僕のヒーローアカデミア Legend of Chimera 作:夢野飛羽真
少しずつ、小さなことからコツコツと頑張っていきたいと思ってるんで応援よろしくお願いします!
「やっぱりな…」
何故か僕が前世で使っていた研究室に転移してしまったんだが、予想通りその隣には実験室が存在していた。
この空間=前世の世界というわけではなさそうだ。もしかすると僕専用の空間…もしかしてこれが俺の個性なのか…?
「だとしたら都合がいい。機材は全部…自分の研究室にあった奴だ!」
研究室にあった僕のパソコンと同様実験室にも前世から使っていた機材が幾つも置いてある。
これは今の僕達にとって非常に都合が良い。何故なら機材の中に電波を感知するセンサーや逆に電波を発する機械が幾つもある。
「さて、理系の腕の見せ所だ…」
当然の権利の様に工具等もあるのでこうなってしまえば僕の独壇場だ。
この空間は僕達以外は入れなさそうだし、少々時間があればすぐに装置を作れる。
まずは敵の発する妨害電波を掻い潜り外部の…ヒーローか警察に救難信号を送るための装置だ。
「さあ、オペレーションを始めよう。」
脳内で機械の設計図は出来ている。
組み立ての手順や回路の組み合わせも自分の脳内で想定し、想像したとおりに徐々に機械を組み上げていく。
「さて、これをパソコンに繋げれば…完璧だ!」
2年のブランクと身体が当時より小さくなっているというハンデこそあったが、簡易的な装置をすぐに作り上げることができた。大学No.1エンジニアと言われただけの頭脳は健在だったし父さんに頼んで買っていた本も何冊か読んでおいてよかった。
「できたよ~」
「それ何持ってんの?」
装置を持って研究室に入るなり、パソコンにUSB接続させて装置を起動する。
「なんか向こうの部屋にあったんだ。なんか電波を送る機械らしい。」
自分で作ったと言えば姉さんに怪しまれかねないのでその辺にあったことにして起動させれば上に付いているアンテナが回り始める。
そしてパソコンを操作して試しに電波を送る。
「あー、ダメだ。ここの座標が分かんない。」
理論上装置はしっかり動くし電波も送ることができる。
「それってどういうこと…?」
「この装置だとヒーローに助けてーって伝えることは出来るけど自分達が何処にいるかを教えることができないんだ…」
やらかしてしまった…自分達の現在地という大事な情報を失念してしまっていた…
「とりあえずここが何処かっていう情報を探しに行かないと…」
「まさかまた外に出るんじゃ…」
「うん、そうだよ。危なくなったらまたここに逃げよう。」
さっきここに来た時の感覚を思い出せばまた白い光のゲートが現れる。
「今外は大丈夫?」
「だ、大丈夫だけど…」
姉ちゃんたちにゲートの外に敵がいないか確認してみるがどうやら今は安全らしい。
そのことが分かればすぐにゲートを潜って外に出ていく。
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「おっと、危ない危ない」
研究室空間から出た龍也は座標が分かる場所を探しながら歩き、敵に見つかりそうになったら研究室に逃げるのを繰り返した。既に龍也自身は研究室空間との出入りを自由自在に出来るようになっていた。
(よーし、慣れてきたぞ~)
恐らくこの能力は自分自身の個性だろうと仮定した龍也は空間移動で次々と敵を躱して進行していく。まるでこの個性を長年使っていたのではないかという程上手く使っている。
完全にコツを掴み、敵による捜索の目を掻い潜ってとある部屋に辿り着いた。
「ビンゴ!コンピューターが何個もある!ここなら何かあるかも知れない…」
彼が辿り着いた部屋には幾つかのパソコンと資料や機材がある。
まずは龍也は地図やGPSが無いか周囲を捜索している。
(これって奴らの組織名…?)
彼が手にした紙には"デッドホーク"と言う名前が書かれており、それが瞬時に自分達を誘拐した組織の名前だと理解した。
(さてと、まずはパソコンだね…)
情報を探る上で龍也が一番最初に気になったのは部屋の中央にある電源が付いたままのデスクトップPCで、先程の研究室にあったUSBメモリを挿し込んで必要なデータを中にコピーしようとする。
(ふむふむ、色々とあるけどこのファイルは気になるな…)
デスクトップ画面に表示される幾つものファイルとフォルダの数々に龍也は驚きつつも重要そうなファイルを幾つもピックアップする。
(ダメじゃん…こんな重要そうなデータ出しっぱなしにしてたら…)
選んだフォルダを幾つかUSBメモリにコピーしていく。
そのフォルダの中にはギフやライダーシステム、バイスタンプ等の名前が入っているものもある。
「コピーしてる間に他のも探しておこう。」
PCでは座標こそ分からなかったが、参考になりそうなデータは幾つもあり、それをコピーしている間に他の資料も読んでみる。
「地図あった。ん?これって…?」
地図を探そうと机の上を見てみれば、龍也の視界には2つのスタンプ状のアイテムと水晶体部分が青色の目玉の様な物が管理されて置かれていた。
そのアイテムと目玉を咄嗟に龍也は手に取ると、地図とデータをコピーしたUSBメモリと共に研究室空間に持っていく。
「ただいま。」
「おかえり~って何持ってんの!?」
「ちょっと、色々とね。」
バイスタンプ等のアイテムを机の上に置いて床に取得した地図を広げる。
「場所的には僕達が居るのはこの辺かな…?」
「うん、確かにこの場所っぽいけど…」
龍也達が地図を見て自分達がいる場所を探り出す。そしてその座標をパソコンに入力して先程作った装置を通じて外部に送り出す。
「これで伝われば良いんだけど…」
彼らにできることは救難信号に気付いてヒーローが来てくれるのを待つことだけだ。
起動中の電波送信装置に付いているアンテナが回転するのを眺めながら、3人はヒーローの助けを祈り続ける。
「お父さんとお母さん…大丈夫かな…?」
現在、龍也達が居る空間は龍也の力が無ければ出入りできない上にPCによる空間外の様子の監視できるので彼ら3人は安全な状態ではあるが、共にバスに乗っていた人々の安全は確保されていない。
その中には彼らと共に行動している少女、耳郎響香の両親もおり、齢5の少女にとっては不安でしかなかった。
「大丈夫。僕達がさっき何人か倒したせいで向こうの人達は僕達を探すのに必死だ。これ手に入れた部屋の警備も大分薄くなってたし。」
だが、龍也達が警備兵を何人も倒したため、他の人員がその下手人である龍也達を探すのに割かれてしまっており他の大人たちに目が行き届いていないと考えられる。
バスに乗っていた人を人質に政府や警察に何かを要求するのであれば、龍也ら子供達も同じ部屋で人質にしている筈だ。何かこの施設で違う目的を遂行しようとしている。
だが人員が他のことに割かれてしまえばその動きは一時的に止まってしまう。そんな龍也の読みは当たっていた…
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「どうなっている!何故子供の捜索にこんなにも時間がかかっているんだ!」
この廃工場、と言うよりは設備の管理者であり組織の研究員らしき男が武装をした何人かの男達に怒鳴りつけている。
その様子を拘束された大人達はただ見ることしかできなかった反面、今現在自分達を攫った者達が他のことに気を取られており自分自身が危害を加えられる心配が少なくなっているのである。
「子供達って言ってるけど響香の奴、大丈夫なのか…?」
「ええ、大丈夫かしら…?」
その中には耳郎響香の両親も含まれており、警備兵達が子供達を追っていると聞けば追われているのは自分達の愛娘ではないかと不安になる。
「クソッ!これじゃ実験どころかヒーローが来て計画がおじゃんだ!」
今回の事件を起こした組織、デッドホークの研究者の1人である研究員の男は焦っていた。自分達が起こした事件が明るみになってしまえば組織の計画が頓挫しかねない。
「大変です!警察がこちらに向かっています!それに…ヒーローも!」
「こうなったら…私は逃げるぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
研究員の男は本来バスジャックで誘拐した大人達を使ってバイスタンプの実験をする筈だった。だがしかし、彼らの置かれている状況は徐々に悪くなっていくばかりだった。周りを監視している者の報告によれば既に警察やヒーローが向かってきているとの事だ。
「証拠を集めて撤退しろ!」
バイスタンプを使ってデッドマンを産み出すことはできるものの、抗戦するよりも自分達の組織の存在が明るみになる前に逃げるのが得策と考えて研究員の男は自身の研究室に逃げ込む。
「無い!無い!スタンプとギフの瞳は何処だ!?」
だが、彼の向かった部屋にあったはずの物は先程龍也がくすねてしまっていた。
(まずい…こんなことバレてしまえば何を言われるかッ…!?パソコンのデータも警察に見られたら困るッ…!)
焦ったその研究員は咄嗟に研究室に置いていた酒を撒き散らしそこにライターで火をつける。
(さて、私はバックアップを持って逃げよう。)
証拠を燃やして隠滅し、そそくさと逃げていく研究者。
だが、彼の判断は組織的には正しかったと言えるだろう…
「そろそろヒーローが来るみたいだね…」
研究室空間から出た龍也達3人がこっそり廊下を歩いている。
先程龍也が侵入したデッドホークの研究室が燃え始めているのでこっそりと移動を開始していた。
「けど大丈夫かな…ウチのお父さん達も逃げれてるかな…?」
自分達がこの場から離脱できるか、それに加えて一緒にバスに乗ってさらわれていた耳郎の両親を初めとする人々は無事なのか…
そんな不安が常に彼らの脳内をよぎっている。
「ヒーロー達が来てるって聞いたから問題な…」
「わーたーしーがー来た!!」
だがその不安が一瞬にして掻き消された。曇天の雲が切り開かれて陽の光が差し込むように付近の壁が砕かれて光が差し込んでくる。
そして光に照らされるのは誰もが知るあの男であった。
「オールマイト!?」
その男こそ現在NO.1ヒーローとして世間に名を轟かせている男、オールマイトである。現在絶賛黄金期を迎えているオールマイトがこの場に現れたことに3人の子供達は歓喜の表情を隠せない。
「なんでオールマイトがいるんだよ!?」
と、早速その場に先程龍也達を追いかけていた警備兵と彼の召喚したコングデッドマンが現れてオールマイトの存在に身構える。
「君達は下がってくれたまえ。デトロイトーッ」
オールマイトが地面を蹴れば彼の身体は推進力で一直線に進み一歩だけでコングデッドマンの眼前に迫り…
「スマーッシュ!」
右腕を突き出すと、デッドマンは抵抗することもできず体を吹き飛ばされて放物線を描く。
そしてその身が天井にめり込んでしまい、重力によって地面に落ちていく。
「い、一撃で!?」
地面に落ちたデッドマンの身体は限界を迎えて黒い粒子となり、紙が燃えた後の肺の様に粒子が舞い上がって消滅していく。
「クソっ…!」
警備の男も自身の個性を使って抵抗しようとするが結果は目に見えていた。
オールマイトのパンチやキックの押収に彼も一瞬にして制圧されてしまった。
「避難路はこっちだ。君達も早く!」
遅れて現場に到着したオールマイトのサイドキックと思われる眼鏡をかけた男が龍也ら3人に避難するように促し、彼ら3人はその指示に従ってこの場から離脱し、駆けつけた警察に保護される。
「響香!」
「お父さん!お母さん!」
その後オールマイトの活躍で他の人質も無傷のまま救出され、耳郎一家も無事に再開を果たしていた。
「いや~良かったね~」
「うん!皆無事に帰れそうでよかったよ!」
その様子を龍也と桃香は笑顔で見つめていた。
「ねえ、龍也。私、ヒーロー目指すよ!もっとみんなと強くなってオールマイトみたいに誰かを助けれるヒーローになる!」
「僕も目指すよ。僕も皆の笑顔を守りたい!」
龍也の視線の先には再開を笑顔で喜ぶ耳郎一家の姿があった。
自分達と共に居た時は不安で暗い表情をしていた彼女がオールマイトの活躍で笑顔になることができた。
人の表情を明るく一変させることが出来たのはオールマイトの強さである。
改めてヒーローという者の魅力を感じた龍也の中で2つの憧れが重なり夢を叶えるための旅路が始まろうとしていた。
解説
デッドホーク
バイスタンプ等の悪魔の研究を行う謎の組織
しかしながら出来たのは最近で研究員もまだ未熟な模様