してんのう の チリ が あらわれた! めのまえが まっくらになった!   作:ホワイトリリィ

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チリさんにイケないことをやった罰で耳を噛まれたり舐められたり、口の中を指でいじられちゃうお話です


かみつく こうげき! こうかは ばつぐんだ!

 

夜な夜な行っていた自慰紛いの事が知られていた挙句に最大級の地雷を見事に踏み抜いた結果、チリさんにベッドに押し倒されて躾られる事になった。

 

"躾"とは一体どういう意味なのだろうか。私が半ば期待してしまっているソレなのか、それとも違う意味なのか。いや、そのような事は最早どうでも良い。今はこの高り高まっている媚熱を冷まそう。もしも彼女に知られたら、ただでさえ瀕死なのに更に弱味を握られて、目の前が真っ暗になる未来が見える。

 

「えらい顔が真っ赤やなぁ。そんなんでこの先耐えれるんか?」

 

目の前に、にたりと笑みを浮かべた捕食者が呟く。これから一口ずつ丁寧に咀嚼し、味わい、腹の中に納められる事になるであろう獲物に向かって。

その獲物である私は、抵抗する事も何もかも諦めて大人しく食されるしかないのだ。

 

紅い目を持つ獣が、私の左耳に怖いくらい優しく語り掛けてくる。それは耳から脳へと、徐々に犯してゆく甘い毒。誰しもが罠に掛かりたがる甘美な神経毒が、私を蝕む。

 

「チリちゃんが寝てると思って、毎晩遊んでたなんてなぁ...」

 

目に、見詰められている。実際には私の視界には入らないはずなのに。チリさんの顔は、私の左耳元にある筈なのに。酸素を取り込んだ肺が痛む程に威圧感を浴びせ爛れて、何もできなくなっていく。けれど、その状態ですらを火種にしてより一層蕩けてしまう被食者が存在していた。

 

「何を言うたらええか、分かるやろ」

 

一言一言が蝸牛を通り越して脳まで刺さる。凶悪な返しがついた釣り針にソレが何を示すのか、ソレを掴んだらどうなるのかを分かっていながらまんまとかかってしまった。

 

「ご、めんっ...なさ、い"」

 

喘鳴と、耽溺と、被虐に絡まれて身が震える。自分から罠に掛かりにいったというのに、これでもう後戻り出来なくなってしまったという恐怖が私を支配する。ご主人様に叱られた犬みたいにただ震えて、次の言葉をただ待っている無様な醜態を晒す馬鹿がいた。

 

「ん、ええ子」

 

余りにも、余りにもあっさりと主人からの許しを貰えたことに腰が抜けてしまいそうになる。

先程までの威圧感と、今の柔和な雰囲気との差に目眩さえしてしまいそうだ。

よしよしと頭を撫でられて、無性に嬉しくなって余計に絆される。そのせいで強烈に安心感が一気に畳み掛けて、このまま眠くなりそうなくらい気が抜ける。

 

「けど、隠し事はあかんなぁ?」

 

ひゅ、と息が漏れた。許して貰えたと思ったのに、まだ許されてなかった。受け入れ難いけれど至極真っ当なその事実に、幼子みたいに嫌だと喚いて地団駄を踏んでしまいたいとさえ思った。

 

「あーむっ」

 

突然耳たぶを噛まれた。それにより、身体が大きくビクついてあられもない声を出してしまう。ひゃ、とかわっ!とかそんな可愛らしいものではなく、嬌声に近い声だ。

 

チリさんの歯が、私の耳たぶに一筋の線を描くようになぞっていく。それが何故か、心臓を直接なぞられている感覚に思えて、チリさんに隠れて"やってしまったこと"と同じ興奮を覚えた。

 

例えるなら、楽器の弦を滑らかに指でなぞるような。でも、艶めかしくて、陰に隠れた欲望のライターをじわじわ着火させる。火が灯るか灯らないかの間をずっと燻られて、感覚を過敏にさせられてる。

 

「耳、弱いん?」

 

は、は、と期待を帯びた息を吐いている。まるで、自分から耳が弱いですと宣言しているようなものだ。本当の弱点である右耳にやられなくて良かったと一瞬浮かんだが、それもすぐに消える。どうせ、片耳だけで終わるようなお仕置きではないんだから。

 

何も答えれない犬の返答を待つまでもなく、チリさんは躾を再開し始める。

 

先程は歯をなぞるだけだったのが、少しづつ、少しづつゆっくりと噛む動作へと変貌していく。耳たぶを持ち上げて、また落として、そしてもう一回持ち上げる。

 

落とされた時の衝撃が、首筋にまで響く。首輪の紐を引っ張られて服従させられているみたいで何も考えられなくなりそうなのに、おまけに敏感になっているんじゃ?と勘違いしてしまうくらい。

 

まだ耐えることはできるけれど、それでも左耳でこうなるんだ。ならば、一番感じてしまう右耳ではどうなるんだろう。

 

想像するだけで身が震えて、喉に唾液が溜まる。そうなれば自然と、チリさんに懇願させてくれと煩く喚いて止まらない性感帯が敵に回る。もう、知られたくないところを知られてしまったのだから後の祭りではないかと。

 

このまま唆されるがままに、自らさらけ出してしまおうか。と半分負けそうになっていたところに耳の軟骨を甘噛みされて、臀部に甘い電流が流される。

 

「さっきから物欲しそうな顔をしてるのバレバレやで。あと、勝手に降参するのもナシやからな」

 

降参するのも許されないなんて。終わりが見えない絶望とともに、期待も滲み出る。きっと、しっかりとチリさんがこれで良しと判断するまで終わらないだろう。いつ終わるかも、チリさんがこれで良いと思う基準も分からない怖さもあるが、これ以上のことをしてくれると考えると、やっぱり心の底から屈服したいと思ってしまった。

 

まるで、自分が何かの神様を信仰する信者になったみたいだ。ひたすら主の為に従う。それこそが自らの喜びであって生き甲斐。そう、確信にも似た何かを心の内に決め込んだ。

 

「右耳一番弱いんやろ?さっきの顔ですぐわかったわ」

 

そう、か。私はもう、(弱点)を自分から見せて。涎も舌も、欲望の赴くままに全て垂れ流しにする服従しきったケダモノになっているんだ。

 

つくづく馬鹿だと思う。ここまで叱られてようやく自覚するなんて。そして、自覚して終わりではなくこれからが本番だということにもうっすら直視し始める。

 

生々しい体温がのせられた息が右耳に吐きかけられる度に、アルコールが身体を巡る時よりも遥かに強烈な熱っぽさが染み渡っていく。

 

どんなに高級なお酒だとしても到底敵わないような心地好い酩酊感。このままずっと身を委ねて、どこか眠れてしまいそうな安心感もほのかに存在している。今なら、アルコール依存症の人の気持ちが分かるかもしれない。

お酒を飲む度にこうなって、もっともっととせがんで気が狂う気持ちが。

 

吐息ひとつすら、人を狂わす魔性のそれになるほどチリさんがあまりにも魅力的に写りすぎて。まだまだ右耳に触れてすらもいないのに、頭と腹に溜まりきった熱が今にも蠢きそうで痛くなる。

 

「かわい...」

 

さっきよりも近く、より密接な上に耳元で囁かれたその言葉に。純粋な褒め言葉で蕩けているのか、もしくは耳が弱いから腰砕けになっているのかすら。甘く媚びた声を垂れ流しにする頭では考えることは既に無粋だ。

 

体に流れる神経が全ての感覚をチリさんにだけ向けて、受け取る情報はチリさんから与えられる快感だけになる。匂いも、視界も、暴力的なまでにチリさんだけしか入らなくなって。

 

もうすぐ、私の右耳にチリさんの舌が触れる。体が勝手に震えようとしても、頭をチリさんの両手でしっかりと支えられているから気持ちばかりの防御も全く意味をなさない。むしろ、訳の分からない興奮が倍増するだけだ。

 

一番感じると言っても過言では無い右耳を噛まれる。と、どこか期待してたのかもしれない。

 

予想していた固い感触とは違う、ぬるりとした柔らかい肉のようなざらざらしたモノで耳をねぶられている。と自覚して混乱した時には既に手遅れで。

 

最後に頭に浮かべれた言葉は、"取り返しがつかないくらいバカになっちゃったな"だった。

 

落とされたリップ音と同時に脳細胞がぷちぷちと割れていく。割れていく脳細胞の数だけ知能が下がっていって、動くことも喋ることもまともにはできなくなる。

 

このままだと、もう人間には戻れないと分かっているのに。やめてと叫ぶこと以前にやめて欲しいなんて思ってもないから、このままでも良いかな。なんて思ってしまう。

 

頭を優しく丁寧にほぐされた後に乱暴に殴られてるみたいな。その落差がとてつもなく快感を生んで、ひたすら気持ちいい。優しくされたらされた分だけ、痛いくらいの刺激が欲しい。

 

頭が壊れちゃったからこんなことを思うのか、それとも元からおかしかったのか。すべて、どうでもいい。

 

感じるがままにきゃんきゃんと鳴き続けて、チリさんから耳を舐められるだけで容易く内に籠りすぎた興奮を弾けさせられる。

 

「その顔やっばぁ...腰もこんなにくねらせて、やっぱり誘っとるやろ」

 

頭に置かれたチリさんの両手に少しばかり力が入ったから、またも過敏に反応してしまう。触られた端から動悸が鳴る。本当だったら身悶えして逃せれるはずのものが、排熱できなくてひたすら体の内を巡るしかなくて苦しい。

 

下腹部の奥深くから、煮だってとろとろとした液体が太ももからベッドシーツに伝っていく。口の端から出ていた涎もいつの間にか、顔の横を通り越してチリさんの手首にまでついてしまっているようだ。

 

人の涎なんか付いて気持ち悪いはずなのに、チリさんはなぜか嬉しそうにニヤつく。そして、私の涎が付いた右手首を口元へ持っていくと、ぺろぺろとゆっくり味を堪能するかのように舐め始めた。

 

涎だけじゃなくて、私からこぼれた涙も汗もついててきっと酷い味なのに。まるで最高に美味しいおつまみを食べているみたいに頬が紅く染まり、酩酊状態にも近い目の蕩け方をしてる。

 

混ざり混ざった体液を舐めていく度に漏れる吐息が、湿っぽくて私の方まで息を飲んでしまいそうになる。

 

時折音を立てて啜ったり、わざと見せつけるようにして目線だけを私に向けながら舌で舐めとったり。その仕草の一つ一つが私の体を燻らせてしょうがない。

 

その内に私の唾液が全て舐め取られて、今度はチリさんの唾液に置き換わった。今は真夜中のはずなのに都会の輝きのように光って見える粘性を帯びた液体が、チリさんと相まって余計に目を離せない。

 

チリさん自身におさまらず、ついには分泌物にも心奪われるようになってしまったようだ。今すぐにでも触れたい。さっきのチリさんみたいに舌ですくい取りたい。

 

無意識に喉を鳴らした。渇望し過ぎるがあまり、架空のものを飲み込んで。

 

チリさんの紅くタレている目が、爬虫類みたいに細められた。口元は弧を描いたまま。もう、その笑みに期待しか浮かばない。

 

緩慢な動きで、今一番欲しいソレを私の眼前に出された。口が開いて舌が出そうになったが何とか思いとどまって我慢する。

 

「口、あーってせぇ」

 

チリさんがそう言うと同時に、濡れていない左手を私の腰まで手を回されて抱きしめられる。ただの身体接触が強烈な快楽になるまで、感覚が過敏になりすぎるようにほぐされた身体がよがるように跳ねる。

 

そして頭はチリさんに愚直なまで従おうと、私が理解する前に行動を開始し始める。口を開けると、口内に溜まった唾液が溢れてまたもこぼれる。が、既に今更だ。

 

目には見えないだけで、きっとあからさまな熱を持った息が喉奥から漏れ出ているんだろう。許容量なんかとっくに超えた、期待と劣情のマグマが。

 

べたべたに塗れた右手が、とろとろに崩れかけそうな私の口内に入り込んだ。容易く、いとも簡単に。いきなりだったというのに嘔吐反射すら起こりえなかった。

 

入れられた指が、私の舌に擦り付けるようにじんわりと動く。それに合わせて私は少量ながらも指に付いたチリさんの唾液を飲み込む。まるで哺乳瓶のミルクを飲む赤ん坊だ。哺乳瓶のミルクよりも、母乳よりも甘くて美味しくて、心満たす液だった。

 

指が動いて、その度に舌が迎え入れる。ぐちゅ、ぐちゅと絡まる音が鳴る度にチリさんへの好意が積もっていくのを感じる。触れてくれるのも、こうして見てくれるのも、指の味に至るまで全部好き。好きを自覚する度に濃く、染みていく快楽を乗せた声がまたも出ていく。

 

今度は動きを変え、舌を挟むようになってきていた。舌の側面を指の腹で撫でられ、きゅっと軽く搾り上げられる。くすぐったさと変な気持ちよさに襲われ、新たな趣味嗜好に目覚めそうだ。

 

でも、やっぱり足りない。首を絞められることの快感と比べてしまう。今のもとろけ過ぎて溶けちゃいそうになるけど、苦しいのが癖になってたまらなくなっちゃう方が良い。我儘なのは分かってるけど、痛めつけて欲しい。

 

指と舌が触れ合う度、首への圧迫を求める。チリさんが好きなのと同じくらい痛くされたい。

 

好きな人で頭の中がしっちゃかめっちゃかで、もっと壊されたがってる。チリさんにだったら、ビンタされても殴られてもいい。むしろそうされたい。ひざまづいて、頭を踏みつけにされながら、今と同じような声で好きと言われたらどれほど興奮できるだろうか。

 

切望か、或いは口の中を散々弄られたせいかで目から涙が溢れはじめる。それを見たチリさんは笑みを浮かべたまま、指をゆっくり抜いていった。

 

あれほど蹂躙していったモノがとうに抜かれたと言うのに、荒く生温い息を吐くばかりで何も動けず、何も考えれない。チリさんがおもむろに口を開き始めたことにも、私の頭を掴んで離さないことにも、呆然と佇むしかできなくなるくらいには限界を超えていた。

 

馬鹿みたいな惚け顔を晒していたのもつかの間、体温より少し冷めている透明な蜜が、チリさんの口から私の口へと流れ落ちてきていた。

 

やはり、甘い。人の唾液なのだから甘くないはずなのだろうけど、どうしたって私が甘いと認識してしまうのだ。そうであるならば、身体も自ずとそういうふうに解釈されてしまう。

 

こく、こくと喉を鳴らす。ずっと興奮で浮かされっぱなしで疲弊したことにより生まれた眠気と戦いながら、チリさんの唾液をこぼさないように飲み込んだ。

 

「...チリちゃん、思ったんやけど」

 

逆らえない声が聞こえて、頭の中身からじんわりと崩れて、次々に肉体が融解される。受け取れたか不明な言葉が言葉として認識できているけど、私の意識はずっとふわふわとして地に足つかない。

 

「そんなに首を絞める手が欲しかったら代わりに首輪でも買おたろか」

 

眠気まなこがあっという間に飛び去って、とくとくと鼓動を早まらせる。考えなくても、想像しなくても分かる。頭から腰を通り越して足の末端まで煮える電流が来たんだから。

 

「明日、じっくり選んであげるから今日はここでしまいやけどええな?」

 

私に付ける首輪を、選んでくれる。たったこれだけの事実が、もう死んでもいいと思えるくらい嬉しい。チリさんはどういう首輪を私に付けるのだろうか。願わくば緑色の首輪が良い。緑ならチリさんを思わせる色だし、チリさんに支配されている感覚が増幅されてきっと涙を流せるくらいゾクゾクするだろう。

 

でも。きっと、何色の首輪でも私は、よだれを垂らして正気を失ってしまえる。今ですら首輪のリードを引っ張られる幻想を夢見て、修学旅行前の学生のようにドキドキしっぱなしだ。

 

重くて絶え間なく刺激を受け続けた神経が悲鳴を上げている。それを無理やりに動かして肯定の意思表示をするけど、今から既に待ち遠しい。早く、早く首輪が欲しい。私だけの、チリさんから渡してくれる首輪が欲しい。

 

「じゃ、ここまでにして寝よか」

 

視界が白くなった。言われた言葉を何度反芻しても、理解したくない。だって、ここまでしてくれてたのに急にやめるなんて。このまま、なにもしてもらえずに終わる。なにも満たされない。あともう少しで頭を元通りにできないくらい壊せれたのに。その気持ちを見透かして私がより悶えるようにしているんだ。

 

もういっそ泣きわめきたい。ひたすらすがって駄々をこねて、せめてさっきの続きをして欲しい。本当にあと一瞬、体に触れられていたらどこまでも甘くて気持ちいいところまでいけたのに。切ない。寂しい。どうしていいのか分からなくて、かすれた泣き声を喉奥に詰め押し込んだ。

 

「いい子で待っとれるやろ?」

 

うなずくしかなかった。チリさんの表情が、ついさっきまでの色っぽい微笑みから真顔に変わってしまったら。それはもう、絶対的な命令なのだから。その命令に、浅ましくも確かな興奮と喜びを覚えた。

 

私の反応から、命令がきいたのだと察したチリさんは布団を私と一緒に被って寝に入る。燻る湿った欲情は正直に言うと全く治まることはなく、むしろずっと燃え尽きちゃいない。

 

こんな状態で眠れる訳がない。ましてや同じベッドの同じ布団の中でなんて。我慢を強いられているとしか思えないけど、この状況に少なからず恍惚を感じてしまっている。自分でも初めて自覚した清々しい程に変態な性癖をチリさんに引き出されたんだと思うと、途方もなく胸が熱くなってもっと躾られたいと欲張ってしまう。

 

悶々とする体をこらえて、首輪に期待を寄せる。明日、どんな首輪をチリさんは私に付けてくれるだろうか。

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