クソ面倒なショタでも、救ってくれるんですか!? 作:ノイマンⅡ
急ぎ風呂場にて念入りに汗を流してから団欒室に向かうと、既に主神と団員たちに加え【ガネーシャ・ファミリア】の一員、【
淡い紺色の髪を揺らし、リオンと談笑しているその姿を見つめていると、目線が合い咲人に気付く。
「あははは、お邪魔しちゃってごめんね。例の襲撃された『工場』の報告書をまとめたはいいんだけど、こういう文書も奪われちゃうと困るから、私が手渡しに来たんだ」
「安心して…別に邪魔なんて思ってなかった…」
慌てて咲人が頭を振り、否定すると少し安堵した様子を見せる。
「それじゃあせっかく来たことだし、簡単に口でも説明しちゃうね。昨日、襲撃された『工場』だけど、今回はどうやら明確な目的があって行われたことっていうことが、調査で分かってきたんだ。『工場』で使われていた撃鉄装置が一つ残らず消えてて、目的はたぶんそれだったんじゃないかって、結論されたの」
「その撃鉄装置?とは具体的に何なのですかアーディ?」
「うん、よくぞ聞いてくれたねリオン君!撃鉄装置って言うのは、魔石製品に使われてる部品の一つで、起動と停止を操作する重要な部品だね。神様たちの言葉で言うとスイッチ?って言うみたい」
「そんな重要な物を奪うなんて許せないわね!必ず全員引っ捕まえてあげるんだから!!」
「アホ団長は放っておき、そんなことより、闇派閥達がなんでんなものを盗んだのかっての方が大事なんじゃねーか?狡賢さで私の右に出るやつなんて居ないって思ってたけど、今回ばっかしは正直お手上げだ」
ライラも頭を掻きながら、答える。
団員達が数を生かして云々と頭を捻るが、中々考えは出ない。
そんな中、一人咲人は
こことは別の世界で、銃と呼ばれた画期的な発明が存在したことを。
引き金を引くだけで、弾が射出され
咲人自身、『才能』を使えば創り出せる。
最も単純に威力がモンスターや【恩恵】持ちの人間に対してはほぼ無意味であることや、音の大きさ、物の珍しさからほぼ使い物にならないので使わないが。
顔を上げ、全員の顔を見渡して問う。
「撃鉄装置を盗んだ理由なんて一つじゃないかな…?何かの魔石製品が欲しいなら完成品を盗めばいい…そうしないのは、恐らく自作の製品か魔道具に使うんだろうけど…わざわざ撃鉄装置が必要なのは、操作を簡単にする為……操作が簡単になると、どうなると思う…?」
「どうって、そりゃあ誰でも使い易く……って、おいおいまさかとは思うが…」
「つまりより多くの人々、とりわけ経験が無く、操作が簡単でないと使えない人間に使わせるため…恐らく闇派閥は、
戦慄が正義の眷属たちの間に走る。
自分たちが守ってきたものから裏切られるかもしれないという恐怖や、身体ばかり守り心を守れなかった不甲斐ない自分たちへの怒りを燃やす。
主神のアストレアでさえ悲しげに目を伏せ、静かに冷たくなった空気に声を震わせる。
「そうね、人の心は脆く弱い。もちろんそれだけではないけど、そういった側面もあることは否定出来ないわ…」
「しかし、闇派閥相手に民衆がはいそうですかって従うのか?」
「分かんない…けど既に都市の人々の心はいつもと違って限界まで擦り減ってる…そこが付け入る隙になるかも…」
「だとしたら一大事ね…とは言え、ここであーだこーだ言ってても何にも生まれないわ!!みんなの心を元気付けるためにも見回りに行くわよ、咲人!!」
「えっ?って痛い痛い腕を引っ張らないでぇーーーー」
先ほどから行き場のない
「行っちまったな…」
「放って置け…どの道愚弟には少し頭を冷やす必要がある」
姉の輝夜は溜め息を吐きつつ、弟とアリーゼが出ていったドアを意味深に見つめる。
そんな姿を見たライラは横目に輝夜を見て、ニヤニヤしながら問う。
「もしかして輝夜お姉様は可愛い可愛い弟をアホ団長に取られて嫉妬してんのかぁ?」
「違う…ただ姉らしいことがあのガキには何一つとしてやれなかったと少し思ってな…」
いつもと違った様子を見せる、自身の好敵手に声を掛けようとしてリューは口を開くのを躊躇う。
(輝夜………)
「そもそも愚弟、愚弟って呼んでるけど何でだ?めっちゃいい子じゃねーか」
「いや、間違いなく弟は愚かだ。この世で最も阿保な男であると言ってもいい。折角だ、卿が乗った。少し愚弟について語ってやろう」
◆◆◆
昼前のメインストリートを二人がともに歩く。
笑いながら少し先を歩くアリーゼが咲人に問いかける。
「何をそんなに怒っていたの?」
「別に何も怒ってなんてない…」
「嘘ね!!だって怒ってない咲人があんな怖い顔するはずがないもの!」
「本当に怒ってなんてない…アリーゼの見間違いだよ…」
ふとアリーゼが突然足を止め、後ろを振り向き真剣な顔をして尋ねる。
「咲人…咲人にとって、私は悩み事の一つも打ち明けられないような頼りない団長なの?」
「そんなことはない…!!ただこれは僕が「おお~い!!誰か助けてくれえぇぇええええええええ!!僕のなけなしの555ヴァリスが~〜」」
空気が読めない情けない男の声がメインストリートから少し外れたわき道から、響き渡る。
二人は毒気が抜け、顔を見合わせて頷くと音のする方へ走り出した。
「いや〜助かったよ。僕はもうこれが全財産でね、無いと今日は野宿する羽目になるところだったよ」
叫び声を上げた現場に到着するや否や、すぐさま男神からお金の入った袋を奪った不届者を気絶させ、拘束したところにエレンと名乗った神が感謝を告げる。
「はぁ…この今のオラリオで神が眷属を連れていないのは自殺行為に等しいから…外出するなら気をつけて…」
「そうね!いくら私たち【アストレア・ファミリア】や【ガネーシャ・ファミリア】が巡回してるメインストリート近くとは言え、神様が1人でぶらつくのは危ないわ!」
「へぇ、君たちがあの【アストレア・ファミリア】…正義の女神、そのの眷属たちねぇ…」
不思議な男神だ。ボサボサの黒髪を掻きながら、軽薄な笑みを浮かべるその姿は一層不気味だ。
何より、その糸目から覗く薄い瞳がこちらを見透かすように観察しているのが少し怖い。
そんなことを思っているとアリーゼが神エレンの視界を遮るように、間に入る。
「咲人が可愛いのは分かるけど、小さい男の子をそんな舐め回すように見つめるなんて、さては変態さんね!!」
「めっちゃ傷つくからやめてー!?そんな特殊な趣向を持ったモブ神じゃなないからさぁ〜!!」
ーーーただ
まるであの日出会った顔の無い男のように、こちらの内側、その全てを見透かす超越存在がその目を見開いた。
作者はあの未来は変えたいです。
けど、物語が進むにはリューに曇ってもらう必要があるので、中々難しい…
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