、心に神を宿している。道は1つではない。人の善悪に価値がないように、人の認識では、世界の在り方(うつくしさ)は変わらない』

 

 そして———白衣の賢者に慈悲を示していた救世者も退け、白野は月の聖杯に接続する。願う事はただ一つ、共に戦ってくれた友人が地上へ無事に帰還する事。願いは確かに叶えられ———不正なデータである白野はムーンセルによって分解される事になった。

 

『さらば、とは言わんぞ……この先、幾百幾千の時を経ようと、絶対に余は奏者を見つけてみせるからな。余は偉大な皇帝、こんなコトで、泣くはずがっ、あるものか! 泣いてなんか、いないからな!」

 

 最後まで付き従った剣の英霊は、消えゆく白野にそう告げた。

 そうして———かつて自分すら定かでは無かったが、ついには月を征した白紙の少年は、一ビットすら残さず消滅して———。

 

 ***

 

「……う、ん」

「白野!」

 

 白野はゆっくりと目を開ける。ぼんやりとした視界に、まず雫の顔が映った。

 

「目が覚めたのね……本当に、いつも心配ばかりかけるんだから!」

「良かった……白野くんが起きて、本当に良かったよ……!」

 

 雫と香織が涙ながらに白野の目覚めを喜ぶ。寝起きでボーっとする頭は徐々にクリアになっていき———白野は先程、見ていた夢の内容を完全に思い出していた。

 

(俺は……そうか、思い出した。岸波白野は、そういう存在だったんだ)

 

 以前は夢の中だから、と荒唐無稽に思えていた内容も今となっては確かな記憶として思い起こす事が出来た。まるで欠けていたピースが嵌った様にスッキリとした頭で、白野は昏睡する前の事を思い起こす。

 

「……雫。あれから、俺はどのくらい眠っていたんだ?」

「一週間……だと思う。念の為に持っていた腕時計で確認していたから、間違いないとは思うけど……」

 

 地球にいた頃の持ち物であろう腕時計を指差す雫からの報告に、白野は思わず溜息が出てしまう。そんな長い時間を眠りこんでいた自分を待っていてくれた二人には感謝しかなかった。

 

「迷惑をかけた。ありがとう、二人とも」

「別にいいわよ。そもそも私達があの時に死なずに済んだのは、白野のお陰よ」

 

 雫が涙を拭いながらそう答える中、香織は意を決した様に白野に話しかける。

 

「……あのね、白野くん。白野くんが気絶しちゃった時、ステータスプレートが落ちて……その、悪いとは思ったけど、見ちゃったの」

 

 そう言って、香織が白野のステータスプレートを見せる。はっきりと明記された天職や大幅に上がったステータスを見せられたが、白野は驚く事なく頷いた。

 

「月の裁定者、か……なるほどね」

「白野くんは何か知っているの? それにあの時の姿とか……教えて欲しいな」

「……もちろん説明するよ。信じられない話かもしれないけど———」

 

 不意にグ〜ッと大きな音が鳴り響く。白野は顔を赤らめながら、自分の腹を抑えた。

 

「ごめん……先に何か、食べてからで良い?」

「あ……そうだよね。白野くん、一週間も何も食べてないんだよね」

「はい、これ。白野の分の食料よ」

 

 雫が白野の荷物から出した乾パンを差し出す。それを食べようとして、白野は雫達の頬が少しこけている事に気付いた。

 

「雫……俺が眠っている間、雫達の食料はどうしていたんだ?」

「え……大丈夫よ、元から少食だったもの」

「私も今はダイエット中だから、ね?」

 

 そう言うが、二人の顔色ははっきりと良くない。そんな極限状況でありながら、白野の食料には全く手をつけられていないのだ。

 それを見て、白野は無言で乾パンを三等分に割った。

 

「食べてくれ」

「白野、遠慮しなくていいのよ。さっき、今日の分の食料は食べたから」

「俺は寝ていた分、体力の消耗は少なかったけど、雫達はずっと見張りをしていてくれたんだろ? ここから動かないといけないから、体力はつけた方が良い」

 

 しばらく遠慮していた雫達だったが、白野は頑として譲らなかった。やがて、躊躇いがちに雫達は白野の乾パンを受け取り、口の中に入れた。

 

「……ふう、ありがとう。少し、元気になったわ」

「良かった……とりあえず、今は脱出を優先させよう。俺の事は脱出した後にゆっくり話すよ」

 

 お世辞にも安全とは言えない迷宮の中で過ごし、満足な食事も出来ない日々に雫達はかなりストレスを強いられただろう。まずは安全な地上まで出て、ゆっくりと休息を摂るべきだ。

 

「白野……うん、そうよね。問題はここからどうやって脱出するかだけど」

「それについては心配しなくて大丈夫だ。今の俺ならどうにか出来る」

 

 不安そうな雫にきっぱりと白野は断言した。断崖絶壁にある横穴からどう脱出するか、そして迷宮内の魔物をどうするか———記憶と共に目覚めた力は、全く問題にならないと白野に告げていた。

 

「……ねえ、今の白野くんなら魔物達もどうにか出来る。そう思っていいんだよね?」

 

 問い掛けに白野は頷くと、何故か香織は少しだけ迷う素振りを見せた。

 

「香織?」

「あのね……南雲くんを探しに行く事って、出来ないかな?」

「香織……あなたの気持ちは分かるけど、今の私達はそんな余裕がある状況じゃ———」

「分かっているの! 白野くんの目が覚めたから、今は脱出を優先すべきだって!」

 

 困った顔で嗜めようとする雫に、香織は大声をあげた。その目から溢れる涙に雫は押し黙ってしまった。

 

「あの状況じゃ、もう生きていないかもしれない……それもちゃんと分かっている! でも……万が一、私達みたいに迷宮の何処かで生きていたら、きっと助けを求めているから……! 私が、南雲くんを守るって、あの夜に約束したから……だから……!」

 

 身体を小さく震え、最後の方は言葉になっていなかった。香織も、この状況で自分の我儘を言うべきではないと分かっている。そもそもハジメが生きている可能性など、ゼロにも等しいだろうという事も。

 しかし、それでも諦めきれなかった。ワイバーンに連れられた自分達がこうして生きている様に、もしかしたらハジメも生きているかもしれない。探索の邪魔になる迷宮の魔物も、ワイバーン達を鎧袖一触にした白野がいれば何とかなるかもしれない。その希望に、香織はどうしても自分の想いを捨て切れなかった。

 

「………」

 

 白野は小さく嗚咽を漏らす香織を静かに見つめる。香織の恋心の事は白野も地球にいた頃から知っていた。雫から聞いた時は白野も驚き、その恋が実るといいな、となんとなく考えていた。

 そして———ハジメの事を思い返す。教室では隣の席だったから、白野が授業中に目眩で倒れた時にいつもハジメが保健室までの付き添いに駆り出されていた。しかし、ハジメは嫌な顔を一つも見せずに白野を保健室まで連れて行っていた。ハジメに対して、白野はかなり恩を感じていた。

 

(なにより……あの時、ハジメが身を挺してベヒモスを止めたから全滅せずに済んだんだ。そんな彼を俺が命惜しさで見捨てるのは、不義理だよな)

 

「……分かった」

「白野……」

「ちょっと待って欲しい。いま、調べてみる」

 

 え? と雫が聞き返すより先に———白野はこの世界に無い魔術を発動させた。

 

「———code:view_map」

 

 白野の手から光が———0と1で構成された数式が浮かび上がる。数式は次々と組み合わさり、雫達の前に地図の様なものが現れた。

 

「これは……!?」

「良かった……この世界でも、コードキャストは使えるんだな」

 

 雫達が驚く中、白野は月の聖杯戦争で幾度も使った魔術———コードキャストが問題なく発動する事に安堵した。

 白野の出した地図は迷宮内を完璧に再現していた。()()()()()()()()()()最下層である百層目まではさすがに無理だったが、それでも目当ての情報を見出す事が出来た。

 

「いま、俺達がいるのはここ。七十層と七十一層の中間くらい」

 

 ポカンと口を開けている香織に、白野が自分達を示す光点を指差した。そして———。

 

「……ここ。第八十九層目。そこに人間の反応がある」

「っ! そこに南雲くんがいるの!?」

「これが南雲なのか、確証は無いけど……オルクス大迷宮でここまで潜れる人間がいたなんて話は聞いた事が無い。可能性は高いと思う」

 

 香織の顔が明るくなる。先程までゼロに等しいと思っていた可能性が、いま明確な希望となったのだ。香織は白野に向かって勢いよく頭を下げた。

 

「お願い! 南雲くんがそこにいるなら、迎えに行ってあげたいの! きっと魔物達に見つからない様に隠れて、自分じゃ脱出できない状況だと思う! だから……お願いします、白野くん! 力を貸して下さい!」

「……雫はどうする? 雫だけ先に迷宮の入り口まで送ってもいいのだけど」

「……はぁ、もう。香織は一度決めたら迷わずに突っ走っていくんだから」

 

 雫は溜息を吐きながらも、香織に優しく微笑む。

 

「良いわよ、南雲君に恩があるのは私もよ。私も一緒に行ってあげるわ」

「雫ちゃん……ありがとう!」

「礼なんて要らないわよ。私達、親友でしょ?」

 

 抱きついて何度もお礼を言う香織に、男前に返す雫。

 そんな二人を見て、白野もゆっくり頷く。

 

「決まったみたいだね。それなら———彼等の力を借りよう」

「彼等って……誰の事?」

 

 雫が頭に疑問符を浮かべる中、白野は自己の意識に埋没した。

 

(サーヴァントの召喚は……駄目だな。理由は分からないけど、今の俺には()()()()()()()()()()()())

 

 真っ先に試そうとしたが、頭の中でエラー表記が浮かぶ。()()()()()()()()()が脳と繋がっている様な奇妙な感覚を覚えながらも、違和感を覚える事なく白野は意識の中で問い掛けた。

 

(今の俺に可能なのは……コードキャストの使用と、それに付随する魔術の再現。そして———()()()()()()()()()()()())

 

 白野の脳の中で、とある英霊達を思い浮かべ———実行は可能だと、白野の意識は判断した。

 

「……雫、香織。今から君達に、新しい力を渡す」

 

 いつもより、どこか威厳を感じさせる白野に雫達は自然と姿勢を正した。その姿はまさしく———月の王そのもの。

 

「人間には過ぎた力かもしれないけど……ハジメを救う為に、受け入れる覚悟はある?」

 

 突然そんな事を言われて、雫も香織も戸惑ってしまう。

 しかし、それも一瞬だけだった。

 

「……ええ。あなたの力とか、まだ色々と聞きたい事があるけど。白野が渡すなら、悪い物では無いという事は信じられるわ」

「私も南雲くんを助ける為なら、恐くなんてないよ。だから……やっちゃって、白野くん」

 

 二人は覚悟を決めた様に、目をギュッと瞑る。その二人に———白野は静かに詠唱を始めた。

 

「———告げる。汝の身は我に。汝の剣は我が手に。月の聖杯のよるべに従い、この意この理に従うならば応えよ」

 

 白野の手から再び数式が浮かび上がる。今度は魔法陣を形成し、雫と香織の足下に現れた。

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者──」

 

 それは、とある世界で夢幻召喚と呼ばれるもの。

 今の白野にはかつての様に英霊そのものを召喚する事は出来ない。だからこそ、その力の一端を写し取って人間を媒介に擬似召喚する手段を取った。

 擬似召喚とはいえ、本来なら生前の遺品の様な英霊の縁の品が必要だろう。そうでなければ、完全にランダムな召喚となる。

 しかし———何の英霊が来るか、白野には分かる様な気がした。

 

「汝、三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ———code:install_sarvent!」

 

 魔法陣の光が強くなる。風が吹き荒れ、雫達の身体は光の奔流に包まれた。

 

 やがて———雫達の身体が変化する。

 

 雫は———髪が雪の様に白くなり、赤い外套をその身に纏っていた。その手には、日本刀の様に形を変化させた陰陽剣。

 香織は———王宮から支給された法衣が、動き易さを優先させた水色の和服に変化していた。頭には、ピンとキツネの耳が立った。

 

 かつて月の聖杯戦争で白野と縁の深い英霊。その姿を模した様に、二人は装いを変えていた。




というわけで、雫エミヤんと香織キャス狐の爆誕なのであります。香織や雫を序盤からパワーアップするのに、魔物肉でドーピングは既にやり尽くされた気はするので。
しかしこれ、とある勇者が見たら「香織と雫を自分の奴隷にしたんだ!」とか騒ぎ出しそうだなぁ。

>携行食料

まあ、行軍演習としてオヤツみたいなのを持たされていたと思って頂ければ。因みに歯が欠けると言われたアレです。

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