クソ面倒なショタでも、救ってくれるんですか!?   作:ノイマンⅡ

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第一話

第一話

 

 

 遥か遠い昔、神々は下界に未知を求め、天界から子供たち、人間が暮らす地上へと降りてきた。

 

 子供たちと暮らすために、全知全能に等しいその権能を封じ、全知零能の存在へと堕ちることで、共に不自由と不便を時に楽しみ、時に嘆いた。

 

 神は言う、自分たちが子供たちに与えられるのは、戦う為の力である【恩恵】ただ一つと。

 

 【恩恵】を与えられた子供たちは、その神の眷属、即ち【ファミリア】になる。

 

 そんな【ファミリア】の多くが集うは、英雄が生まれる町、壮大な地下迷宮が存在する迷宮都市オラリオ。

 

 危険ひしめく迷宮に冒険者たちは栄誉や力、出会いを欲してやってくる。

 

 時は現代、冒険者たちで賑わっている筈の迷宮都市オラリオは今、怨嗟と悲鳴で満ちている。

 

『暗黒期』

 

 歴史上かつてない混沌渦巻く時代がオラリオに訪れようとしていた。

 

 

◆◆◆

 

 一面を黎で塗りたくったような分厚い雲が夜空を覆い、星空を隠す。

 

 静寂響く筈の時間帯、都市(オラリオ)が誇る魔石産業の心臓、『工場』は悪意ある者たちに狙われ、真っ赤な炎に覆われ、時折、爆炎を上げていた。

 

 辺りは黒い煙と灰が入り混じった様な空気が漂っている。

 

 民衆もいち早く気付き、『工場』内から次々と飛び出す人々と共に逃げ出す。

 

 懸命に逃げ惑う人々を闇が嗤う。御伽話に出てくる悪魔のように、起こした惨劇と人の不幸を嘲笑い、楽しんでいる。

 

 そんな不快な嘲笑をを掻き消すように、正義の眷属たちの声が高らかに響き渡る。

 

 

「アリーゼ!三番倉庫、押さえた!」

 

 

 ピンク色の髪をショートカットにした小柄な小人族(パルゥム)の少女が、長く伸びた紅い髪を後ろで一括りにした少女へ叫んだ。

 

 

「わかったわ!ライラはそのまま先の区画も押さえて!あとついでに他の面々にも通達よろしく!!」

 

「そっちはいいのか!?お相手さん『魔剣』まで出してきてんぞ!!」

 

「フフーン!!清く正しく可愛い美少女の私には、そんなの無問題だわ!!それにそろそろ()()も到着する頃だから、安心して任せなさい!!」

 

「りょーっかい!」

 

 

 その言葉に納得すると小人族(パルゥム)の少女は先へと急ぎ駆け出していった。

 

ーーー瞬間、バラけて物陰に隠れていた男たちが一斉に躍り出る。

 

 小人族(パルゥム)の少女の危惧通り、何処からともなく現れた白いローブで顔から全身を覆っている闇派閥(イヴィルス)達が、徐に懐から『魔剣』を取り出す。

 

「「「死に晒せぇええええええええ!!」」」

 

 複数の『魔剣』から放たれた炎は、その身をぶつけ合い大きく膨れ上がる。壁と称してもいいほどの大きさとなったそれは、少女へと一直線に放たれた。

 

「ちょっと、マズいかしら…?」

 

 先程まであれほど自慢げだった少女も一瞬驚愕しつつ、迫る炎壁を避けるため、近くにあった大型魔石装置の裏に身を隠そうとするとーー

 

「生きてる…?アリーゼ……?」

 

 少女より一回りも小さい極東風の黒い衣装を着た男の子が、横に並ぶ。

 

咲人(サキト)!?そんなことより前!前!」

 

「大丈夫、もうほぼ詠唱し終えてるから…」

 

 そう呟くと彼の持つ唯一の魔法、その最後の起動鍵(スペルキー)を口ずさむ。

 

【ーーーその名を『ガイウス=ユリエル=カエサル』

 

 

ブルータス!このカエサルが来たのだ 勝利を約束しよう!!

 

 

来た見た勝った!!

 

 

項羽!!今、戻ったぞ!!

 

 

死を悠々と踏み越える精神力… 見事…

 

 

浮世の土産だ とっておき給え

 

 

 

 知らないはずの無骨な西洋鎧を全身に着込んだ男の記憶が少年の脳裏に再生される。軽薄で、女好きで、ハゲで、それでいて仲間への思いやりが人一倍大きかった男が百足の怪物に斬られる所でそのイメージは終わる。

 

 少年は何かを堪えるように頭を左右に振り、顔を上げる。前を見据え、大きく右腕を炎の壁へと突き出す。

 

才能:英雄の証…!!」

 

 そう口にすると、突如右腕にイメージで見たものと同じ無骨な西洋鎧が装着され、それに合わせ身の丈の数倍も大きい大楯が少年の手に握られた。

 

 

 着弾。

 

 凄まじい轟音と衝撃が辺りの空気を震わせる。一面に魔剣の炎が放熱され、呼吸をすると肺が焼けるようなヒリつく熱さが広がっていく。

 

 黒煙が漂い、奥は見えない。

 

 闇派閥達は砕けた『魔剣』を放り投げ、自身らが作り出した惨劇に興奮するでもなく、急ぎそれぞれ武器を取り出し、警戒は緩めない。

 

「やったか!?」

 

「高い金叩いて、商人どもから買い取っただけはあったな」

 

「ああ、そ「ーーークギュッ!!」」

 

 同意を示すように頷こうとした瞬間、煙の奥から投げつけられた大楯が隣に居た残念なフラグをぶち建てた男の顔面にぶつかる。

 

 たまらず男はそのまま崩れ落ちてしまった。

 

 

「ゲホッ、ゲホッ……!!ふぅ〜!ちょっと危なかったけど、さっすが私♪咲人(サキト)がちょうどやって来ることも予想できる頭脳まで持ってるなんて流石だわ!!」

 

「謎の自信で、正面から魔法も使わないで『魔剣』を受け止めようとする人間のどこが流石…???」

 

「あら?なら咲人は私のこと守護ってくれなかったのかしら?」

 

「その台詞は狡いでしょアリーゼ……」

 

 軽口を叩きつつ、煙の奥から出てきたのは、所々煤で汚れている以外、五体満足の二人だった。

 

 少年の記憶では百足の怪物に斬り崩されていた大楯も複数の魔剣程度にはギリギリ耐えれたようで、何とか形を保っていたそれを最初に声のする方に全身を使って投げたのだ。

 

 残る『悪』に与する眷属達は驚愕から意識が戻ると、バカな同胞は捨て置き、()()()()()()()()()()()()()、みっともなく背中を向け、全力で逃走を始める。

 

 が、それを拒むように逃げ出そうとした出口から新たに二人の正義の眷属が荒っぽく足音を鳴らし、駆け寄って来る。

 

 すぐさま別方向に逃げ出そうとする闇派閥達に風となったように詰め寄る少女たち。

 

 慌てて構えられた武器を少女たちの『魔力』が籠った木刀と刀が置き去りにし、敵の間を縫うように走り抜けながら、的確に脚や腕を斬りつけていく。

 

 完全に相手が崩れ去ったことを確認するとーー

 

「アリーゼ、サキト!!無事ですか!?」

 

 覆面とフードで顔を隠したエルフが二人を心配して駆け寄る。

 

「しぶとく生きてますわね団長さん、それに()()は相も変わらず分不相応な魔法を使っているようで…」

 

 赤い着物を来た凛とした黒髪の女性が端正な顔を歪めながら、毒を吐く。

 

 まるで忌々しいものを見るようにサキトの()()()()()()首、そしてそこから溢れ出す血に染まったような色をした花弁を睨み付ける。

 

「確かに見た目こそ不気味ですが、唯一の肉親なのだから、そこまで言う必要はない筈だ輝夜(カグヤ)。第一、彼が後もう少し遅ければアリーゼが…」

 

「愚弟は何でもかんでもでしゃばり過ぎなんです。何も分かっていないエルフ様は黙っていてくださいませ」

 

「なっ……!?()()()()()をして、自分を隠すことに必死な貴方こそ何も分かっていないのでは!?」

 

「言うではないかぁ、糞雑魚妖精ぇ〜〜〜!!愚弟のことをもっとも理解し(わかって)ているのはこの私だ!!」

 

 繕っていた言動をすべてぶち壊し、先程までの印象とはかけ離れた罵詈雑言が飛び出す。

 

 そのままお互い醜い罵り合いに発展していく二人。

 

 姉の出現にすっかり萎縮し、縮こまる弟。

 

 そんな姿を見かねてか、アリーゼが手を叩き注目を集める。

 

 団員たちを嗜めるかと思いきやーーー

 

「リューも輝夜(カグヤ)もそこまでよ!咲人のことは息ぴったりなこの私が一番彼のことを分かってるもの!!あ、だからと言って嫉妬はダメよ!完璧な美少女のわたしに及ばないのは仕方ないわ!!バチコーン☆」

 

「「「イラッ☆」」」

 

  咲人本人もイラつきを覚え、いよいよ収拾がつかなくなるところ、常識人(苦労人)の小人族が戻ってくる。

 

 

「団長ー、って何やってんだお前ら…?」

 

 

 訳のわからない混沌とした状況に疑問符を抱く姿は、いっそ哀れだった。

 

 

 




うぼぁ…特殊タグ使うのむずする…

なぜこんなものに手を出してしまったんだ…

設定もミスって非ログイン勢からの感想offってた、ダメダメでした…
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